タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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4-1-12 「―――――店員さん、あの人たちの知り合い?」

 8/18(火) ~怜視点~

 

 

 夏休み最終日を迎えた。一応高校生という身分であるため、宿題はすでに片付け終えている。私はデスクに置かれたパソコンを使い、トリプルモニタで作業を続けていた。この夏、私は遼にあまり干渉しなかった。最後にがっつり関わったのは、7月末、遼が桜子へ使った告白券についての相談を受けた時。実際は作用していなかった

 のだけれど・・・。まあそれはおいておいて、遼に関われなかったのは理由がある。この夏休み、彼のサポートは竜崎さんに任せ、私は竜崎さんからの指令、”ロック”の所在を確認していた。数年前、ロックは我々の世界で大罪を犯した。さらに、その罪を償うこともせず、あろうことか、”現代”に逃げ込むという大罪を重ねている。捕まえるためには、同じように降りてこないといけないが、そもそもその行為自体が推奨されることではない。我々がここにいるのだって、バッドエンドを回避するためにやむを得ないからだ。だから、彼がこの世界にいることはわかっているのだが、放置していた。しかし、竜崎さんの話では、遼、そして我々以外の行動により、ルート分岐が起こっているらしい。それはすなわち、我々のいた世界の人間が、この世界で活動している証だ。勿論、ロックの存在が遼に影響を及ぼすとは限らない。しかし、もし仮に遼の近くに奴がいる場合、ロックのもつあらゆる手段が、遼とその周りへの致命傷になる。――――――――――だが、数日調べても、全然手掛かりがつかめない。戸籍のない人間がふらっと現れたんだ。働く手段もない。ならば、犯罪を犯しているのでは?そう考えて調べていたものの、空振り。ロックが我々の世界で犯した罪と同系統の犯罪も調べてみたが、ダメ。正直、雲をつかむような捜査で、頭も痛くなっていた。――――――――遼はこの世界の主人公だ。彼には選択肢が山ほどある。だが、プレイヤーたる我々は、この世界《ゲーム》からは降りられない。やり続けるという選択肢しかない。そう言い聞かせているのだが、ふと、頭をよぎる最終手段。決して選んではいけない選択肢。よぎっては頭を振って、その考えをなかったことにした。バッドエンドが見えているゲームを、終わらせるための禁じ手、それを取らないために、()()()()()()()()()私はここにいる。私には一つしかないんだ。一つしか選んじゃいけないんだ。けど、辛いものは辛い。私には、弱音を吐ける相手が、もう――――――

 

 

 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 

 

 

 7月18日、俺はキモタク先輩とオタクショップを練り歩いていた。特にほしいものはなかったため、何か目新しいものはないかを見て回るだけであった。疲れ果ててとある喫茶店に入ってアイスコーヒーを飲んでいた時、ある女性グループが店内に入ってくるのが見えた。俺はキモタク先輩が気付く前に彼女らをなめまわすように観察した。黒髪ロングのクールなお姉さま、ツインテニーハイのオタク受け◎のキレイ系女子、金髪サイドポニーのやれやれ系女子、活発元気っ娘、文学少女、あっけらかんとしたサバサバ系女子。そんなハイレベル集団の中に紛れる――いや、むしろ軽く浮くくらい異彩を放つ、ダウナーな雰囲気を出している陰キャ女子がいた。なにより目が死んでいる。なにか心に深い闇を抱えているのかと思うくらい生気がない。だからか知らないが、やけに気になった。それに、目は腐っているがそれ以外は上玉だ。ファッションやスタイルは俺好みだった。でも――――――あの中ではやっぱり黒髪ロングのお姉さまが一番好きだな、と思った。

 俺が結論を出したころ、ようやく、キモタク先輩があの集団に気付いた。キモタク先輩は典型的な童貞オタクだ。いつもSNSでエッチなイラストを見てはシコって、ごみ箱がパンパンになっている。先輩はAVよりもエロマンガ派だ。だから、案の定ツインテニーハイの女の子に目を奪われていた。俺はキモタク先輩をうまいこと利用して彼女らに近づけないかと思った。だから俺は、キモタク先輩をそそのかしてその気にさせたのだ。作戦を決行したが、キモタク先輩も俺も暴走し、突如現れた謎の男にラリアットされ、意識を失った。目が覚めてから急いで逃げたが、もうあんな思いはごめんだ、と思ったのだった。

 7月29日、俺は友達のつてで、新規開店するアミューズメントパークのスタッフとして働いていた。もともと別店舗で働いていたが、ここに新規開店するとき、平からバイトリーダーへとランクアップして赴任したのだ。この日、オープン記念ということで非常に込み合い、仕事に明け暮れていたのだが、マッサージルームの見回りに来ていた時、ふと非常に可憐な女性に目が留まった。白に近いグレーの髪色を持つ、色っぽい女性が、中のベンチで寝ていたのだった。思わず見とれてしまった。この時、ある既視感を覚えた。この女、どこかで見たことがあるような――――。気のせいだ、と思いこの場を去り別のフロアの見回りに行こうとしたとき、外にいた金髪サイドポニーの女性をみた瞬間、すべてを思い出した。

 

「あの女――――俺がナンパしたグループの中にいた陰キャ女か・・・あんなに可愛かったとは・・・」

 

 ぽつりと思わず声が漏れる。そして、ルーム内を見回りして、外に出ようとした際、

 

「―――――店員さん、あの人たちの知り合い?」

 

 入り口の物陰から、話しかけられたのだった。俺はハッとして、声のした方に顔を向ける。そこには、バンギャともいえるような、銀髪ウルフカットの女性が、不敵な笑みを浮かべていた。両手はアクセサリーをバチバチに装備し、ネイルも凶器かと思ってしまうくらい鋭利だった。左手には手帳、胸ポケットにはペンが刺さっていた。その明らかにマッサージを受けに来たとは思えない風貌に、面食らってしまった。が、なぜだろう。この人から、俺は、目が、はなせ――――――――――

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