タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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2-2-7 「可愛い人って絶対彼氏いるじゃん?絶対パンパンしてるじゃん?詰んでるじゃん・・・」

 7/19(土) ~遼視点~

 

 

 有希は水着を買いに行くとかで出かけて行った。叔父さんは締切が近いから仕事部屋にこもりっきり。そして俺は一人孤独にゲームに耽っていた。FLDは柄谷がいないからチームアップもできない。だから、協力プレイのないRPGをひたすらやっていたのだが、さすがに朝からぶっ通しで続けていたので、もう目も頭もズキズキ痛み始めた。時刻はもう八時すぎ、さすがにやめようと思い、俺はベッドに横たわった。ギシッとベッドの軋む音が閑静な部屋に響く。

 

「あー・・・だるい。」

「なら・・・やらないか?」

 

 机の上の方から危険なワードが聞こえてきた。一瞬某くそみそを連想させられるが、見た目がかわいいフィギュアが話しかけてきたのだから、普通の人ならちょっと反応に戸惑ってしまうわけだが・・・

 

「―――――一応聞くけど、何を?」

 

 現在唯一俺の相手をしてくれるのは、フィギュアに憑依して下天した神様である竜崎。中身は男のため、バ美肉してるだけ、と思えば、結局ただのおっさん相手にしていることと変わりない。だからこそ、俺も普通に対応する。

 

 

「明日の告白券使用についての打ち合わせだよ。」

「ああ、あれか・・・あの時はノリでああいったけど、ちょっと気乗りしないんだよな・・・」

「それはなぜ?あんなに簡単に恋愛の練習できるアイテムなんて、そうそうないだろうに。」

 

 竜崎は怪訝そうにこちらを見下ろしてきた。――――俺がRPGをしながら告白券の使用の流れを考えていたことを、ぶちまける。

 

「―――――相手の名前と、処女かどうかを知る手段がない。たとえ運よく相手の名前を知ることができても、俺が練習したいと思えるような相手って絶対可愛いじゃん?でも、可愛い人って絶対彼氏いるじゃん?絶対パンパンしてるじゃん?詰んでるじゃん・・・」

「なんだそんなことか・・・」

「そんなことって・・・これ結構でかくね?」

「大丈夫、策はある。まず名前を知る相手は企業やホテルの受付嬢など、ネームプレートを引っ提げている人にとどめればいい。そして、当たるまで名前を書き続ける。もしうまくいった場合、相手は一目ぼれした状態になるから、向こうからアクションを仕掛けてくるだろう。逆に、脈なしの場合は、何も起こらない。ノーリスクで何度もリトライ可能なわけさ。」

 

 竜崎、発想がえげつないな。だが、言うことはもっともだ。俺にナンパして名前を聞き出すことができるだろうか?できるわけがない。となると、どうしても最初から身分を明かしている公人相手じゃなきゃやれないだろう。

 

「・・・それなら俺でもできる気がするゾ。頭いいな、過去にそんな経験が?」

「あるわけないじゃないか・・・。怜とそのあたりは相談済みなんだよ。――――――おっと、怜から連絡が入った。ええと・・・今帰宅したから、そのまま家で打ち合わせをしようとのことだ。細かい話はあとで怜の家でしようか。」

 

 竜崎はそういうと、机の上から飛び降りて俺のベッドに着地した。俺は竜崎を拾い上げ、シャツの胸ポケットに入れた。

 

「そんじゃま、行きますか。」

 

 すっかり手慣れた行動になったものだなあと、しみじみしたのだった。なお、リビングに入ると、買い物から帰ってきた有希がぐったりした様子でソファに横たわっていた。そんなに今日の買い物はハードだったのか・・・。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「明日は9時に私の家に集合でいくわよ。」

 

 怜は俺が家に入るなり、すぐさまそう言ってきた。

 

「おいおい、えらく急だな。まだ俺靴すら脱いでないぞ。」

「この打ち合わせは早く終わらせたいのよ。今日はすっごく疲れたんだから・・・。」

「そういや水着買いに行ってたんだっけ?あれ?有希もまさか一緒?」

「いろいろあってあなたの部活の部長と、会長、それに有希と栞も含めた計7人での買い物よ。ただの買い物で終わらなかったからもうへとへとで・・・って、その話はいいのよ。さっさと明日の話をするわよ。」

 

 怜ははきはきと言葉をまくしたてるものの、途中で息切れしたのか言葉尻での息継ぎが深呼吸レベルになっていた。足取りも重かったので、本当に疲れているのだろう。俺はリビングに入ると、勝手にコーヒーを淹れ始めた。勿論、怜のも含めた二人分だ。

 

「まず明日の格好だけど、あなたの持っている服の中で一番まともなのをセレクトしておいたわ。」

 

 怜はそういうと、奥の部屋から俺のオシャレ着を取り出してきた。

 

「え?いつのまに?」

「私が取り寄せておいた。上司をこき使うだなんて、怜も人使い―――いや、神使いが荒いものだ。」

 

 神様って、服をワープさせたりもできるんだ・・・竜崎の体で服を運べるわけもないし、それしか考えられんよな・・・。

 

「正直、告白券を使う以上、服装がどんなものであれ、関係ないのだけれど、最低限のマナーとしてね。」

 

 怜は竜崎のいじりを華麗にスルーして話をガンガン進めていった。ネタを披露元気すらないのだろうか。

 

「――――で、当日はこの家から神の力を使って、東京まで移動する。到着は一瞬だから、あちらには9時15分とかにはもうついているはずよ。あとは、竜崎さんから話を聞いているように、身元の割れている人に片っ端から仕掛けていくわ。安心して、告白券はいっぱいあるから、何度でも挑戦できるわよ。」

「はいはい――――――――てか、素朴な疑問なんだけど、神界じゃ、ワープってのは当たり前なのか?」

 

「え?」

 

 ガンガン話を進めていた怜が、初めてそこで動きを止めた。

 

「そんなことないわよ。この移動方法は条件が整わなければできないわ。誰でもできるようになってしまうと、いろいろと問題もあるのよ。」

 

 はあ、と、怜は大きなため息を吐いた。そして、俺が入れたコーヒーに口を付けた。

 

「ん?問題?ワープした先に人がいたら、その人に体がめり込んじゃう的な?」

 

 このとき、俺はアニメや漫画で見たよくある転移の失敗例を話したつもりだった。ほんの軽い気持ちだったのだが、どうやら俺の軽口は、怜のナニカを逆なでしてしまったらしい。怜は大きくむせてしまい、コーヒーをテーブルにまき散らしてしまった。そしてテーブルのコーヒーを何事もなかったかのようにして拭き取った後、説明を再開した。

 

「・・・まあ簡単に言えばそうね。遼がどんな想像をしているか知らないけれど、まず、物体を地点から地点へ瞬間移動させる、いわゆるワープの類ではないわ。わかりやすく言うなら、ドラえもんのどこでもドアのようなものね。空間を繋げるの。異なる点を挙げるなら、必ず神界を一度経由しなければいけないということ。私がこの世界にこれたのも、この()()()()のおかげね。」

「な、なるほど……」

「ちなみに、この世界の人間で、空間結合により神界に足を踏み入れるのは君が最初のはずだ。誇っていいぞ。守秘義務があるから、目隠しはさせてもらうけど。」

 

 竜崎は偉そうに胸を張っていた。いや、実際偉いんだけども。

 

「とりまわかったよ。明日はやれるだけやってみる。―――――てか、そんな便利機能があったなら最初から教えてくれよ。これなら、限界まで寝ていても遅刻せず投稿できるじゃんか。」

 

 俺がブーブー言うと、怜はどこかどんよりとしながら、その俺のボヤキにこう答えたのだった。

 

「だから、条件がそろわないと使えないって言ったじゃない。手軽すぎると、()()もあるんだってば・・・」

 

 声色に若干の怒りも混ざっているように感じられたため、俺はなにも言い返さなかった。――――ともあれ、明日は俺史上の中で最も女の子からモテる日になる。どうせやるなら楽しみたい。そして、気持ちよくアキバに行くんだ!と、俺は暢気に意気込んだのだった。

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