ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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こんにちは。

 投稿遅くなって申し訳ありません。
 ここ最近ずっと体調が悪いのと、仕事の影響で遅くなりました。

 令和版悪魔くん見ましたか?
 僕は見ました。
 内容は置いといて、こうもり猫の声が変わってなくて涙が出ました。マジで嬉しい。12使徒全員出してよ〜。

 もう少しで映画も始まるので楽しみです。
 皆さんは見に行きますか?僕は見に行きます!!









勇気の一太刀 魂魄妖夢①

 

 

「いちっ!にっ!さんっ!しっ!──」

 

 

 道着を身に纏い、竹刀を振るう1人の少女。

 気温もちょうど良くなりお昼頃から外に出られる。空から照らす太陽が彼女の汗をキラリと輝かせた。

 

 

「今日も精が出るわね〜、妖夢(ようむ)

 

幽々子(ゆゆこ)さま!」

 

 

 ここで簡単に紹介しよう。

 2人のいるところは現世とあの世の中間地点である『冥界』である。冥界とは何も罪を犯していない善良な魂たちが滞在する場所である。ここにいれば天国や地獄にも行かず、転生することもないので永遠をここに留まることになる。因みにだが冥界は四季が存在しており、春の季節になると満開の桜、夏になると妖夢とスイカ割り、秋になると紅葉、冬になると皆んなで雪合戦する光景が見られるので意外と死者たちの間では人気のある名所となっている。

 

 そして、その冥界にある館『白玉楼(はくぎょくろう)』。その主人こそが『西行寺幽々子』である。ピンクの髪で常に扇子を握った女性である。その従者が以前ハロウィンの時に出てきた『魂魄妖夢』。半人半霊という特異体質であり、得意の武器は剣。2本の刀を携えており、実力は半人前だがバランスは取れており折り紙つき。

 

 

「はい!幽々子さまの従者として当然です!!いちっ、にっ──」

 

「あらあら嬉しいわぁ。でも頑張りすぎて倒れないでよ。あっ、そうだ。この前藍ちゃんからお饅頭貰ったの。おやつ休憩しない?」

 

「いえ!私は結構です!!」

 

 

 

 今日はその従者である魂魄妖夢の物語だ。

 炊事洗濯も完璧。

 容姿端麗。

 更にはめちゃくちゃ強い。

 しかし完璧に見えるそんな彼女にも意外な弱点が存在する。・・・魂魄妖夢は半人半霊でありながら()()()()()()なのだ。

 

 幽霊は突然現れて、フワフワと浮いていて、透けていて、実体がなくて、常に恨み言を吐いていて、もうとにかく怖いのだ。理由はあまり肝心ではない。本能から訴えてくるくらいに怖いのだ。

 

 そして、あのハロウィンの時に背後から現れたカボチャ頭が脅かしたせいで腰が抜けてしまい、生まれたての子鹿のようにプルプルと震えながら逃げ帰った。

 

 自分が情けなかった。

 悔しかった。

 尊敬する幽々子の従者であるのに幽霊が怖いなんてなんて情けないんだ。あの日霊夢に助けを求め、逃げた自分はもういらない。

 

 だから克服すると決めた。

 しかし幽霊を克服するとはどうすれば良いのだろうか。そう考えてから一個だけ方法を思いつく。それは兎に角、修行をする!鍛錬を積む!自身を追い詰めて追い詰めて追い詰めることで幽霊を克服しようと思ったのだ。だから、この素振りは朝の5時から今の11時まで続いていた。

 

 

 

(幽々子様の従者が幽霊なんかに臆するなんて……!待っててください、幽々子様。妖夢は、妖夢は……必ず強くなります!!)

 

「そんなこと言わないで休憩しましょ。美味しいお茶でも飲んで……あら?お茶っ葉がないわ」

 

 

 主人の困った声が聞こえる。

 素振りをやめて汗を拭う。

 

 

「お茶っ葉ですね。直ぐに里で買ってきます!」

 

「本当?私、稽古の邪魔しちゃったかしら?」

 

「いえ!幽々子様のいう通り、稽古を中断しようと思いましたので大丈夫です!!」

 

「ごめんね、妖夢。頼むわ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 人里。

 とある一軒家。

 その家主(年齢は50くらいの男、仕事は夜の警備)がガタガタと震えていた。家の角で座って丸くなり、周囲の物全てに対して恐怖をしていた。

 

 

「怖い…っ、怖い怖い…」

 

 

 暗いところが怖かった。

 子供の頃にイタズラがバレて父親に押し入れに閉じ込められてから暗くて狭いところがダメになってしまった。大人になっても恐怖は消えず、しかし父親になった事で恐怖を我慢し、見栄を張り続けてきた。子どもたちにも“そんな事で怖がるな”と叱ったこともある。俺のように強い男になれと怒鳴ったこともある。

 

 だが突然、急に暗闇に我慢できなくなった。怖くて怖くて堪らない。布団で眠ろうにも布団の中の闇が怖い。目を閉じた時の暗闇も怖い。何処行こうにも恐怖が襲ってきたのだ。遂には家の中に閉じこもり、家族には誰も入るなと釘を刺して閉じこもった。家族は心配するが、心配されてもどうにかなるわけではない。全てにおいて恐怖が優先し、やる気も起きずにこうやって震える日々を迎えている。

 

 

『ヒヒヒ…』

 

「ぎゃああっ!?だっ、誰だ!!」

 

 

 男は振り向く。

 声がした方向に人影はなく、ただただ闇が広がっていた。息が詰まる。突然聞こえた声よりも目の前の闇が怖かった。明かりはついているのに辺りは真っ暗だった。

 

 

「だ、誰か…誰かぁぁぁあーーーッ!!!!」

 

 

 ゾクリと体が震えた。

 心の底から震え上がった。

 怖い。

 そして寒い。

 震えが止まらない。息が白くなる。悲鳴を上げても闇に吸い込まれて部屋の外には家族がいるはずなのに声が聞こえていない。

 

 

「さ、寒い…っ、寒い…。怖い怖い…」

 

『ヒヒヒ』

 

「こわ…い…」

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

 

「ひぃいい…、誰か助けて…」

 

 

 また別の家。

 若い男性(年齢は二十歳くらい、仕事はホスト)が震えていた。顔面蒼白で吐く息も真っ白だ。この男は別に暗闇に対してそこまで恐怖を感じる人間ではなかったが、何処からともなく聞こえる女性の声に恐怖して震えていた。

 

 ホストという仕事柄、女性に対してたくさん失礼なことはしてきたと自覚している。しかししょうがないじゃないか。夢を見せる仕事なんだ。金を貢がせて何が悪い。それで借金して返済できずに自殺したりする等の事件はよく聞くが無視してきた。無視してたくさん働いてきた。それに俺以外もやっていたんだ。何で俺だけがこんな目に遭わなきゃいけないんだ。

 

 

『あんなに弄んで…酷いわぁ…ヒヒヒ』

 

「うるさいうるさいうるさい…」

 

『ねぇ…酷いわよぉ』

 

「俺は何も悪くないっ、お前が悪いんだ。勝手に死んで…勝手に化けて出やがって……っ」

 

 

 震えが止まらない。

 とにかく寒い。

 部屋中閉じているのに、昼間なのに、布団に包まっているのに、何でこんな寒いんだよ。

 

 

「さむい…、さむい……」

 

 

 首元に冷たい感触。

 誰かに撫でられている感覚。

 それが余計に震えを増させる。

 

 

「怖えよぉ……」

 

『ヒヒヒ』

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

「誰かおらんのか!!誰かぁぁぁぁ…!」

 

 

 またまた別の家。

 年配の男性(大体80歳くらいで、嫁家族と仲良くなっておらず1人で暮らしている。職業はお茶屋)が叫んでいた。しかし虚しく誰にも声は届かない。誰もいない家の中にこだまして、そのまま消えていった。

 

 頑固爺とよく言われてきた。しかし育ててきた子に自分の介護なんかさせたくなかったので嫁の家に厄介にはなりたくなかった。だから何度も一緒に住もうと言われても断ってきた。そのせいで嫌われても、ただでさえ育児で大変なのに自分の介護なんかやっている嫁に苦労をかけるわけにはいかなかった。孤独なんか何も思わない。

 

 

「嫌だ、嫌だ!!」

 

『ヒヒヒ…、どんなに叫んでも1人よ。誰も助けには来ない』

 

「うるさあい…!!」

 

 

 力無く叫ぶ。

 この家にいたら死んでしまう。

 廊下に飛び出すと、そこには無限の闇。確かここをまっすぐいけば玄関があるのに何も見えないほどの闇が出迎えた。

 

 

「あっ、ああ……」

 

『ほぉら、誰も来ない。あんたの先も闇。一生1人』

 

 

 途端に身体が震え出す。

 寒い。

 寒い寒い。

 自分は一体どうなってしまうんだ。怖い、1人は怖い。1人は寒い。誰か助けて。

 

 

「……ぁぁ…」

 

『ヒヒヒ』

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 とある事件が幻想郷に駆け巡った。

 成人男性を含む3人が部屋で凍死したという怪奇事件である。確かに11月で冬の季節ではあるものの死亡推定時刻は昼間であり、更に家の中には囲炉裏もある為凍死はあり得ないということが判明。別の要因かと思われたが、解剖して死体を調べた八意永琳によると死体は至って健康体であり、持病もないことから完全に凍死だと断定。別々の犯行現場で同様に凍死。人間がやった証拠はどこにもなかった。

 

 怪死事件という明らかに妖怪絡みの事件に、霧雨魔理沙と博麗霊夢も出動。2人が向かった先はこういった事件を引き起こすのが大好きな男の家だ。大抵犯人というのは決まっているものだと判断して向かう。

 

 

「なっ、何なんだよー!?こんな朝っぱらから!」

 

「怪死事件の件よ」

 

「早めに白状したほうがいいぜ。流石に金儲けの為に殺人事件を起こしたとなりゃ…妖怪の山の()()()()()()にぶち込まれるけどよ。死刑は免れるかもしれねえぜ」

 

「待ってくれって!!一体全体何の話なんだよっ、怪死事件とか、刑務所とかよ!俺っち、今回はまだ何もしてねえって!」

 

「「まだ?」」

 

「言葉の綾だよ!!大体何もやってないやつを初めから疑うなんてどうかしてるぜ!ふざけんなっ!」

 

 

 2人が脅してもねずみ男は折れなかった。寧ろ反応的に何も知らなかったように見える。家の中を覗くと布団しかないようで裕福そうなことはない。事件の裏にはインチキ商売で儲けた金有りかと思っていたが貧しそうだ。本当に今回は絡んでいないのかもしれない。

 

 

「なんだよーっ!今回もねずみ男が犯人で、悪い妖怪を私がぶっ飛ばしてチャンチャンの楽勝物語かと思ってたのにガッカリだぜ」

 

「ふん!悪かったな、犯人じゃなくてよ!……ってかよ、怪死事件ってなんの事だ?」

 

「教えない。どうせ変に首突っ込んでめちゃくちゃにするだけだし」

 

「だってよ」

 

「ケッ!あっそ!そーかそーか!そーだよなっ!あーあ、半妖怪として生まれたばっかりにここでも俺は仲間外れ。俺ぁなんて孤独なんだ。ううっ」

 

 

 途端に泣き出すねずみ男。

 完全に被害妄想だ。

 しかしこうやって泣かれるのも面倒くさい。魔理沙は落ち着けと肩をさすりながら訳を話す。

 

 

「大の大人がこれくらいで泣くなよ!教えるから!」

 

「へへっ、ありがとよ」

 

「!! てめぇ、嘘泣きか!…ちぇっ、騙されたぜ」

 

「世の中騙されるほうが悪いのさ。さっ、教えてくれ」

 

「はぁ……実はかくかくしかじかって訳でよ」

 

「なるほど。謎の凍死事件ねェ。・・・・金にならなそうだし、興味ねえや。寝ようっと」

 

 

 聞いて満足したのかねずみ男は家の中に帰っていく。魔理沙は話さなきゃ良かったと愚痴る。

 

 

「けどこれで振り出しに戻ったわけね。とりあえず私は被害者たちの家に聴き込みに言ってくるわ」

 

「私も別で調査するかぁ」

 

「じゃあ15時に博麗神社に集合ね」

 

「あいよー」

 

 

 そうして2人は別々に向かう。

 そんな2人の会話をねずみ男は実は戸を閉めた後も、戸にピッタリと耳を当てて最後まで聞いていた。

 

 

「キキキキ…。行ったな。どおれ、この俺様が事件を解決して金を稼いじゃうもんねェ〜。この腹のためにもナ」グゥ

 

 

 グゥと大きな音がする。

 今回は本当に無実のねずみ男。流石に依頼も無いし、金も無いために空腹に陥り、頭も働かずインチキ商売が出来ない。だからこそ今回はまさにツイていた。良いものを食べるために立ち上がる。

 

 

「あのお邪魔虫がいると金も稼げねえだろうし。俺は1人でやらせてもらうぜ」

 

 

──ぐるるるぅぅぅぅ

 

 

「このままじゃ餓死にだっ、くっ、いざ行かん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 妖夢が人里に降り立った時に感じたのは怯えと忙しい空気だった。確かにそろそろ正月ではあるが、のんびりが似合う人里にしてはどこか焦っているような感覚で道行く人々もどこか少ない。常に何かに見られていると思うのか、ソワソワと辺りを見渡している姿があった。しかし自分にはあまり関係ないだろうと目的地へと向かう。

 

 

「お茶のお店に……人だかり?」

 

 

 お茶屋にたくさんの人が集まっていた。

 ここにいる人たちは“何でこんなことに”と口々に言い、その表情は暗く、中には涙を流す人たちもいた。少し背伸びして彼らの視線の先を見ると、そこでは葬式の準備がされていた。

 

 

「あら妖夢ちゃんじゃない」

 

「あっ、おばさん。こんにちは」

 

 

 妖夢に話しかけてきた人物。

 彼女はこのお茶屋の店主の娘であり、何度も一緒に住もうと提案していた人物である。まだ娘が結婚する前に店を手伝っていた頃から妖夢はここで必ずお茶を買うので顔馴染みであった。娘さんは涙ぐんでおり、誰が亡くなったのかを察する。

 

 

「お茶っ葉を買いに来たんですが……そんな空気じゃないですね。もしかして…」

 

「ええ。お父さん」

 

「そうですか。ご愁傷様です」

 

「ありがとう。お父さん、妖夢ちゃんに会いたがってたから……()()()()に巻き込まれなきゃ会えたのに…」

 

「変な事件…ですか?」

 

「そっか。最近こなかったもんね。実は今ね、幻想郷で原因不明の凍死する事件が増えてるのよ。3人も被害が出ててね…。慧音さんが言うには妖怪か妖精、もしくは()()の仕業だろうって」

 

「・・・」

 

 

 遠くを見つめて話すおばさんに対して妖夢は何とも言えない気持ちになり店を去ろうとする。元より冥界で暮らしているため死後の魂たちには慣れてはいるが、残された者を見ることは少ないのだ。悲しいというか虚しくなり、この場を去ろうとする。

 

 

「妖夢ちゃん」

 

「?」

 

「最後にさ、これ持って行ってよ」

 

 

 手にはお茶っ葉が入った筒があり、妖夢に渡す。まさか貰えると思わなかったので驚く。

 

 

「あ、ありがとうございます!ええと、お金…」

 

「大丈夫。要らないわ」

 

「えっ…」

 

「店閉めようと思うの。私は家庭もあるし継げない。この商品も全部持ち帰るってわけにも行かないから。それにねお父さんはいつも言ってたわ。うちのお茶を買って笑顔になってもらいたいってね」

 

「おばさん・・・」

 

「ふふっ、心配してくれてありがとうよ。でもね今、博麗の巫女様と魔理沙ちゃんが捜査してくれてるのさ」

 

「あの2人が…」

 

「そうさ!なら犯人探しも時間の問題!私は安心して葬式の準備して、さっさと店を閉めれるってもんだ!」

 

 

 元気に笑うおばさん。

 妖夢は貰ったお茶っ葉を見て、店主とおばさんの意思のようなものを感じた。こんな悲しい事件を起こした犯人を見つけてやりたいという気持ちが芽生えてきた。

 

 

「おばさん!」

 

「?」

 

「私も犯人を探します!!お爺ちゃんの敵討ちを私もします!」

 

「ふふ、優しいね、妖夢ちゃんは。でも・・・ダメだよ」

 

「えっ」

 

「昔からの付き合いだし妖夢ちゃんが強いのは知っているわ。だけどね、アンタ…怖いのダメじゃないか。幽霊とかさ。寺子屋でやる肝試しだって苦手だろ。気持ちは嬉しいけど無理しちゃいけないよ」

 

「そ、そんなことないです!!」

 

「そんなことあるさ。妖夢ちゃんは優しいから、敵討ちなんか似合わないことするもんじゃない。私は大丈夫だから、ねっ。その優しさは復讐なんかに使っちゃいけない。分かったら話はこれで終わり。じゃあね、妖夢ちゃん」

 

 

 そう言って、おばさんは背中を向けて店の中に入って行った。一方で妖夢は下を見て涙を堪えていた。悔しいが言葉が出ない。私は期待されていないのか。確かに幽霊は怖い。でもだからって。

 

 

(私が…怖がりだから……)

 

 

 臆病な自分が情けない。

 期待もされず、何も求められない自分が今後敬愛する幽々子様を守れるのか。疑問と焦りが全身を巡る。そんな時だ。携えていた刀が()()()()()()()()

 

 

「──!!」

 

 

 邪悪な気配も感じた。振り向くと遠くに見えるおばさんの背中に透明な何かが張り付いていた。ちゃんとは見えないが透けていて女性のような姿をして、足が無くて、、

 

 

「幽霊っ!?!?」

 

 

 妖夢の叫びに幽霊は気づく。

 そしてニヤリと笑うとゆらりと飛んで妖夢の目の前に現れる。ガタガタと震える妖夢に幽霊は手を伸ばし、首筋を触る。

 

 

「あ、ああああ……っ!?!?」ガタガタ

 

 

 なんと冷たい手なのだろう。

 裸のまま雪山に放り出されたかのように一瞬にして全身の血の気が引き、ガタガタと寒くなる。

 

 

『良い恐怖心だ』

 

「」

 

 

 何と弱々しい声だ。

 風が吹けば消え去りそうなほど細い声だというのに、一言一句が妖夢の耳にこびりつく。

 

 

『だがまだお前じゃない』

 

 

 そう言うと、一瞬にしておばさんの背中に女の幽霊が張り付いた。幽霊はそのまま乾いた布に水が染み込むように姿を消した。妖夢は腰を抜かし、その場で倒れ込んでしまった。

 

 

「ど、どうしたら…」

 

「おーい、妖夢。どうしたー」

 

「ま、魔理沙…」

 

 

 混乱して動けない妖夢。

 遠くから自分を呼ぶ声がするので振り向くと魔理沙だった。しゃがみ込む妖夢の手を掴み、立たせる。明るい彼女に出会って何とか落ち着きを取り戻す。

 

 

「大丈夫かよ、どうしたんだ?顔が真っ青だぜ?」

 

「今…ゆ、幽霊が…」

 

「幽霊?」

 

「女の人の幽霊が、お、お茶屋のおばさんの背中に…!こ、怖い笑顔を浮かべて…!!」

 

「そういやお前、幽霊苦手だったな〜。ホント普段はキッチリしてんのに幽霊が絡むとダメだぜ、妖夢は」ケラケラ

 

「うぐぅ…っ」

 

「お茶屋のおばさんの背中だっけか?どれどれ……」

 

 

 魔理沙は遠くのおばさんの背中を目を凝らして見るが妖夢が震え上がるようなものは何も見えなかった。

 

 

「私には何も見えないぜ?」

 

「おばさんの背中に張り付いて…そのまま……」

 

「疲れて幻覚でも見えたんじゃないか?早く帰って休んだほうがいいぜ」

 

「──!…うっさい!帰る!!」

 

 

 助けてくれた魔理沙の手を振り払い、逃げるように帰る。おばさんに言われた言葉と魔理沙の言葉が重なった。唇を噛み締めて本当に心の底から悔しかったのだ。まるで“お前には用がない”、“半人半霊のくせに幽霊が怖いなんて”と笑われているようだ。自身の悔しさが憎さへと変わっていることを妖夢は自覚する。

 

 

「変なやつ・・・。まっ、今はいいか」

 

 

 何に怒ってんだと不思議がる。だがすぐに思考を切り替えた。今は妖夢の謎の不機嫌よりも怪死事件の犯人を見つけるほうが先だ。箒に跨り、博麗神社へと向かう。

 

 

 神社へと辿り着く。

 魔理沙は殆ど収穫が無かったことを伝え、霊夢も同じくと言いつつ、唯一手に入れた解剖する前の死体の写真を取り出し見せた。永遠亭に行って貰ってきたという。

 

 

「何だぁ、この死体の背中…」

 

 

 3人とも背中の色がおかしかった。

 他の皮膚と比べると圧倒的に青白くなっていた。

 

 

「永琳が言うには一瞬で凍死した訳じゃなくて、この写真からわかると思うけど長時間も冷たい何かを背中に当てられ続けたみたい。そして、そのまま臓器から…って訳ね」

 

「背中に冷たいもの、か…。普通そんなの張り付いていたら気づくよな。振り払うとかすると思うが…」

 

「そう思わせないように何かしていたようね。この跡の主は」

 

「それにしてもこの跡、女の形に見えるぜ。髪の長いよ」

 

「幽霊か何か張り付いてたのかしら?チルノが乗っかってきたなら簡単に分かるし、質量のある妖精や妖怪とは違うのかも」

 

「幽霊…?幽霊か。なんか…さっき聞いたな」

 

「幽霊の話を?」

 

「ああ。さっき妖夢と会ったんだが…お茶屋の娘さんの背中に幽霊が張り付いていたのを見たって……ん?あっ、背中に張り付く!!幽霊!!もしかして!」

 

「もしかするかもね」

 

 

 霊夢は退魔針を握る。

 博麗の巫女として、これ以上里の人間に危害を加えさせないという決意を感じた。

 

 

「行くわよ」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうです?最近急に何かが怖くなってません? あっ、なってない」

 

「急に疲れが溜まっておりませんか?っておい、近寄るななんて酷いなァ」

 

「あなたの後ろの暗闇に何か見えてはいませんか?もしかしたら妖怪が取り憑いて……っちょ、そんな怒らなくても」

 

 

 ねずみ男もねずみ男で犯人探しをしていた。

 彼なりに集めた情報は大したものではなく、被害者の共通点は男性であること以外に何も分からなかった。しかも今後女性が同じ被害に遭った場合はこの共通点は関係なくなってしまうので、もっと新たな情報を得る必要があるだろう。

 

 

「ちっ…誰も襲われてる様子はねえし。もっと派手に暴れてくれたら簡単に見つけられるのによ。だがまぁ、こそこそやるタイプって事は……そんなに強くないかも」

 

 

 とりあえず次の幸薄そうな人のところに行こう。

 大抵何かに困る奴はそういう顔をしていると経験上知っている。ねずみ男は道行く人々を眺めた。

 

 

「ん?・・・あれは?」

 

 

 視線の先には妖夢がいた。

 以前一度顔を見たくらいで知り合いというわけではない。素性も名前も何も知らないが、妖夢の顔は暗く、足取りも重そうで、何より彼女の周りに人魂のようなものが飛んでいた。

 

 

「まっ、マジかよ!あの辛気臭そうな顔っ、重い足取りっ!あの小娘、取り憑かれてんじゃん!!あのちっちぇ魂が犯人だな!やっぱり俺ってツイてるぜ」

 

 

 ゆっくりと妖夢の背後につく。

 幼女の背後に近づくおっさん。側から見れば完全に不審者の行動だ。息を殺し、今回の怪奇事件の犯人であろう人魂のような何かに手を伸ばす。

 

 

「犯人捕まえた〜!!」

 

「えっ!?」

 

 

 驚いた妖夢が振り返ると黄色い布だけを羽織った男が自分の半身に抱きついている異様な光景が映っていた。人里の連中ならばあの人魂は妖夢の半身(もう1人の妖夢のような存在)だと知っているので気にしなかったが、ねずみ男はそんな事は知らない。

 

 

「暴れんじゃねえ!!妖怪!」

 

「ちょっ、何やって──」

 

「こうしてやる!!」

 

 

 ねずみ男は飛びかかり、人魂をめちゃくちゃにする。逃げ出そうと人魂も暴れて抵抗するが、ねずみ男が摘んだり引っ張ったり握ったりするせいで上手く逃げる事はできない。妖夢は焦り、直ぐにねずみ男を止めようとした。なぜなら──

 

 

「はぅっ?!♡♡」ビクンビクン

 

 

 人魂と感覚を共有しているからだ。

 共有しているから家事を手伝うこともできるし、戦闘にも活用できる。だがデメリットもある。共有しているということは半霊が触れられた感覚は妖夢の身体にも通じてくるのだ。

 

 

「や、めぇ…っ!?」

 

 

 体を捩らせ、妖夢はへたり込む。

 ガクガクと足が震える。立っていられない。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」ガクガク

 

 

 しかしすっかり人魂を捕まえようと夢中になっているねずみ男に、妖夢の声は届かない。

 

 

「ひぅっ、ひゃっ…、はぅぅ……っ♡♡」

 

「この野郎が!!」

 

「んっ♡声が出ちゃ…うぅっ」

 

 

 このままではやばい。

 妖夢は片手で口を抑えて何とか耐える。そしてもう片方の手で刀を抜き、ねずみ男にゆっくりと向かう。

 

 

「ふー…ふー…!!」

 

「殺気を感じる?なぜに……ひゃあああっ!?」

 

 

 ねずみ男が頭を上げると、そこには荒く息を吐く少女。目をうるうるとさせ震える体を押さえつけて刀を頭上に振り上げていた。

 

 

「は…な、せぇ……!!変態ィィィーーー!!」

 

「お助けぇええ〜ッ!?」

 

 

 飛び跳ねて斬撃を避ける。

 ガクガクブルブルの妖夢の一撃はねずみ男程度でも躱せる。しかし躱した結果、人魂は抜け出すことができ、妖夢の元へ戻ることができた。変な感覚の檻から出ることができた妖夢はやっと落ち着くことができた。

 

 

「「はぁっ、はぁっ…!!」」

 

 

 ねずみ男と妖夢は互いに睨み合う。

 

 

「あっぶねえなぁっ!!俺っちがアジの開きみたいになったらどうするつもりでい!焼いてご飯と一緒に食うってのか!?」

 

「なんでそっちが怒っているんですか!!私の体中を弄る変態のくせに!」

 

「はぁ〜っ?!何を言ってんだよ、俺はお前の体なんか触ってねえよ!」

 

「触りましたよ!」

 

 

 そう言って妖夢は人魂を指差す。

 ねずみ男は何を言ってんだと怒鳴るが、妖夢は怒りながらもちゃんと説明した。人魂は自分の半身で、感覚を共有していると。ねずみ男は理解はしたが知らなかったのだから怒られるのは納得がいかない。フンっと鼻息荒くしてそっぽを向く。

 

 

「半人半霊だが何だか知らねえけど俺は悪くないね!」

 

「無知は罪とも言いますけどぉ!?」

 

「大体人魂浮かせながら、暗い顔して何度もため息ついてたら取り憑かれてると思うのが当たり前だっての!!」

 

「そ、それは…っ」

 

「ちっ!ちっちっちっ!!もう行く!あっかんべぇ〜だ!!」

 

 

 ねずみ男は妖怪の山へと走って向かう。

 妖夢は自分よりも歳上のような大きい大人が、大人気(おとなげ)なく舌を出して走り出す姿に驚き、ポカンと口を開けてしまった。

 

 

「・・・何なのよ。今日って厄日かも……」

 

 

 チラリと横を向くと団子屋があった。

 妖夢はヨロヨロと団子屋へ向かう。

 

 

「幽々子様。お土産して帰るんで……買い食いをする妖夢をお許しください。ううっ…」

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 一方、魔理沙と霊夢はお茶屋に着く。

 中ではおばさんが身体をぶるぶると震わしながら店じまいの準備をしていた。顔面蒼白で動くのもやっとのようだったが、力を振り絞り大切な店と向き合っていた。魔理沙はその姿に耐えられず大丈夫かと駆け寄る。

 

 

「おばさん!!」

 

「ま…魔理沙……ちゃん…、いらっしゃい。ゴホッゴホッ…、ごめんなさいね。もう…お店閉めちゃうの」

 

「んな事よりも大丈夫かよ!?」

 

「…え?」

 

「その顔、その声、震えてる体……普通じゃないぜ」

 

「あ、ああ…。急にね。風邪よ、きっと。……でもね大丈夫よ。……お父さんはもっと辛かったと思うから」

 

「は?何言って…」

 

「なんかね…頭ん中にね……声が聞こえてくるのよ。私がほっといたからこうなったって。私、あの世でお父さんに恨まれてると思うと怖くて……。きっとこれは罰だから。お父さんはもっと辛かったから…」

 

 

 完全におかしくなっていた。

 目も焦点が合っておらず、何を言っているのかも理解ができない。明らかに何かがあったとしか思えない。

 

 

「どいて、魔理沙」

 

 

 様子を見ていた霊夢が間に入る。

 大抵の妖怪などなら霊夢が来たら、その霊力にビビり出て行こうとするが動きがなかったので、自分から追い出すしかない。

 

 

「巫女…さ…ま…?」

 

「お祓いに来たわ。多分あなたに怪死事件の犯人が取り憑いてる。動かないで」

 

「えっ、え…!?」

 

 

 現状を理解できないおばさんの背中に護符を貼る。貼った途端に背中がモゾモゾと動き出し、鈍い声も響く。

 

 

「な、なに!?」

『ア…アア……アアア…!?』

 

「妖夢の言う通りだった・・・!」

 

「出てくるわよ、気をつけなさい」

 

「ああ」

 

 

 我慢できなくなったのだろう。

 背中から何かが飛び出した。

 その姿は薄く透明に近い体色で、髪の長い女性の形をした幽霊ようなものだった。

 

 

『アアアアァァァ〜〜〜ッ!!』

 

「こいつが…事件の犯人……!!」

 

「小さいけど妖気を感じるわ。幽霊ではなく妖怪が犯人だったようね」

 

 

 女妖怪はギロリと2人を睨みつける。

 よくも邪魔をしたな、絶対に許さない…そう言う気持ちが伝わってくるほどグググと口を曲げて怒りを露わにする。

 

 

『もう少しで…、もう少しで……この女を殺せたというのに…!!小娘どもが邪魔をしおってぇええ〜〜っ!!』

 

「うるせえ!退治してやる!!」

 

「同感」

 

 

 怒りの形相を見ても2人は怖気付く事はなかった。寧ろ、自分よりも強い殺気を感じる。そして2人の中に対する()()()が輝き始め、女妖怪は眩しそうな表情をした。

 

 

『くぅうっ、貴様らは私の嫌いな部類だ。嫌だ、貴様らは嫌だ!!キェエエエエ〜〜〜ッ!!』

 

 

 そう叫ぶと外へ飛び出した。

 あんなに怒り狂っていたのに女妖怪は逃げ出したのだ。

 

 

「なっ、なんだ!?逃げたぞ」

 

「追うわよ!」

 

「おっ、おう!おばさんは部屋の中に隠れてなよ!!」

 

 

 外へ出ると女妖怪は空を飛びながら森へと向かう。あんなに透明色な妖怪なら暗い森の中に入られれば見つけるのは困難になってしまう。更には妖気を隠せるのかは不明だが、とても微弱なやつなので、妖気を追うこともできないだろう。箒に乗った魔理沙はミニ八卦炉を取り出すと、しっかりと狙いを定める。

 

 

『ヒヒヒヒヒィィィイ〜〜〜ッ!!』

 

「あんな寒天みたいなのが、あんな事件を引き起こすなんて……!思いもしねえぜ!!──恋符『マスタースパーク』ッ!!」

 

『ヒヒヒ!!』

 

「なっ──」

 

 

 極太レーザーは真っ直ぐに飛ぶ。しかし女妖怪の体をスルリと通り抜けてし、さらに遠くの岩へとぶつかり砕け散った。女妖怪に全くダメージは無くゲラゲラ笑うと更に森へと急ぐ。

 

 

「なんだ!?通り抜けた?!」

 

「多分霊体…、もしくは霊体に近い体質なんでしょうね」

 

 

 そう言うと霊夢は魔理沙の箒を握る。

 そのままクルリと旋回し箒へと乗った。

 

 

「私の速さじゃ追いつけない。幻想郷2位のスピード久々に見せてよね」

 

「ちぇっ!一位の方が響きが良いのによ!…舌噛むなよな!!」

 

 

 一気に加速する魔理沙。たまに乗せてもらうことはあるが未だにこの速さには慣れない。乗っている霊夢は吹き飛ばされそうになるのを耐える。一方で女妖怪は森へと入りかける。だがその一瞬にして女妖怪の目の前に魔理沙たちは着く。

 

 

『はやぃっ!?』

 

「よっしゃ!今だぜ、逃すなよ!」

 

「誰に言ってるのよ。フッ!」

 

 

 

 

──タタタタンッ

 

 

 

 

 

『あぎゃっ!?あっ、ああっ、動けないぃぃ!?!?』

 

 

 女妖怪の全身を退魔針が貫く。

 霊体さえも突き刺してしまう針ならば、如何に薄くて半透明な女妖怪の体質であろうとも捉えてしまう。霊夢が投げた数十本の針が女妖怪を木に貼り付けにした。

 

 

『ヒィイイ……』

 

「やったな、霊夢!」

 

「あとは封印するだけね」

 

「任せるぜ。私は退治専門だからな」

 

「はいはい。……?あれ?」

 

「どうした?」

 

 

 霊夢は自身の衣類の中に手を突っ込み護符や封印札を探す。出かける時は必ず数十枚は持ち歩くというのに袖の中等を探っても、どこにもなかった。

 

 

「護符が無い…」

 

「えっ!?何で!?」

 

「・・・はっ!まさかアンタの箒に乗った時に飛んで行ったんじゃ……!!」

 

「ま、マジかよ。里に戻って探しに行くか!?」

 

「探すよりも博麗神社に戻って取りに行った方が早いわよ。あー、もう!アンタがあんなに飛ばすから!!」

 

「はぁーっ!?お前がスピードを見せろって煽てるからだろうが!!」

 

「加減しなさいよ!!」

 

「何だとォッ!?このわがままグータラ巫女!」

 

『・・・』

 

 

 ある程度口喧嘩をすると魔理沙はアカンベェと霊夢にして、フワリと空に飛ぶ。

 

 

「そんなに文句言うなら私が取ってきてやるぜ!!グータラ巫女じゃ私よりも早く飛べないし、ここで待ってるんだな」ベー

 

「待ちなさい!!どこに置いてあるか知らないでしょ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして誰もここに居なくなった。

 2人は里を超えた先の妖怪の森の木でもあり、妖怪が触ればダメージの喰らう退魔針だから抜かれる事はないだろうと油断していた。

 

 

「あー…あんな小娘に構ってたら余計に腹が減ったよ。ちくしょー」

 

 

 だが、この森へと簡単に来れて、この針を抜けてしまう男が……女妖怪の元に近付いていた。腹を空かせたその男はグゥグゥと腹を鳴らせながら森の中に入っていった。

 

 

「大体その怪奇事件の犯人ってまだ幻想郷にいんのかよ。俺が探しても見つけられないんだからいるわけねえよ…」

 

『・・・』

 

「んっ?こりゃあなんだ?」

 

 

 少し入ると、ねずみ男は木に何か刺さっているのが見えた。近づいてよく見るとそれは針に刺さっており、青白くプルプルとしていて寒天?透明なキクラゲ?ゼリー?のように見えた。

 

 

「この針…、霊夢のやつのじゃねえか。何でそれが刺さってんだ?」

 

『・・・』

 

 

 ねずみ男はそのプルプルとした物に触れる。

 ヒンヤリとしていて匂いも特にない。少し考えてから、ねずみ男はニンマリと笑う。

 

 

「よく分かんねえけど…、あの貧乏巫女のことだ。こっそり美味しいものを見つけて、干物にでもしようとしたんだな。セコイ奴だぜ。独り占めしようとするなんてよぉ。年長者を敬う気を感じられないナ」

 

 

 そして悪い顔をしたねずみ男は針を一本、また一本と抜き始めた。彼の口からは涎がこぼれ落ちる。

 

 

「ンフフフフフフ♪俺様が先に食っちまうか!!」

 

 

 そう言って針を全部抜く。

 そしてガシッとプルプルしたものを掴むとムガーッと食べてしまった。食感は意外とコリコリしていて食べ応えはある。

 

 

「あぐっ、むぐぐぅっ、・・・こりゃあ美味え!!この食感に、このほんのりとした甘み……間違いねえ、クラゲの干物だ。ラッキー!!」ムシャムシャバクバク

 

 

 あっという間に食べ尽くす。

 結構大きかったが腹が減っていたこの男にとっては前菜程度。食べ終わると満足そうに膨れるお腹を撫でたり、ポンポンと叩く。

 

 

「かぁーっ、久しぶりに腹一杯になった!」

 

『ヒヒヒ…』

 

「?」

 

 

 何処からか声がした。

 しかし誰もいないので風の音か疑っているとブルリと体が震えた。もうこんな時期だ。そりゃあ寒くなるだろう。

 

 

「……なんか急に冷えてきたな。団子屋で熱いお茶でも飲んでから帰るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く…。

 

 





 今回の妖怪だーれだ!
 ここの読者様たちなら簡単ですね。


 
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