タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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3-2-3 「過去の栄光にすがってばかりで現実と未来を見ていない。哀れな女だよ。」

 7/22(水)

 

 週明けのドタバタも落ち着き始め、放課後ゲーセンにてゲー研のみんな及び会長と淡々とFLDの練習にいそしんでいた。なお、いつもと違うところが一つあった。それは・・・

 

「今の場面って、無理して戦うよりも後退しながら形成立て直した方がよくないですかー?ハム君が余計に前出ちゃったからほかの方との距離が不自然に開いちゃって、狙いの的になってる気がしますね。」

「その通りです。すごいですね桜子さん、未経験なんですよね?」

「見る専ですよ、エアプですエアプ。大したことじゃないですよ。」

 

 直前の対戦のリプレイを、ゲーム研究部・会長に加え、戸隠さんもなんかいた。なお、戸隠さんと会長は私服に着替えている。会長は流石に制服でゲーセンいくのに抵抗あったのだろう、カジュアルな格好だった。変装も兼ねているんだろう。そして戸隠さんは案の定童貞を殺しそうな服を着ていた。たまらん。戸隠さんは普通にDIVAをしばきに来たところ、偶然鉢合わせたわけだ。DIVAをひとしきりしばいた後、休憩がてらこちらに合流してきた。

 

「だってさ、ハム、やっぱりここが課題だね。素人の桜子ちゃんにも見破られるくらいだから、結構露骨だよ。」

「む、そういわれると苦しいな。――――わかった、善処しよう。」

 

 俺はちょっと居づらかったが、彼女は特にこちらをからかうこともなかったので、いまとなっては普通に接することができていた。

 

「遼君はトラップをむやみやたらに撒いてるから後隙がかなりあるように見えちゃいますけど、これいいんですか?わざと後隙作って、敵が突っ込んて来たところを栞ちゃんが狙い撃つ戦法ならいいんですけど、リプレイ見る限りあんまりそうも見えないから・・・」

「う、痛いところを突かれたな・・・。その狙いはあるんだけど、そう思うってことは、この相手にはそれがはまっていないってことだろう。」

 

 なんてやりとりをしながら、刻々と時間は過ぎていったのであった。戸隠さん交じりでのFLD練習は思っていたよりもはかどった。素人だからこそ気になる素朴な疑問が、思わぬ発見につながっていたからだ。そうしてもう高校生が遊べない時間にまで達してしまったので、解散してオンラインで続きをやることとした。俺はひとまずトイレに行って出すものを出した。そうしてトイレから出てくると、そこには戸隠さんだけが立っていた。

 

「やっと二人きりで話せるね。」

「お、おう。」

 

 ゆ、油断してた~~~~今日は何もないと思っていた~~~~!!!

 俺がキョドっているのを見て笑う彼女、そんな仕草をされて、またしてやられてしまったと苦しくなった。

 

「ねえ、来週みんなで遊びに行くんだって?私も行きたいな~。」

「来週・・・・・・ああ、アミューズメントパーク行こうって話?会長から聞いたの?」

「そそ、話によれば券が余ってるらしいじゃない?」

 

 戸隠さんの言う通り、券は一枚余っていた。伊藤を誘うのもな~と思って腐らせていたが、まさかこういう展開につながるとは・・・。すでにフラグは立っていたということか。

 

「それはぜんぜんいいよ。ほら。」

 

 俺は財布の中にずっと入っていたタダ券を彼女に差し出した。すると彼女はその券ではなく俺の手を握り、

 

「やった!ありがと!」

 

 そうお礼を告げた後、タダ券をもらっていった。もうアピールグイグイ過ぎて骨抜きにされちゃうよ~~~告白券の効力凄すぎィ!てかボディタッチしすぎ!本当に制限されてんの???そういうのはアウト判定なんじゃないの???

 

「これで今日の目標達成かな。じゃ、もう少し私はDIVAやってから帰るね~また明日!」

 

 戸隠さんはそう言ってDIVAの筐体に向かい、イヤホンを繋げてコインを投入したのだった。俺はぽりぽりと頭を掻き、柄谷たちと合流しに向かったのだった。

 

 

 

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 7/23(木)

 

 

 週末はFLDの全道大会があるため、それに向けた準備に全力を注ぎたいところだが、この学校はそれを許してくれない。

 

「学力テスト?期末考査とは違うの?」

「怜さん、そうなんです!なんでも、この学校の名物で、めっちゃ難しくて、平均点が超低いんですって!」

 

 たまたま有希と家出るタイミングが同じになったので、有希と怜と一緒に登校している。そこで、俺と有希が苦しそうな顔をしていたものだから、怜が不思議に思って尋ねると、学力テストの話になり、今の流れになった。

 

「成績に反映されないけど、自分の偏差値は全国的に見てどの程度なのか、大学合格ラインはどこかなど、より入試に特化した、この学校独自のテストなんだよ。過去の先輩方の膨大なデータをもとに合格ラインとか出してるから、恐ろしいくらいあたるのよ。」

「はあ、まあ私にはあまり関係なさそうね・・・。」

「はは・・・ただ、全学年含めた校内偏差値が張り出されるもんだから一部の上位層は物凄くやる気になる。一年生は上級生を押しのけようとして、上級生は下級生に負けないようにって感じ。怜だったら理数系でとんでもない偏差値をたたき出しそうだなあ。」

「ふふ、見てなさい。期待に応えてあげようじゃない。」

 

 怜は得意げに笑うのだった。そうして最寄り駅につくと、そこには俺らと同様に苦しそうにしている静乃がいた。

 

「おはよう静乃、どうやらあなたもテストが嫌のようね。」

「テストが好きなマゾは遼くらいで十分だよ・・・。」

「ばっ・・・俺は別にテスト好きじゃないし!」

「マゾは遼くらいで十分だよ・・・。」

「ちょっと待て?否定したからと言って前半だけ取ると意味変わるぞ?」

「でもそこは否定しないでしょ?」

「いや否定させてくれよ!」

「顔がにやついてるよ。いじられて喜んでいる典型的なマゾだね。認めなよ。」

 

 静乃は朝からフルスロットルだった。テスト勉強のストレスを俺に向けているなこれは・・・。

 

「ちなみに、静乃はいつもどのくらいの順位にいるの?」

「ぼく?ええと、遼のちょい上くらいかな。過去最高は学年15位。」

「俺のちょい上って・・・・・・って、え?お前そんな上だった時あんの?」

「1年の時にね。そういう遼は?」

「・・・・・・17位」

 

 静乃は俺を鼻で笑ってきた。くっそ、ちょっと俺より順位高いからって調子こきやがって・・・今に見てやがれ。

 

「この前の定期テストは俺に負けてたくせしてよくイキれるな。過去の栄光にすがってばかりで現実と未来を見ていない。哀れな女だよ。」

「お前は過去を見なさいよ。定期テスト負けたっていうけど、お前の得意な理系科目のみという土俵に立ってあげてそれじゃん。よちよち、総合では勝てないからって得意な科目でしか強がれないなんてかわいいでちゅね~。」

 

 静乃は赤ちゃん言葉で俺を詰ってきた。その光景を、怜と有希は若干引きながら見ていた。

 

「フー・・・どうやらテメーは本気で俺を怒らせたようだな。そこまで言うなら、今度はアンタの土俵、学テの総合順位で勝負だ。」

「・・・勝負したところでぼくのメリットないし。」

「お?おお?散々人を煽った挙句勝負となると逃げるのか?おいおいそりゃあないぜ。でも、そうだな俺が負けたらなんでも言うこと聞いてやるよ?」

「・・・ん?」

「・・・何でもは言い過ぎた。」

「なんでもするっていったよね?じゃあ仕方ないから受けてあげるよ。ぼくも公序良俗に反しない程度ならなんでもしてあげる。」

「そうやって予防線張って・・・まあいいや。せっかくだし怜も勝負しようず。理数は勝てないだろうから国英だけで。」

「え?ええ、うん。いいわよ。」

 

 自分にまさか振られるとは思っていなかったようで、怜はちょっとたじろぎながら答えた。

 

「全体の点数配分ってどうなってるの?」

「ん?ああ、今度のやつは国数英が200ずつ。理科は各100だな。計800満点。どんなにできるやつでも合計点は700は越えないな。600越えても東大圏内。ましてや700越えるんだったら東大理三もA判定じゃないかなあ。」

「なるほど。わかったわ。折角なのでやってみようかしら。」

 

 

 

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 テストは明日金曜日フルで実施される。静乃にあそこまで煽られてしまったからには、絶対に負けられない。FLDの練習はお休みだ。俺は死に物狂いで勉強した。そうして翌日、いざテストを受けてみると、難しすぎてぶったまげそうになったが、なんとかくらいつけた。おそらく6割いっただろう。英語は半分で、国語は4割だとは思うが。手応えのほどを聞いてみたところ、静乃はいつも通りといい、怜はコメントを控えたのだった。

 放課後ゲー研メンツで集まったとき、柄谷は目が死んでおり、ハムはいつもと変わらない。部長はあっけらかんとしていた。これは予想通りの反応だった。なお、金曜放課後のFLD練習には会長も来たが、会長は浮かない顔をしていた。そしてまたもや戸隠さんがゲーセンにふらっとやってきたが、彼女も流石に疲れた顔をしていた。

 帰宅後、有希も目が死んでいた。竜崎は相変わらず映画ばかり見ており、こいつの使命は何だったのだろうと思うのだった。週末はFLD大会、ゲー研存続のためにも、精一杯頑張ろう、そして楽しもう。そう思って眠りについた。

 

 

 

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