また、この話の執筆の時期が二つに分かれてしまい、途中で矛盾等が生じているかもしれません、ご了承ください。
緊迫。威圧。異様な空気。今すぐその場から立ち去りたくなるような空間が、現在進行形でとある場所に存在している。
「だから!!!なんで僕のプリン食べちゃったのか聞いてんの!!!」
「いや、だって冷蔵庫の中にぽつんと置いてあったし。だいたい僕の家に勝手に置いてんのが悪いだろ?」
「良いじゃん!!!お兄ちゃんのケチ!!!」
街中のごくごく普通のアパートの一室。だが今はこの二人によって修羅場と化している。
事の発端は晴明が晴政の家の冷蔵庫にプリンを入れていて、それを晴政が勝手に食べてしまった事である。
普通なら少し言い合っただけで治まるだろうが、この二人だと訳が違った。
「てかお前また街で問題起こしたんだってな?人々の間で噂になってんぞ。全く随分出来の悪い弟だ事」
「はぁ!?今そんなの関係無いじゃん!てか言い方わっる!!!」
「はいはいごめんなさいねー、分かったらはよ出てけや」
「ふっざけんな!!!」
おもむろに取り出したナイフで晴政に斬り掛かるが、晴政もさも当然のようにナイフを作り出して弾く。
「へぇ?僕に手出してくるんだ?良いよ、ボコボコにしてやるわ」
「上等だ!!!」
そうして二人揃って勢いよく家を飛び出し、近くの公園へと向かうのだった。
--------------------------------------------------------------------
公園に着くや否や早速お互い構えを取って相手を睨む。
「言っとくけど手加減はしないからな?」
「僕だって!お兄ちゃんがどうなってももう知らないからな!」
「はぁ……じゃ、このコインが地面に着いたら始めな?」
ポケットからコインを取り出し、親指で宙へと弾く。
コインはそのまま宙に舞い、クルクルと回転しながら地面へと向かう。
───チャリン
「うりゃぁぁぁぁ!!!」
地面に着いたと共に、晴明は一斉にナイフを投げる。
大量のナイフは様々な軌道を描きながら晴政の元へと飛んで行くが、彼は二本の刀を生成して華麗に弾いていく。
「おいおい、ちょっと生温過ぎるんじゃねぇの?なめてんの?」
「へっ!いつまでそんな余裕でいられるかな!」
地面や木に大量のナイフが突き刺さっていく。公園は瞬く間に戦場と化し、遊んでいた子供も一目散に逃げ出した。
晴明は尚もナイフを投げ続けているが、その中に一本、他と違った軌道で投げたものが混ざる。
その一本だけは地面や木に突き刺さったナイフに反射し────
「ぬぐっ!?」
────晴政の死角から突き刺さる。
「っしゃ!当たった!!!
どうよ!これが僕の編み出した『反射ナイフ』さ!」
「……へぇ?ちょっとはやるみたいじゃん」
すると晴政は刀から拳銃に切り替え、乱射する。
しかし全然狙いは定まっておらず、晴明に一発も当たる事は無かった────
「え?何?ナメてんの?それとも腕落ちた?こんなん避ける必要も無いくらい余…………ぐぁっ!?」
────と思っていた。
先程の晴明のナイフのように、完全に死角から銃弾が叩き込まれる。
何が起きたのか分からず混乱する晴明に向かって、言葉を言い放つ。
「君の反射ナイフ……だっけ?それ、割と気に入ってさ
僕も試してみたよ……『銃弾』でさ」
彼はれっきとした人間である。だが彼は『事前に放った銃弾でメインとなる銃弾を反射させ死角から叩き込んだ』のである。
もはや化け物の所業である。
並の人間なら既に戦意喪失しているだろうが、彼らは戦闘狂兄弟。この程度で引くはずが無い。
「ふぅん?さすがお兄ちゃん、相変わらずぶっ飛んだことやってのけるなぁ……
となると僕も……負けてらんないねぇ!!!」
「あぁ、来いよ、今度こそ再起不能にしてやるからさ!!!」
晴明は大量のナイフを、晴政は無数の銃器を出現させ、互いにぶつかり合う。
四方八方に飛び交う銃弾とナイフ。それらが互いにぶつかり合っては相殺される。
その光景はまさに『異次元』である。
しかしその幻想的とも言える光景も長くは続かない。美しきものには必ず終わりがあるのだ。
お互いのハニーがみるみるうちに減っていき、遂にお互い最後の、渾身の一撃となる。
「はぁ……はぁ……相変わらず……しぶとい奴だ……だがこれで決めさせてもらうよ……」
そう言って晴政は大量の銃器の代わりにスナイパーライフルを出現させ、ハニーを装填し始める。
「良いぜぇ……決着をつけてやろうじゃんか……?」
それに対し晴明はハニーを全て消費させて、自身とオリジナルのナイフを強化して銃弾を受け止める姿勢をとる。
そして────
「爆ぜろ!!!晴明!!!」
「来やがれ!!!晴政!!!」
ハニーをエネルギーに変換させ、凄まじい威力の銃弾が放たれる。
その弾がナイフに当たると同時に物凄い衝撃波が周囲に飛ぶ。
晴明は全身を使って必死に衝撃を受け止め相殺しようと試みるも、思った以上に威力が高い。
そして遂に、勢いに押し負け、ナイフが手から離れ、銃弾と共に吹き飛ぶ。
───晴政の勝利である。
「……ちぇっ、本気でぶつかりに行ったのに負けちゃったわ
ホント強過ぎるってお兄ちゃん」
「いや、僕もだいぶ追い込まれたよ……アレ相殺されてたらこれ以上何も出来なかっただろうし……」
「なんだよぉ惜しいとこまで言ってたのかよぉ……
てかそれよりお腹すいたんだけど」
「そらあんだけ暴れりゃな……しゃーない、なんか食ってくか、お前の奢りで」
「は!?なんで!?」
「僕が勝ったから」
「……ぐうの音も出ねぇ」
いつの間にかなんで喧嘩してたのかも忘れており、お互いスッキリした気分でレストランへと向かうのだった。
後日、街の人からの通報などで大暴れしていた事が本部に知られ、二人共キツいお叱りを受けたのは言うまでもない。
To be continued