堕落勇者に立ち上がり -ギフト・ソード・ワールド-   作:はんペソ。

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第2話

堕落勇者の立ち上がり

第2話「外へと」

 

二人は朝の匂いを存分に堪能しながら山を下りていた。その中で街に出たらどうするのかを話し合っていた。超長い距離を移動しなくてはいけない為そこの街に仮住居を作るのは気が引ける、だが数日は泊まるのは確かだ。

だがそこそこの大きさの街に格安の宿屋は無い、そもそもこの世界には宿屋が基本的に設計されないのだ。

 

「どうしよかなー野宿になりそうかなー」

 

「でも危なくない?モンスターとか盗賊とかが寝込みを襲ってきたら終わりだよ?」

 

「そうなんだよーだからどうしよかなって、城下町まで行けば知り合いの家に泊めてもらえると思うけど遠いしなー」

 

「そういえばリリアはどこ出身なの?」

 

「秘密ーまぁその内行くことにはなるだろうからその時教えてあげる」

 

そうして話しながら歩いていると山の麓まで下りることが出来た。ただここからが問題なのだ、どれだけ頑張って移動しようと死んでしまったら意味がないのだ。

生活する手段なんていくらでもある、だがどれも安全性が欠けている。どうしようか悩みながらも街に着いてしまった。ひとまず今はアルスに外の世界を知ってもらう事にする。

 

「髪も大丈夫そうだね」

 

「うん。全然見られてないから安心だよ」

 

「じゃあ今日は目一杯楽しもう!!」

 

「うん!」

 

二人は様々な場所を回った。決して大きくはない街だがずっと山籠もり生活で調味料を買っては全速力で帰っていたアルスにとっては夢の国の様だった。

日が沈んで来た頃二人は思い出す、泊まる場所探していなかった。二人とも焦り出すが既に遅い、二十分も経たない内に真っ暗になってしまう。

 

「どうしよう!」

 

「分からないよ、でも野宿するしかないんじゃない」

 

「そうだね。でもやっぱ怖いなぁ...あ!」

 

リリアが何かいい案を思いついたようだ、すぐにアルスが何か聞くとリリアはこう言う。

 

「酒場に行こう!酒場は明け方まで開いてるし安全だし!」

 

街を探検している時に酒場があったのは確認している。もうそこに行くしか手段は無いだろう、だがアルスはほぼ一文無しだ、金の心配をしているとリリアが胸元から小袋を出す。

 

「お金はあります!」

 

どや顔でそう言って中身を見せた。中には金貨が七枚、銀貨が一枚、鉄貨が二十一枚、銅貨が六枚入っていた。

日本円へ換算すると金貨一枚は一万五千円、銀貨が一万円、鉄貨が千円、銅貨が五百円といった具合だ。だがこの通貨は完全に値段が決まっているわけではなく地域によっては値段が倍以上違かったりする、これは城下町などでも使われているもっとも主流な換算だ。

 

「凄いある!!」

 

「え?...なんで自分で驚いてるの」

 

何故かリリアは自分の持ち金額を見て勝手に驚いている、どうやら自分でもどれだけ入っているか確認していなかったらしい。アルスは何も思わなかった、「リリアはこういうやつだしな」としか思わなかった。

だがそんなリリアだが相当な額を持っている、これなら朝まで酒場にいても金には困らないだろう。そして金の準備も出来たので酒場へ向かうことにした。

扉の前に来るだけで騒がしい。そんな事構わずリリアが物凄い力で扉を開けた、大きい音に客が全員扉の方を見る。

 

「大将!オススメ五個頂戴!!」

 

「あいよ~」

 

そしてリリアは堂々と席に着いた、アルスは内心やめてくれと叫びながらゆっくりと席に着いた。そしてすぐにイカツイ男達が寄ってくる、アルスは「オワッタァ」と呟いたがリリアは嬉しそうに話し始めた。

酒も届きノッてきたリリアは男達と楽しそうに話しながら酒を飲み続けている、この世界で成人は十六歳からなのでアルスは酒が飲むことが出来ない。大人しくお茶を飲んでヒッソリと影を消しているとある人物が話しかけてくる。

 

「お主は飲まんのか」

 

結構な歳を取っている男が酒を差し出しながらそう言う。アルスは年齢を伝え断る、すると老人は「そうか」と言って一瞬にして酒を飲み干し次の酒を注文する。

 

「お主名前は何というのじゃ」

 

「[アルス・ラングレット]です...」

 

「アルスか、いい名だな」

 

「それは..どうも」

 

「名を聞いたなら名乗らなくてはな、儂は[ゴドルフィン]じゃ」

 

そう名乗った老人は次から次へと酒を飲み干して行く、信じられない量を飲みながらアルスと会話を交わす。

 

「何のためにこんな街に来たんじゃ」

 

「僕の剣を取り戻しに旅に出たんです、今日から」

 

「剣を売ったのか?」

 

「はい。七年前ぐらいに」

 

老人は少し悩んでから酒を飲む、そしてある話をアルスにした。それは変わりの剣を作ってやってもいいと良いという話だ。どうやら老人は鍛冶屋を営んでいるそうで結構腕が立つらしい、だが老人はアルスがアビリティ持ちだと言う事を考慮にいれていない。その為アルスは断る事にした。

 

「いい話であるんですが今回は遠慮しときます」

 

「いい話なら何故断るんじゃ?」

 

「ちょっと大きい声では言いにくいんですけど僕アビリティ持ちで...そのアビリティが知りたいので剣を取り戻すんです」

 

ゴドルフィンは納得した。ただ防具も作れるし短剣や弓、軽い装備などは売っているから近くを通りかかったら寄ってくれと言い地図を渡した。その地図には城下町のある一角にバツ印がつけられていた、そこで鍛冶屋をやっているのだろう。

 

「ありがとうございます!多分城下町には行くのでその時に行かせてもらいますね」

 

「あぁ、後一つ聞いておきたい事があるんじゃが」

 

「何ですか?」

 

「儂はここ周辺で赤髪の少年を見た、と言う情報を嗅ぎつけてここに来たんじゃ。何か心当たりはないか」

 

アルスは頭が真っ白になった。この老人は分かって聞いている、そんな目だ。墓穴を掘ったのだ、アビリティ持ちと宣言してしまった。終わりだ、ひっ捕らえられる。

そう思った瞬間リリアがアルスに抱き付いた、これはチャンスと思い酔っぱらっているリリアを介抱して質問から逃げる事が出来た。リリアは再び椅子に座って飲み始める、すぐにゴドルフィンの方を確認する。するとあの老人が座っていた席には空になった大量の杯が置いてあるだけでゴドルフィンの姿は無かった。

 

「ヤバイ!」

 

密告されると思ったアルスはリリアを置いて酒場を飛び出しゴドルフィンの姿を探す、だが暗い街のどこにもその姿は無い。終わったと思っていると背後に人が立っている事に気付いた、恐る恐る振り向くとそこには酔っぱらいが立っていた。

 

「子供は寝ろよ~」

 

そう言いながら頭をワシャワシャと掻きまわした。アルスはもしかしたら装髪剤が取れてバレるかもしれないと思いすぐに手を跳ね除けすぐに酒場に戻った。

 

「アルス~どこ行ってたの~」

 

「ちょっと外の空気吸ってただけだよ」

 

「そっか~私はまだまだ呑むから好きに頼んでいいよ~」

 

「ありがと」

 

そうは言われたものの食欲が湧かない、いつ兵隊が来てもおかしくはない状況だ。だが時間が経つにつれて疲れの表れか眠くなってくる、アルスも眠気には勝ていつの間にか寝てしまっていた。

 

そして差し込んでくる陽で目を覚ます、状況を理解するため周りを見てみると数人の酔っぱらいとリリアが酒でびっしゃびしゃになりながら寝ている。

アルスは少し整理をつけるため散歩をすることにした。まだ少し肌寒い、アルスは少し怯えながらも今後どうしようか考えていた。

 

「どうしよう...バレたっぽいしこのままじゃ捕まえられて宮殿送り、それで魔王と戦わされるんだ...でも一緒にいて捕まえられたときにリリアに迷惑がかかっちゃう...やっぱ一緒にいるのはやめた方がいいかも...」

 

「誰に迷惑がかかるって?」

 

そう言ったのはリリア本人だ。どうやらアルスが出て行ったのに気付き探していたらしい、そして丁度聞かれたくない事を聞かれてしまった。アルスはどうにか誤魔化そうとするがそれ以前の問題がある。

 

「一緒に..いこうって...」

 

途切れ途切れ言うリリアに嫌な感じを覚え少し離れる、その勘は大当たりだ。リリアが吐いた、二日酔いだ。アルスは黙って背中をさすった、そして酒には気を付けようと思うのだった。

ある程度落ち着つくとリリアが話し始める。

 

「それでどういう事?」

 

「...バレた」

 

「..マジで?」

 

「うん..ゴドルフィンって言う鍛冶屋をやってるおじいさんに」

 

「ゴドルフィン...なーんか聞いた事あるなぁ...まぁいいや多分大丈夫だよ!バレて追いかけられても最悪魔王国に逃げ込んで魔王に土下座して停戦交渉すればいいよ」

 

リリアはそう簡単に言うがそんなこと出来るわけがない。ただ実際に追い立てられた場合は実際にそうするか適当に海に出て新しい島を見つけるしかないのだ、ただそんな事にはならないだろうと思う事にする。

 

「とりあえず代金は支払ってあるから早速探そうか、とりあえず今日は店をくまなく探すよ。ちなみに金貨五枚の支払いだった」

 

「えぇ..たっか」

 

「まぁ沢山飲んだから..とりあえず行くよ」

 

今日はどんな店でもとりあえず見て回る事にしてそれぞれ探索し始めた。ただ三時間ほど探し続けたが何一つとして心当たりはなかった、それどころか製造された剣しか売っておらず話にもならない。情報を共有した二人はこの街には無い、そう確信した。

 

「無いね、絶対。となると次はここかな」

 

アルスが広げている地図に指を差した。そこは北側に位置している鍛冶屋が多い村だ。ここより小さいが鍛冶屋が多い為可能性は存分にあり得る、そしてそこに無かったとしても更に北に行けば城下町が鎮座している。どちらにせよ北には行かなくていけないので立ち寄るといった形だ。

 

「ガリキガラク?変な名前だね」

 

「そうだねぇ。とりあえず明日から出て行くから今日は暇だね、何しよっか」

 

「泊まる場所を探さない?」

 

「実は大将にせがんで今日行くと代金を半分にしてもらいました!」

 

なんだかんだ言いつつ先を読んで行動している、とりあえず夜過ごす場所は確保できた。次は何しようか悩んでいるとリリアが視線を落とした先、アルスの足を見る。

 

「靴、ぼろぼろだね」

 

「あー、うん。一年間ずっとこれだから」

 

「そろそろ買えた方がいいんじゃない?険しい道渡る事になるだろうし」

 

「でもお金が...」

 

「出してあげよう!三歳もお姉さんなんだからね!!!」

 

アルスは感謝しながら一緒に靴屋へと向かった。一店舗しかないが冒険用の頑丈な靴ぐらいどこでも売っている、サイズを測りほんの少し大きめの靴を買う事にする、まだ履かないがいつでも使ええるようにはしておいた。銀貨三枚のお買い物だったがアルスは勿論リリアも満足そうだ。

そしてそろそろ日が沈み始めた。少し早いが酒場に向かった、すると数人知っている顔ぶれがいる。リリアはその顔ぶれのところに突っ込んでいく。アルスは静かに隅っこでお茶を飲んでいた。

次第に睡魔が襲って来たので今日は抵抗せず眠った。

 

そして明け方リリアに起こされた。リリアは眠らずオールで話していたそうだ、そしてアルスには毛布が掛けられている。リリアはそれを剥ぎ取ると仕舞い支度をしている大将に感謝しつつ返した。

 

「それじゃあいくぞ!!」

 

アルスの手を引き連れて行く。アルスも大将に感謝の言葉を伝えてから店を出て行った。

そして二人は歩を進める。街を出た先は草原になっておりそこらにモンスターがいる、だが基本的に大人しい奴しかいないので気にすることは無かった。

 

「遠いねー」

 

「遠いね」

 

「もっと楽に移動できないかなー」

 

「魔法でテレポートとかできないの?」

 

「流石に無理かなぁ、魔法陣ありなら疑似的に可能だけど描くのめんどくさいし詠唱忘れちゃったぁ」

 

ならば歩くしかないと口ではなく足を動かす、適度に休憩を入れながら歩き続ける。そして日も暮れろくに周りが見えなくなった所で遠くに光が見えた、着いたのだ。

二人は力を振り絞り村まで歩く、だが何か様子がおかしい。村の周囲をモンスターが囲っている、そしてその周辺では村の住人が武器を構え見つめ合っているのだ。

 

「どうかしたんですかー?」

 

「おい!離れろ!こいつら凄い凶暴なんだ!」

 

そう言って近づかないよう言い聞かせるがリリアは聞かずに近付きひょいっと小さな柵を乗り越えた、そしてアルスも走って飛び越え村に侵入する。

 

「杖?魔法使いか!ちょっとお前ら助けてくれないか?何故かこいつら襲って来るんだ!」

 

「この子達[ハウジングキャット]よね?革が頑丈だから剣とかの鞘にによく使われる」

 

「そうなんだよ!いつも大人しいのに急に襲い掛かってきて...」

 

「わかった。とりあえず殺しちゃっても大丈夫だよね?」

 

「あぁ。すまないが頼む」

 

『マンハッタン』

 

リリアは杖を突き出しそう唱えた。すると広範囲に広がる念力がハウジングキャットたちを蹴散らした、そして他の場所のハウンジグキャット達も次々と殺していった。その間アルスはただ見守っているだけだった。

 

「これでいい?」

 

「すげぇ!あんたすげぇ!」

 

褒められて満更でもなさそうだ。そんなリリア達の元に長老がやってくる、そして長老は夜も遅いので泊っていく事を促す。二人は喜んで泊まる事に決めた。

そして二人は最初に話した男の家に案内された、男は家に入ると少しだけ散らかっている物を掃除し客人用の寝具を出した。

 

「すいません、何もなくて」

 

「いやいやこっちは泊まらせてもらうんだから謝らないでよ」

 

「そうですよ、謝らないでください。僕は何もしてないけど」

 

「それよりあなた達は何故こんな何もない村に来たんですか?」

 

リリアはギフト・ソードを探す旅の途中で城下町へ向かう途中に立ち寄ったと説明した。男は納得し旅を応援する。そしてリリアの「でもアルスは剣が無くて戦えないの」という一言に対しある提案を持ちかける。

 

「あの..よかったらこの村で剣を作っていったらどうですか?ここなら結構いい物が作れると思いますよ」

 

「そうだね!アルスも戦えるようになったら大分楽になるし」

 

「うん、僕も良いと思う」

 

「本当ですか!では明日の朝話をしてみますね!」

 

「よろしく!!」

 

「よろしくお願いします」

 

三人は剣を作ると言う話をしてから夜も遅いので就寝した。初めて山の近くにある街以外の場所に行ったアルスは常に興奮状態だった、知らない世界が広がっていて本や文献などの嘘だと思っていた事も実際にあるのだと知った。そしてなによりリリアと一緒にいる時間が楽しい、もうアルスはゴドルフィンとの件など脳内に無かった。

 

そして翌朝目を覚ますと男は既にいなかった。アルスはリリアを起こし外に出る、すると偶然長老と男が話していた。

そして男は二人に気付くと近寄ってくる。

 

「剣の事を相談したら話があると言って呼んで来いと」

 

「分かった」

 

言われた通り長老の元へと向かう。すると長老は話し始める。

 

「剣は喜んでお作りさせて頂きましょう。ただ今剣の最重要な鉄部分の鉄が先日のモンスターの襲撃によって商人が怖がってやって来ず不足しておりまして...」

 

「集めてくれば作ってくれる?」

 

「勿論お作り致しますが客人にそんなことをさせるのは..と気が引けまして」

 

「鉄ならなんでもいい?そこの洞窟のやつでも」

 

そう言ってリリアは遠くにある洞窟を指差す。長老はそれでも作れるがモンスターが住み着いていて危険だと止める、だがアルスのいい経験になるから等と無理矢理行く事にした。

だが流石に丸腰で行かせる訳にはいかないとシンプルな剣を与えた、壊してもいい物品なのでと無料だ。そしてそれに加えて護衛を一人着けるそうだ。

 

「お前が行きなさい」

 

護衛は泊まった家の男だ。男は快く引き受けギフト・ソードを持ってくるため家に戻っていった。その間に長老があの男の事は話す。

長老の孫で鍛冶の才能が無くいつも雑用をやっているような奴らしい、だがもしかしたら何かあるかもしれないと護衛につけるそうだ。

 

「持ってきました!」

 

そう言いながら男が持って来たのは盾だった。この男のギフト・ソードは盾の様だ。

そして三人の準備が出来たので早速洞窟へと出発した。その道中ギフト・ソードの話になる。アルスは経験を活かしアビリティ持ちと言うのは伏せて説明した、すると男は酒場にいたゴドルフィンと同じく作ればいいと言う。それに対してアルスは「僕は自分の剣を見たい」と言って誤魔化す、リリアもアビリティの事は意図的に言っていないんだと察し口出しはしなかった。

 

「俺の盾はアビリティとかもない上に仕事にも生かせないので本当に使えないんですよ...」

 

「盾ってことはタンクとか出来るの?」

 

「それがモンスターが基本襲ってこないので分からないんですよ、だから本当に何も知らないんです」

 

「そうなんですか...そういえば名前聞いてなかったですよね、僕は[アルス・ラングレット]です」

 

「私は[リリア・スギラウェンド]。よろしく」

 

「俺は[バリゲッド・アーケイン]です。よろしくお願いします」

 

そして他の経歴なども話す、みんなで楽しく話していると洞窟へ到着した。入る前に持ち物や武器に異常が無いか確認する、そして二度確認してから洞窟内へと入っていった。中は暗かったのでバリゲッドが事前に持ってきていたランプをそれぞれに渡し火をつけた。

 

「結構暗いんですね」

 

「私も洞窟は初めてだからあんまわかんないけど鉄鉱石は流石に分かるから安心して。でももしかしたらヤバイ奴がいるかもしれないから気を付けてね」

 

「了解」

 

「分かりました」

 

三人は警戒しつつ洞窟の奥へと進んでいた、だが全く何も起こらない。虫一匹さえも見当たらない、流石におかしいと思いバリゲッドにこんなにいないものなのか訊ねる。するとバリゲッドはおかしいと答えた、だが何もいない理由は分からない。

ただ何もいないならいないで楽なので何も気にしていなかった、何か嫌な予感はしていたがずっと異常が無かったので何もないと思っていた。だが異常は起きた、今、今起きたのだ。

 

「あれ?アルスは?」

 

足音が一人分消えたので違和感を感じ振り向く、先頭はリリア、次にバリゲッド、そしてアルスの順だった。バリゲッドもすぐに確認する、すると真後ろにいたはずのアルスの姿は無かった。

アルスが消えた。二人は今気付く、既に縄張りに入っていた事に。

 

 

第2話「外へと」

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