ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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こんにちは、狸狐です。

 この前、調布に行きました。
 水木しげる先生100周年イベントでめちゃくちゃ盛り上がっており、雨でしたがすごい人気でした。

 ショップでめちゃくちゃ買っちゃいましたよ。
 ポスター、ぬいぐるみ、クリアファイル、DVD等々。

 次は鳥取に行きたいです!!














まみえる

 

──博麗神社。

 

 

 

 

「記憶・・・?そ、そんな事言われても、俺は貴女のようにお美しいお方を知りませんよ」

 

「・・・」

 

 

 その言葉に嘘はなかった。

 今まで色々な女性に会ってきた。中には本気で愛した人もいれば騙し騙された関係のものだっている。意外と言われるかもしれないが、特に美しかったり、愛したり、怖かったりと強烈な思い出がある女性は忘れたことはない。目の前の女性は西洋風の金髪に、男としては涎もんのグラマラスなボディをしていて、一度会っていたなら忘れないだろう。

 

 

「・・・?」

 

 

 黙って見つめ合う。

 1人は美人に見つめられて照れつつも疑問を浮かべており、もう1人は懐かしい思い出を思い出しているかのような哀愁を含んだ瞳をしていた。何分経ったのかは不明だが、その2人に神社から出てきた霊夢が近づく、

 

 

「何やってんのよ2人とも」

 

「霊夢ちゃん!いやぁ〜何か訳あり美女と出逢っちゃって……むっ!そうだ、俺は震々に変な世界に連れてこまれて……魂抜かれて…それで、それで…どうなったんだ?」

 

「妖夢が妖怪を倒して、あの世界からこの“(ゆかり)”が助け出してくれたのよ。まぁ、あんなに呑気に寝てたら覚えてないか」

 

「魂を抜かれていたやつに何て冷たい言い方だ。それにしても・・・」

 

 

 霊夢の隣にいる確か紫という名の女性が助けてくれたのか。どこからどう見ても、ここにいる人の中では一番気品に溢れておりカリスマ性の強さから紫という存在は偉いのだと察する。ねずみ男はニッコリと笑い、頭をペコペコと下げる。

 

 

「霊夢ちゃん。俺、紫…さんの事をよく知らないんですが……」

 

「だってよ、自己紹介したら?」

 

「そうね。……ねずみ男さん。私は幻想郷の創造主の1人にして、妖怪の賢者『八雲紫(やくもゆかり)』ですわ。お見知り置きを」

 

「さっきからすごい見つめ合ってたけど。なに、あんたら知り合いだったの?」

 

 

 途中から来た霊夢は2人の事情を知らない。

 まぁ、ねずみ男も何も覚えていない。だからこの中で唯一何かを知っている紫だけであった。

 

 

「いや、俺も何も覚えてなくて…」

 

「無理に思い出さなくても良いですわ。閉した記憶の扉はこじ開ける物ではないですから」

 

 

 紫は淡々と言った。知り合いだというのに敢えて関わろうとしていないようにも見えた。だが紫と長い付き合いの霊夢はその冷たさの中にも暖かさは残ってはいる事を感じた。何故なら紫は興味のない相手や敵には無視をしたり、相手にしない。言葉も義務的になる。だがねずみ男にはそんな事をしなかった。気にかけているのか何度も彼の方をチラチラと見ていた。

 

 

「・・・っ」

 

 

 しかし我慢できなくなったのか。

 紫は不自然にも分かり易いように大きく息を吸って、また大きく吐いた。そして座り込んでいる彼に視線を合わせるようにしゃがむと言った。

 

 

「でも……随分と大きくなったのね。元気そうで良かった」

 

「大きくなったって、まるで俺がガキの頃からの知り合いみたいじゃ・・・」

 

「……あっ」

 

 

 “大きくなった”。

 “良かった”。

 聞き慣れない言葉に笑うが、目の前の女性はまずい事を言ってしまったという表情をしており、ねずみ男も段々と笑みは消えた。幼い頃からの知り合いだというのならその頃の記憶を辿れば良いと昔を思い出そうとした。しかしそこで感じた異変。

 

 

「あ、れ?」

 

 

 戦前も戦後も覚えている。

 色々な妖怪と共に悪どい商売もした事だって覚えている。その度に鬼太郎に助けられて、猫娘に引っ掻かれて、目玉おやじに説教されて、またインチキ商売を繰り返した。それなのに、

 

 

「俺のガキの頃ってどんなだったっけ?」

 

 

 記憶の欠落。

 人間で例えると3歳から6歳程度の年齢の時の記憶が欠落していた。しかしその後はしっかりと覚えている。人間にも妖怪にも媚を売って必死に生きてきて、海外で一儲けしようと思って行ったら吸血鬼に出会って召使いになって、その後に鬼太郎に出会ったんだ。

 

 だがその欠落は、もう少しで思い出せそうとか、色褪せた記憶、頭の中に霞がかるといった表現とも合わない。記憶という直線の道があるという表現をした場合、その道の途中にぽっかりと大きな穴が空いているような感覚だ。幼い頃の記憶が何も無かった。

 

 

「思い出せない…。あれ…、俺はどうやって育ってきたんだ?」

 

「こほん……。魂を抜かれたせいで記憶の方に問題があるようですね。ご自宅でゆっくり休んだ方がいいですわ」

 

「待ってくれよ、あんた何か知ってんだろ!?あの狐の姉ちゃんも俺のことを知っているようだったし、俺はアンタらと…、この幻想郷と何か関係があるのかよ!?」

 

「ではご機嫌よう」パチン

 

 

 指を鳴らす。

 直後にねずみ男の足元の空間がパカっと開き、彼は落ちて行った。紫の能力は『境界を操る程度の能力』であり、今のはその一端である。境界を切り、繋げることで、隙間を作り出し、そこを通して対象を自由な場所に移動させられる。今頃ねずみ男は自宅で転がっているだろう。

 

 

「うわぁああああーーーっ!?なんだってんだよぉーーー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ」

 

 

 ねずみ男が居なくなり、ホッと一息つく。

 冬だというのに汗をかく紫は扇子で仰ぐ。余程何かに緊張していたのだろう。

 

 

(私としたことが……失言をするなんて…。あれでは思い出して欲しいと言ってるような物じゃないっ)

 

 

 その様子が霊夢は引っかかった。

 普段なら見れないほどの焦り様に、無理やりねずみ男を突き放す言動。何か隠している様にしか見えない。

 

 

「なんか今日暑いわね。おほほ…」

 

「紫。あんた…」

 

「なっ、何よ」

 

「ねずみ男の記憶を弄ったわね」

 

「そっ、そんな訳──…やっぱり分かりやすかったわよね。はぁ」

 

「あんたらしくないわよ」

 

 

 紫は縁側の方に周り、座る。

 昼間だというのに全然寒かったが、紫の方は涼しそうだった。霊夢は厚着を決め込む。異変でもない限りは基本的に冬は半纏を身につけている。注いできたお茶を手渡し、隣に霊夢が座る。

 

 

「はい」

 

「珍しいわね。いつもは直ぐ帰れって言うのに」

 

「ふん。ただ目の下の隈も酷いし、ここ最近姿を見せなかった。冬眠まではまだ先でしょう。お得意の読めない表情も作れていない。・・・よっぽど疲れてるみたいだけど何かあったの?」

 

「あらぁ?心配してくれるの?」キャー

 

「別に。ただアンタが倒れたら、その仕事とかが私や藍に回ってくるから面倒だと思っただけよ」

 

「ふぅん…。ズズ……美味しい…」

 

 

 霊夢にとって八雲紫とは『育て親』だ。

 博麗の巫女の一族には血の流れはない。今の博麗の巫女が死んだ際にその後継者として、八雲紫が霊力のある()()()()()()()()。八雲紫と博麗の巫女がいるからこそ安全に成り立つ幻想郷にとってはやらなければいけない事だ。霊夢も例外ではない。物心がつく前に攫われて、先代に鍛えられて、死後は紫に面倒見られる。

 

 基本的に他人に興味や関心のない霊夢でも多少は紫に対して思うところがあるのだろう。彼女なりに気を遣っていた。

 

 

「実はね、博麗大結界に本当に小さいけど綻びや穴が見つかってね。原因を探っていたんだけど中々手強くて」

 

「最近、幻想郷にいなかった筈の妖怪が現れた事は知ってる?」

 

「ええ。藍から逐一連絡は来てて、知ってはいたわ。何もしなかったのは申し訳ないけど」

 

「そこは気にしてない。あの程度、幻想郷に住む者たちなら余裕で対処できるから。紫も分かっているから敢えて何もしなかったことくらいは想像つくわ。・・・その妖怪たちは関係してないの?」

 

「多少は関係していると思う。でも大抵が“気づいたらこの世界に居た”と言ってて被害者寄り。自分から望んできた震々とかは話を聞こうにもやられちゃったし結局真相は闇の中よ」

 

「分かった。…私の方でも調査はしてみる」

 

 

 両者ともお茶が飲み終わる。

 茶菓子は勿論無い。

 

 

「それと、ねずみ男とはどういう関係なの?」

 

「やっぱり聞くわよね…」

 

「勿論。気になるじゃない」

 

「・・・しょうがないか」

 

 

 紫は隙間に手を入れて古い写真を取り出した。

 それを霊夢に見せる。

 今よりもほんの少しだけだが若く服装も派手目な紫と藍。そして紫の足元には彼女のスカートの裾を握りながら不安げにカメラの方を見る小さな男の子の姿が映っていた。

 

 

「これ…!もしかして、ねずみ男!?」

 

「そうよ」

 

「へー…小さくてもネズミみたいな髭生えてたのね。歳とかは関係なかったのか。・・・えっ、待って。そうなるとアイツって幻想郷出身ってこと!?」

 

 

 霊夢の答えに紫は少し笑ってから、首を横に振る。

 

 

「少し違うわ。ねずみ男は外生まれよ。私たち賢者が幻想郷を創った際にね、住人を外から集めようという計画を立ててね。創ってから数百年後くらいにゴミ箱の中で見つけたのよ。……赤ん坊ながらに人間にも、妖怪にも、両親にも必要とされず()()()()()()()()。それが彼なの」

 

「捨てられた…」

 

「半妖だし、まだそんなに住人も居なかったから初めは興味本位で拾ってね。大変だったわ。赤ちゃんなんて育てたことなかったけど、必死にね。私と藍で6つになるまで育てたわ」

 

「なら記憶を消す必要なんかないでしょ。それに外に追い出すなんて…」

 

「私だってそんな事したくなかった。何年も一緒にいたのよ、もう家族の一員だった。でも・・・」

 

 

 次の言葉が聞こえない。

 普段はあまり他人に興味を持たない霊夢もここまで聞いたなら最後まで聞きたいと思い、紫の顔を見た。その表情には続きを話そうという気は感じられなかった。

 

 

「霊夢」

 

「ええ」

 

 

 何故なら、続きを話している“暇”は無さそうだったからだ。何か大きくて邪悪な気がゆっくりと近づいてきているのを感じた2人は直ぐに縁側から移動し、社殿の方に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

『ここが博麗神社ネ。長い階段を登らせた割には、ケッコー(ちぃ)ちゃいネ』

 

『あらあら。人も建物も中身が肝心よ』

 

 

 鳥居の下で立っていたのは2人の男女。男の方は三つ編み、糸目で、チャイナ服に黒色で丸い形のサングラスを身につけていた。女の方は髪の毛から足先まで青色で、髪の毛には簪をつけていた。どちらも幻想郷では見ない二人組である。

 

 

「小さくて悪かったわね」

 

 

 霊夢の言葉に2人は反応する。

 その余裕たるは幻想郷最強の2人を相手にした者とは思えないほどで、男の方は敵対する気はないと言わんばかりに手を振っていた。

 

 

『オー!你好(ニーハオ)!君が霊夢だね!そして隣のは賢者の紫!ご主人から2人の話はよーく聞いてるヨ』

 

『あらあら、これは嬉しい誤算ですね。本日は巫女様しか会えないと思っておりました故、賢者様と話せるとなると手間が省けます』

 

 

 丁寧な口調だが邪悪な気は消せていない。このような見え透いたような腹黒さは幻想郷では見たことがなかった類である。

 

 

「お二人とも幻想郷の者ではないですわね。それなのにそちら様は我々を知っている。・・・一体何者でしょうか?私、争い事は好みませんの。素直に教えてくださるかしら?」

 

『あらあらうふふ、怖い怖い。そう怖い顔をしなくてもちゃんと名乗りますわよ』

 

 

 脅しにまるで動じない。紫は心の中で舌打ちをする。強者というのは互いに見合うだけで力量を察することができるという。つまりこの2人も強者ならば紫の実力は察している筈だ。だがそれでも軽口や飄々とした顔を崩そうとはしなかった。

 

 

『我々は妖怪革命軍から来た使者ですヨ。因みに僕の名前は窮奇(きゅうき)。よろしくアルねェ〜』

 

『私は霍青娥(かくせいが)と申す仙人です。よろしくお願いしますね』

 

「それで…、その解放軍のお二人が何のようかしら?」

 

()()()()()()()()()を教えて欲しいんだヨッ!』

 

「・・・ほお」

 

 

 紫は口元を扇子で隠し、冷たい瞳を向ける。霊夢もゆっくりと払い棒を取り出した。戦闘態勢に入る2人。完全に敵対者と断定した。

 

 

『あらあら愚直すぎます。窮奇は黙っていなさい…』

 

『ちぇっ』

 

『賢者様、巫女様、ご無礼をお許しください。窮奇は頭も言葉も少し足りないのです』

 

 

 紫としてもあまり争いたくは無い。

 少し自身を落ち着かせる。

 

 

『賢者様、我々は争う気はありません。ただ交渉をしに来たのです』

 

「交渉ねえ」

 

『はい。我々は大結界を破壊し、この世を妖怪だけのものにしたいのです。つまり敵ではなく味方。寧ろ我々の思想は賢者様と似ていると思います』

 

「訳がわからない。結界の破壊と妖怪がなぜ繋がるといえるのだ?」

 

『我々、革命軍の“リーダー”にはとある思想があります。それは()()()()()。賢者様が妖怪の【保護を目的】として幻想郷を創ったように、我々は力で妖怪たちの【権威を取り戻したい】と考えております』

 

 

 隣で窮奇は薄ら笑いを浮かべながら頷く。

 

 

『ご存知かと思いますが、今外の世界では人間が増え続けております。更には科学が進むにつれて妖怪の棲家は無くなるどころか、愚かにも人間たちは今戦争ばかりして、自分たちの暮らす場所さえも消そうとする始末。このままでは妖怪たちはいずれ消えてしまうでしょう。ですからこの地球から害なる人間を滅ぼし、妖怪だけの楽園を作らなければなりません。全ては妖怪の為なのです。力をお貸しくださりませんか。力を貸してくださった暁にはかなりの地位は約束します』

 

「・・・確かに妖怪たちを守るという部分では目的は同じようですわね」

 

『では!』

 

 

 ぴしゃりと扇子を閉じる。

 

 

「ですが、それならばそのリーダーに“幻想郷は全てを受け入れる場所”だと、こちらに“妖怪たち全てを移住させても良い”、と伝えなさい。大体人間と妖怪を争わせたところで憎しみの連鎖は消えません。幸せのために争うのなら人間と同じではないですか。こちらに入り保護されるべきでしょう」

 

 

 紫は妖怪たちを守るために幻想郷を創った。人間が増えた事や人間が犯した罪に文句はない。ただ彼らのせいで居場所を失った者たちが安心して行ける場所を求めた結果がここなのだ。つまりリーダー側と幻想郷側の目的は同じだが手段は全く別なものであるということだ。

 

 

『あらあら。賢者ともあろうお方が逃げの一手しかないとは肩書きが泣いておりますわ。勿論外での生活は保証しますのよ?』

 

「我々の生活はここですわ」

 

『奪われたのなら奪い返すのがこの世の理だとご存知で?』

 

「うふ。それじゃあ獣と同類では」

 

『あらあら。では交渉決裂ですわね』

 

 

 厳しい空気が漂い、交渉の舞台は緊張感に包まれていた。言葉のやりとりは冷えきり、先に進む感情は微細な線にすぎない。その瞬間、両者の視線が交錯し、交渉の糸が切れたかのような静けさが広がった。

 

 

「・・・話し合いは終わったの?まっ、私はなんだって構わないわよ。巫女として幻想郷に仇なすなら徹底的に祓うまでだから」

 

『おー!やっちゃうネー!』

 

 

 霍青娥は簪を抜き、目の前の空間に突き刺すような仕草をする。するとポッカリと透明な円形の空間が開いた。博麗神社に進む際、鳥居より先に進めるのは悪き心を持たない者とされている(例外はいるが)。邪悪な物は結界に阻まれ弾き返されるが、その結界に穴を開けて2人は入ってくる。

 

 

(大結界にちょっかい出してたのはあの女か)

 

 

 霊夢は護符を数枚取り出した。

 

 

(外から中に入れるなら、どちらかが紫みたいな“空間の能力”持ちかと思ったけど、なるほど。霍青娥(あのおんな)の能力で入れるようね。手の内がわかった今、注意すべきはあの男の方か)

 

 

 即座に霊夢は理解する。

 しかし彼女に焦りはない。

 

 

(まぁこの程度なら私の出る幕はないでしょうけど)

 

 

 何故なら自分の隣には、化け物がいるのだから。彼女は向かってくる窮奇に対して鋭い視線を向けてから一言呟いた。

 

 

「頭が高い」

 

『!?』

 

 

 窮奇はその場で崩れ落ちる。

 そしてベタンと地面に倒れるような姿勢になり、立ち上がろうにも立ち上がれず、段々と重くなり地面にめり込むように潰れていく。

 

 

『オ…ッ』

 

「そのまま往ね」

 

 

 ミシミシと音を立てる体。

 窮奇の身につけているサングラスは既に粉微塵だ。限界も留めていない。その負荷が全身へと巡っており、立てるわけがない。

 

 

(まぁ…想定内。では私も動きますか)

 

 

 音を立てて潰れていく窮奇に冷たい視線を送る霍青娥。八雲紫は一歩も動かず、指先一つでさえ使わない程の実力者であることはこれで確認できた。それならばと──。

 

 

『下法「死体御遊戯(シートーヨシーフー)」』

 

 

 呪文を唱えると、地面から棺が現れた。

 少しほど中が揺れたかと思うと棺を突き破り、化け物が飛び出した。継ぎ接ぎだらけの身体に人間よりも圧倒的に巨体で頭部の部分が大きな口になっている。腹部に目玉や鼻などが付いていた。死臭を纏わしながら頭から涎を垂らす姿に知性は感じられなかった。

 

 

「アンデッド……いや、僵尸(キョンシー)か」

 

『これぞ、神秘の仙術!ゴー!ゴー!キョンシー♡♡』

 

 

 固まった体を無理やり動かしているようでギギギと鈍い関節を動かす。そのぎこちない動きで周囲をキョロキョロと見まわしていたキョンシーだったが、紫の姿を捉えた途端、唐突に動きを変える。急にピタリと動きを止めたかと思えば、前のめりになりながらも勢いよく駆け寄ってきたのである。

 

 

『ガババババァァァーーーッ!!』

 

 

 奇声を上げながらも駆け寄ってくるキョンシーを見て、動いたのは紫ではなく霊夢だった。無策にも突っ込んでくるキョンシーに向けて思い切り顔面へ蹴りをお見舞いする。ズンッという鈍い音と共に蹴り飛ばされた。

 

 

「私を無視すんじゃないわよ」

 

『パパパッ!!』

 

 

 奇声を止めずに立ち上がり叫ぶ。

 ダメージはない。腹部の目玉がギョロギョロと動き、霊夢を見定めると獣のような咆哮をあげて走り出す。

 

 

「あら、首を折ったと思ったんだけど」

 

「霊夢。そいつは死体よ。上手くやりなさい」

 

「なるほど…ねっ!!」

 

『ギィッ!?』

 

 

 しゃがみ込み、足を払う。

 重心がずれて体は一瞬宙を舞い、重力に引っ張られて地面に落ちる。メギィと音を立てて倒れた所にすかさず霊夢は護符を貼り付ける。邪悪な気は消され、キョンシーは何かに対抗するようにバタバタと暴れたかと思うとピタッと動きを止めた。

 

 

「次はアンタよ」

 

『あらあら。まだ一体倒しただけですよぉ』

 

 

 気づけば10体ほどのキョンシーの群れに囲まれていた。全員が先程のキョンシーとは違う容姿をしており、筋肉に特化している物もいれば触手だらけもいる。肉食獣のように四つん這い、翼の生えた鳥のような姿もいた。

 

 

『もう少しこの子達のお遊戯会を楽しんでね』

 

「だっっっっる」

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 今日は風が強い日だ。

 

 

 

『ギッ…ヒィ…ヒヒ』

 

「・・・」

 

 

 紫の目の前で窮奇は笑っていた。とてつもない重力で潰されかけているのにニタニタと笑っている姿はどこか不安を駆り立てる。しかし紫にとっては、窮奇のそれは瀕死になりかけの動物が少しでも抵抗するかの如く小さな物だった。潰れなくても動けない時点でこちらの有利に変わりはない。こんなに呆気ないと思わなかったので手持ち無沙汰となるが、ならばあの霍青娥という女をやってしまうかと意識をそちらに向けた。

 

 

 

──ざくり

 

 

 

 

「あら」

 

 

 意識を向けた瞬間に、背後から自身の背中に鋭利な刃物が突き刺さった。血が衣服に染みていく。刃物を抜こうと背中に手を伸ばすが、既に刃物は消えていた。

 

 

『油断したなぁ?』

 

「ふふ、窮鼠猫を噛むと言ったところかしら。でもごめんなさいね」

 

 

 傷口に手を触れる。

 一瞬にして傷は無くなり、衣服についた血の滲みも消え去る。彼女にとってこの程度は油断するしないに関係ない。

 

 

「ご覧の通り、無意味になってしまって」

 

『マジかー…。厄介な力だネェ…。まぁ、大丈夫でしょ(モーマンタイ)

 

「それはどうかしらー?」

 

 

 更に重力を強めると流石の窮奇を声を出せなくなり、ぐちゃっという肉の潰れる音と共に圧死した。肉片が飛び散るが、それらも重力で散り散りになってしまう。1人がやられたところで紫は現状を分析した。相手は大した事ないと。この分なら革命軍はリーダーとやらに唆された不良集団ぐらいだと考えた。

 

 

(この方々は革命軍とやらの下っ端ってところね。挨拶に来たようだけど…この程度ならたかが知れてるか)

 

『また油断したニャ』

 

「!!」

 

 

 潰したはずの相手が背後にいた。

 ゆらりと幽鬼のように忍び寄り、風が吹いたかのように俊敏な動きで奴は立っていた。窮奇の両腕から指先までが()のようになり、その漆黒の爪を振るう。

 

 

凶牙砕(きょうがさい)…ッ!』

 

 

 鋭利な爪が紫を襲う。

 上から下へと振り下ろされた邪気を纏った爪の威力は凄まじく、紫だけではなく彼女が立っていた地面さえも抉ってしまい、硬い地面に爪痕が残る。

 

 

(柔らけえ・・・!?攻撃が入った感覚がまるでニャい!?)

 

 

 巻き起こる砂煙。

 晴れた先にはノーダメージな紫の姿。窮奇の感覚に間違いはなく、確かに攻撃はしたものの彼女に攻撃を与えられた実感だけは感じない。あの時は確実に突き刺せたというのに、今回は完全に防がれてしまった。

 

 

『胸でも触っちゃったカァ?』

 

「ご安心を。余所者に触らすほど軽くないので」

 

『じゃあ次は触ろっかな。ゲヘヘ』

 

「……今度は確実に殺しましょうね」

 

 

 周囲が、変異する。

 その二人の周囲で、空気が濃さを増す。

 重力は強くなり、綺麗だった山々が見える風景は歪み、近くで霊夢たちが戦っているはずなのにその音は遠くなる。段々とこの空気に粘性を帯びた殺気が満ちる。

 

 

『や、ば──…とっ、饕餮(とうてつ)ぅっ』

 

 

 あの巫女を最強とまで呼ばれるように鍛え上げたのは八雲紫だ。つまり彼女も戦闘能力は桁違いである。何か呪文のようなものを唱えて、全身が岩のように黒く硬く変化する窮奇に向かって、体の勢いを片足一本に流し、地面が爆発するほどの勢いを伴う直蹴りを放つ。

 

 

『ごべばぁっ!?!?』

 

 

 ヒビが走る。

 血が吹き出す。

 叫んだところで耐えられるはずも無く、膝を屈し、腰を折り、その体が沈み、顎が地につくほどに体を折りたたむ。

 

 

(倒れないか。けど骨と内臓は全て壊れた…)

 

『うぐぐぅ……ぐぷぅっ、ごぽっ…』

 

 

 窮奇の腹部が大きく膨れ上がる。

 その膨らみが胃を上がり、食道を進み、喉へと動く。蛇が自分よりも大きな獲物を飲み込むシーンの逆再生のようだ。何かが動く度にひび割れた体の表面から血液がドクドクと流れ出るが、お構いなしに上がっていき、窮奇は吐き出す。

 

 

『おええええ〜〜〜ッ!!!!』

 

 

 それは唾液に塗れた紫色な球体。

 大きさは1メートルくらいで表面には人間の口が大きく開いており、パクパクと開いたり閉じたりしている。

 

 

餓鬼球(がきだま)ぁぁぁ〜〜〜っ!!』

 

「うっそ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

 既に殆どのキョンシー達は護符を貼られ、地面にゴミのように転がっている。何も無くてある意味綺麗だったといえる博麗神社の敷地内は地獄絵図のようだ。石畳の地面や鳥居、賽銭箱には血液がべったりと塗れており、至る所に死体達の肉片が散らばっている。その中で霊夢は血に濡れながら立っていた。10体ほどの異形達に囲まれ、時折手足に爪や牙で切り傷を付けられるが気にする事なく返り討ちにした。

 

 

『この子達を作るのに結構かかったのに、こんなにもあっさりとやられるなんて…』

 

「ごめんなさいね。簡単に倒しちゃって」

 

『あらあら心配無用ですよ。この子達の強度のレベルが分かったのでこれは嬉しい結果です。うふふ』

 

「んー、けど分かったところで無駄じゃない?」

 

『なぜ?』

 

「ここでアンタは倒されるから」

 

『あらあら…貴女って本当に面白いわねェ。でも…』

 

 

 直後。空の上から、何かが勢いよく飛び込んできた。

 響く鈍い轟音。巻き上がる砂埃。ゆらりと立ち上がる人影。霊夢の目の前に突如として現れたのは、当然ながら新たなキョンシーだった。今までとは違う少女の姿。額にはお札が貼ってあり、肌は灰色。焦点もまるで合っていない瞳を、ギロリとこちらに向けてきて笑う。

 

 

『倒されるのはそっちかもね』

 

『うー!』

 

「どんだけい──ぐっ!!」

 

 

 あどけないキョンシーの不意打ち。

 風が唸りを上げ、キョンシーの膝が空気を裂いて霊夢の顔面に迫る。その瞬間、鋼の衝撃が霊夢の頬を襲い、息をのむような痛みが全身に響く。飛び膝蹴りだった。霊夢は背後の賽銭箱に直撃。轟音と共に崩れ落ち、破片が空に舞い散る。霊夢は血しぶきを纏いながら、地にひれ伏した。

 

 

『キャー!カッコイーッ!!♡♡♡…はっ、カメラ忘れちゃったぁ……』

 

『このていどかー?』

 

 

 ブンブンと肩を回すキョンシー。

 鼻や口から流れる血を拭い、霊夢は立ち上がる。口に溜まった血をペッと吐き出した。そしてニッコリと笑みを向ける。

 

 

「この程度か?」

 

 

 動物界において笑顔とは友好の証ではない。口内の牙を見せて、噛みついてやろうかと脅す攻撃の証だ。人間はやらないと心理学者は言っていたが、今それが覆る。霊夢の見せた笑顔こそ、他の肉食獣にも勝るほどの攻撃性を示していた。

 

 

『おー立った立った。じゃあもう一回行くぞー』

 

 

 今度は助走をつけて走るキョンシー。

 青娥は笑う。

 この【戦闘型キョンシー製造番号01 : 宮古芳香(みやこよしか)】は青娥の作り出したキョンシーの中で最もお気に入りであり、最強の人造妖怪である。その華奢な肉体には成人男性の筋肉量約10倍もの筋肉が詰まっており、格闘スキルも脳内にインプットされている。耐久性にも優れ、伸縮自在の関節によりどの方位からの攻撃にも対応できる優れものだ。つまりめちゃくちゃ強い。

 

 

(今までの人造戦士(キョンシー)は博麗霊夢の戦闘法を引き出し、芳香にインプットさせるために用意したに過ぎない。この子が切り札よ。うふふふ…!!)

 

 

 目を閉じて作った時や一緒にいた時を思い出す。親バカだと笑われるかもしれないがしょうがない。手塩にかけて作った愛する我が子だ。他の有象無象よりも勝る子を愛さないわけがない。

 

 

『さぁやっておし──』

 

 

 

 

 

──ドンッ…

 

 

 

 

 

『ま"ぃっ──』

 

 

 足元にその愛する我が子が無惨に転がっていた。両目に針が突き刺さっており、額のお札の上には護符が更に貼り付けられ、胸部が踏みつけた時の空き缶のようにべっこりと凹んでいた。あの一瞬で視界を奪い、肋骨を全て折るほどの一撃を与えられた事に驚くと共に全身にゾクゾクと不安と恐怖の震えが走る。

 

 

『芳香ァァァーーーッ!?!?』

 

『やーらーれーたー』

 

『なんて酷いことを…!だ、だだ、大丈夫よ、直ぐに直してあげるからね…!!』

 

「あらぁ…初めて焦ったんじゃない?」

 

『このサディストっ!鬼畜っ!悪魔っ!!』

 

 

 パチンと、青娥が指を鳴らす。

 すると突然神社内の空気が重くなり、肌をピリピリと擦るような嫌な感覚が霊夢に襲い掛かった。術か何かをかけられたのかとも思ったが、しかしどうやらそれは思い違いだったらしい。特に身体には異常は感じられないし、何か妙な事をされたような感覚もない。

 

 

(へぇ、鳥居の結界を改造したんだ…)

 

 

 目の前では青娥が必死に芳香を直そうとしていた。

 

 

(ただの死体操術者(ネクロマンサー)ってわけじゃないんだ。三下かと思ったけど…)

 

 

 隙だらけの霍青娥の方へ手を伸ばすが、見えない壁のような物が立ち塞がり行く手を阻む。更にはその壁に触れると強めの電撃が手を始めに全身へと走った。あのピリピリと擦るような感覚の正体はこれだろう。

 

 

『窮奇ぃっ、退却よ』

 

『はっ、はぁ、(ハオ)〜ッ』

 

 

 隣を見ると紫の姿は無く、全身傷だらけ、血まみれの窮奇だけが立っていた。青娥の命令を聞くと返事をする。その瞬間に突風が巻き起こる。土煙が舞い、視界が遮られる。気づけば邪悪な気配は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 土煙が落ち着く頃には両者の姿はどこにも無く、散らばっていたキョンシーの肉片も全て消えていた。立つ鳥跡を濁さずとはこの事だろう。

 

 

「…この血飛沫も片付けてから行きなさいよね」

 

 

 霊夢の背後で隙間が開く。

 大体気配で察知できるので霊夢は基本的に驚かない。振り向くと少し衣服がボロボロの状態の紫がペロッと小さく舌を出して笑う。

 

 

「あら居ない」

 

「逃げたのよ。尻尾巻いてね」

 

「霊夢が居たのに逃げ切れるとはやるわね」

 

「感心してる場合じゃないでしょ。何で途中で居なくなるのよ。アンタが居れば本当に逃げられないってのに。見なさいよ、この賽銭箱…。治さなきゃいけないじゃない」

 

「ごめんなさいね。…うふふ、寂しかった?」

 

「はっ、まさか」

 

「霊夢なら余裕でいなせるもんね。…でも、あの男。まさかこの神社に【餓鬼道への出入り口】を繋げるとは思わなくて。処分するのに手間取っちゃった」テヘペロ

 

 

 紫との戦闘中に窮奇は餓鬼球と呼ばれる球体を口から出した。その球の持つ気配、邪悪さ、これまでの戦闘経験、長年生きてきた事により得た知識から直ぐに『現世と餓鬼道を繋ぐ扉』だと判断し、このままでは餓鬼道にいる貪欲な餓鬼達が溢れ出してしまう事を予想した紫が外の世界のとある活火山内に処分した事により事なきを得たのである。

 

 

「それにしても革命軍か。厄介な奴に狙われちゃったわねぇ」

 

「……でも神託の内容が段々と見えてきたわ」

 

「神託。藍から内容は聞いたわよ。幻想郷に未曾有の事態がやってくるという内容だったかしら」

 

「ええ。そしてその内容こそが…奴らの目的は博麗大結界を破壊し中と外を繋げる。そして人間と妖怪を争わせて、人間側を滅亡させる事っぽいわね」

 

 

 巫女だからこそ神と対話できる。

 その際に伝えられた神託の内容がはっきりと分かってきた。確かに幻想郷の存在自体を揺るがす物であり、早急に何とかしなければならない事である。そしてその解決するための対策のキーポイントになるのが──。

 

 

「鍵は“ねずみ男”、か」

 

「・・・」

 

「紫。私も知らない大結界の“解き方”を知っているのは幻想郷を創ったアンタと初代博麗の巫女だけよね」

 

「ええ」

 

「そして記憶を失ったねずみ男。……もしかしてアンタが家族とまで言ったアイツの記憶を奪い、外に捨てたのは……もしかして…」

 

「霊夢」

 

 

 霊夢の唇に手を当てる。

 

 

「詮索は無用。・・・話すべき時が来たら言うからそれまでは我慢よ」

 

「・・・」

 

「物分かりがいい子は好きよ。ふふっ、とりあえずお掃除しましょうか」

 

「……ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外の世界。

 東京都のとある大きな屋敷があった。そこは金持ち達が次々と大きな屋敷を建てている場所であり、その中でも群を抜いて大きかった。その屋敷の中に瀕死状態の窮奇を引きずる青娥の姿があった。彼女はとある一室に“失礼します”と言って入る。中には老人、赤鬼、老婆が座っていた。

 

 

「入れ」

 

「窮奇、霍青娥、共に戻りました」

 

 

 青娥と話すのは頭部の大きな老人だった。

 高級な座布団に胡座をかいてキセルを吹いている。老人の背後には鷲の剥製が飾ってある。その老人の顔中に刻まれる無数の皺は幾年と生きてきた事を物語っている。だが老いてはいるものの言葉はしっかりとしており、全てにおいて芯が通っていた。全てにおいて力強くカリスマに溢れていた。老いてますます健在であるのだ。

 

 

「結構な痛手を負いましたが、データは取れたと思います」

 

「…窮奇(そいつ)は生きてるのか?」

 

「ええ。中々しぶといようで」

 

「結構結構。しぶとさ程強いものはない」

 

 

 床に倒れる窮奇。

 肋骨が折れて肺に刺さっており、ゼェゼェと苦しそうに必死に呼吸する。糸目が特徴だというのに半開きで今にも死にそうなのだが目の中の輝きは消えておらず、老人を見るとその輝きは増していた。

 

 

『ご…主人……へへ、へ…ガフッ…』

 

「窮奇よ、お前はまだ成長段階。お前が完全体になるまでは死ぬなよ。……お(ばば)。治療をしろ」

 

「はいよ」

 

 

 赤鬼が窮奇を医務室へ運ぶ。

 その後ろをお婆と呼ばれた老婆がついて行った。

 

 

「それで……どうだった、幻想郷は」

 

「中々に素晴らしい所でしたわ。この度は私を行かせてくれてありがとうございます」

 

「猫被りが。仮に儂が命じなくても1人で行っていただろうが」

 

「うふふ。分かりますか」

 

「当たり前だ。──だが儂はお前がどこで何をしようが構わん。儂がお前を引き入れたのは、その能力と技術が目当てだからな」

 

「あら、素直に私を求めていると言えば良いのに」

 

「ふん。それで返事は?」

 

「断られましたの。それで私の兵士(こども)達や、芳香まで……ヨヨヨ」

 

「だろうな」

 

「分かっていたのなら初めから交渉なんかせずに武力行使をすれば良かったのにぃ。いけずですわよ、もう」

 

「分かってはいたが“昔馴染み”であるのでな。交渉という慈愛の手を差し伸べただけだ。振り払うのなら致し方ない。増えすぎた人間どもを駆除するための妖怪(ぶき)を頂戴させて貰おうか」

 

 

 その邪悪な笑み。

 既に勝ちを確信していた。そして青娥自身も幻想郷の滅亡は時間の問題だということは知っている。嗚呼、自分自身の未来を想像して悶えてしまう。

 

 

「うっふふふ、うふふふふ…!!全てが上手くいけば私の目的が遂に叶うのねェ」

 

「その為の【障害】は取り除かなければな」

 

 

 そう言って、老人は写真を取り出した。

 そこに映るは幻想郷の強者面々。八雲紫、博麗霊夢、西行寺幽々子、スカーレット姉妹等である。

 

 

「まずは準備段階だ。ふはははは!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございました。

 筆が乗り、長文を書きました。
 次回からねずみ男をまた悪く書きたいなァと思ってます。


─前作から読んでる方に向けて─


 ねずみ男は幼少期の頃のエピソードが無かったので、捨て子・外生まれ幻想郷育ち・過去の記憶はとある理由で消されているという設定にしました。今後明らかにします。
 前作だと八雲家とねずみ男は面識ある、幻想郷の存在知ってた、でもなんで外にいたの?等何も説明せずに終わったと思います。

 ボスの正体
 皆さんならもうお分かりだと思いますし、どうせまたアイツだろと思う方もいますが、やっぱりボスはアイツにしたいと私の中にあるので変えませんでした。当初はギーガにしようと思ってましたが、上記の理由で辞めました。

 前作の『人と妖怪が争う世界が見たいだけ』というボスの計画を変えて、ちゃんとした目的を持たせました。
 原作とは違いますが、霍青娥は幻想郷初めてで誰とも面識ない設定です。彼女にはとある目的があります。つまり東方神霊廟の面々は出ないと思ってください。彼女達を楽しみにしていた方々には大変申し訳ないと思っております。更に東方神霊廟に対しての知識が筆者はめちゃくちゃ浅いので、仮に無理やり書いたとしても薄くなる可能性があり外しました。知識不足も謝罪します。


 部下は赤鬼、老婆は絶対確定です。ここは変えません。
 ですが増やしていきたいと思います(窮奇みたいに)。手の目、文車妖妃は部下から外し、別の枠で必ず出したいと考えてますね。特に文車妖妃は今度は味方サイドで出したいです。

 窮奇は完全に部下にピッタリな妖怪ですが、能力は今のところ不明です。因みに窮奇の技は『スーパーロボット大戦シリーズ』の『窮奇王』から引用しました。ロボット系に興味がなかった私が初めて触れた物でしたのでにわかに覚えていて、使いたいと思いました。


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