タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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4-2-1 「久しぶりね、遼、有希。じゃあ行こうかしら。」

 8/19(水)

 

 

 今日から学校再開だ。やや短い夏休みは終わり、また勉学の日々が舞い戻る。もっとも、俺は勉強すること自体は嫌いではないが、休みの方が精神的に楽であるのは間違いない。だから、今日の目覚めは最悪だ。ただ、いつもの平日とは違い、アラームで目が覚めた。有希が起こしに来なかったのだ。様子を見に彼女の部屋に行くと、それはもう幸せそうな寝顔ですやすやと眠っていた。起こすことをためらいつつ体をゆすると、有希は寝ぼけ眼で「おはよ~」と言った後、ゆっくりとスマホを見た。そして、自分が思っていた以上に眠っていたこと、俺に起こされたというその事実を自覚したのか、頭を抱えて数秒うなだれたのだった。

 玄関を出ると、そこには怜がスマホをいじりながら電柱のそばに立っていた。髪が乱れた様子もなく、相変わらずしっかりしてるなあ、と通目に見る限りは思った。のだが、近づいていくと、彼女の目元はクマが残っていた。俺の知らないところで、仕事をしっかりしていたのだろう。最近会えてないのはそういう理由だったのかな。俺らと目が合うと、「久しぶりね、遼、有希。じゃあ行こうかしら。」とスマホをポケットにしまったのだった。最寄り駅までの道すがらに静乃と出くわすのかと思ったが、なかった。学校に到着し、教室に入るとそこには突っ伏している彼女がいた。少し早く家を出ていたのであろう。刹那はカバンこそあれど、教室内にはいなかった。新学期初日だし、生徒会役員の仕事が忙しいのだろう。チャイムぎりぎりで伊藤が駆け込んできた。ぼさぼさの頭に乱れた制服、どう考えても寝坊したのだな、とみんな思ったのだった。担任である千歳先生のHR後、1時間目に始業式が行われた。体育館に行くまでの間、ざわつく周囲の生徒たちを見て、怜は不思議に思ったのか、俺に「なんかやけに騒がしくない?」と質問してきた。怜は知らないんだもんな、この学校の始業式では、恒例行事があることを。俺は「まあ行けばわかるよ。」と答えたのだった。始業式が始まり、校長の長い話が終わった後、校長と入れ替わりで進路指導主任の先生が壇上に上がった。

 

「ええと、皆さん待ちかねているみたいなので、早速本題に入りましょう。第一回実力テストの、校内の偏差値の最上位者を発表します。」

 

 体育館内のざわつきがより大きくなった。この学校は、実力テストの偏差値上位者について、始業式時に発表ののち、校内掲示をしている。進学校ゆえに、こういうことは気になる性質らしい。事前通達などはなく、当日突然告げられるものだから、一種のイベントと化している。

 

「なるほど――――そういやそんなテストあったわね。」

「まあ、立場上頑張る必要がないのはわかってるけどさ。でも――――」

「わかってる。私なりにしっかり向き合ったつもりよ。遼にお願いされたしね。」

「照れること言うじゃん――――ちなみに、定期考査は理数満点だったけど、まさかこれも――――なんてことは―――――」

「どうだったかしらね・・・・・・すべて埋めたから、合ってるんじゃない?」

 

 ケロっとそんなことを言ったのだった。いや、あのですね、このテスト、定期考査と段違いで難しいのですが・・・

 

「まず、教科ごとの最上位者を発表します。一年生は国数英の3教科、二・三年生は理系なら国数英に理科2科目の4教科5科目、文系は国数英に地理・日本史・世界史・倫政から2科目の4教科5科目になります。それでは、今回の最上位者の発表に移ります。呼ばれた生徒は壇上に上がってください。――――――――――――――――3年3組、蘇芳結衣さん。」

 

 会場が拍手に包まれる。偏差値も顔面偏差値も高いなんて、神は二物を与えてしまっていてずるいなとおもった。けれど、これは想定内。会長は抜群のセンスを持つ努力家だから、これはある程度予想できたことだった。

 

「なあ、お前もそう思うよなあ怜。」

「はあ?何の話?」

「いや、神様は人に二物も与えてずるいなって。」

「はは」

 

 怜に軽くあしらわれてしまった。ひどい、怜も神の一種のはずなのに、、、。なんてコントをしている間に、会長が壇上に上がっていた。立姿は堂々としていた。人前に常に立っている人はさすがと思った。通常、壇上に呼ばれた生徒には、教師がここで一言頼むのだが、どうやらまだマイクを渡していなかった。

 

「通常ならば、偏差値の最上位者のみを発表していたと思うのですが、今回は発表のもう一つの規定を満たしている生徒がみられたため、該当科目の最上位者の発表も行いたいと思います。」

 

 会場のボルテージがさらに上がっていくのがわかった。

 

「え?なんでこんな盛り上がってるの?」

「俺もさっぱり・・・・・・」

「満点者がでたんだよ。」

 

 怜の後ろにいた静乃が、こちらの話に入ってきた。てかいたのかあんた。まったく気が付かなかったぜ。

 

「え?あのテストで満点?だって平均が200点満点中60点とかでしょ?そんなこと起こりうるの?」

「いままでそんな事態が起こったことがなかったから、発表もなかったんだよ。でも今回は起こってしまったってことだね・・・」

 

 どこもかしこもその話題で持ち切り。気づいたらすっかり、列なんて乱れ生徒がいろんなところを行き来していた。それだけ誰であるかが気になるのであろう。

 

「学年は2年生、科目は数学物理化学。すべて同じ人が基準を満たしました!」

 

 ここはライブ会場か?そう思うくらいにはもうみんなざわついていた。すべて同じ人?しかも3科目で?2年の一体だれが・・・・・・いや・・・まさか・・・そんな・・・

 

 

 

「それでは・・・・・・2年6組、榊怜さん。壇上までお願いします。」

 

 

 

 一拍、静寂に包まれたが、すぐに体育館内は歓声に包まれた。おそらく、誰のことを指しているのかわからなかったのだろう。3年や1年にとっては、新入生の怜は知られていない。かわいい女の子がいるという情報は回っていたらしいが、刹那や会長のような有名人がすでにいる以上そこまで大きく知れ渡ることはなかった。けれど―――――

 

「ほら、だから言ったじゃない。多分全部あってるって。」

「怜、お前ほんとに神様?理系の学者って言われるほうが納得できるぞ?神様ってポンコツなのが世の常じゃないの?」

「なにいってんのよ・・・・・・まあいいわ。あまり目立ちたくないけど、しょうがないわね。」

 

 そういって怜は俺の隣から抜け出て、壇上へと向かった。その姿はあらゆる生徒の目を引いた。

 

「なんだあの金髪美少女!?」たまにみかける金髪の娘じゃん。頭良かったのか。」「頭もよくてかわいいとか最高かよ」「いや満点なのに総合で呼ばれないってことは、それだけ国英で落としてるってことだぞ?ステ振りおかしくね???」「あの子しってるよ。夏場でもパーカー着てるすごい寒がりの子だよね。」「いや、どうやらあのパーカーは涼しくさせる効果あるらしいよ。」

 

 なんて声がわらわらと聞こえてきた。そりゃあ、そんな感想出るわな。金髪なだけで目立つのに・・・・・・  

 怜が会長と並んで壇上に立つ。会長は清楚な模範的学生、たいして怜は一般的女子高生、それもぱっと見ギャル寄り。対比がすごくて、それはもうくらくらする魅力があった。美しい観た時の驚き、感動が俺を襲った。

 

「それでは、一言ずつお願いします。」

 

 教師が会長にマイクを渡した。会長は無難な挨拶をこなしたが、怜の挨拶は少し波乱を呼んだ。

 

 

「これ以上難しくすると大変なので、この程度でとどめておいてくださいね。」 

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