タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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4-2-3 「吐きそうになったよ。」

 ~静乃視点~

 

「どうして刹那も・・・生徒会関係か?でもそれなら遼はなくて刹那を呼ぶよね・・・」

 

 ぼくは彼らが席を外した後、そんなことを考えていた。不思議に思っているのは怜も同じようだった。机に突っ伏すのをやめ、ぼくらは二人して腕組みして唸っていた。

 

「―――――静乃は彼と仲いいの?」

「まあ、ちょっとした知り合いかな。」

 

 彼とは学祭に向けたバンドの練習を何度もしているし、何なら夜な夜な会ってストレス発散もしている。タバコ吸ってるだけだけど。ことが事だけに、誰にも言うことはできないけどね。だから、こんな回答しかできないわけ。

 

「――――――――ふうん。」

「ちなみに、怜はどうなの?ほら、同じパーカー族でしょ?夏服なのにパーカー着てる人なんて彼とあなたくらいじゃない?校則が緩いとはいえ・・・」

 

 追求されるのも嫌であったので話題の中心を怜に移すことにした。

 

「何その種族・・・。いや、別にパーカー来てる人みんなと仲いいわけじゃないわよ。私も全然話したことないわ。接点なんてあれくらいしかなかったもの。あとね、私のパーカーが好きなんじゃなくて、このパーカーが高性能だから着てるわけ。なんなら着てみる?これ、全然暑くないどころかむしろ涼しいのよ?ちなみに、外側はかなり暑いから内側のつまみと袖口を持って着てね。」

「そこまで言うなら・・・」

 

 怜はおもむろにパーカーを、外側に触れないよう器用に脱ぎ、パーカーの裏側を支え、ぼくに渡した。怜のパーカーの下は、普通に校則のワイシャツだった。だけど、汗で張り付いてる感じもなかった。パーカーを着込んでいても、暑くないのは本当だったらしい。そのパーカーはやけに軽く、薄い生地でできていて、そして本当に熱かった。触れないほどではない。風呂の温度と同じくらいだろうか。けれど着てみると、なぜだか本当に涼しかった。

 

「え?え?どういうこと?なんでこんなに涼しいの?」

「まあ簡単に言うと、このパーカーは熱エネルギーを完全シャットアウトするもので、全ての熱エネルギーを反射しているのよ。だから、触った時やけに熱かったでしょ?で、内側からの熱は外に放出されるようにできているの。人間が快適な温度で過ごせるように、自動で調節してくれる優れものよ。」

「すごいね・・・」

「――――はい、じゃあちょっと返してもらえる?」

 

 怜の言われるまま、ぼくはパーカーを脱ぎ、そして返した。怜はそれを慣れた手つきで着直した。ぼくは、少し思うところがあったが、あえて触れないでおこうと思った。おそらくこれは、かなり・・・

 

 

 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ 

 

 

「――――なるほどね。」

 

 薄々予感はしていた。夏休み中、静乃と2人で出かけた時に偶然神前と出くわした際、俺に向けて言った「デートの最中ですよね?」というセリフ。あれは静乃が誰かと付き合っていたかの確認。そう考えると合点が行く。それに静乃はヤツをドラム君と呼んでいた。あだ名で呼ぶなんて、きっと俺の知らないところでよろしくやっていたのだろう。

 

「てか、なんか仲良さそうだったし、俺がいなくても来るんじゃないの?」

「考えてみてくださいよ。男1で女3ですからね?肩身が狭いんですよ。それに――――」

 

 神前はちょいちょいっとこちらを手招きした。俺が近付くと、神前は俺に耳打ちをした。

 

「刹那さんのために、誘ってほしい人がいるんですよ。わかるでしょう?これで男女比がちょうどよくなりますし。」

「なるほど・・・・・・」

「ちょっと、ふたりでこそこそなんなんですか?」

 

 いい加減不審に思った刹那が俺らに声をかけた。

 

「いや、なんでもない。ともあれ、話はわかった。じゃ、そゆことで!」

「・・・あれ?私いりました?この場にいる必要、なくない、ですか?」

 

 俺は、げんなりする刹那もろとも、神前とサヨナラして、教室へと戻った。多分、刹那とハムは、夏休み中に何かがあった。俺の見間違いじゃなければ、朝にランニングを一緒にしてるくらいだし、きっと・・・まあハムに聞いてみるか・・・。にしても、男3女3でカフェに行く日が来るなんて。刹那はハム、神前は静乃が狙いだろう。会長は・・・俺と同じく、人数合わせだろう。神前は静乃に気があるのか・・・。静乃もまんざら・・・彼らがうまくいったら?彼氏彼女の関係になったら?・・・やつと静乃が・・・

 

 

 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

「刹那もついていったのってドラム君についていったのって、放課後の話だったんだね。」

 

 私が教室に戻ると、怜と静乃は二人でお菓子をつまんでいた。怜に関する騒ぎは、もう鳴りを潜めているようだった。

 

「え?もう静乃に話が回ったんですね」

「うん、さっきドラム君から連絡あって、カフェ行かないかーって。まったく、彼も回りくどいことをするね。ここまでするとは・・・」

「ちなみに遼君には会いました?」

「ああ、会った会った。クッソキモイ歌うたってすぐ出ていったよ。面白い予感がしたから動画取ってたんだよね。」

 

 そういって静乃は、私に動画を見せてきた。

 

『とっとこ~走るよ遼太郎!

 ろうかを~走るよ遼太郎!

 だーいすきなのは~!に~じげん少女~!いえい!』

 

 ハム太郎の歌を鼻で歌いながら、スキップで教室を出て行く彼がいた。あまりの気持ちの悪さに、思わず顔をしかめてしまった。

 

「・・・見てはいけないものを見てしまった気がします・・・」

「吐きそうになったよ。」

「頭が痛かったわ・・・」

 

 3人とも、抱く感想は同じであった。

 

「ちなみにさ、たぶん男もう一人いるんじゃない?」

 

 静乃はそう問いかけてきた。だけど、私はそんな話を聞いていないので、

 

「いや、何も聞いてないですが・・・なぜ?」

 

 と、正直に話すほかなかった。 

 

「男女バランス考えたら、そうかなーって。」

 

 神前とは、その気になれば普通に会える。会長も同じだ。だから、本命はおそらくぼくじゃない。刹那に絡んだなにかだろう。外堀をここまで埋めるということは、おそらく夏休みに何かあったであろう刹那とハムについて、根掘り葉掘り聞きたいのだろう。ぼくも気になるし、ここは協力してあげよう。

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