堕落勇者に立ち上がり -ギフト・ソード・ワールド-   作:はんペソ。

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第5話

堕落勇者の立ち上がり

第5話「直属の部下」

 

翌朝全員早起きのラックに起こされる、まだ日が昇りかけている時間だ。だが起こされたので二度寝はしないでしっかりと起きる。

そして少ししたら出発するので準備をしておけとラックに伝えられる、アルス、リリア、バリゲッドの三人は特にやる事は無かったがゴドルフィンは店を片付けてくると言って部屋を出て行った。そしてラックも最終確認の為仕事場へと向かった。残された三人は前勇者の話をする。

 

「一個前の勇者ってどんな感じだったの?僕ずっと山にいたから知らないんだけど」

 

「うーん...私生まれてない時だからあんまり知らないけどギフト・ソードが凄い弱かったらしいよ、歴代の勇者に比べると」

 

「あーなんかその話聞いた事あるな、俺もまだ生まれてなかったけど噂ぐらいなら知ってる」

 

「そういえばバリゲッドって何歳なのー?」

 

「十八だ」

 

「結構若かった...二十三とかだと思ってた」

 

「よく言われる」

 

その後も一世代前の勇者の話をしていた。仲間に五歳の少年ラックとギフト・ソードを持たない動物の犬を引き入れたりした事や相当な人徳者だった事など噂は大量に出て来た。

そしてそんな話をしていると勇者一向ご本人であるラックが戻ってきた。

 

「なんであいつの話してんだ?」

 

「気になったから、僕勇者の存在は知ってても詳しくは知らないからさ」

 

「まぁあいつの事は後々だな、結構長くなるから。そんでゴドルフィンはまだか」

 

「まだー」

 

「分かった」

 

ラックはそれだけ言うと席に座って休憩しだした。そんなラックにリリアが話しかける。

 

「私もっと観光したかったー」

 

「しょうがないだろ、急がなくちゃいけないんだ。帰ってきたら好きにすればいい」

 

リリアは非常に不満そうだ。あまり城下町に来る機会も無いのだろう、そしてリリアが駄々をこねているとゴドルフィンも帰ってきた。

そして五人揃ったので早速出発することになった。家を出てすぐに宮殿を出るのかと思いきやラックは門と全く違う場所を目指している。

 

「どこいくの?」

 

「流石に歩きで行くのは疲れる。だから商人の馬車にでも乗らせてもらう」

 

そして城下町の中心、大きな広場へとやってきた。そこには様々な屋台があったり商人が取引をしている、そしてラックはある商人の顔を見るとすぐに話しかける。その商人は愛想良く話を聞いている、そして乗せてくれることになった。

皆馬車に乗り込む、その時アルスは初めて馬を見た。この世界にはモンスターもいるのだが普通の動物もいる、アルスは山奥で暮らしていて山奥では普通の動物は生きられ無いので初めて見たのだ。

 

「うおお!すごい!!」

 

「初めてなんですか?今のご時世に珍しいですね。それでどこまで行くんですか」

 

「カリアストロの付近まで、出来れば渓谷まで」

 

「えぇ!?カリアストロ!?なんでそんな危ない場所にわざわざ...」

 

「分かるだろ、俺は元勇者の仲間だ。あんな魔王国の付近に行ってすることぐらい」

 

商人は黙って馬車を動かし始めた。その額には冷や汗が滲む。なんせカリアストロとは魔王国との境界線がある地域なのだ、大きな渓谷で区切られているが魔人やモンスターの中には飛び越えてくる輩もいるので危なすぎて護衛兵さえも送れない無法地帯なのだ。そんな場所に武装一つ無い馬車で行くのは怖いだろう、ましてや一端の商人が。

 

「とりあえずカリアストロまで行けばいい、そこからは俺らが自分の足で行くから。そこまでは絶対に無事に連れてってやるから安心しろ」

 

「分かりましたけど...勇者もいないのに何故魔王国になんか行くんですか...」

 

「俺がギフト・ソードを奪われた事は周知の事実だよな?」

 

商人は再び黙りこくる。そしてそこからは会話は無かった、ただ涼しい風に当てられ見た事ない景色を見ながら馬車に揺られているだけだ。だが三時間ほど経ち森の中で一回目のアクシデントが発生した。目の前に何匹もの[ハーヴェストウッド]が立ちふさがっていたからだ。商人は馬車を急停止させラックにどうにかしてくれと懇願する。

 

「あーはいはい。とりあえずアルスがやれ」

 

「僕?別にいいけど」

 

そう言ってアルスは剣も抜かずに馬車を飛び降りた。そして群れのすぐそばまで近付いた、だがハーヴェストウッド達は警戒するだけで攻撃はして来ない。アルスは魔物に人間の言語は通じないのを知っているので右方向に指を差した。するとハーヴェストウッド達も理解したようだが退こうとはしない、その動作に何か違和感を覚える。

 

「ねぇラック」

 

「あぁ、そいつらは無害だ。むしろ土壌が最古級並みになるから良いモンスターだ、ただ木の見た目だから間違えて攻撃する奴がたまにいてそういう輩はフルボッコだな」

 

アルスは言われた事を先読みされた事に少し気味悪さを感じたが別にそんな事はどうでも良かったので放置する。そして何故ハーヴェストウッド達が退いてくれないのか理由を探すのが先だ、もしかしたらこの先は魔王国で行かせたくないのかもしれない。その場合はいたしかたなく強行突破するしかないのだが出来るだけそんな事はしたくない。

 

「なんでだぁ...?何かいるのかな」

 

そう呟きながらハーヴェストウッド達の隙間を覗いてみた。すると何故通せんぼをしているのか理解した、このハーヴェストウッド達は警告してくれていたのだ。

この群れの先には荒ぶっている[ホワイトべレンジ]と言う人間とそう大差が無い、いや人間よりも大きい猿のモンスターがいたのだ。

 

「大丈夫だから、退いてくれないかな?」

 

アルスがそう訊ねるが意味が分からないらしい、仕方なくハーヴェストウッド達を強引に退かす。すると音で気づいたホワイトベレンジが目をギラつかせながらアルスに襲い掛かってくる、バリゲッドが助けに入ろうとするがゴドルフィンに止められた。

 

「あやつなら昼飯前じゃ」

 

ちなみにこの世界で朝食を取るのは凄く身分が高い貴族だけだ。

 

「分かりましたよ、貴方ほどの人が言うなら見ておきまけど...」

 

バリゲッドは仕方なく座った。ゴドルフィンはバリゲッドの村の出身で物凄い実力者なので唯一敬語を使っていて言われた事はすぐ聞くのだ。

 

「ホントにやばそうになったら俺が助けに入るから黙って見てろ」

 

そう言うラックだが助けに入る気は一切無さそうだ、それだけアルスの力を信用しているのだろう。そして数名は少し緊張しながら戦いが始まった。

まず動いたのはホワイトベレンジだ、タックルを仕掛けた。だがアルスは地面を強く踏んで勢いを付けながら剣を構えて突っ込んだ。

 

「よし」

 

その声が聞こえると同時にホワイトベレンジの体が真っ二つに斬れた。ラックとゴドルフィンは剣の出来に感心していたが商人、リリア、バリゲッドは口を開け驚く。あまりに切れ味が良すぎる、あれではハウジングキャットの革で出来ている鞘でも破いてしまうのではないかと不安になってしまう程だ。

そしてアルスは少しだけ付着した血を取ろうとする、だがホワイトベレンジはまだ生きていた。かろうじて動く手でアルスを引っ掻こうとする、アルスもそれに気付いたが反応が遅れ間に合わない。

 

「死ぬまで油断するんじゃねぇよ、それかちゃんと斬り殺せ」

 

その手をラックが踏みつけた。数秒前まで馬車にいたはずのラックが移動している、ラックの強さを知らないバリゲッドと商人は驚くがゴドルフィンやリリアは何とも思っていない。

そしてラックはホワイトベレンジの体を思い切り蹴飛ばした。するとアルスが予想していたより遠くに轟音を立てながら飛んで行った。人間と言っても良いのか分からない程の身体能力だ、なんなら勇者に与えられる身体能力を超えているかもしれない。

 

「凄すぎる...」

 

「剣を奪われてからはこの身一つで生きて来たからな」

 

「僕も半身蹴っていい?」

 

「好きにしろ」

 

ラックに対抗するかのようにアルスもホワイトベレンジの半身を同じ方向に蹴った。するとラックが蹴った時とそう違いが無い音を立てながらほぼ同じぐらい飛んで行った、ラックも少し褒めている。

 

「ラックが褒めている!?私初めて見たよ...いつもダメ出しされてばっかだから...」

 

「お前ぐらいの魔術使いはゴロゴロといるからな、でも俺と肩並べれる身体能力か...羨ましいな」

 

アルスは満更でもなさそうに馬車に乗り込んだ。ラックも再度馬車に乗りハーヴェストウッド達にお礼を言ってから道を進み始めた。

その後は悪路だっただけで昼頃までは何ともなかった、だが光を放ち続ける星が真上に来るとお腹が空いて来る。

 

「お腹すいたー」

 

「そうだな、わしもちと腹が減ってきたわい」

 

「と言っても俺は食えるもんなんて無いぞ」

 

よく考えるとアルスの非常食以外誰も食料を持ってきていない、だがその非常食は魔王国で使いたい。どうしようか悩んでいるとラックが良い案を思いついたと耳を貸すようジェスチャーする。皆何故ひそひそ話なのか不思議に思いながらも耳を近づけた、するとラックは小さな声で言う。

 

「この馬車は食い物が積まれている...隠し通せば無罪なんだ..わかるな?」

 

全員理解した。バレた瞬馬車から蹴落とされるだろうが背に腹は代えられない、そして全員かわりがわりに雑音を鳴らしてバレないように盗み食いを始めた。積んである食料は超高級品でほっぺたが落ちるかと思う程絶品な物だらけだった、そして全て食べつくしてしまったから布をかぶせ隠蔽する。

 

「何してるんですか?」

 

「別に何もしてない、それより前見ろよ」

 

ラックが正面を指差す、その先には一人の人間が立っていた。商人は急いで馬車を止める、そしてその人間に注意をしようとしたその瞬間首が飛んだ、その男の首が飛んだのだ。そしてそこには血に濡れた剣を片手に持っているゴドルフィンが立っている。商人は声を上げ逃げ出そうとするがリリアがそれを止めてよく観察するよう促す。

するとその男の体には獣のような深い毛が生えていた、そして理解する。こいつは魔人だ。

 

「なんで人国に魔人が!?」

 

「ちょっと深入りしすぎている奴だがカリアストロ辺りには不法入国した魔人やモンスターがうじゃうじゃいるぞ」

 

商人は言葉を失っている、そしてフラフラと馬車の戻り動かしだした。ラックとゴドルフィンも飛び乗って馬車に揺られ始めた。

この世界に季節と言う概念は無いので常に春の気候なのだ、地球温暖化などが無い時の春なので熱くはない。

 

「私魔人国に行くの久々だからちょっと怖いよー」

 

「なんじゃ?お主も其方も魔王国に行ったことがあるのか?」

 

「うん。そんな長居はしてなかったけどね、あるふか~い事情があったのよ。秘密だけど」

 

「まぁ良いか。また話してくれよ」

 

「しょうがないな~!」

 

リリアは滅茶苦茶嬉しそうにしている。一方ラックは眠っている、リリアはそのラックの顔をツンツンしたりして遊んでいる。アルスは本で見た事があった植物やモンスターを見つけて大興奮だ、ゴドルフィンとバリゲッドは一緒に眺めてアルスの知識量に感服していた。

そしてそのまま相当な時間が経ち日が暮れて来た頃、今日は開けた場所で野宿をする事になる。そして見張りはラックがする事に決めると皆疲れていてご飯を食べる余裕も無く眠ってしまった。

 

「...暇だな」

 

ラックは一人で焚火の前に座り昔の事を思い出していた。かつての勇者が仲間に入れてくれた時の事、今の様に馬車を使って旅をした事、仲間の犬に食料を盗まれた事、ゴドルフィンに訓練でボコボコにされた事、勇者にチビと言われ「五歳だから当たり前だろ」と冷静に返答していた事、等様々な思い出が蘇ってくる。

 

「...よく考えれば楽しかったか?...いや..楽しかったか」

 

ラックは珍しく微笑んで焚火で暖を取っていた。そして夜が半分過ぎ昼に出ている星の反射で光っている月がよく見える時、何かが背後から近付いて来ていることに気付く。すぐに振り向くとそこには真っ赤な目して口周りは血だらけの狼男の魔人が立っていた、ラックは冷静に立ち上がり体術で戦う為構える。

 

「ヴェガチュガガガガガガガッガ」

 

そう訳の分からない魔王国語を話す狼男に怯まず相手が動くのを待つ。すると狼男が飛び掛かってくる。ラックは足を振り上げ回し蹴りをかました、狼男は弱っていたようで一発で死んでしまった。

 

「なんで弱っていたのに戦いを挑んで来たんだ?」

 

「どうかしたの~」

 

音を聞いて起きたのかリリアが馬車から出て来た。ラックは何が起こったかを全て説明した、するとリリアは狼男の状態をチェックする。すると眉間にしわを寄せながらラックにある事を聞く。

 

「こいつ「ウエチカ」的なこと言ってなかった?」

 

「そういえば言ってたな」

 

「そっ...か」

 

「なんかあるのか?」

 

「...いや待って、おかしい。ウエチカは助けてって意味だった気がする、でもここにはこのレベルの魔人が負ける程のモンスターはいないはず...」

 

「なぁリリア」

 

「何?なんか..いるねぇ」

 

リリアは顔面蒼白でラックが指差す方を見る。ラックも冷静だが冷や汗を少しだけ浮かべている、その視線の先には一匹の魔人がいた。

その魔人は反射によって光る星によって反射している鎧兜だけ手に抱え片手に血だらけの剣、そして帰り血に染まっている鎧を着ている。そして顔は猫だ。

 

「確か魔王国で鎧着てる奴ってよ..」

 

「魔王直属の部下しかいないないねぇ..」

 

二人ともどうにかして三人を起こさなくてはと手段を探す、今の二人では一撃でも貰ったら即死だろう。魔王国では鉄が物凄く貴重で大量に鉄を使う鎧を着れるのは魔王と顔を合わせる事が出来る程優秀な者だけなのだ、そんな奴の攻撃は凄まじい威力だろう。

 

「お前は前の勇者の取り巻きか」

 

その魔人はそう語る。ラックは人国語を話している事に驚く、だが魔人は構わず話しを続ける。

 

「もしや貴様はもう勇者を..」

 

「知らねぇな!赤髪の十三歳の男なんて!知らねぇな!」

 

そう大声を出す、これでなんとかアルス達が起きてくれないか祈る。魔人はラックを凝視してから兜を被る、そして剣をしまった。何故しまったのか訊ねると魔人は踵を返し何処かに向かって歩きながら答える。

 

「吾輩は貴重な鉄は無駄にはしない、今回は見逃してやろう。あの方も勇者を待っている。後ここら辺まで入ってきている馬鹿な魔人がいたら教えてくれるとありがたい、吾輩はその為に派遣されたのでな」

 

「俺知ってるぞ、入ってきてる馬鹿な魔人」

 

「本当か」

 

猫騎士はその言葉を聞いて振り向いた。その瞬間猫騎士の鎧兜が吹っ飛ぶ、それと同時に顔から大量に血が流れ始めた。

 

「お前だよ、クソ猫!」

 

そう言って次の攻撃を繰り出そうとする、猫騎士も反撃で剣を抜こうとしたその時両者が吹っ飛ばされた。顔を上げるとそこにはゴドルフィンが立っている。ゴドルフィンは凄まじい圧を発しながら両者に向けて忠告をする。

 

「やめておけ、今争っても良い事は何一つ無い。そこの猫もさっさと帰れ」

 

「そうだぞ、帰っておけ」

 

そう言っていつの間にか出て来ていたアルスが剣を猫騎士の首元に突き立てる。だが猫騎士は怯えることは無く冷静に兜を持ち再度被ってから森の中に消えて行った、するとアルスもゴドルフィンも一気に力を抜く。

 

「あれ何だったの..?」

 

「あれはねー魔王直属の部下だねー滅茶苦茶強いよ」

 

「ふぅ..ひとまず安心じゃ」

 

「すまん、少し隙だらけだったもんでつい..」

 

そう言ったラックに三人が説教を始めた。そしてその夜は結局商人とバリゲッド以外は寝付けなかった、そのせいで皆目の下にくまを携えながら朝を迎える。

バリゲッドが目を覚ますと皆の状態を見て腹を抱えて笑い出す、その声につられて起きた商人も笑い転げる。そして二人が落ち着くとラックが話を始める。

 

「ひとまず昨日のうちに相当な距離を進むことが出来た。だが今からが本番だ、魔人やモンスターが沢山居るだろう。そのため全員で外を警戒しつつ移動をする。後三分の一だ、頑張るぞ!」

 

気合を入れたラックは眠りについた。それにつられるようにして他の三人も眠り出す、周りを警戒しながらなどとぬかしていたラックが一番に寝てしまった。だがバリゲッドは起こさず一人で周りを見ていた。その時だった、ただならぬ気配を感じる。他の四人も飛び起き商人でさえも嫌な感じと言っている。一度馬車を止めるよう命令し気配がある方を見てみる、するとそこにはある一人の女性が立っていた。

黒髪で長髪、身軽な装備にレイピア、そして謎の仮面。だが何者かは一瞬で判断できる。

 

「久しぶりに見たなそのクソみたいな仮面」

 

「久しぶりだな..と言いたい所なのだがすまない、私は今魔王様に頼まれて猫魔人の騎士を探しているんだ。何か知らないか」

 

「知ってる、だが教えてやらない」

 

「そうか」

 

その女はレイピアを抜き馬車に向ける、身の危険を感じたラックが猫騎士がいた場所と何があったかを全て事細かに説明した。すると女は大人しくレイピアをしまい一言告げてから姿を消した。

 

「助かった。また会おう」

 

商人は腰を抜かして動けない。五人も少しだけ話がしたいと言う事で一度歩みを止める事にした。そしてラックが説明を始める、昨日の夜にあった猫騎士の事を。そして話が終わるとアルスがある質問をする。

 

「ラックは知ってるんだよね、さっきの人」

 

「あぁ。二十年前に会った、なぁ(じじい)

 

「確かにいたな。戦いには来なかったが覚えてはいるぞ。だがあの小娘が魔王直属の部下にまで成長したのか、この世には分からない事があるんじゃな」

 

「そんなに弱かったんですか?」

 

バリゲッドがそう訊ねるとゴドルフィンは当時の事を思い出しながらこう言った。

 

「アビリティは持っておった、だが弱弱しく可哀そうと言う言葉が似あう見た目をしておったんじゃ。だが今では面倒くさそうな敵になっておるわい」

 

そう笑うゴドルフィンを他所に皆少し怖がっていた。なんせラックでもゴドルフィンの力が正確には分からないのだ。だが強いことは分かる、そんなゴドルフィンが面倒くさそうと言う敵がいるのだ。

魔王国はもしかしたら思っていた以上に十三年間で強くなっているのかもしれない、ラックはそう予想した。

だがその予想は幸か不幸か外れる事はなかった、魔王国は前世代の勇者の時とは比べ物にならない程力をつけていた。だがそれを知る事になるのはまだまだ後なのだ。だが今はどうにかして魔王国にたどり着かなくてはならない、次に魔王国に来る時、そう魔王討伐の時の切り札『ギフト・ソード』の為に。

 

 

第5話「直属の部下」

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