ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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こんにちは、狸狐です。

 鳥山明先生が亡くなりました。本当に悲しいです。ドラゴンボールは幼い頃から見てますし、漫画も全巻揃えてます。本当に大好きでした。ご冥福をお祈りします。

 そしてTARAKOさん、本当にお疲れ様でした。まる子ちゃんも素晴らしかったのですが、私の中ではモノクマ二代目も印象深く、感動したのを今でも覚えております。

 今年に入ってから素晴らしい方の悲しい知らせばかりで心が折れそうです。


ハイキューの映画を見に行きました。なんかめちゃくちゃ大声で応援したくなるくらいに盛り上がっており、周りに人が少なかったので、両者とも点が入るたびに手をブンブンと嬉しさと興奮で振っておりました。勿論迷惑のかからないように小さくです。


 最後とか涙が出ましたね。最高でした。












射命丸文とねずみ男②

 

「今日も耕すぞーぃ」

 

「ういー」

 

 

 畑作業をしている農家。太陽が昇ると共に仕事を始めていた男たちの頭の上から大きな影が一つ降り立つ。

 

 

「あんら、また天狗さんだ」

 

「どもども、おはようございます!」

 

 

 それは射命丸文であった。

 男たちが農具を置く暇を与える事はなく、文は2人にグイィっと近づいて距離を近づける。

 

 

「突然ですけど何か事件とかありました?」

 

「突然すぎるな!?」

「悪いけんど事件と言われましてもねえ」

 

「本当ですぅ?どんな些細なことでも良いですがね」

 

「お世話になってる天狗さんに嘘はつかねえよ」

「でも事件かぁ。んー、強いて言うならここ最近白い靄が…こうもわわぁ〜っと立ち込める時があんだよなぁ」

 

「靄って……朝方なら当たり前でしょう。今だってほら」

 

 

 辺り一面にうっすらと白い靄が立っている。

 別に不思議なことではない。

 

 

「いんやもっと濃いんだべさ。何も見えなくなるくらいだよぉ。それに朝だけじゃないんだ。昼も夜も、そして天気も場所も何も関係ねえ。友達は雪降る真夜中に、他の奴は昼時に」

 

「それは、まぁ、不思議ですねェ」

 

「でも()()()()。誰も怪我なんかしてないし、病気にもなってねえ。だから誰も気にしねえ」

「おいおい何言ってんだよ。靄が起きた後の作物は全部ダメになってるじゃねえか」

 

「作物が?」

 

「枯れちまうのさ……ってお喋りする時じゃ無かった!さっさと仕事をしねえと(カカァ)に叱られちまう」

 

「あっ、仕事中にすいません。ありがとうございました」

 

 

 男たちは農作業に戻り、文は今の話を軽くメモをする。大した内容ではないので端っこの方に書いた。

 

 

(それにしても……何も無い。平和過ぎる。あんなに異変ばかり起きていた里だったのに)

 

 

 メモ帳を閉じ、現状を整理する。何も見つからない、まとまらない。今のままでは新聞を書く事ができない。何も書けない。アイディアが浮かばない。何も思いつかない。

 

 

(やばいっ、何も見つからない。時間を浪費しているだけだ。どうすれば…。いやこれ、この行い自体が無駄じゃないか?)

 

「おーーーーい!」

 

「!!」

 

 

 ねずみ男だ。遠くの方から走ってくるのが見えた。彼は文が自分に気づいた事がわかると両腕をクロスさせて×印を作った。

 

 

「何もねぇってよ。そっちは」

 

「こちらも事件らしい事件は。作物が枯れたり、靄が凄いっていう大した事ないものばかり」

 

「それじゃあ新聞なんか書けねえな。何か異変が起きる場所を事前に知れたら良いんだけどなぁ」

 

 

 間に合わない。

 こうしている間にもライバル達は手を進めているに違いない。自分だけが遅れている。

 

 

「や、やっぱりねずみ男さんの特集をやりましょうよ」

 

「だからそれじゃあ勝てないってば」

 

「けど!!」

 

「落ち着けよ。フゥー!」

 

「う"っ!?」

 

 

 焦る文に口臭を吹きかける。強烈な匂いと刺激に目をシロクロさせ、歪む視界とグラリと崩れたバランス感覚に尻餅をつく。何度もオェオェと苦しみ、鼻と口を押さえて正気を保とうとした。

 

 

「何を…おぇえ……っ」

 

「焦ってるから俺なりの方法で冷静にさせたのよ。・・・良いか?文ちゃん。今の状態で書いても、いつもみたいなあの面白さは出せないぞ」

 

「そんな事言っても、うぷっ」

 

「ネタが無いからって妥協した所でそれが面白くなるわけねえだろ。いつもはどうしてんだよ?ネタが無かったら、直ぐに他の人に頼るのかよ」

 

「そんな訳…。私はいつ、も……見つかるまで飛び回って……ぁ」

 

 

 そう。いつも見つかるまで飛び回っていたんだ。

 誰彼構わずに取材したり、跡を付けたり、ウザがられたり、この行いが学級新聞と笑われても、ネタを見つけて裏取りして書いてきたんだ。

 

 

(今までネタはこの羽で稼いできた。どんなに時間が掛かってもやってきたのに、何故、急に()()()()()()()()()?あんなにやる気があったのに急に、突然、前振りも無く、頭の中からアイディアが消えていったんだ。だから焦って、自分自身を見失っていた…)

 

「落ち着いたみたいだな」

 

「大事なものを失う所でし──オロロロロロォッ!!」

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 バシャバシャ

 ガラガラガラ…、ペッ。

 綺麗な川の綺麗な水で汚れを落とし、ついでに匂いも落とす。人として否、天狗として見られたくない姿を見られてしまった。ハンカチで口元を拭いつつ先ほどの自分の言動を振り返り恥ずかしくて赤くなった頬を冷まそうと濡らしたハンカチを当てていた。

 

 

「はぁ〜…」

 

「へへへ、悪かったな」

 

「誇りを全て失いましたよ。絶対に許しませんから!ふんっ」

 

「にしてもそんなに臭いのかね、俺の口。ハァー……大袈裟じゃないのぉ?」

 

 

 自分の手に息を吹きかけてその匂いを嗅ぐ。しかし案外自分の匂いというのはあまり分からないもので何とも無い顔をする。

 

 

「毒蛇が自分の毒で死ぬ訳が無いじゃないですか…。まったく」

 

「ん?」

 

「ちょっと聞いてるんですか?」

 

「ありゃあ何だ?何か飛んできたぞ?」

 

「何を言って──」

 

 

 ねずみ男が見上げる方向を文も共に見る。

 遠くの方から黒い影が向かってきていた。

 

 

「おーーーい!」

 

「あれは…」

 

「まさか・・・」

 

 

 その影は2人の真上で止まる。

 そのまま下に羽をはためかせて地面に降り立った。その姿は文と同様で天狗であることは直ぐに分かった。

 

 

「調子はどーよ?文」

 

「ぼちぼちですよ、はたて」

 

 

 彼女の姿は長い髪をツインテールにまとめ、頭には頭巾を乗せている。薄いピンクのブラウスにチェックのミニスカート。目を引くのは歯が通常より相当長く、一本だけの下駄である。文とは雰囲気や持ち物など色々なものが違い、カメラではなくガラケーのようなもので、ストラップを沢山つけたそれを見て、上手く言えないがギャルっぽいさを見た目などから感じさせた。

 

 

「こちらの方は?」

 

「彼女は姫海棠(ひめかいどう)はたて。私の同僚で・・・」

 

「文のライバルでーす!!よろしくー!」ピスピス

 

 

 ピースしながら可愛くポーズを取る。

 ねずみ男は文とは違うタイプとノリに気圧されながら、とりあえず手を差し出して握手をする。文とのライバルという事は、彼女が文の言っていた偏っていない仲間なのだろう。

 

 

「貴方が噂の外来人“ねずみ男”ね!私は姫海棠はたて!はたてって呼んでね」

 

「名前まで知ってるなんて…。俺ってそんなに有名人なの?」

 

「勿論。異変を()()()()度に写ってる謎の男。常に異変の渦中にいて、権力と金に弱くて“弱きを挫き強きに媚びる”最低なやつなんだよね!幻想郷に蔓延した天然痘も、謎の空腹も全部貴方が原因だし!」ケラケラ

 

「ななな、なんて失礼な奴だ!!正義の味方のこの俺に対してなんたる言い草!」

 

「またまたぁ〜!悪い事してる写真はいっぱい持ってるし、文の新聞にそう書いてあったもん」

 

「キィッ」

 

 

 ねずみ男は文を睨みつける。対する文は、事実しか書いてませんよ〜と言わんばかりにそっぽを向いてピューピューと口笛を吹いていた。

 

 

「『ひだる神異変』の時は文に先越されたし、今回は私の書く花果子念報(かかしねんぽう)に独占取材をさせていただきますよ!」

 

「だぁ〜れが協力するか!!天狗ってのは失礼な奴しかいねえのか!」

 

「えー、お願いお願い!」

 

「嫌だね。それに俺っちは今、文ちゃんと組んでんだ。もう遅いんだよ〜」

 

 

 ねずみ男は親指で文を指す。

 文は勝ち誇った顔をしていた。

 

 

「ちぇっ。協力してくれないか〜。外来人特集は面白いと思ったんだけど。上手く口説くなんてやるわね、文」

 

「貴女とは違うんですよ、ふふん」

 

「まぁ良いや。私には他にもネタがあるから」

 

 

 そう言ってはたては愉快そうに笑う。

 どうやらコチラはまだネタを見つけられていないと分かっているのだろう。

 

 

「俺ら2人でも見つけられなかったのに!そ、それってどんな!?」

 

「私と組んでくれないのに教える訳ないでしょ〜」

 

「ごもっともです…」

 

「しょうがないですよ、ねずみ男さん。はたては我々と違って家から出なくてもネタを確実に集められるんですから」

 

「な、何だと!?」

 

「彼女の能力は【念写をする程度の能力】。はたての持つカメラにキーワードを打って念じながらシャッターを切れば、それに因んだ写真が撮れるんです」

 

「そのとーり!どっかの誰かさんみたいに馬鹿真面目に飛び回らなくても念じるだけでチョチョイのちょい!ってね」

 

 

 しかし、それを聞いてねずみ男の頭の中に一つ疑問が浮かんだ。

 

 

「なぁ。そんなに凄い能力なのに、何で文ちゃんとライバルなんだ?」

 

「え"っ、そっ、それは・・・」

 

「どう考えても上位に入れるじゃねえか。なぁ、文ちゃん」

 

 

 その疑問にはたての顔が歪む。

 文はニッコリと笑い、はたての肩をポンと叩く。

 

 

「それは記事を書く才能が無いからです。ねぇ、はたて〜」

 

「ううう"ぅ〜〜っ!!」

 

「記事を書く才能が無い?」

 

「どんなに良いネタがあっても、はたては文章を書くのが苦手で幼稚な文しか書けない。だから私と同じく“人気”が無いんです。でも、引き篭もりの盗撮魔より私の方が上なので、お忘れなく」

 

「何を〜〜ッ!つまんないネタしか集められないくせに!」

 

「言ったわね!!禁句を!」

「言ったわよ!事実じゃない」

 

 

 一触即発ムード。

 ねずみ男は女同士は恐ろしいと少し距離を取る。

 

 

「ネタ無しペチャパイ」

「駄文牛」

 

「「〜〜〜ッ!!」」

 

「「ふんっ!!」」

 

 

 文には記事を書く才能がある。だが、ネタを集めるのが苦手だ。真実を求めるあまりに折角のネタも真実かどうかを調べているので新鮮味がなくなってしまう。

 対する、はたてはネタを集める力がある。しかし彼女は家に引き篭もっているからか他の人の記事を読まないし読書もしないので、文章力が皆無だ。新聞よりもゴシップ記事関連の方が向いているのかも知れない。

 

 

「正反対過ぎるけどネタ集めの天才と文章力のある2人が力を合わせれば……」

 

「それは!」

「無理です!」

 

「だよねぇ」

 

 

 元よりライバル関係ならば協力するはずがない。お互いに競い合って勝ちたい、ちゃんとした勝敗をつけたいので手を組む事はない。

 

 

「・・・でもまぁネタが無さすぎて、いつかみたいに博麗の巫女が昼寝しているだけのくだらない新聞を書いたりされたら、私としても張り合いがなくてつまらない」

 

「ちっ」

 

 

 昔、あまりのネタの無さに【博麗霊夢の昼寝時間が17時間突破!】などという記事の新聞を書き、大批評を受けた過去がある。その後にはたてからもゲラゲラと笑われており、とても悔しかったのを今でも覚えている。

 

 

「だから塩を送ってあげる」

 

 

 そう言って3枚写真をポーチから取り出した。差し出されるが、文は受け取ろうとしない。プライドが許さない。

 

 

「余計なお世話です」フン

 

「良いのかなぁ?『人里 妖怪の山 異変』で出た新鮮なネタなんだけど」

 

「ここは素直に貰っておこうぜ!実際、強がれる程何もネタが無いんだからさ」

 

「えっ!?そんな、でもっ!……うっ、ぐぐぐぐぅ…っ、何も無いのは事実。はたてなんかに情けをかけられるとは……」

 

 

 背に腹はかえられない。そしてネタが無いので書けませんでした、と今更言えるわけがない。ライバルに情けをかけられるのはとても悔しいが、受け取るしか勝てる道が無かった。

 

 文は渋々写真を受け取ると中身を見る。

 

 1枚目に写っていたのは人里のどこかの畑だ。畑の中央には深くて濃い靄と何者かは分からないが()()()()()()()()があった。その人影はカメラのような物を構えているようだった。次の2枚目は薄暗い洞窟のような場所を写していた。少しだけだが鎖が写っていた。最後の3枚目は巨大な機械が写っていた。画面に収まりきってはいないが重々しいのは見て分かる。

 

 

「何これ…?」

 

「教えない。そこから先は自分の力で見つけて」

 

 

 再び羽を大きく動かす。

 

 

「文。私の念写は未来や過去は写せない。でも確実に今現在を写し、人里か山、もしくは両方で()()()()()()()()事を示している。私はそれを逃すつもりはないわ。じゃあね」

 

「お礼は言いません。敵に塩を送ったことを後悔させますからね」

 

「流石は私のライバル、そう来なくっちゃ。あとねずみ男さん、今度こそ独占取材よろしくねぇ〜」

 

 

 カメラをポーチにしまい、2人に手を振って山へと戻っていった。ねずみ男は、急にやってきてプレゼントして帰っていくなんて少しめちゃくちゃで嵐のような奴だと苦笑いする。文は貰った写真は一体どこで何を示しているのかを判明させようと必死に凝視していた。

 

 

(1番気になるのは、この3枚目。大きくて分かりやすいはずなのに……。一通り飛んでも見かけなかった。こんなの一体どこに置いてあるの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

 上空で、はたても写真を凝視していた。

 彼女が持っているのは文に渡した写真よりも細かく撮れている物だ。敵に塩を送るとは言ったが、ライバルでもある。だから、わざと分かりにくい物を渡したのだ。

 

 

「靄の中の怪人…、鎖と護符でガチガチに拘束された人…、顔は見えないけど女性かな。そして最後の謎の機械。河童たちに聞いても知らぬ存ぜぬだけど……これが置かれてる場所って…天魔様の部屋だよね」

 

 

 ゴクリと唾を飲む。

 記者の魂や性というべきか、好奇心が刺激される。調べずにはいられない。これを撮り、記事にしたい欲求が大きくなる。これは記者ならば誰もが持つであろうものだ。止められない。

 

 

「・・・着いちゃった」

 

 

 気づけば天魔の部屋の前。大木と大木の間にある巨大な扉の向こうに目的の物があるのだろう。部屋の前に降りて気づいたが、いつの間にか()()()()()()()()。扉の前の地面に何か重くて大きな物を引きずったような跡があった。

 

 

(部屋の中にあるんだ……)

 

 

 扉に手を伸ばそうとした。

 その時──。

 

 

『何をしている?』

 

「!?」

 

 

 突然、背後から声がした。ビクリと跳ねた身体。直ぐに振り向き、後ろの人物を確認する。

 

 

「て、天魔様・・・。お久しぶりです」

 

『はたて。私の部屋の前で一体何をしているんだ?私の許可がない限り、入ってはいけないと言ったはずだぞ』

 

 

 濃い靄にも負けない位の威圧感。

 巨大な猛禽類のような大きく黒い翼。着物と鎧を組み合わせたような服装をした我らが頭である。鼻は別に長く無く、顔も赤いわけでは無い。頭には赤い天狗帽を付けている短髪の女性。

 

 

「ええと……その……いやぁ〜天魔様に誤魔化しは無意味ですよね。実は、これが気になって」

 

『・・・こ、れは!?』

 

「天魔様?」

 

『貴様、これをどうやって撮った!どうやって私の秘密を知った!?』

 

 

 冷静な顔が一気に険しくなり、額に青筋が浮き出た。はたてに一気に詰め寄ると胸ぐらを掴み上げて怒鳴り立てる。

 

 

「うぐぅっ!?」

 

『さっさと答えんか!!』

 

「おおお落ち着いてください!天魔様ぁ!何をそんなに怒ってるんですか!私の能力で撮ったんですよぉ!?」

 

『能力だと?何だ、その能力とは?お前は何か特別な力があるのか?』

 

「はいぃ!?何言ってるんですぅ!?」

 

『言え。正直に言え!これは我の命令であるぞ!!言わないと罰を与えるぞ!!』

 

 

 違和感。

 はたてが感じたのは、それだった。怒られている時には生じることのない感覚だ。本来なら恐怖や不安等々を感じるところだろうが、それらは一切感じる事はない。それに勝るほどの違和感がそこにはあった。

 

 

(天魔様が何で私の能力を覚えてないの!?それに天魔様はこんな風に感情を剥き出しになんかしないでしょ!取り乱したり、暴力を振るったりするのとは正反対。こんなの、まるで姿だけの偽物!)

 

 

 胸ぐらを掴まれて持ち上げられてはいるが、大した攻撃ではない。持ち上げられた状態で自身の足をグッと折り曲げ下駄を腹部へ向ける。そして足を伸ばす勢いで、思い切り天魔の腹に蹴りを入れた。

 

 

 

──ぐりりりぃぃい……!!

 

 

 

 

『ふぐぅっ!?』

 

 

 思い切り、吹き飛ぶ天魔。

 その呆気ない様子から、はたては目の前の天魔が本物ではない事を察した。本物ならば胸ぐらを掴んで持ち上げたりはせず、手足を拘束して地面に伏せさせる。行動させずに無力化するのが天魔のやり方だからだ。

 

 

『く、そがきゃぁ……ぐぅう……っ』

 

「あんた、誰?正体を見せなさい!」

 

『うぐぅうっ、許さねえぞ…っ、メス天狗の分際でェ!!キェエエエエーーーッ!!』

 

 

 突然に金切り声をあげ、同時に迫るはたての顔に偽天魔の右拳が飛んでくる。正体を知ろうとして覗き込まれた顔に合わせた、顔面の急所を狙った一撃。

 

 

「その返しは失礼でしょ。誰って聞いてんだから名乗るくらいしなさいよ」

 

『うわっ!?』

 

 

 その拳が空を切る。

 当てるつもりだったので全身を使った勢いに任せて、体が捻じれる。その隙に揺らいだ左腕を掴まれ、背中まで捻じり上げる。同時に立位の中心である足の膝を押され、さらに姿勢が崩れる。

 

 

「ほいっと」

 

『イデデデェッ!?』

 

「アンタ弱いね。戦闘経験ないでしょ。それで…?どうやって入った?なぜ天魔様に化けてた?ちゃんと答えてくれる?」

 

『離せぇっ!?』

 

「おい。動くなよ」

 

 

 先ほどまでの緩い声と違い、相手を殺してしまうような冷たく低い声で話しかける。それは、小動物ならば容易く狩り取れる猛禽、それ以上を思わせるような雰囲気。

 

 

「暴れても無駄。さっさと答えて」

 

『うががぁっ、離せ、この小便くせぇメス天狗が!俺は幻想郷の王になる男だぞ!!』

 

 

 残った右腕を動かそうとするが、左腕を固められていて大きく動かせない。その動きを見て、はたての手が頭から離されて、右腕を押さえつけられる。同時に、背中に一点の圧力がググゥッとかけられる。一本歯の下駄による、踏みつけてからの押さえつけ。

 

 

「いるんだよね、常識知らずのバカって。・・・粋がってんじゃないよ。幻想郷に王は要らない。はぁ……このまま暴れられても困るし、片腕外しちゃうか。よいしょっと」

 

 

 

 

──ビシュッ

 

 

 

 

 

「うっ!?」

 

 

 目に強烈な痛み。

 何処からか砂が飛んできて目に入ってきた。突然のことに怯み、拘束の手を緩めてしまう。その隙に偽天魔は脱出して靄に向かって叫ぶ。

 

 

『良くやった、()()ッ!そのまま朧げな蜃気楼(ハマグラリ)だ!』

 

「く、くそっ」

 

 

 目を守ろうと涙が出てくる。

 チクチクとした痛みとボヤボヤと歪む視界のせいで完全に敵を見失ってしまう。

 

 

 

 

 

──シュウゥゥゥ……

 

 

 

 

 

 

「うっ、靄がまた濃くなって……!」

 

 

 目の痛みが引いたと思ったら、辺り一面の靄が更に濃くなっていた。この靄が毒ガス等かもしれないと思い、効果があるのかは不明だが、あまり吸ってはいけないと判断して持っていたハンカチで口元を覆う。

 

 

(“相棒”!?敵はもう1人いたの!?)

 

 

 この空間の中で動かないでいる彼女。

 その背後にゆっくりと黒い影が迫ってくる。ゆらりゆらりと足音を立てずに忍び寄る。

 

 

「無駄よ!!」

 

「ふぎゃっ!?」

 

「目潰しからの不意打ち、なんて見え透いた攻撃が私に通用するわけ…な、い……えっ、文っ!?」

 

 

 背後から迫ってくるものに対して裏拳を放つ。顔面に手の甲が直撃し、ふらついた所に2発目を追撃しようとしたところで手が止まる。まさかの人物の登場に驚き、手が止まる。

 

 

「あ、あやややや……っ、な、何するんですかっ、いきなりぃ」

 

「ご、ごめんっ!でも、何でここに?それと天魔様の偽物は!?」

 

「何を慌ててるかは分かりませんが、私達は写真からここを、偽物はそこで取り押さえてますよ。ほら」

 

 

 文の視線の先には、倒れている天魔の上にねずみ男がのしかかっている光景が映っていた。偽物は必死に抵抗しているものの逃げれないようにねずみ男の寝技に動けないでいる。

 

 

「暴れんじゃねえ!この偽物!」

 

『離せェッ!!くそぉ〜』

 

 

 その様子を見てホッと一安心。

 はたては胸を撫で下ろす。

 

 

「ふぅ〜ナイスタイミング。助かった」

 

「それほどでも」ヘヘン

 

「それにしても、ほとんどヒントのない写真からここに来れるなんてやるじゃない」

 

「まぁ、この()()()()()を見れば、予想はつきますよ。全く私達が居なかったらどうなっていた事やら」

 

「そっか。あは、は……ん?」

 

 

 その一言に違和感。

 明確に、何かおかしい事。

 

 

「私、アンタにそんな写真渡してない。渡したのは機械だけが写ってる奴だよ。てっきり写真からこの場所を推測して来たのかと思ったけど…」

 

「・・・』ギィイ

 

 

 振り向いた文は何も言わずに手刀を放つ。しかし、はたては素早くしゃがんでそれを躱す。大振りな攻撃は隙しか生まない。

 

 

「それしか芸がないの?」

 

 

 そして、しゃがんだ状態から全身をバネとして使い、強烈な力の篭もった蹴りを腹部に見舞う。

 

 

『がぁっ……、けあ、はぁ……!!』

 

 

 その蹴りは、履いた下駄の一本歯が文の鳩尾に見舞われ、深々とめり込むほど。もちろん本物ならばこんな攻撃喰らうはずがなかったのだから、目の前にいるのは明らかに偽物だと分かる。

 

 

「天魔様の姿から今度は文に化けた…。なら、あのねずみ男さんの偽物達が相棒ってわけ?」

 

『はぁ…はぁ…』

 

「今度こそ答えてもらうわよ」

 

『……ふふふ』

 

「何を笑って──」

 

 

 

 

 

──ゴンッッッ

 

 

 

 

 

 

「ガッッ──!?」

 

 

 背後からとても重い一撃。

 視界がチカチカする。手足がビリビリとしてきて更に羽の先端まで痺れが広がる。脳がぐわんぐわんと揺れて頭蓋骨に数回程度ぶつかる。嗚呼これは気絶するな、と自分の状況を察しながら背後を睨みつける。

 

 

『天魔から文ぁ?あのねずみ男達が相棒?・・・ザァ〜ンネン』

 

 

 睨みつけた先には手のひらサイズの岩を持った偽物の天魔。岩の角に血が付いているので自分はあの岩で背後から殴られていてきっと出血もしているのだろう。岩で殴られて死ぬことはないがダメージはしっかりとある。

 

 

「くそ──」

 

 

 立てない。一時的だろうが頭を殴られると本当にこんなにも動けなくなるものなのか。最悪だ。悔しいが段々と視界が暗くなってきた。気合いで堪えても無駄なのは分かっているが、持てる力で睨みは続ける。

 

 

『正解は()()()()()でしたぁ。お前が蹴った文も、見ていた状況も、相棒が見せた幻。──良い蜃気楼(ユメ)だったかい?』

 

 

 つまり今まで話したり見ていたのは全て幻であり、本物は靄の中ではたてが油断するか、隙を見せるのを待っていたのだ。

 

 

「まぼ、ろひ…。お、まへに……は…化ける力は…無い……」

 

 

 舌が痺れて上手く喋れないが、ただではやられたくない。精一杯の皮肉を込めて言葉を放つ。それを聞いて偽物はポイと岩を投げる。そして倒れているはたてに近づき、しゃがみ込む。

 

 

『そうだ。俺の力じゃない。全ては相棒の能力の【蜃気楼】による物だ。それがどうした?』

 

「おまへは……1人じゃ何も…できなぃ」

 

『・・・は?オイ、何だ。何だよ、その言い方っ!馬鹿にしてんのかッ!!クソガキが!そんなのが分かった所でお前の負けは確定してるってのによぉ!!偉そうにしてんじゃねえよ!!』

 

「あ、ああ、あ……!?」

 

『やっぱりガキは嫌いだ!昔から大嫌いだ!!だから俺はガキを見ると痛めつけたくて堪らなくなるんだ。さぁ、気絶()てる暇なんか与えねえからなア』

 

 

 はたての左腕を掴み、そのまま反対方向に捻っていく。

 引き攣る顔を見て、偽物は笑う。

 

 

 ごきんっ

 

 

「きゃあ"ああああぁぁぁっ!!!」

 

 

 頭の痛みはあるがそれ以上のものが襲っていた。鈍い骨のずれる音と共に、はたての左腕は伸びてはいけない所まで伸びきる。完全に肩が外れていた。そこまでを笑顔で見届けるとその手を放して、次に胸ぐらを掴み、持ち上げる。

 

 

「〜〜〜〜っ」

 

『この俺は無能じゃねえ!俺にも能力はあるし、この計画を立てた完璧な頭脳と()()()がある』

 

「あ"ぁ…っ」

 

『ぅうふへへへ……』

 

 

 胸ぐらから首へと手を移動させて、グッと締め上げる。空気が体内に入って来ず情けない声と涎をダラダラと垂れ流すことしかできない。手にも力が入らない。なんと惨めな最後だろうと涙が出る。

 

 

『このまま絞め殺してや・・・いや、殺しちゃあ駄目だった。チッ……』

 

 

 何処からか護符を取り出し、はたての頭に貼り付ける。途端に力と痛みにより目覚めていた意識が闇の中に沈んでいった。目覚める事ない彼女をそこら辺に投げ捨てる。

 

 

『コイツも地下牢送りだな。他のやつと同様に想像力を吸ってやる』

 

 

 そう吐き捨てると、はたてを放置して天魔の部屋に入って行った。無機質な部屋の中央には他と似つかわしくない重厚で煙を吹いている機械が鎮座されていた。1番大きなメーターには“80”という数値が表示されており、その近くにあるハンドルを握り、何かのエネルギーのようなものが送り込まれた。すると“87”と数値が上昇し、その経過を偽天魔はニタニタとした笑みを浮かべて機械を撫でた。

 

 

『良いぞぉ…。“妖気定着装置”のメーターがあと少しで100になる。100にさえなれば総理大臣……いや、本当に王様になれるのも夢じゃない。明日の大会で天狗どもの全ての想像力を吸収すれば直ぐにでも…』グフフフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 とある廃屋。

 この中のボロボロな椅子の上で寝ている男がいた。

 

 

「ガァ〜ッ、ガァ〜ッ」ムニャムニャ

 

「ガァ〜〜〜…あ"ぁっ!?」

 

 

 大きなイビキをかいているねずみ男。

 椅子に座りながら寝ていたのだが、バランスを崩してしまいバタンとひっくり返ってしまった。

 

 

「イデデデ……ってもう朝じゃねえか。寝てたのか、俺」

 

 

 転んだ際に散らばった写真を集め、まとめる。

 寝起きでボサボサの髭を弄りながらボヤく。

 

 

「はたてちゃんから貰った写真のヒントが何処の何を示しているのか結局答えが見つからなかったな」

 

「只今戻りました〜」

 

「あり?気づいたら見かけなかったけど何処行ってたの?」

 

「いやぁ〜この写真の場所が特定できないので、兎に角色んな場所から風景とかを撮りまくってました。昔から頭がぐちゃぐちゃになった時はこうしてるんですよねェ」

 

 

 机と呼んでいいのか分からないが、とりあえず机のようなボロボロの板の上に撮った写真を置いた。ざっと30枚ほどでどれも風景だけを写しているようだ。

 

 

「ん?」

 

「どうしました?」

 

「この写真・・・。この場所と同じじゃね?」

 

 

 “この場所”。

 はたてが渡してくれた1枚目の写真、それと文が撮ってきた畑の風景だ。角度は少し違うが、方向や景色などが一致していた。

 

 

「本当だ…!ここは…2人のおじさんが耕してる所……。そういえば酷い靄や急に農作物が枯れるって言ってた気が…」

 

「進展してきたな。あとは3枚目の機械の場所、いや何の機械かだけでも分かれば良いんだけどな」

 

「どんな機械……、あぁーーーっ!!」

 

「うわっ、なんだ急に」

 

「居ましたよ、機械に強い奴らが…」

 

「強い奴ら?奴じゃなくて?多いの?」

 

「我々、天狗と同盟関係にある河童たちなら機械に強いんですよ。もしかしたらアイツらに関係があるかもしれません!」

 

 

 明確な目的が見えてきた。

 2人は立ち上がり、ガシッと熱い握手を交わす。

 

 

「私は河童達の元に!」

「俺は農家達の元に!」

 

「「では!!」」

 

 

 1人は新聞大会での優勝のために、()()1()()()()()()()()()()に。お互いの目的のために2人は走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

「あの時かぁ…凄え靄だったな。朝だから気にはしなかったんだけんど。……そうそう!髪型が逆さ向きの巻きグソみてぇな天狗の嬢ちゃんがいたな。靄の真ん中でカメラなんか持ってよぉ」

 

(巻きグソって……あの時の愛宕とかいう幹部天狗、だよな?)

 

「それでカメラを置いて、自分の写真を撮ってたなぁ。自分でスイッチを押さなくても勝手に撮れるんだから今のカメラは凄えんだな」

 

(タイマーの事か…)

 

 

 話を聞き終えて、ねずみ男は情報を整理する。

 はたての能力は『今』を映し出す念写の能力。つまりこの写真に記された時刻には謎の人物がいたのだ。

 

 

(だけど…その時間にいたのは愛宕天狗。写真の奴とは似ても似つかない。ハッキリとは見えないけど男みてぇな体格だし……)

 

(そういえば初めて会った時も靄が出てた…)

 

(愛宕と靄は必ず関係している。もしかしたらこの謎野郎と愛宕には何か関係が・・・?)

 

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

「この写真は勿論知ってますが、いやぁ〜文さんの命令でもね流石に言えませんよォ」

 

「何故ですか?」

 

「何故って、天魔様の命令なんですもん。愛宕様がこの事は2人だけの他言無用にって」

 

「愛宕さんが・・・?」

 

「そうなんですよ。何でも新聞大会で使う……って喋っちゃったァ!?誘導尋問かっ、やられたぁ」

 

「勝手な自爆でしょ」

 

「けど、どんな機械かは言ってないからセーフだよね」ヘヘヘ

 

(天魔様の命令なら動かなければならないのは幹部長の飯綱丸様のはず。何で幹部の1人である愛宕さんが?それに単独での行動は禁止のはずじゃ…)

 

「これ以上は何も言いませんからネ」

 

 

 口元に指でばつ印を作りながら言わないよ、というジェスチャーを送る。だが、にとりは『これ以上』と言った。つまりまだ情報を持っているという事だ。

 

 

「にとり、きゅうり5本で機械の用途と場所を」

 

「・・・っ、嫌でス」プイ

 

「10本」

 

「10本!?あ、あぐぐぐ……でもぉ」

 

「20本なら?」

 

「うひぃーーーっ!?私からの情報ってバラさないでくれますカ?」

 

 

 文は頷く。自分が言った事をバラされなければ、情報漏洩で怒られるのは河童全体だ。個人では怒られることもないだろうと考えて、閉じていた続きを話す。

 

 

「その写真に映る機械は空気中に舞っている妖力をその場に定着させる物でして、愛宕さんは確か…妖気定着装置と呼んでました」

 

「定着…。何でそんなものを」

 

「実は私たちもよく分からないんですよ。ただただ設計図を渡されて作れって言われて…。用途を聞いても“お前らは関係ない”って怒るから……聞けず仕舞いでェ」

 

 

 そう言いながら、渡された設計図を取り出し文に渡す。その中身は素人にはよく分からなかったが、河童たちがこれを見ながら作れるのだからしっかりした物なのだろう。

 

 

「機械に詳しくないので何と言えば良いのか分かりませんが……、これを使った際の影響は?」

 

「装置の名称のまんまですよ、文さん。妖力を定着させる事で圧縮された妖気の層を形成される。我々妖怪にとって居心地が良くて気持ち良い空間が出来るってわけでさアッ!」

 

「訳がわからない、別に幻想郷は妖気に困ってないのに。賢者たちの手によって常に妖気と畏れが供給されていて、妖怪たちが住みやすいようになっているはず。わざわざ定着させる必要が一体何処に・・・」

 

 

 にとりの話を全てメモする。

 メモし終えてから考えるが、何のために我らが頭である天魔がそんな物を用意させたのか全く理解できない。常に冷静沈着で無駄な事は決してしない人物であったが、このように無意味なことを、愛宕と秘密裏にする理由があるのだろうか?

 

 

「この装置は天魔様の部屋の前に置いたけど、そこまでしか知らない。そこからまた別に移動されているかもしれないですよ」

 

「分かりました…。では」

 

「約束忘れないでくださいよ、文さん?」

 

 

 バサァッと羽を大きく広げる。

 にとりの言葉を無視しながら帰宅の準備を始めた。

 

 

(知りたかった情報はとりあえず得られた。それにしても──物に釣られて情報を売るなんて山の組織の一員である自覚が無さすぎる。馬鹿が。これは報告して教育し直すしかないか)

 

 

 文はとりあえずねずみ男の元に戻る。内心呆れている文の心はつゆ知らず、にとりの言葉に返事をしてくれなかった文の事を少し怪しみながら仕事場に戻る。

 

 

「約束守ってもらえるかねぇ。もし20本手に入れたら、仲間に一本500円で売ってやろ。ケケケ…。これでボロ儲けぇ〜」グヘヘヘ

 

 

 少しねずみ男と似ている彼女。

 きっと2人が出会えば、大変なことになってしまうだろう・・・。

 

 

「あっ。試運転はしてないって伝え忘れたな。あーいう複雑な機械は実験を繰り返していかないといけないんだよなぁ。もしかしたら誤作動とかあるかもしんないけど・・・()()()()()()()()()からね。失敗も前進のうち!愛宕様には試運転の件は言ってあるし、失敗する可能性も分かってるよね。後で結果を聞かせてもーらお!」

 

 

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「愛宕(さん)が怪しい!!」」

 

 

 持っていた情報を合わせて出した結論。

 靄の中にいた謎の人物と愛宕天狗が何かをしている可能性や、実は2人が同一人物である可能性もある。更には謎の機械を天魔と共に使おうとしているのも知ることが出来た。

 

 

「こりゃあ今回の新聞の内容は決まりだな」

 

「それって」

 

「ケケケ、勿論あの愛宕天狗や、天魔の裏の顔だ!初めは説教くさい内容で行こうかと思ったけど……それじゃあやっぱり売れねえ!なら天狗達が好むゴシップ……そう!アイツらの本当の姿を白日の元に晒すんだ!特大のインパクトあるネタだぜ、こりゃあ。裏で悪いことしてたなら誰もが驚き、天狗絶対主義という考えは改められるさ」

 

「・・・!」

 

「真実を求めるんだろ。例え同じ仲間でもそこで隠したら、他のやつと一緒だ。お前にしか書けない文を書くんだ!それで優勝して認められようぜ!!」

 

「そう、ですね。私にしか書けない記事を…!新聞記者として真実を伝える事を私はやり遂げます!自分自身の信念のためにも!」

 

 

 文が書く記事はもしかしたら幻想郷の天狗という組織にメスを入れる行為になるかもしれない。だが、ここでやらなければ変わらない。自分も変われない。覚悟を決めた。

 

 

「残り6日のうち4日間を愛宕の跡をつけて何をしようとするのか暴くんだ」

 

「2日で仕上げるんですね。了解です」

 

「さぁ、ラストスパートだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました。

 文にとって初めて天狗世界の悪いところに焦点を当てた新聞を書くことになったようですが、どうなることやら。

 そして愛宕、いや天魔、いやあの偽物の正体は・・・!?そして新たな相棒の真名とは!?シャーロックホームズならそろそろ当ててるかも笑





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