タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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3-3-4 「大丈夫、わかってるよ。」

 7/31(金)

 

 

「遼っ・・・まったくお前ってやつはっ・・・!」

「だからごめんて、こうしてメンツもかき集めたんだからさ、言いっこなしよ。」

「うむ、予定が開いていなくて感謝していただきたいものだな。」

「俺の休みは貴重だぜ~!」

 

 俺はいま、伊藤、ハム、朱鳥の野郎ども一緒に麻雀を俺の部屋でおっぱじめている。事の始まりはこうだ。昨日戸隠さんと一緒にランチした後、家に帰って置き忘れたスマホを開くと、通知がかなりたまっていた。一番上にあった通知が、たまたま伊藤のものであり、『8/3に麻雀 や ら な い か ?』と威圧気味に俺に連絡をよこしてきたのだった。で、その日は戸隠さんと約束したばかりだったので、当然『その日は先約があるから無理。別日にして。』と返事したのだった。すると『遼・・・戸隠ママが来てからなんか俺に冷たい・・・冷たくない?どうせママとデートなんでしょっ・・・?ぶっ殺してやるっ・・・!』とクソめんどくさいムーブをかましてきたものだから、『そんなことないよ♡俺は伊藤のこと大好きだよ♡明日やろ♡』と渋い顔してフリック入力するのだった。で、しぶしぶ俺はハムと朱鳥に声をかけると、なんとすんなり了承を取れてしまい、こうして我が家で開催に至った。二人とも即レスだったので、俺のラインの通知欄はとんでもないことになっていた。なので、日時を決めるとすぐに、俺はスマホを開くのをやめてしまったのだった。――――本当はハムと朱鳥が駄目だった場合、有希と柄谷でもよかったのだが、柄谷と伊藤を接触させると伊藤がキョドってキモイからやめてあげたのだった。――――いや違うか、柄谷と伊藤を接触させるのは、なんとなく嫌だったんだ。これが父性ってやつか・・・。なお、有希は男たちが来るとわかると、どこかに出かけに行った。そりゃ、じゃらじゃら音うるさいし、全員癖強いから相手したくないよな・・・。で、竜崎はというと、部屋から飛び出していった。どうやら、「伊藤という友達と接しても、何かフラグが立つわけでもなさそうだ。それならば、説明が必要なこの体をさらしてまで、一緒にいる必要はないだろう。」とのこと。伊藤、せつないね・・・。

 

「休みが貴重っていう割には、あんたら誘ったら即レスだったじゃん。ちょろすぎんでしょ。ハムは刹那とデートとかなかったのかよ。」

 

 俺は軽口をたたきながら牌を切る。

 

「―――――フン、もしそんな予定が入っていたら、こんなところに来ていない。」

 

 ハムは声色はそのままに、さも効いてないですよ感を出しながら牌を切った。しかし、その指は震えていた。心の中で泣いているんだ。強く生きろ、ハム。

 

「俺はたまたまなーんにもない日だったんだよな。むしろ月曜は格闘技の試合あるから俺も行けなかったぜ。」

 

 朱鳥はツモった牌をそのまま河へと捨てた。お気に召さなかったらしい。もうテンパイしているのだろうか。捨て牌ぐちゃぐちゃだし、怪しさ満点だ。

 

「まあ、朱鳥はインハイ選手ですしおすし・・・遼は戸隠ママとデートでしょ?」

「ワロタwwやつがママ―――――いやまて?ママって言われたらママかもしれんぞ?」

「朱鳥まで何言ってんだよ、冷静になれ。いよわさんの考察持ってくるんじゃなかったのか。」

「いやあれかなり難解だぜ、MVみたけど表面的なことしかわからなかった。」

 

 なに?こいつ、しっかり見ているだと?――――こういうまめなところがあるからもてるのかもしれんな、朱鳥は。

 

「―――国広、本当にデートなのか?」

 

 ハムからの直接的な言葉に、俺はどきりとした。つもならごまかすのだが、俺はいまツモった牌でテンパイとなってしまったが、切りたい牌が朱鳥の上がり牌鳴きがしてならず、頭を悩ませていた。だから、ハムの返答をこねるのにリソースをさけず、結果出力された返答は、

 

「――――つっても飯行くだけだぜリーチ!」

 

 ストレートに返事をしてしまい、

 

「は?マジっ・・・!遼・・・詳しく聞かせ―――それロン!」

「国広、俺もロンだ。」

「ふっ・・・私も上がらせてもらおうか。」

 

 墓穴を掘ったことに加え、トリロンの餌食となってしまうのだった。しかも各々が満貫以上の手だったせいで、俺の持ち点は無くなり、麻雀の終わりとともに、俺への審問が始まるのだった。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「―――――国広、それはね、デートだよ。」

 

 朱鳥は肩をすくめてそう告げた。気づかないふりをしていたが、やはりそうなのか・・・。

 

「おい国広、着ていく服はあるのか?お世辞にもお前の服装は御洒落とは言えないぞ?」

「フッ・・・ハムよ・・・舐めてもらっちゃあいけねえ。」

 

 俺は以前、怜とアキバに転移した際、服をだいぶ見繕ってもらった。その組み合わせを、俺はクローゼットからだして、奴らに見せつけてやった。

 

「あれ?意外といいじゃん。なんで普段からそんな服着ないんだよ。」

「頑張る相手がいなかったから・・・。」

「なら、国広的には今回の外出は”本気”ということか?お前もなかなかに手が早い。彼女が転校してきたのはまだ先週なのに・・・。」

 

 そうハム指摘され、俺はハッとした。もうすぐで、二週間?彼女に名前を知られたのは、先週の月曜だよな?てことは、来週の月曜日――――――

 

「そうか、飯行く日は、彼女と会って二週間目の日・・・」

「―――――遼っ・・・お前も遠くなっちまったなっ・・・!」

「伊藤、諦めんじゃねえって。少なくとも見てくれだけは何とかしてやれるぜ。」

「本当かっ・・・!ぜひお願いしたいっ・・・!俺は形から入る男だからっ・・・!」

 

 朱鳥は伊藤の肩をたたき、励ましていた。伊藤は感極まっており、とても麻雀どころではなくなっていた。

 

「よし、そしたら行くか?鉄は熱いうちに打てだ。麻雀なんて、その気になればいつでもできるだろ。」

「いこうっ・・・!すまんが遼、俺は友よりも女を優先するっ・・・!」

 

 二人はそういうと、いそいそと家を飛び出していったのだった。ハムと俺は、二人取り残されるのだった。

 

「―――――なあ国広、気になることがあるんだが。」

「なに?」

「戸隠桜子、俺には奇怪な女性に見えるんだ。」

「そりゃ地雷系ファッションの女なんてあんまりいないっしょ。」

「いや、服装の話ではない。私は彼女と同じクラスだったから、教室の彼女の様子は目に入るのだが、お前と一緒にいるときと様子が違くてな・・・。」

「緊張してんじゃね?」

 

 俺は何の気なしにそういったが、ハムは納得いかない顔をしていた。

 

「彼女はなかなかに度し難い女だ。しかし、教室内での動き、生徒会での動き、ともに一本の筋が通っているようにみえた。だが、お前といるときは、本当に心からとった行動なのか?と疑問に思うときがある。何か熱に浮かされているような―――――まあ、それがお前の言う緊張というのなら、そうなのかもしれんが・・・」

 

 ハムよ、お前結構人のことみてるな・・・てか、生徒会の動きをなぜ知っている?―――――や、刹那にだるがらみしに行った時に見たとか、そんなオチかな・・・。だが、ハムの言うことは一理あるような気もする。昨日の様子を見る限り、戸隠さんは自分なりの哲学を持っている気がする。高校倫理の枠を超えて哲学書を読むってレベルなんだから、自分の芯がぶれているとは思えない。となると、その芯をブレさせている原因があるはずだ。それが恋心であると一言で片づけるのは簡単だが、その恋心が、無理やり奮起させられたもの、外部からの見えない力によるものであれば、話は別だ。とうことは、やはり、戸隠さんには告白券がしっかりかかっている可能性が高い。――――そういや、竜崎は告白券の効果は消せると言っていた。だけど、この件について再度奴に確認を取った方がいいな。消すにしても、方法があるのか、時間制限もあるかもしれない。

 

「――――一応確認だが、彼女もちというステータスが欲しいわけじゃないのだろう?」

「それは・・・その通りだ。」

「中途半端な態度は――――」

「大丈夫、わかってるよ。」

 

 もし告白券の効果のせいで、戸隠さんが告白してきた場合、俺はそれに返事をしなければならない。承諾すれば、戸隠さんから俺の記憶は消えないが、彼女と付き合うことになる。しかし、拒否すれば、付き合わなくてもよくなるが、彼女から俺の記憶はなくなってしまう。俺は残酷な決断をしなければならない。そろそろ方針を固めておかないとならないな、と、ハムの言葉で、強く決意したのだった。

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