ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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 こんにちは、狸狐です。
 ちょっと筆休め(バトル続いたのでふざけたくなりました)。あと普通に仕事でイライラ。書く余裕のないくらい忙しさと保護者のクレーム処理にストレスマッハです。




 今回の話は名前で察したかと思います。
 今期のアニメで一番やばい、すごいアレです。Twitterを始めて、ゲームの内容等はちらほら流れてくるから知っていたものの漫画化し、これは凄いと感心していたら、まさかのアニメ化。

 そしてしっかりやる内容に私はガタガタと震えております。
 これは歓喜しているのか、狂気なのかは不明です。

 

 てか、前回のラストに紫様とバックベアード様出しておいてこれかい、とは言わないで。



 もうとにかく深夜テンション











[閑話]びびたし ハレンチ条例

 

 人里。

 ねずみ男と紫苑が隣同士並んで歩いていた。引き離そうにも彼女は離れてくれず、ねずみ男は内心“声なんかかけなきゃ良かった”と後悔しながら迷惑そうな顔をして歩く。紫苑は真逆で満面の笑みだった。

 

 

「はぁ〜〜〜」

 

「ねずみ男、ほら見て!あの夫婦、仲良さそうだね。私たちもあんな風に周りに見られてるかもね」

 

 

 紫苑がにこにこと指差す。

 

 

「ちっ……!なんだよ、イチャつきやがって!」

 

 

 ねずみ男は道端のカップルを睨みつける。

 若い男女が肩を寄せて歩き、女の方は男に笑顔で団子を差し出していた。

 

 

「おいおい!オレだって団子食わせてもらいてぇよ!しかも美人に!しかも“あーん♥”とか言ってだな!」

 

 

 両手を広げて大げさに嘆くねずみ男。

 紫苑は腕にしがみつきながら、ちょっと不満げに言った。

 

 

「……わたしだって“あーん”くらいできるけど」

 

「お前じゃダメなんだよ!はなくそ!オレの好みはなぁ、ボンッ!キュッ!ボンッ!のお姉さまなんだ!」

 

 

 ねずみ男は空中に女体のシルエットを描くように手を動かす。腰をくねらせ、胸を突き出してみせる。

 

 

「……」

 

 

 紫苑はジト目で見つめ、ねずみ男の横腹を小突いた。

 

 

「いってぇ!なにすんだよ!」

 

「ねずみ男って……ほんと分かりやすいよね」

 

「う、うるせえ!オレはなぁ……!愛し合う二人が寄り添う姿を見てると……腹が立ってしょうがねえんだ!」

 

 

 その瞬間、通りの向こうからラブラブ全開のカップルが、手を繋ぎながら歩いてくる。男が女の耳元に囁き、女が顔を赤らめて笑う。

 

 

「ぐあああああッ!!!」

 

 

 ねずみ男は両手で顔を覆い、地面を転げ回った。

 

 

「やめろォ!オレの目の前で青春ドラマみてぇな真似すんなぁぁ!」

 

 

 紫苑は苦笑しながら、転がるねずみ男を引っ張り起こした。

 

 

「……ねずみ男、嫉妬深すぎ。ねずみ男には私がいるよ?」

 

「うるせぇ!オレだってモテたいんだよ!美人と!お姉さまと!ムフフなことをしてえんだよ。朝昼晩と美人を取っ替え引っ替えしてえんだよぉぉぉ……。それなのに俺っちの隣にはガリガリのガキ。なんで可哀想なんだ、俺ってよぉっ!!」

 

 

 人里の片隅で、ねずみ男の哀愁と欲望の叫びが響き渡っていた。ねずみ男は人生で一度もモテたことがない。故にモテるために金を使って女を侍らせることが多々あった。しかし、そんなことで彼の心は満たされない。だから常に青春している人を見ると僻んで、妬んでしまう。

 

 

「むぅ…」

 

「いや待て。こんなイケメンを世の女性が放っておくはずがないぞ」

 

「?」

 

「きっと照れてるんだ。そうに違いない。照れるなんて可愛いねぇ、にっひひ」

 

「……え」

 

 

 ねずみ男は都合のいい解釈をすると、自分の好みの女性を見つけて駆け寄る。

 

 

「へへっ、そこのボンキュボンのお嬢さん」

 

「な、なんですか!?」

 

「俺と一緒に食事でもどう?その後も時間あるならイイコトしな──ぶべらっ!?!?」

 

 

 ぶん殴られる。

 蹴られる。

 そして女は唾を吐いて行ってしまった。そりゃあそうだ。ねずみ男が見ていたのは女性の体のみ。普通に失礼である。

 

 

「今のは良くないよ」

 

「ほげほげ……」ぼろっ

 

「それにさ、私の前で今のはちょっと……」じぇら

 

「──はっ!」

 

 

 しかし、ねずみ男は急に悟る──。

 

 

 

「・・・愛だ」

 

「え?」

 

「分かった!俺が幸せになれない理由は“愛”だ!」

 

「いやいやいやいや……」

 

「この世に愛という非科学的なものが蔓延っていることこそがおかしいのだ!もし愛が存在するというのなら、目に見えるはず!しかし見えない!つまり愛など存在しないのだ!!あの人間たちは愛という存在しないものに毒された病人だ。あ〜〜〜っ、俺としたことがそんなものを求めるとはなんと愚かなことだぁ……!」

 

 

 

 ねずみ男は頭を抱えて、怒りを爆発させた後にスッと立ち上がる。彼が目指すのは“山”を見る。

 

 

 

「俺は山に籠るっ!里にいる限り、愛を求める亡者になってしまう……!幻想郷から愛が無くなった時に賢者となり俺は帰ってくるだろう。では紫苑、さらば!」

 

「あっ、ちょっと待ってよぉ!」

 

「待たない。追うなよ、この俺をーーーっ!!」

 

 

 ねずみ男は悲鳴にも似た声をあげて山へと向かって行った。紫苑は完全に置いていかれ、せっかくのデートも終わってしまったのだ。

 

 

「・・・もう。…追うべきか追わないべきか、どうしよう」

 

「追わなくていいわよ、あんなやつ」

 

 

 後ろから声をかけられ、振り向く。

 紫苑の後ろに立っていたのは買い物カゴを手に持った霊夢であった。彼女は小さくなる彼の背中を見ながら言った。

 

 

「霊夢」

 

「あんな大声で叫んでいたら聞きたくなくても声を聞いちゃうわよ。知り合いとして恥ずかしい。里にいたら嫉妬しまくるから山へと逃げたんでしょ」

 

「でも……」

 

「アイツのことよりも一緒に晩御飯でも食べない?魔理沙が来るはずだったんだけど用事ができて来れないの。余らせるのも嫌だしさ」

 

 

 紫苑の脳内では、ねずみ男とまともな晩御飯を天秤に乗せていた。そして少し考えたあと自分の今好きな方を選ぶ──

 

 

「じゃあ、お邪魔します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ〜〜〜っ、はぁ〜〜〜っ!」

 

 

 森の中でねずみ男は深呼吸。

 それを何度も繰り返す。

 

 

「大自然のエネルギーを体内に取り込み、愛だとか恋だとかくだらないものを追い出してやるぅぅぅっ。スゥ〜〜〜……ん?」

 

 

 ちょっと周りを見てみると、2人の男女天狗がこっそりと愛を囁き合いながら抱き合っているのが見えた。ねずみ男と目が合うと恥ずかしそうに飛んでいった。きっと任務中に逢引きしていたのだろう。

 

 

「ぶはっ!?く、くく、くぅ〜〜〜っ!どいつもこいつもぉっ!」

 

 

 ねずみ男は駆け出した。

 彼の心の中は怒りと憎しみ、そして嫉妬。なにより嫉妬が渦巻いて煮えたぎって、そしてやり切れなくて走り出した。

 

 

「誰よりも誠実でッ!誰よりもイケメンのオイラがッッ!!こんな思いするのも全部、この世に愛なんてあるからだっ!恋愛映画も消えちまえっ、恋人はみんな別れちまえっ、既婚者同士浮気し合えっ!!うわぁああ〜〜〜んっ!」

 

『なんだいなんだい。大の男が泣くんじゃないよ』

 

「ぬわっ!?」

 

 

 

 ぼよよよん、と柔らかい壁にぶつかり、ひっくり返るねずみ男。目を開けると目の前には太った老婆が立っていた。しかしただの老婆ではないと直ぐに分かる。

 

 

「ひ、ひぃいいっ!!」

 

 

 その太った老婆の口からはおおよそ人間とは思えないほど立派な牙が生えていた。彼女はねずみ男を摘み上げると大きな声で笑った。

 

 

『泣いたり怯えたりと騒がしいやつだね、あんたは。それでも本当に男か?ちゃあんと、玉ァ付いてんのかい?』

 

「な、なんだと……って怒る気もしねえや。俺はもうこの世に絶望しているんだ。構わないでくれよ」

 

『そう言うな。アタイはお前の悲しみに呼ばれてきたんだよ』

 

「俺の悲しみだって?」

 

 

 老婆はねずみ男を下ろす。

 そして彼の前に、向き合うように座った。座ってもねずみ男2人分くらいの大きさで内心ビクビクしてはいたが悟られないように振る舞う。

 

 

『そうだよ。アタイも今、この世に絶望していたところさ。そんな時にお前の悲痛の叫びが聞こえてきてね。アタイと同じ考えの持ち主を助けてやりたくてやってきたのさ』

 

「と、いうと……あなた様は俺をモテさせるためにやってきた愛の神さまで?」

 

『バカ!愛をくだらないというお前の前に愛の神が現れるか。アタイは愛とは真逆の存在──【肉体関係】主義者だ!』

 

 

 ねずみ男の鼻息が荒くなる。

 

 

「ふはっ!肉体関係ですと!?」

 

『そうよ。その通り』

 

 

 老婆はニタァッと笑い、右手で輪っかを作り、左手の人差し指をその輪っかに挿したり抜いたりといかがわしい動作を繰り返す。

 

 

『アタイの名は【パウチカムイ】。淫欲や性欲を司る妖怪なのだよ』

 

 

 

 

 

 

 パウチカムイ

 北海道に古来から住むアイヌ民族に伝わる淫魔である。人を全裸好きの変態にしたり、浮気させたりする存在である。

 

 

 

 

 

 

「そんなあなた様が私になんの御用で?」

 

『うむ。それを語るには長い話がある』

 

 

 パウチはどこからかシシャモを取り出して、ムシャムシャと食べながら話し始める。ねずみ男もおこぼれを貰いながら話を聞く。

 

 

『アタイは元々北海道にある(カムイ)の世界のススランペッ川で暮らしながら人間たちの性の営みを見守っていたんだが……、最近の人間ときたらラブラブな恋人を作ったり、温かい家庭を築いたりと……いやはや本能のカケラもない姿を晒していたのだ』

 

「くぅ〜〜〜っ、全く同意見ですな。私もそんな姿はくだらないと思っていました」

 

『昔の人間たちは自分の欲に従って、好きな相手と好きに交じり合っていた。浮気、不倫は当たり前。子を残すという本能のみで動く……それはそれは美しい存在だった』

 

「分かるな、とても分かる」ウンウン

 

『いつの間にか、不貞行為は悪だと見なされるようになった。アタイはそんな世界を嘆いてこの世から消えようと思っていたのだが……。気づけば幻想郷(ココ)に来ていたのだ』

 

 

 

 幻想郷に勝手に、流れ着く妖怪とは忘れ去られた妖怪だ。

 きっと外の世界で不貞行為はやってはいけないとなり、パウチへの関心が薄れて、忘れ去られてしまったのだろう。

 

 

 

『この古臭い世界を見た時に──“ここなら人間たちの本来の美しさが見れる”──そう思っていたのに、どこも変わらない。ここもダメかと思っていた。そんな時に同志と出会えた。アタイは嬉しかったのさ!』

 

「うっ、ううっ!俺も今の話を聞いて感涙してるよぉ〜!周りは俺を異常者扱いするが、やっぱり間違っていたのは世の中だったんだな」

 

『そうだとも!……それでだ、ここからが本題』コソ

 

「なんですか?」コソコソ

 

 

 2人は悪い顔をしながら密談を始める。

 

 

『お前とアタイでこの幻想郷を本来の世界──ハレンチあふれる世界にしてみないかい!?』

 

「乗ったァッ!!」

 

 

 ねずみ男は膝をパチンと叩く。

 パウチも嬉しそうにケタケタと笑った。

 

 

「俺がモテない世界なんて要らない!愛だとか恋だとかくだらないものは捨てて!誰から構わずハレンチなことばっかりする世界にする!俺らが救世主になるんだね、これはッ!」フンッ

 

『その通りだ!結局ね、男と女が裸でくっつきゃ、それで世界は回るのよ!」

 

 

 二人はガシッと手を握り合う。

 

 

「『──肉体的関係こそ、この世の真理ッ!!』」

 

 

 山中にこだまする、不健全な宣言。

 この瞬間、ねずみ男とパウチは奇妙な共犯関係で結ばれてしまったのだった──。

 

 

「だがよ、救世主になるにしてもどうすりゃあいいんだ?」

 

『この幻想郷の常識を壊すのさ。アタイにならそれができる!ヒヒヒ』

 

「すげえな!洗脳とかか?」

 

『違う。本能に訴えかける。それがアタイの能力──【性本能(ラブ・デトックス)】!

 

「ら、らぶ?」

 

『私の能力は、あらゆる生物の性本能の力を増減させることだ。これを使えば常に肉欲のことしか考えられなくなる。人間も妖怪も心からの解放が起きて全裸で踊ることになるのさ』

 

 

 そして、パウチは手のひらを見せつけた。

 

 

『ただし5日かかる』

 

「そんなにか?」

 

『人1人の性本能を増幅させるのは訳ないが、幻想郷全てを変えるとなると時間がかかる』

 

「うーむ、そうなると色々と面倒なことになるぞ」

 

 

 ねずみ男は考える。

 

 

「この世界には俺たちみたいな救世主を非常識な存在として排除しようとする輩がいる。人間たちに呼びかけでもされて、スケベにしても我慢されちゃあ意味がない。スケベの賛同者を増やさなければならないぞ」

 

『うぅむっ、確かにな。アタイの能力は理性を弱め、人をハレンチにするだけだからな』

 

 

 ねずみ男は指をパチンと鳴らす。

 

 

「にひひ、それは俺に任せろ。この俺の口八丁手八丁でハレンチを常識にしてやる。……だ、だが武力行使されたら?」

 

『そこは大丈夫。性なる戦士……ハレンチ性騎士がいるからね。そいつは強いよ』

 

「なら作戦決行だ。むーふふふふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 

 

 

 

 人里──。

 ねずみ男が里を出てから、数時間後のことだった。人間たちはいつもと変わらずに生活していたのだが、その当たり前の世界に少しずつだが異変が起き始めていた。

 

 夕食を買いに来た夫婦。大将が美味しい川魚を選び、そして捌いてくれている時に奥さんが旦那にこっそりと言った。

 

 

 

「……大将、なんか今日かっこよくない?」

 

「・・・はぁ!?何言ってんだお前。あの人、白髪混じりで腹も出てるだろ?」

 

「いや、そうなんだけどさ……魚を捌く時の、あの包丁さばきにあの目。あれが、こう……たまらなく色気があるというか……」

 

「お、お前まさか、魚屋の親父に……?」

 

「ち、違う! 違うけど……なんだろう、妙にドキドキして……」

 

 

 笑い話で済む程度の“目の錯覚”だった。

 だが、その錯覚はこの夫婦だけに留まらず、それは次々に広がっていく。駄菓子を買いに来た18歳の男の子2人。子どもの頃から通っている店に今日も顔を出す。お菓子を選びながら、1人が言った。

 

 

「あの駄菓子屋のばあさん……今日やけに艶っぽく見えねぇか?」

 

「お前も?前まではなんとも無かったのに、あんな腰の曲がった姿がたまらなく愛おしい……」

 

「シワの一本一本が、こう……人生の色香を物語ってるっていうか……」

 

「「はっ!?俺たちには彼女がいるんだっ!!」」

 

 

 里の人々は、自分でも理解できない感覚に戸惑い始める。

 恋人がいようがいまいが、妻や旦那がいようが、年齢差があろうが、子どもだろうが、同性だろうが、恋愛経験無しだろうが、聖職者だろうが教師だろうがガリ勉だろうが馬鹿だろうが──他人に対してムラムラし始めるのだった。

 

 

「お、俺は自分の嫁だけを愛してるはずなのに……!なのに、隣の畑のばあさんが……やけにセクシーに見える……!」

 

「私も、友達のお兄ちゃんの、その泥だらけの顔に……ときめいちゃって……!こんなの絶対おかしい!でも胸がドキドキして止まらないのぉ!」

 

「くそっ……! あの物売りの声を聞くだけで、体が熱くなる……! あんな野太い声なのに……!」

 

 

 里の人間たちは、次々に“欲望のフィルター”で周囲を見てしまう。

 相手が誰であろうと、性別も年齢も関係なく、みんな色っぽく見えてしまうのだ。

 

 

「な、なにかおかしい…っ。ただの子ども達なのに、いつも勉強を教えているだけの子ども達なのに……」ドクンドクン

 

 

 それは人間たちだけで止まらない。

 ゆっくりと人間以外の者たちにも影響を及ぼし始めていた。

 

 

「はぁっ、はぁっ」ムラムラ

(相手は子どもだぞ。何を考えているんだ、私はっ!子ども相手になんでこんなに欲情しているんだ…っ)

 

 

 勉強を教えていた慧音のチョークの動きが止まる。

 子ども達も初めは慧音に何か起きたのではないかと心配していたが次第に慧音に対して艶かしい視線を向け始める。

 

 

「な、なんか慧音先生って…」

「うん。あんまり気にしなかったけどなんか…」

 

「──はっ!き、きょ、今日の授業は終わりだ!皆んな、さっさと帰るように!」

 

 

 慧音は寺子屋を飛び出し、自宅へと直帰する。

 そして布団に包まると顔面を枕に沈めた。

 

 

「私のクラスには男の子たちが7人…。ということはアレが7本……って、やばいやばいやばい……っ、私は教師だぞ。──何を、何を考えているんだっ!!」

 

 

 もぞもぞ

 ぐねぐね

 

 

「くそっ、この体の熱が冷め切らない、どうしたらどうしたら……」ムラムラムラムラ

 

 

 慧音はそのまま自分の手を下腹部へと伸ばし──

 

 

「ぐぅあああああーーーーっ!!私は教師だっ!性犯罪者なんかじゃないっ!!」

 

 

 

 伸ばした手を戻し、何度も頬を叩く。

 我慢して、水桶に頭を突っ込むしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チルノと大妖精も絶賛混乱中であった。

 いつものようにチルノがカエルを凍らして遊んでおり、大妖精も隣に並んで凍らされたカエルを救出するという流れ作業をしていたのだが、チルノの動きが突然止まったのだった。

 

 

「ぽや〜〜」

 

「チルノちゃん?」

 

「ぽやぽや〜〜〜」

 

「え?どうしたの?おーい、チルノちゃん!?」

 

 

 チルノは大妖精の顔をじっと見たままフリーズしていた。突然のことで困惑する大妖精。何度も呼びかけるが、反応がない。

 

 

「はっ!」

 

「チルノちゃん!一体どうしたの?」

 

「大ちゃんっ!ちゅーしよ!ちゅーっ!」ハッハッハッハッ

 

「・・・え?えっ、えーーっ!?な、何言ってんの、チルノちゃん!私たち女の子同士だよ!!」

 

 

 顔を真っ赤にして後ずさる大妖精。

 チルノはタコのように唇をとんがらせて、ゆっくりと近づいてくる。何かがおかしいと察した大妖精は逃げなければと思った。思ったのだが、頭がクラクラしてきて…

 

 

「……チルノちゃんの唇、やわらかそぉ」とろん

 

「んーーー!」

 

「ちゅうくらい普通だよね。うん、しよっか」

 

 

 大妖精もチルノへと歩みを進めると──

 

 

「ん〜んむ〜っ」ジタバタ

「ぢゅぅぅぅ〜〜♪」チューっ

 

「ぐるじっ、だいちゃ…んっ!?」グイッ!

 

「〜〜〜っ♪」ちゅポン

 

「ぷはっ…はぁ…はぁ…ら、らいちゃぅ〜!」チュウゥ

 

「ん…♪もっと♪」ぷはっ

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

「守矢神社に入信しませんか〜」

 

 

 早苗は今日もまた里に来て、入信者を募集していた。

 諏訪子と神奈子の為にも一生懸命頑張っていたが、いつもと同じで誰も入ってくれない。

 

 

「そこの貴方!どうですか!入信しません!?」

 

「い、いや、僕は無神論者なんで…」

 

 

 若い男は早苗の胸を凝視しながら答える。なんと最低なんだろうか。本来ならこんなことしないが、今はそんな気が無くても目がそっちを向いてしまう。それに気づいた早苗は彼の手を掴むと、自分の胸に当てる。

 

 むにゅっ

 

 

「!?!?」

 

「いやらしい人…♡人と話すときは目を見るんですよ?」ふふっ

 

「ご、ごめんなさ……」

 

「いいんです。入信してくれたら……、これ以上のことできます、よ?」ボソッ

 

「えっ!?」

 

「どうします?ふー」

 

 

 耳に息を吹きかけられ、腰が砕ける。

 なんというエロさ。男はもう早苗にメロメロだ。

 

 

「あひんっ、は、入るっ、入ります!!」

 

「そうですか!ではこちらへ!」

 

 

 そのまま守矢神社に連れられて、そして彼を待っていたのは──

 

 

「いらっしゃい♡けろけろ」

 

「・・・え?」

 

 

 幼女だった。

 下着姿で布団の上に胡座をかきながら、彼を手招く。

 

 

「ぼ、僕、未成年には……っ」

 

 

 動けない。蛇に睨まれた蛙、いや蛙に睨まれた虫だ。男は今、神の手のひらにいるのだ。男の頬を長い舌が伝う──

 

 

「失礼だなぁ。見た目はこうでも私は神さまだよ。乱暴にしても壊れないって。いひっ」

 

「う、うわああああ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか今の幻想郷の絶対におかしいですけど、入信してくれる方が増えて来て嬉しいです」

 

 

 神奈子は心配そうな顔をしていた。

 あまり気乗りはしていない。

 

 

「これは流石に間違ってないか?」

 

「でもおっ◯い触らせてあげるだけで入ってくれるんですよ?安いもんじゃないですか!」

 

「いつからお前はそんな淫乱な子になったんだ!!」

 

「変な神奈子さま。どうせ誰かと付き合うわけでもないし、身体だけの関係なんて別に問題なんかなくないですか?」

 

「違う、早苗はこんな子じゃないっ!誰だ……。早苗をこんな子にしたのは誰だァァァーーーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「らんしゃま〜〜♡ちぅちぅ〜」

 

「や、やめてくれ、橙っ」

 

 

 マヨヒガ。

 藍は自室で仕事をしていたのだが、いきなり橙が入ってきたかと思うと抱きついてきたのだった。橙の瞳の中にはハートマークが浮かんでおり、涎を垂らしながら藍の唇を奪おうとする。

 

 

「橙っ!発情期はまだなんじゃなかったか!?」ぐいっ

 

「わかりまちぇ〜ん。ただ体があちゅいんですぅ♡あちゅくて、()()()()()()()……っ」

 

「誰でも良いって、お前な!いつからそんな子になった!」

 

 

 

 

──パチンッッ

 

 

 

 

「ひゃあああ〜〜〜んっ♡♡♡!!」びくびくびくぅっ

 

 

 仕置きのつもりで尻を叩いたつもりだった。

 しかし、藍が叩いたのは尻尾の付け根の部分。つまり猫の性感帯である。そこを思い切り叩かれた橙は艶っぽい声を出したかと思うと気持ちよさそうな顔をして痙攣した。

 

 

「もっどぉ…、藍しゃまっ、もっどちぇんにお仕置きしてくだしゃい♡♡」カクカクカク

 

「橙はこんな子じゃないっ!私の脳内にある橙メモリーが焼き切れるっ、う、うわあああああーーーー!?!?」

 

「ふにゃぁ、ふにゃあ♡♡」

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

「あーむ、……うまぁ…。幸せすぎるぅ……っ」

 

「そんなに焦らなくてもご飯は逃げないわよ」

 

「霊夢の作るご飯ってこんなに美味しかったんだ。料理できないと思ってたからなんか感動」

 

「ふん、いつも寝ているわけじゃないわ。面倒だからやらないだけで、基本的に炊事洗濯はできるっての」

 

 

 霊夢と紫苑はご飯を食べながら談笑。

 霊夢は雑草生活から解放され、紫苑はゴミを漁らずに済み、2人とも心の底から幸せを感じていた。

 

 

(……あれ?なんか霊夢のこと見てたらお股が……。あれ…?な、なんで?私はそっちの気なんかないのに…)

 

 

 しかし、突然紫苑を襲う性欲。

 目の前の霊夢の身体から目が離れない。特にあの脇、あの股に対して、心がときめいていくのを感じる。

 

 

(……私が取り憑けば霊夢は弱くなる。弱くなった霊夢をぐちゃぐちゃに……)

 

「あっ、唐揚げが…」ポロッ

 

 

 霊夢が唐揚げを落とす。

 それを拾おうと手を伸ばすが、コロコロと転がり机の真ん中の方まで行ってしまったので屈まなければならないようだった。

 

 

「私が取るよ」

 

「ありがと」

 

 

 まさに僥倖だった。

 机の下に潜り込み、落ちた唐揚げを無視して、そのまま霊夢の股ぐらに頭をダイブ──

 

 

「ひゃあああああっ!?」

 

「はぁっ、はぁっ、キッツ♡下着越しでこのクラっとくる匂いやべえっ!♡♡あー!この下着邪魔っ!脱がしちゃ──」

 

 

 

 メリィイイ──

 

 

 

「が、がふっ…」

 

 

 紫苑の頭は見るも無惨になってしまった。

 霊夢はギィっとぐちゃぐちゃになった紫苑を睨みつける。

 

 

「こんの……変態貧乏神ぃっ!!あと私は臭くないっ!面倒だから3日くらい入ってないだけっ!」

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

「いいの?霊夢とご飯食べる約束してたんでしょ?」

 

「あーーそれを言わないで欲しいぜ」

 

 

 魔理沙は、風見幽香の元へ訪れていた。

 霊夢との約束を破ってまでなぜ来たのか。それは──

 

 

「でも幽香に鍛えてもらえるなら、こっち優先しちまうよ。飯はいつでも食えるけど、幽香は気分屋だからこういうのは滅多にないしな」

 

「ふーん。魔理沙がそれでいいと言うなら私は別に何も言わないけど」

 

「それじゃあ今日は何をしてくれるんだ?マスタースパークの強化か?それとも魔力の底上げか!?」ワクワク

 

 

 別に師匠というわけではない。

 だが魔理沙は強さに憧れを抱いていた。ただの腕力だとか、妖力だとか、そんなものではなく、魔法使いとしての強さに。幽香は妖怪だが魔法にも精通しており、マスタースパークを編み出したのは彼女なのだ。魔理沙はそれを見て盗み、自分のものにしたが本家にはまだ叶わないのを知っている。

 

 

「もっと強くなりたいんだ!どんな異変にも、ライバルの霊夢にも、負けないくらいにな!!」

 

(私としてはただ戦いたくて声かけただけなんだけど……。まぁ、いいか)

 

 

 幽香は日傘の先端を魔理沙に向ける。

 

 

「では早速やりましょう。いつも言うけど、私は教えない。見て盗み、自分に取り入れなさい──ん゛っ♡!?」

 

 

 突然、幽香は膝をつく。

 

 

「ど、どうしたんだぜっ!?」アセアセ

 

「……なんでもないわ。ただ今日はお部屋で教えてあげる。ついて来なさい」

 

「え?お、おう…」

 

「んふ♡」

 

 

 

 

 

 家に入るや否や、魔理沙は全身をツタでぐるぐる巻きにされて、そして──

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

「ふーっ♡ふーっ♡何この感じっ!」いらいら

 

「はーっ♡はーっ♡こ、これ、やばいっ」むらむら

 

 

 レミリアとフランはお互いに起きた異常に狂っていた。息が荒く、顔を恍惚とさせ、目が潤んでいる。

 

 

「お姉様っ、これ何が起きてるのっ」

 

「ン…、こ、れは発情……してる♡男の生き血なんか吸ってないのに…。なんで、なんでっ」

 

 

 吸血鬼というのは性的興奮に弱い。

 元よりカリスマに溢れる存在が、獣のように発情することなんてしたくない。だから悔しくて恥ずかしい。しかしスッキリしないといけない。

 

 

「咲夜っ!咲夜はどこっ!?」

 

「ここに…」

 

「餌の中に居るっ!?」

 

「いる、とは?」

 

「男!それもど、どうて……、汚くないやつ!」

 

「いえ。おりませんが」

 

「こんな時にぃぃっ」

 

 

 フランはグイッと立ち上がると、地面をぶち壊す。

 抑えきれない性欲を破壊へと変えたのだろうか?いや、違う。この下は……。

 

 

「我慢できない。アイツでいい」

 

「ふ、フランっ、アイツって?」

 

「ドリンクサーバー!あいつ、ぐちゃぐちゃにしても死なないんでしょ!あれで発散する!一応、男だし」

 

「わ、私も…!!」

 

 

 誰にも見られない地下。

 そこにある牢獄の中の樽に、幻想郷を襲った賊がドリンクサーバーとして入っている。死にかけるたびにバラバラにされてストックがたくさんいるのだ。

 

 きっと今頃、何が起きているのかわからないまま、あの姉妹に犯され、殺され、犯されまくるのだろう……。

 

 

「・・・すぅ〜っ、はぁ〜っ!!私だって我慢しているんですよ……!けどお二人に手を出せませんしぃぃ…!」

 

 

 咲夜は懐中時計を取り出してニンマリと笑う。

 

 

「里に行って男たちを犯し……、いや勿体無い。時止めながらパチュリー様と乱れてやるゥッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こあ〜。あれ?小悪魔〜?……いないの?私の許可なしにどこ行ったのかし、ら…………ヒィイグゥッ!?!?♡♡」

 

 

 図書館はあっという間に大洪水になったそうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 命蓮寺──

 

 

「〜〜〜〜っ、ぅぅぅぅ〜〜っ」モヤモヤ

「ふーっ、ふーっ」イライラ

「……」ブツブツ

 

「喝っ!喝っ!喝っ!」

 

 

 ぱしん

 

 

「うううっ、いだいぃっ」

「あだっ!!」

「ぐふっ!?」

 

「どうしたんです?今日は全く集中していませんよ」

 

 

 坐禅の手技をしていた響子、水蜜、一輪の3人。いつもはもうちょっと真面目にやっているのだが、今日は様子が違う。どこか浮ついているというか、興奮しているというか…。顔を赤くしたり、息が荒かったり、調子が悪そうだった。

 

 

「そんなこと言われてもぉ〜〜っ」

「分かんないよぉ〜」

 

「もしかして調子が悪いんじゃ…っ、響子ちょっと失礼…」

 

 

 ぴとり……

 おでことおでこをくっつける。

 

 

「うぅ〜〜〜っ!!」バクンバクン

 

「熱いっ、響子熱がありますよ!これは休まないと……ぅむっ!?」

 

 

 ぶちゅぅぅぅ〜〜〜っ♡♡♡

 

 

「っぷは、な、なな、何するんですか!?」

 

 

 響子がいきなり情熱的な接吻をしてきた。

 すぐに引き剥がす。

 2人の唇の間に銀の橋がかかり、響子はそれを指で掬うとペロリと舌で舐めとる。

 

 

「聖ぃ…、私病気なの?誰でもいいから、ちゅーしたいの。もっとしたいの。それ以上のこともしたいの…!これっておかしいの?」

 

「そ、それは…」

 

「おかしくなんかないよ。響子」

 

「うんうん、そうだよ」

 

 

 一輪と水蜜が後ろから聖を押さえつける。

 2人の顔もほんのりと赤く、熱い息が耳をくすぐってくる。

 

 

「私たちは妖怪なんだよ。理性なんか捨ててさ、ヤリたい時にやればいいんだよ♡」ふー

 

「私たちも手伝うからさ♡」にぎにぎ

 

「んっ、耳は……っ、手もそんなに強く…、やめ…っ♡」

 

 

 気づけば響子は聖の上に跨り、ほんのりと赤くなった顔を胸に埋めて甘い声を出す。響子の手はそのまま聖の胸を鷲掴みにしてギュッと力を強めて……

 

 

「あっ、だめ、だめっ♡い、いっ、クゥゥゥ──南無三っ!!」

 

 

「「「ぎゃあっ!?」」」

 

 

「ぜぇっ、ぜぇっ、煩悩退散っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

 里の人間たち以上に、妖怪たちの方がかなり狂っていた。

 元より自分の好きなように生きるのが大好きな妖怪なのだから、理性よりも本能に負けてしまうのは道理であろう。

 

 だが、人間も妖怪も、この地では原則なルールの元に、これまで理性的に生きてきた。

 

 理性が狂ってきても、耐えることはできる。いや耐えなければならないと必死に我慢した。我慢できないものは目につく相手とキス、キス、キス、キスキスキスキス───。

 

 

 キスならまだ大丈夫だと自分たちに言い聞かせ、溢れ出る欲望を発散するかのように互いに唇を貪り合う。

 

 

 

「うぅ〜〜〜〜っ!!!!」

 

 

 

 だが、それが逆効果。

 押さえつけようとした性欲が暴れ出す原因となってしまった。ヤリたいのにできない。人々は次第に荒み、そして幻想郷中からはキスの音が響き渡る。

 その抑圧された心のうちを【あの男】は待っていた──。

 

 

 

「はいはいっ、皆さんご注目〜〜!」

 

 

 

 なんだなんだと人々が集まってくる。

 顔を赤くして、息が荒い人々に囲まれて、ねずみ男はニンマリと笑いながら立て看板を地面にザクっと突き刺した。人々の視線はそれに集中する。

 

 

「はれ…んち……条例…?」

 

「なんだそれ」ザワザワ

「よく分かんないけど八雲の印と博麗の印の二つが押してあるぞ」ヒソヒソ

「ってことは重要なのことか?それにしてもあの言葉は…」コソコソ

 

 

 大きく書かれた意味不明な言葉に首を傾げる。

 ねずみ男は全員が言葉を見た上で、大きな声で言った。

 

 

「みんな、何かおかしくなかったか!?最近の自分自身について!」

 

 

 皆んなの視線が彼に集まる。

 一部女子は彼の股間ばかり見ていたが。

 

 

「好きじゃない相手にムラムラしたり、今まで気にしてこなかった相手の体に気持ちが持っていかれたり……。自分はどうしてしまったんだと辛い気持ちや疑問を抱いていなかったか!?」

 

 

 皆んな一斉に頷く。

 そうだ。そうだよ。僕たち、私たちは今まさにそんな気持ちだ。だって今、たくさんの異性が集まっているのだ。興奮している。脱ぎたい、抱きたい、身体だけで愛し合いたい──。

 

 

「そんな辛い気持ちも今日、今の時刻を持って終わりの時を迎える──。何故なら!幻想郷全体にこの条例が施行されるからよ〜!」

 

「「「!!」」」

 

「俺たちはもう我慢しなくていい!好きな場所、好きな時間、自分のヤリたい時にヤっていいんだ!」

 

 

 人々は立ち上がり、大きな声で喝采する。

 中には未だに素直に喜べないものたちもいるが、それ以上にその条例に感動し、喜び、涙を流すものが多く、否定的なものたちは声を上げられなくなってしまった。

 

 

「ば…、婆さん以外の女を……、昔みたいに抱きまくりてぇえ……!!」

 

「抱けば善し!!」

 

「異種族交流(意味深)しても……いいんすカァ!?」

 

交流(まざ)って善し!!」

 

「無知な少年(ショタ)少女(ロリ)と(大人の)お医者さんごっこしてええのか!?」

 

「ごっこして善し!!」

 

 

 ねずみ男は今まで以上に大きく、そして幻想郷全体に響き渡るくらいの大きな声で叫ぶ──

 

 

 

「今から24時間ッッッ!!乱◯パーティーの始まりじゃアァァァーーーッ!!」

 

 

 

 人々は一斉に服を脱ぎ、近くの異性と抱きしめ合う。ああ、中には本当に始めようとするものたちも現れた。大人も!子供も!年寄りも、妖怪も、妖精も!!

 

 

「ねぇ〜抱いて〜」はぁはぁ

 

「うへへのへ、ではでは俺も久々に羽目を外そうかな〜」

 

 

 ねずみ男も適当な女に手を伸ばそうとした瞬間──

 

 

 

「待ちなさい!!」

 

「!? 何者だっ!」

 

 

 

 

 

 しかし、ハレンチ条例という言葉に抗うものたちが立ちはだかる。ねずみ男が向けた視線の先には3人の女性たちだった。

 

 

「やっぱりアンタの仕業ね。こんなくだらないことを思いつくなんて流石だわ」

 

 

 博麗の巫女──博麗霊夢!

 

 

「喝ッッッ!!我々は獣じゃないっ!」

 

 

 超人──聖白蓮!

 

 

「私は教師だっ!変態じゃないっ、教師なんだっ!!」

 

 

 里の守護者──上白沢慧音!

 

 

 

 

 

 

 ここに今、反対勢力たちが立ち上がったのだった。

 そして聖白蓮が里全体に大きな声で“喝ッ!!”と叫ぶと人々の動きが固まる。

 

 パウチの能力は、洗脳ではなく、性欲増強。

 しかし聖白蓮による鶴の一声で、一時的にだが人々の性欲が落ち着き、少しだけだが冷静さを取り戻した。

 

 

 

「く、く、くそ〜!!俺の理想の世界が……!!」

 

「ねずみ男。アンタが1人でこんなことできるとは思えない。共犯者がいるんでしょ。さっさと案内しなさい」

 

「こんな馬鹿げた世界は元に戻さなければなりません」

 

 

 

 だが、ねずみ男は諦めていなかった。

 今の彼はどんなに止められようとも止まらないくらいに身も心もギンギンだった。溜まりに溜まったものを出し切るまでは止まれない。

 

 

 

「絶対に教えねえよっ!いいか、禁欲ばかりの馬鹿者ども、よく聞け!この世界はな、愛とか恋とかに縛られない最高の世界にならなきゃいけねえんだよ!」

 

「なに?」

 

「顔面も、金も、血も……何も持っていなくても、差別もなく、モテるとかモテないとか関係なく、誰もが気持ちよくなれる世界だ。俺みたいな弱者を救う世界だ!その邪魔はさせねえぜ!!」

 

「くだらない!良いこと言ってるつもりのようだけど、結局はモテないから世の中に僻んでいるだけじゃない!」

 

「うるせえ!初めから可愛い奴に理解してもらおうと思ったのが間違いだった!──お前らをとっ捕まえて、皆んなの前で裸にして、無理やりに交尾される姿を晒してやるぜ!!」

 

 

 

 ねずみ男は青空に向かって叫ぶ──。

 

 

 

「いでよ!性騎士たち!」

 

 

 

 妖気が立ち込める。

 それを察して、人々は自身の性欲よりも生命を優先し、家の中に逃げていく。洗脳ではないからこそ生存欲求に従ってしまうのだろう。だが今はそんな事どうでもいい。

 

 

 

『呼ばれたくなかった…な。子どもたちと遊んでいたい……な』

 

「!」

 

 

 

──ドゴォォォン!!!!

 

 爆音。地鳴り。そして──衝撃。

 空から何かが落ちてきた。それが地面にぶつかった瞬間、先程まで霊夢の立っていた地面が放射状にヒビ割れ、砂煙が舞い上がっていた。

 

 

 

「嘘…だろ……!?」

 

 

 慧音は驚愕し、そしてゾッとした。

 何故なら、地面に着地した相手は足ではなく、()()()()()()だったからだ。しかしシュルルルルルと胸は標準サイズ(とはいってもスイカ並みだが)へと戻った。慧音はそんな胸を持つ褐色美女と相見える。

 

 

「胸の化け物か…!?」

 

『酷い呼び方だ……な。私にはちゃんと名前があるんだよ……な。私は【ハンツテテク】。……ハンツお姉さんって呼んでほしい……な』

 

「ふん。敵を愛称で呼ぶ気はない」

 

『そう。じゃあさっさと戦おうか……な。これから子どもたちと(コレ)で遊ぶ約束しているんだよ……な。早く遊びたいから直ぐに負けてほしい……な。………貧乳(オチビ)さん』

 

「──あの子たちはゆっくりと大人になっていく。その過程で色々と学ぶんだ。お前みたいなのがいきなり現れたら、あの子たちの成長に悪影響だ。教師としてお前を倒す」

 

 

 

 

 

 

 カツン…カツン……

 ハイヒールの音が響く。

 

 

『うっふふ……♡あと3人で幻想郷の男百人斬り達成出来たのに、今呼ばれると思いませんでした』

 

「あなたは・・・!?」

 

 

 妖艶な笑い声と共に現れたのは──紅魔館のパチュリーに仕える【小悪魔】であった。だが、その姿は以前の面影とはまるで違っていた。

 

 赤い髪は艶やかに波打ち、いつもの地味な衣服は淫靡な黒いドレスに変わり、その胸元ははち切れんばかりに膨れ上がっていた。妖艶な唇が笑みを描き、その目は蕩けるように潤んでいる。

 

 

『あっは♡へー、私の相手は聖さんですか。これは堕とし甲斐がありそう』ぺろ

 

「何故敵につくのです。貴方には仕えるべき方がいるでしょう……!」

 

『そう言われましても。幻想郷に広がるあのお方の淫らな気配に誘われて……、あのお方の素晴らしい話を聞くうちに、私は感動して仕えることにしましたの』

 

「・・・・・・そうですか。深い事情だとか、操られたとか複雑な事情があるのかと思いきやそんな下らない理由で、元の主人の元を離れて、新しい主人に尻尾を振る浮気者という方だというのがよくわかりました。これで心置きなくぶっ飛ばせます」

 

『褒め言葉として受け取ります。──だって私は悪魔ですもの。悪く生きなくちゃっ♡……まぁ、それに今頃、パチュリー様はレミリアお嬢様とくんずほぐれつなことでもしてるでしょうし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一つの妖気……。下か!」

 

『正解だッ!!』

 

 

 ゴゴゴゴ──ズボッッッ!!

 地面の下から何かが突き上げてきた。

 固い土を押し上げ、突き破り、うねるように飛び出したのは……一本の荒々しく猛々しい“男根”。

 

 

「!?」

 

 

 そう。男を象徴する一本の槍が地面を突き破って生えてきたのだ。

 

 だが声の主は女性であった。

 凛々しく堂々とした女性の声がして、男のアレが現れた異常事態に霊夢は混乱、フリーズする。

 

 

『性騎士長──【トイポクンオヤシ】。いざ尋常に勝負っ!!』ぶるんっ

 

「あっ、ああ……っ、きゃあああーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らさえ排除すれば、幻想郷はドスケベでハレンチでR18な世界になるんだからよ。うけけけ」

 

 

 ここは戦場になる。

 霊夢たちが勝とうが負けようがタダでは済まないのは明白だ。奴らが疲弊したところをパウチと共に奇襲をかけて仕舞えばいい。

 

 

「とりあえず俺はパウチのところに避難だな。あーあ、グラマラスなお姉様とムフフなことができるのはお預けか。とほほほほ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!

 パウチは水木しげる先生の「死神大戦記」に出てくる姿でよろしくお願いします。

⭐︎⭐︎ここから大事⭐︎⭐︎
 今作でも「いやみ」を出すつもりですが、パウチといやみは全くの別の考えの持ち主なので、やっていることが似てても根本的に違います。

 パウチは浮気推進派の妖怪なので、愛抜きでエッチなことを周りにさせる。
 いやみは他人の楽しみを奪うのが目的。周りを色ボケにするのはその一環であり、色恋でめちゃくちゃになる人間関係に喜びを得ている奴です。愛はあったほうがいい(おもろいから)

 共通しているのはお互い変態なところです





 他のゲストたちはまた次にしっかりと紹介します。



 え?紫とバックベアードは?
 今は書かないって言ってるでしょうが!!



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