タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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3-2-7 「過干渉キモ」

 静乃を回収してみんなと合流した後、俺はどこか落ち着かない心を落ち着けようと、プールサイドのベンチにずっと座っていた。静乃も俺の隣に座っていた。静乃はベンチ横の肘掛けに肘を預け頬杖を突き、ぼんやりとはしゃいでる人たちを見ていた。俺はそんな姿を横目で見、すぐ目線を先に戻す。そんなことを繰り返していた。

 ・・・慣れないことをしたものだから、複雑な気持ちになっているのだろう、と、俺は思うことにした。柄谷に向けるような、愛玩動物を愛でるような気持でもなし、戸隠さんに向けるような、嬉恥ずかしいドギマギでもない。静乃に対しては、なんだろうな、腐れ縁のヤツへの子の感情は・・・うまく言語化できない。思えば、これほどやつのことを考えたことはないかもしれない。小学校の時は親しい友人という認識で、それ以上もそれ以下もなかった。中学校では、彼女のその様子から憐れみと心配の気持ちでいっぱいだった。

 ――――――理屈で考えるには、自分のことも、あいつのことも、情報が足りないな。考えてばかりも仕方ないか。なら、やることはひとつですな。俺はすっくと立ち上がり、静乃に呼びかけた。

 

「いつまでも座ってらんないぜ。俺はみんなのところに行くぞ!お前もついてこい!」

「え?嫌だけど。」

 

 あんなことがあったのに静乃はまったくかわらないテンションで―――とどのつまりけだるげに返事をした。

 

「折角こんなところに来たんだ。遊ばなきゃ損だぜ。めんどくさがってちゃ始まらないさ。静乃ひとりじゃ絶対来ないんだし、来たからには楽しまなきゃ!」

「話聞いてねー。いやまあ確かに言いたいことは――っておい!手を引っ張――わかったわかった!行くから、行くから手を引っ張るな!」

 

 俺は静乃の、頬杖をついていない手持無沙汰な手を引っ張りあげた。そうして、先輩たちのいるところに向かった。勿論、引っ張り上げた静乃の手は、静乃自身によってふり払われた。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 それからはあっという間に時は過ぎた。超はしゃぐ俺、朱鳥、部長、後輩たち。そのテンションについていけず、遊びと休憩をひたすら繰り返していた怜と戸隠さん。お姉さま方からの逆ナンが止まらないカトル先輩と神前。基本的に休憩をしていたが、会長とセットになることで、周囲を威圧するオーラを放ち男を寄せ付けない静乃。何度も二人で抜け出していたが、思いのほか楽しんでいる(ようにみえる)刹那とハム。ああこんなに愉快な面子と遊びに来ているなんて、後にも先にももうないんだ!そんな気持ちでいっぱいだった。

 プール後はリラックスしたい怜、静乃、神前、カトル先輩はマッサージを受けに、ゲーセンで楽しみたいゲー研の面子と戸隠さん、有希、会長はフルドをやりに行った。遊びつくしたと感じた時、時計を見ると夜七時となっており、さすがに疲れたということでお開きとした。本当に楽しかった!こんなに楽しいのはもう後にも先にもないんじゃないかと思うくらいには楽しんだ。マッサージを受けにいったメンツと合流しようと、マッサージルームに向かったところ、怜が外ですでに出ていたのが分かった。ほかのメンツは?と尋ねたところ、カトル先輩と神前はトイレ、静乃は中で爆睡しているらしい。怜にまたもや促されて、静乃を起こしに行くと、あまりにもきれいな寝顔をしていたものだから、起こすことをためらった。――――怜が起こさなかったのは、起こすことにためらいがあったからなのだろう、と思った。俺は気合入れて奴の肩をゆすると、寝ぼけ眼をこすりながら俺にちらりと視線をやると、すぐ不愉快そうに顔をしかめた。そして奴が立ち上がるのを確認した後、マッサージルームを出た。―――――そういや、静乃のことをちらちら見ていたような大柄な男がいた。プールでのナンパの件もあったし、静乃がマッサージルームから出てきた後、「隣に怜がいたとしても無防備な姿をさらすもんじゃないぞ。」と苦言を呈すると、「過干渉キモ」と一蹴されたのであった。

 家についた時、有希と俺は同時にリビングに寝転んだ。あまりにつかれた、寝させてくれ・・・と心の中に思いつつ。気が付くと、夜中の零時を回っていた。電気がついていることから、おそらく叔父さんは部屋から全く出てきていないのだろう。締め切りが近いのかな。俺は有希をたたき起こすと、二人して足取り重く部屋に戻っていった。部屋に入ると、竜崎がなんかにやにやしながらこっちをみていたので。

 

「今日はいいことあったよね。明日はもっといいことあるよね、竜太郎?」

「誰が竜太郎じゃ」

 

 そんな糞みたいなやりとりをし、俺は眠りに落ちたのだ。

 

 ちなみに翌朝差分回収装置を使ってアミューズメントパークの一日をたどってみたところ、何度か選択肢を選べるタイミングがあったのがわかった。改めて、毎日が選択肢にあふれているのだとわかった。だが、俺はその選択肢を回収――――差分を確認することはしなかった。その選択によって、周りの女性たちがどんな反応をしていたのかを知るのって、なんだか誰も知り得ない過去を覗き見るような気がして・・・先日の出来事を、あるシナリオの一イベント、一選択肢としてしまうのは、ちょっと嫌な気持ちがしたから・・・。

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