ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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こんにちは、狸狐です

 びびたし1話を書き終えて、数日経つと冷静になってきて、この2話目を書きながら俺はなんてものを書いているんだろうと恐ろしくなってきます。ですが意外と好評なのが日本人らしい。自分も下ネタは好きですが、下ネタを与える側だと話が変わってきて、普段の会話にエロを混ぜるってなかなかに難しい

 そして下ネタって結局は2パターンで、まじでエロに振り切るか、途中でパッとやめないとつまらなくなるんですよ。もうそれなのに自分のはぐだぐだと……。

 まぁ、とりあえずよろしくお願いします。
 因みにこれの裏でバックベアードの話はしっかり書いていますッル

















[閑話]びびたし 全てアイツの性

 

 それはハレンチ条例が施行されるもっと前。

 パウチとねずみ男が未だ出会っていない過去のことである。

 

 

『よく集まってくれたね、私の可愛い可愛い性騎士たち。いーひひひっ』

 

 

 パウチに2体の妖怪が集結していた。

 1人はパウチがまだ北海道にいた頃に東南アジアでスカウトした妖怪。もう1人はパウチと同郷の妖怪である。だが2人ともパウチに対して暗く辛い顔をしていた。

 

 

『分かってると思うが、お前らは生きとし生けるものにハレンチなことを強制させるんだよ。抵抗したり、特定の1人としかそういったことをやらなかったりする者は無理やりにでもグッチョングッチョンにするか……殺せ』

 

『『・・・』』

 

『・・・なんだい、その顔は』

 

『別に何でもない……な』

『右に同じく』

 

 

 その反抗的な態度にパウチは舌打ちをする。

 だが、また笑う。

 

 

『まぁ、いいさ。アンタらはアタイに逆らえない。逆らえるはずもない。これからもずっとアタイの手足として永遠に言うことを聞いてもらうよ。ぎひっ、ぎーひひひひっ!!』

 

『・・・っ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先生っていいよ……な。子どもと遊べるから……な。羨ましい……な』

 

 

 ハンツ=テテク

 マレーシア出身である彼女の名前の意味は『おっぱいお化け』。

 名前の通り、超巨乳である彼女は森の中に住み、子どもがやってくると()()()()()()()()()()()()()。そしてそのまま窒息させてしまったり、どこかへ誘拐してしまったりする。

 

 

 

『私は傷つけることしかできない……な』

 

 

 

 どくんっ、どくんっ。

 むくむく、ぐんぐんっ。

 

 

「な、なんという……デカさだ…!?」

 

 

 

 褐色の肌に映えるのは、常識を逸したほど膨れ上がった胸。

それはただの肉ではない。自在に膨張・収縮し、武器にも盾にもなる“戦闘器官”だった。

 

 ハンツ=テテクの能力【爆乳】

 自身の胸の大きさを自在に大きくできる。ただし元々の大きさ(スイカ)より小さくすることはできない。

 

 ハンツテテクの胸がぐんぐんと肥大化し、地面に影を落とすほどの質量を帯びる。男というのは大きな胸を好む者が多いと聞くが、本人よりも大きな胸を持っていると流石に恐怖を抱いてしまう。※ハンツテテクの着ている服は特殊なので、彼女の胸が車より大きくなったとしても破れたりすることはありません※

 

 

 

『ごめんね、先生。でも潰れて眠っててほしい……なっ!!』

 

「!?」

 

 

 次の瞬間、その質量が振り下ろされた。

 大地が爆ぜ、瓦礫が飛び散る。慧音は咄嗟に身を翻し、背後の建物を守るように前に立ち塞がった。

 

 

「貴様っ!その胸を無作為にぶるんぶるんさせれば周りにどんな被害が及ぶか分からないのか!家の中には子どもたちだっているんだぞ!」

 

『あ……っ!?』

 

 

 地面を蹴り、拳を振り抜く。ハンツテテクの顔面を撃ち抜こうとしたのだが。

 

 

「くっ!!」

 

 

 ハンツテテクの胸が巨大な盾のように広がり、衝撃を丸ごと呑み込む。

柔らかくも異様に弾力のある防御は、まるで生き物のように慧音の拳を絡め取った。

 

 

「くっ……これは……!」

 

 

 その肉厚。

 ギュッとされるだけでその谷間の中に真空状態が生まれ、腕が抜けなくなってしまう。柔らかさと痛み、温かさに慧音の拳の力が抜けていく。

 

 

『子どもたちは傷つけるつもりはないんだよ…な。子どもたちには傷ついてほしくない……な。場所変えさせてほしい…な』

 

「・・・分かった」

 

『ん。ありがとう』

 

 

 ハンツテテクの瞳を見て、なにか違和感を感じる慧音。

 一方で相手は慧音の了承を得たので、胸で腕を挟んだまま持ち上げると、そのまま里の外へと連れ去ってしまった。

 

 

『よっ…と』

 

「ここならいいだ──うっ、ぐわぁっ!?」

 

 

 ハンツテテクは外に連れ出した。

 だからもう遠慮することはない。周りを気にする必要もない。そのまま慧音の腕を離すことなかった。慧音は大木を背にして、超巨大な胸に押し潰されていく。

 

 

『油断した…な』

 

 

 ぐむむむむ──

 右から左から、肉の塊が慧音を押していく。背中にある大木のせいで逃げられず、全身で受け止めるしかできない。だがその重圧と重さが凄まじい。次第に立っている地面と大木がひび割れ、膝が沈む。

 

 

「……ぐ、ぬ……このままでは……!」

 

『そのまま窒息してほしい……な!!』

 

 

 

 むぎゅ、むぎゅ──

 ばぎぃっ

 

 

 

『!』

 

 

 

 足場を失ったのは、押さえ込む側のハンツ=テテクだった。左右に沈んだ胸の質量に慧音の壁となっていた大木が折れて、胸と慧音の間に隙間が生まれる。さらに胸の重さに大地が耐え切れず、崩れ、巨体がわずかに傾ぐ。

 

 

「今だ!」

 

 

 ──その刹那。

 

 

「はあああッ!」

 

『がっ、ふっ!?』

 

 

 慧音が全身を弾き飛ばすように解き放ち、渾身の拳を突き上げる。鈍い衝撃が顎を直撃し、ハンツテテクの身体が後ろへ吹き飛ぶ。あんなに肥大化した胸は穴の空いた風船のように元の大きさに戻った。

 

 

『っ……う……!』

 

 

 土煙の中、妖怪が膝をつく。

 だが、すぐにその豊満な胸は再び大きく膨れ上がり、次の瞬間にはすっと縮み、また肥大化する。

 

 

『痛かった……な。酷い…なっ!!』いらいら

 

「なら諦めろ」

 

『それは無理なんだよ…な。“乳房乱舞(ハントゥ・コペク)”』

 

 

 変幻自在の膨張と収縮。

 まるで幻惑の術のように、慧音の目と意識をかき乱す。大きくなったら元の大きさに戻ったりとトリックアートのような感覚に襲われ、次第にハンツテテクの姿がぼやけてくる。その混乱の隙を突き、妖怪の影がするりと背後へ回り込んだ。

 

 

「なっ──!」

 

『ふふっ』

 

 

 振り返る間もなく。

 ハンツテテクの胸が巨大化し、慧音の全身を包み込んだ。今度は押し潰すのではない。胸と胸で挟み込んだのだ。ぬちりとした熱を帯びた肉布団に包み込まれた。

 

 

「こ、これはっ……!こんなバカな技があって──ぐああああっ!!」

 

 

 胸が壁のように閉ざし、肩から腰までを完全に挟み込む。

 温かいのに、圧迫感は呼吸を奪うほど。

 骨が軋み、肌に押しつけられる柔肉の感触が、戦いの場とは不釣り合いな官能的な圧迫感を生んでいた。

 

 

『“大・天国抱擁(だい・しゅき・ホールド)”──。幸せに死んで欲しい……な…!!』

 

 

 

 メギィ…ッ

 ベキッ、バキッ……!!

 

 慧音の全身は、柔肉の牢獄に囚われていた。

 押し寄せる熱、柔らかさと重さが同時に牙を剥き、骨が軋み、内臓が悲鳴を上げる。

 

 

「ぐっ……うう……!」

 

 

 どんなにもがいても逃れられない。

 膨張し続ける乳圧は、力任せの抵抗すら吸い込むように押し潰していく。

 

 

『フフッ……これで終わり♡』

 

 

 ずりっ、ずりずりずりっ…

 

 ハンツ=テテクが笑う。

 彼女はさらに両手を胸の横に添え、ぐっと力を込めた。ぐにゅり、と肉塊がうねり、慧音の身体を一層深く飲み込み、締め上げる。

 

 

「っ……!」

 

 

 慧音の声が、くぐもった呻きとなって柔肉の奥に吸われていった。

 

 

『ふふ……』

 

 

 だぱんっ♡だぱんっ♡

 ぱんっ、ぱんっ、ずりりぃ…っ♡

 

 

『ふふ、もう動かない……な』

 

 

 ハンツテテクの唇に勝利の笑みが浮かぶ。

 胸の間で、慧音はすでに沈黙していた。勝利を確信したその瞬間。ハンツテテクはわずかに胸を緩め、挟み込んだ間を覗き込んだ。ぺちゃんこになった慧音の姿を見てやろうと思ったのだ。

 

 

『……え?』

 

 

──そこに、◯音の姿はなかった。

 

 

『馬鹿……な…!!』

 

 

 空虚。

 あるはずの肉の中の抵抗感も、押し潰したはずの体温も消えている。目を瞬き、もう一度胸を開いて確認する。やはりいない。

 

 

『あり得ない…。私の胸から逃げられるわけがないはず……っ』

 

 

 ハンツテテクの瞳に、初めて驚愕と恐怖が宿る。

 確かに、確実に仕留めたはずだった。それなのに、◯◯はどこにもいない。ハンツテテクは自らの胸を掻き分け、混乱のまま呻いた。柔肉の牢獄で押し潰した感触も、確かに消える瞬間を見たはずの光景も、脳裏から霧のように消えていく。

 

 

(あ、あれ?誰と……私は戦っていた?)

 

 

 記憶が軋む。

 あれほど激しく戦ったはずなのに、その相手の顔も名前も曖昧になっていく。ただ確かに“強敵”だったはずだ。だがその「強敵」の姿が頭から抜け落ちていく感覚に、ハンツテテクの背筋を冷たい汗が伝った。

 

 

『な、何……私、の記憶、あれ、……?』

 

 

 もはや戦意は消え失せ、足取りは覚束ない。

 恐怖と混乱に心を蝕まれ、膝が震え、完全に無防備になっていた。

 

 その背後──。

 空気が揺らぎ、歴史が編み直されるようにして、慧音の姿が現れる。

 

 

「助かったよ。早々に混乱()いてくれて。少しでも遅かったら窒息死していただろうからな」

 

 

 上白沢慧音の能力──【歴史を食べる程度の能力】

 彼女は自らの「存在の歴史」を食べることで、一時的に世界から存在自体が無かったことになっていた。故に、ハンツテテクは相手を認識できず、胸の檻を開けてしまったのだ。

 

 

『──あっ、思い出したっ!!』

 

「子どもたちがお前の姿を見たら、“女の人の胸ってあんなに大きくなるんだ。”“あんな風に扱っても壊れないんだな。”のように間違った性知識を身につけてしまうから──」

 

 

 慧音の声が、静かに響く。

 ハンツテテクが振り返った瞬間、慧音の眼光が鋭く輝いた。

 そして──

 

 

「悪いが、教師として子供には近づけさせない──」

 

 

 額が弾丸のように突き出される。必殺の慧音ヘッドバット。

 伝説の獣の膂力を宿した一撃が、油断しきったハンツテテクの顔面を直撃した。

 

 

『ぐぶぅっ!!?』

 

 

 衝撃で大地が震え、褐色の身体が宙に浮き、そのまま地面に叩きつけられる。目を白黒させたハンツテテクは、呻き声を残して動かなくなった。なんと胸はスイカよりも小さくリンゴくらいの大きさにまで縮む。慧音は深く息を吐き、額の痛みを拭いながら呟いた。

 

 

「……悪いやつではないんだろうけど、やっぱり悪影響だ。お前は」

 

 

 風が吹き抜ける中、静寂と共に戦いは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、聖さん…。なんでこの幻想郷を嫌うの?皆んなが明るくなって、解放的で最高じゃない?』ニマ

 

「この現状が最高?ふざけないでください。相手の気持ちを考えず、自分の欲だけで行動する。あれでは獣と変わらない……。猿と同じではないですか。あれを見て、よくそんなことが言えますね」

 

『え〜♡お猿さんって可愛いのにぃ……。一度お猿さんみたいになってみれば考えが変わるかもしれませんよ?』

 

 

 小悪魔は、手でピストルの形を作る。

 そしてその手を聖白蓮に向けた。

 

 

「!」

 

『──BANG(バン)♡』

 

 

 小悪魔は指をピストルの形にして、軽やかに笑いながら引き金を引く仕草をした。その瞬間、桃色の淫気が光弾のように飛び出し、聖白蓮へと発射された。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 途中から弾丸が見えなくなった。

 予想外な攻撃を喰らい、着弾した部分から染み込むようにじんわりじんわりと聖白蓮の体内に淡い瘴気が入り込んだ。

 

 

「・・・あ、れ。痛く、ない?……ふっ。どうやら虚仮威しだっ、た、よう……」

 

『いっひ⭐︎』

 

「♡〜〜〜っ!!///」びくびくぅ!

 

 

 白蓮の全身に痺れるような熱が駆け抜ける。

 

 

「ぁ…はっ…はっ…///」かくかく

 

 

 僧侶らしからぬ声が漏れ、体が勝手に跳ねる。

 指先から足の先まで感度が急激に高まり、衣擦れの摩擦すら甘美な刺激となって押し寄せてくる。全身の皮膚が火照り、胸の奥からどうしようもない衝動が湧き上がった。

 

 

『どう?気持ちいい?』

 

 

 小悪魔はイヤらしく自身の指をしゃぶる。

 涎まみれの指でガタガタと震える聖白蓮の首をツツーっとなぞる。

 

 

「!?だめっ//」びくんっ!!

 

『大丈夫♡何も怖くない……。何もおかしくないのよ。女の子はなんだからもっと淫らにならなくちゃ……。さぁ、お姉さんに任せて。このままゆぅっくりと快楽に身を委ねて…』

 

 

 

 

 闇堕ち小悪魔の新たなる能力──【強制発情(ヴィッチ)

 自身の身体から醸し出ている淫気を相手にぶつけると、相手の感度を倍増させ、発情させることができる。

 元の能力である『異性を惹きつける程度の能力』が、パウチの影響により悪い方に進化し、そしてそれに連れられるように彼女を闇堕ちさせたのである。

 

 

 

 

「ふぅーっ、ふぅーっ」

 

 

 白蓮の呼吸は荒く、頬は真っ赤に染まる。

 瞳は潤み、わずかに足が震えていた。

 欲に飲み込まれれば、理性など簡単に吹き飛ばされるだろう──。

 

 だが。

 

 

「……はぁっ、はぁっ……舐めないでもらいたい…っ」

 

『!』

 

 

 白蓮は自身の頬を思い切り、叩く。

 パァンッと乾いた音が響き、両頬が赤く染まる。

 

 

「煩悩は、断ち切るもの!この程度の欲はもう捨てました」

 

 

 体内で荒れ狂う衝動を、修行で鍛え抜かれた精神で押さえ込む。燃え上がる熱が徐々に薄れていき、苦しげだった吐息も静けさを取り戻した。白蓮は静かに目を閉じ、そして再び開いた。その眼差しには、一片の迷いもなく光が宿っていた。

 

 

「私は聖白蓮。淫欲に屈しては誰も救えない──。故に私は負けません」

 

『・・・悪魔としてあなたの事、本気で堕としたくなっちゃった』

 

「やってみなさい。──超人“聖白蓮”」

 

 

 聖白蓮のオーラが変わる。

 彼女の全ての身体能力が向上し、爆発的なエネルギーで満ち溢れる。

 

 

「“ブラフマーの瞳”…!!」

 

 

 超人化に加えて、動体視力向上をする。

 小悪魔は聖白蓮の能力や技を知らないが、明らかにバフがかかったのは分かる。しかし、それがなんだ。弾が当たった際、確実に悶えていた。つまりどんなに煩悩を断とうとも体には効いているのだ。ならば、何発も当ててやればいい。

 

 

『脳みそ、どろっどろにしてあげる♡』

 

 

 ピストル形をやめて、五本の指全てを向ける。

 全ての指に淫気弾を込めて、狙いを定めた。

 

 

煩悩誘惑弾(アルダト・リリー)

 

 

 小悪魔の瞳は妖しい光を放ち、両手を広げる。

 その五指すべてが銃口のように光り輝き、指先から淫気の弾丸が雨のように迸った。

 

 

『きゃあははははははーーーっ!!』

 

 

 紅い奔流が縦横無尽に広がり、空間を淫靡な熱で満たす。ひとつでも直撃すれば、理性を根こそぎ奪われる。避けられないし、逃げ場などない。チャンスは作らせない。

 

だが。

 

 

「……無駄です」

 

 

 聖の体が霞のように揺らめいた。

 飛び交う淫気弾を、紙一重の身のこなしで回避していく。爆ぜるたびにその衣の裾がはためき、光の弾丸を舞うように抜けていく姿は、まるで修羅場を踊る聖女。

 

 

『な、なんで避けられるの──』

 

「ブラフマーの瞳は全てを見通せる」

 

 

 次の瞬間、白蓮は一気に踏み込んだ。

 足元の大地を砕き、稲妻のような速度で小悪魔との間合いをゼロにする。

 

 

『う、嘘……っ!!』

 

 

 小悪魔が目を見開いた瞬間、白蓮の拳が閃いた。

 

 

「破ッ!!」

 

『あ゛がっ!?』

 

 

 重い衝撃音が響き、小悪魔の細い体は宙に吹き飛ばされる。淫気に満ちた笑みも消え、肺から苦痛の声が絞り出された。

 

 

『ひぃっ!?』

 

 

 追撃。

 白蓮はすでに次の動作に移っていた。その拳に宿る光は、すべてを浄化せんとする信念そのもの。

 

 

「これで終わりです!!」

 

『──終わってたまるかァッ!!』

 

 

 突如、群衆の男たちが立ちはだかった。

 小悪魔の淫気に操られた彼らが、まるで盾のように一斉に飛び込む。

 

 

「……っ!」

 

 

 白蓮の拳は、操られた人間の肉壁に阻まれた。

 彼らの瞳は虚ろで、理性を失いながらも必死に小悪魔を守るように体を張っている。

 

 

「すべては小悪魔さまのためにぃ」「抱いてくれぇ、小悪魔さまぁ」

 

『ふふ……可愛い子たち。そうよ、それでいいの。私を守ってねえ』

 

 

 男たちは虚ろな目で小悪魔を求める声を上げる。

 聖は呆れた顔で彼らを見たが、小悪魔は愉快そうに男たちに見て笑う。

 

 

「愚かな。肉欲に溺れた末がこれですか」

 

『コイツらは私が抱いた男たち…【愛された操り人形(ラブ・ドール)】。私の愛に一度触れれば、あとは私の言うことを聞くお猿さんに大変身。──愛を拒む尼をあなたたちでたぁっぷり愛してあげなさい』ニヤリ

 

 

 血を吐きながらも、なお挑発の笑みを浮かべる小悪魔。

 操られた男たちの群れに守られ、淫魔としての本性を隠そうともしないその姿に、白蓮は眉をひそめた。

 

 

「小悪魔様の為ならぁぁぁ……」ムクムク

「あの女をめちゃくちゃにしてやるゥ」ギンギン

 

 

 男たちは小悪魔の言葉に震え、男の象徴をギンギンにさせた。そそり立つ刀を股ぐらに持った男たちは一斉に聖白蓮を襲いかかる。捕まればその場で服をひん剥かれ、最低最悪な行為が始まってしまう。

 

 

「うおおおっ!俺は前の穴を使わせろ!」

「脇っ、脇っ、脇ィィィーーーっ!!」

 

『あっはははははは!!馬鹿な男たち。そして馬鹿な女。どうせ人間は攻撃できない。私の勝ちね」

 

「うひゃあああーーーっ!!俺には後ろの穴を使わせ───がべばっ!?」

 

 

 1人の男が小悪魔の方へと飛んでいき、彼女の体を掠めた。

 

 

『あっははは、は、は・・・え』

 

 

 拳が男の顎を下から突き上げ、骨ごと衝撃が抜ける。

 続く蹴りが脇腹を薙ぎ、肉が裂けるような音と共に男が数メートル吹き飛ぶ。振り返ることもなく肘を後方へ叩き込めば、迫っていた二人がまとめて壁に叩きつけられる。

 

 

「ぐあっ!」「うぎゃあっ……!」

 

 

 呻き声は苦悶と恐怖に変わり、彼らはもはや淫気に操られているのか、自ら逃げ出したいのかすら分からない。だが白蓮の拳は止まらない。

 

 

『う、嘘、嘘でしょ……。あんたっ、尼よね。聖職者よね!?そんなお綺麗な人が人間に手をあげていいの!?』

 

「人も妖怪も平等に間違いを犯してしまう生き物。ならば誤った道に進んだのなら平等に正すのが私の役目。……ただ言葉でダメなら拳で語るしかないでしょう」

 

『こ、このっ、脳筋女ァッ!!』

 

「もちろん貴方も他の方と平等に正します。──いざ、南無三」

 

 

 

 小悪魔の顔が青ざめる。操り人形の群れが、次々と拳で叩き伏せられていく。自らの淫魔の力に絶対の自信を持っていた彼女にとって、それは悪夢の光景だった。

 

 最後の一人が地に沈むと、白蓮は静かに息を吐いた。血と汗に塗れた彼女の姿は、聖者ではなく戦士のようであった。だがその瞳には慈悲が宿り、揺らぎはなかった。

 

 

「最後は貴方です」

 

『ま、待って!!顔はやめ──』

 

「問答無用ッ!鉄・拳・制・裁ッッッ!!」

 

 

 白蓮の拳が炸裂した。

 小悪魔の身体は弾丸のように吹き飛び、背後の石壁に叩きつけられる。鈍い衝撃音が響き、粉塵が舞い上がった。

 

 

『やっばっ、だぁぁぁーーーっ!?!!』

 

 

 崩れ落ちる小悪魔。その瞬間、彼女の身体から黒紫の靄のような淫気が噴き出した。荒れ狂うように渦を巻き、やがて空気に溶けて消えていく。

 

 

『ううっ、………ぁぁっ」

 

 

 淫気が消え去るにつれ、彼女の身体は次第に痩せ、膨らんでいた胸や妖艶な肢体は見る間に縮んでいった。

 

 

「あ、あれ……わ、わたし……」

 

 

 か細い声で目を開ける小悪魔。だがその目には先ほどの妖しい光はなく、ただ怯えと困惑だけが浮かんでいた。そしてパタリと気を失った。元より小悪魔は戦いとは程遠い存在。おかしくなっていたとはいえ、あの聖白蓮の拳を顔面に喰らえばただでは済まない。

 

 

「やれやれ。このことは紅魔館の方々に連絡ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

「なんで私の相手はこんなんなのよーーーっ!!」

 

 

 地面を割るようにして突き出された異様な突起物──それはただの岩や根ではなく、男根だった。その男の象徴が地表へ飛び出し、次の瞬間には霊夢の足元で潜り、別の場所から勢いよく突き出す。

 

 

「気持ち悪いぃっ!」

 

『〜〜〜っ♡なんて良い罵詈雑言っ!』びくっ ぶるん

 

「近寄るなっ!」

 

 

 目の前のそれを蹴り上げる。

 しかし、ダメージを受けたのは霊夢の足だった。まるで大木を蹴りあげたかのように、それはとても硬かった。

 

 

「いった!?」

 

『無駄な抵抗はやめろ。そんな攻撃で私を傷つけられると思っていたのか!お前たちは黙って受け入れるしかないんだ、この状況を!この世界を!!』

 

「そんな見た目で話しかけるなァッ!」

 

 

 まるでモグラ叩き。

 霊夢が御札を投げつけ、あるいは足で踏み砕こうとした瞬間には、すでに標的は土中へと消え失せている。だが油断した刹那、背後から異様な影が伸び上がり、衣の裾を掠め取った。

 

 

「このッ!」

 

 

 霊夢は即座に後方へ飛び退き、袖を払って体勢を立て直す。だが突起物は霊夢に攻撃をされる寸前に地面の中を自在に移動している。左右、前後、上下、あらゆる位置から乱れ咲く。そして霊夢から少し離れた場所の地面からニョキっと生えると、ぶるんっとさせながら話しかける。

 

 

『・・・博麗の巫女。なぜ嫌がる。なぜ抗う。誰とでもハレンチなことができるこの世界は差別も格差もないんだぞ?』

 

「かっこいいこと言っているつもりだけど普通に嫌。知らない人と……その、エッ、…チするなんて」

 

 

 霊夢は照れながら言うが、トイポクンオヤシは続けた。

 

 

『それが理由か?お前自身の価値観でこの世界を壊すのか?』

 

「そう言われると私が悪人みたいね…。ただ、私個人の考えを言わせてもらうなら、知りもしない相手や友達だと思っている人に身体求められるなんて普通に()()()()()

 

『・・・そうか』

 

 

 

 ゴゴゴゴ──、バギィッ。

 地面を割る音が響き渡る。

 先ほどまで不気味な突起だけを覗かせ、獲物をからかうように翻弄していた存在が、ついにその姿を晒し始めた。

 

 大地が盛り上がり、ひび割れ、土砂を押し退けて──。「ボコッ」と大きな音を立て、全身が地上へとせり上がってくる。

 

 

 

『今の発言でわかったよ。……君ならこの世界を壊す権利がある。人には愛があるだとか、法律的に……なんて月並みなことを言う存在じゃないんだね。しっかりと自分の意思で行動できるのなら安心して──』

 

 

 肩幅は華奢で、体格も小柄。胸もふっくらとあり、小さくも大きくもない。纏っているのは、どこか場違いなほど清潔な白いセーラー服だった。その顔立ちは少年とも少女とも言えず、中性的な美貌と不気味さを併せ持つ。柔らかな髪が頬にかかり、唇は紅を差したように艶やか。それでいて首筋や手首には土の跡が残り、地中から生まれ落ちたばかりのように湿っていた。

 

 

 

『君と戦える』

 

「女…の子……!?で、でも…」チラッ

 

 

 

 女性だった。

 だが、スカートを捲ってしまうほどにそそり立つアレは確実に男性のものだ。

 

 

『そう驚くな。私は()()()()妖怪だ。女性と男性の身体的特徴を持つ妖怪なんだ』

 

 

 

 北海道の妖怪『パウチ』

 それと同郷の妖怪である彼女こそが『トイポクンオヤシ』である。彼女はどんな妖怪か、一言で言えばヤバイ妖怪だ。

 

 女性が歩いていると地面からそそり立った男性器のみがにょっきりと生えて目の前でぶるんぶるんと揺れ誘惑してくる。

 相手が男性の場合は真逆で、地面からぷっくりとした女性器のみが現れて誘惑してくる。

 

 

 このように相手の性別によって見せる性器を変えて、人前に現れるのがこの妖怪なのである。

 

 

 

『全ての元凶の元へ連れて行こう』

 

「本当?」

 

『私を倒したならな!弱いものに世界を変える力はない。お前の全力を見せてみろ』

 

「・・・っ」

 

『いざ、勝負!!』

 

 

 

 次の瞬間、トイポクンオヤシは両脚をすっと開き、腰を落とした。──正眼。空手の構えだ。

 

 

(ちっ…、あそこに気を取られて……!)

 

 

 そして拳が閃く。乾いた音とともに、鋭い突きが霊夢の頬をかすめた。避けきれなかった衝撃で、髪が揺れる。

 

 

「っ、このッ!」

 

 

 霊夢も即座に踏み込み、足刀を繰り出す。だが相手は下段払いで蹴りを弾き、逆に中段突きで反撃してきた。強い。そして“早い”。ただの露出妖怪と思っていたのに、攻防の動きはまるで道場仕込みの達人のようだった。

 

 

『そこ!』

「ここ!」

 

 

 拳と拳が交錯し、霊夢の手首に鈍い痛みが走る。

 蹴りを受け流され、逆に脇腹へ膝蹴りを叩き込まれる。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

 霊夢は後退し、息を整える。

 その目に映るのは、セーラー服姿の妖怪が淡々と正拳突きを繰り返す姿。技は派手ではない。だが、一撃一撃に重みがあった。彼女は拳を握りしめ、真正面から飛び込んだ。拳と拳がぶつかり合い、乾いた音が夜空に響く。

 

 

『はあああああ!!』

 

 

 互いの拳が、肉を打ち、骨を震わせる。

 華奢なセーラー服の下に潜む確かな筋肉の力が、霊夢の体を押し返していた。

 

 

「ッ……!」

 

 

 霊夢は顔をしかめながらも、再び踏み込む。

 しかし明らかに集中できていない。

 だが考えてみれば、そりゃあそうだろう。トイポクンオヤシが動き、様々な攻撃を繰り出してくる中でバキバキになっているアレがブランブランされれば誰だって集中できない。

 

 

「くっ……!」イライラ

 

 

──見てはいけない。

  いや、見たところでなんだと言うのだ!!

  そう思っても、目の端に必ず映り込む。セーラー服からはみ出し、存在を主張するトイポクンオヤシの局部。

 

 それはただ「見えている」だけ。

 だが、男慣れしていない霊夢にとっては致命的な雑念となり、集中を削いでいく。

 

 

『……ふっ!』

 

 

 トイポクンオヤシはそれを理解しているかのように、動きにさらに鋭さを増した。正拳突きが胸元を打ち、霊夢は数歩後退する。

 

 

(それにこいつの攻撃とスピード…っ、確実に増している……!やっと本調子になった?……いや、違う。こいつ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()…!!)

 

 

 息が乱れる。

 拳の重みは確かに増していた。そして霊夢自身の心の乱れが、攻撃を鈍らせていた。

 

 

「落ち着け……集中しろ……!あんなの別にただの……」

 

 

 必死に心を制そうとするが、踏み込みの瞬間、視界の端で揺れる白と赤の布地が再び邪魔をする。次の瞬間、霊夢の頬に拳がめり込んだ。鈍い衝撃。地面に転がり、頬を押さえる。

 

 

「……っ……!」

 

 

 トイポクンオヤシは無言で構えを直す。

 呼吸は静か、汗ひとつ浮かべていない。

 その姿は武道家そのもので、目の前の巫女を倒すことに一片の迷いもなかった。

 

 一方、霊夢は唇を噛む。

 攻撃を避けようとすれば必ず集中が乱れ、わずかな隙を突かれてしまう。精神的な弱点を偶々だが突かれ、戦況は完全に傾き始めていた。

 

 

 

『……決着をつけましょう』

 

「!?」

 

 

 トイポクンオヤシは静かに足を開き、正中線を強調するように立つと不意に両手でスカートを掴み、ぐい、と捲り上げた。

 

 

「っ――!!」

 

 

 霊夢の瞳孔が開く。

 さっきからチラチラとは見えていたが、なんと今度はしっかりと見せつけてきた。それもただ見せつけるのでは無く、腰を振ってイチモツを揺らしながら、しかも敵の顔は堂々としていた。羞恥心と嫌悪が、雷のように霊夢の脳を直撃する。

 

 

「……最悪っ、気持ち悪い!本当に気持ち悪いっ!!」

 

『〜〜〜っ♡♡』ビクビクッ

 

 

 そして更に異様なのはそれを晒した本人だった。

 トイポクンオヤシの全身から、先ほどまでとは比べものにならないほどの闘気が噴き上がる。霊夢が嫌悪感を見せた瞬間、力が増幅されたかのように。

 

 

『なんて酷い言葉だぁ…♡』

 

「きっも!なんで罵倒されてるのにそこを硬くして……っ!」ゾクッ

 

『はぁっ、はぁっ…。わ、わだしはぁぁ…嫌がられるほど強く……なれるぅ…ちかりゃ、ありゅ……♡』ヘコヘコ

 

 

 

 

 トイポクンオヤシの恐るべき能力──【露出強(ろしゅつきょう)

 

 人に局部を見せつけて、嫌がられる、貶される、軽蔑されるetc.……。そういった反応をすることで彼女の心と肉体を強化することができる。まさにトイポクンオヤシにとってピッタリの能力がある。

 

 

 

 

『はぁっ、はぁっ、博麗霊夢…。お前の負けだ。お前の罵倒、嫌悪感で私は更に強くなった!!』ビンビン

 

「──や、ば」

 

 

 消えた。

 そして視界いっぱいに青空が映る。

 

 

「あぐぁっ!」

 

 

 地面に叩きつけられ、霊夢の身体が跳ねた。

 息が詰まり、肺の中の空気が一気に押し出される。

 そこからの追撃は容赦なかった。

 

 

『十連性拳突きィッ!!』

 

 

 トイポクンオヤシの拳が風を裂き、次の瞬間には腹部を直撃。

 霊夢の背が反り返り、口から血飛沫が迸った。

 

 

「がっ、あぁっ……!」

 

 

 蹴りが飛ぶ。肩が砕けるような衝撃。

 さらに膝蹴りが顔面に突き刺さり、視界が一瞬で白に弾け飛ぶ。霊夢は必死に受け身を取ろうとするが、相手の猛攻は止まらない。倒れた身体を掴み上げられ、再び拳で殴りつけられる。

 

 

「やっ……ぐぅぅっ!」

 

 

 地面に転がされた瞬間、巨体が覆いかぶさるように迫ってきた。視界に入るのは、スカートの下から晒された醜悪なイチモツ。嫌悪と羞恥が入り混じり、心臓が早鐘のように脈打つ。

 

 

(……だめ……集中できない……! 力が入らない……!)

 

 

 巫女として数々の異変を乗り越えてきた霊夢ですら、押し込められていく。トイポクンオヤシの拳が、頬を、腹を、胸を打ち据える。何度も、何度も。泥に血が混じり、霊夢の身体はボロ布のように揺さぶられた。

 

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

 

 息も絶え絶えになりながら、霊夢は地面を必死に掻いた。

 立ち上がろうとしても、腕が震えて支えにならない。更にトイポクンオヤシがゆっくりと歩み寄り、またスカートを捲る。「見ろ」と言わんばかりに、それを突き出す。

 

 霊夢の顔が歪む。羞恥と屈辱で。

 その瞬間──ふと、頭の中で相手の言葉が浮かぶ。

 

 

 

【わ、わだしはぁぁ…嫌がられるほど強く……なれるぅ…】

 

 

 

(……まさか……!)

 

 

 閃いた。ここまで徹底的に叩きのめされたからこそ、ようやく気づけたのだ。

 

 

 

「・・・」ヨロ

 

『まだ倒れませんか。ならもっと強くなるしかありませんね……!!』

 

 

 ぺらりっ

 再度、スカートを捲り上げる。初めから全裸で戦ったら?と思う方もいるかと思うが、彼女は生まれた時からの露出狂。服を捲って局部を見せつけることにこそ彼女の生き甲斐がある。だから全裸という手段は取らない。

 

 

「・・・」

 

『さぁ、嫌がりなさい。貶しなさい。私にもっと悪口をぉ……むっ!?』

 

 

 トイポクンオヤシは驚愕する。

 あんなに目を逸らし、嫌がっていたはずなのに、霊夢はなんと()()()していたのだ。目を逸らすことなく、気持ち悪がることもなく、平気な顔をして直視する。

 

 

『ば、馬鹿な……!!くっ、なぜ見られる!?』

 

「・・・」

 

 

 

 霊夢は心を限りなく空にした。

 無心を作り出し、目の前のものに対して何も感じず、抱かなくなる。まさに精神攻撃にとってとても有効打のある技だ。紫が霊夢に使って欲しくない技術だ。使いすぎると心そのものがなくなってしまう可能性がある。だから最近までは使っていなかったが、久しぶりに解禁した。

 

 

 

『や、やめろ、その目をやめてくれ…っ。反応してくれ。ただ見られるのは嫌だっ、嫌……!!』シナ

 

 

 トイポクンオヤシの筋肉量が明らかに減る。

 覇気も、気力も、何もかもが小さくなっていく。もちろん、あんなに堂々していた鉄棒も、今ではただのマッチ棒になってしまった。

 

 

「・・・」

 

『う、うぁぁああ……』シナシナ

 

 

 

 

 北海道では、トイポクンオヤシが現れた時の対処法としてこう伝わっているのだ。トイポクンオヤシが性器を振り回してきた時には、無視するか、自分も見せつけて【立派だね。さぁ、ヤろう】と褒めて誘ってやるといい。

 

 嫌がられることが快楽の変態にとって、逆に誘われたり、反応されないことはかなりのストレス。かなりの不満。そして勝手に消えてしまうという──。

 

 

 トイポクンオヤシの能力【露出強】

 これも()()()()()()()()()()()()()。よって嫌がられるほど強くなれるのなら、反応されなかったり喜ばれたり、誘われたりするとかなり弱体化してしまうのだ。

 

 

 

 動揺する気配はない。羞恥も、怯えも、全てを断ち切った視線。

 霊夢は力なく笑うと、拳を握った。

 

 

「もう興味ない」

 

『・・・!!』ガーン

 

 

 次の瞬間、トイポクンオヤシの闘気が霧散した。

 そしてガクンと項垂れた。

 

 

「今!」

 

 

 その隙を逃さず、霊夢が突っ込む。

 踏み込む足、振り抜く拳、巫女の全力が乗った一撃(アッパーカット)が、相手の顎を打ち抜いた。巨体が揺らぎ、泥の地面に叩き伏せられるのだった。

 

 

『ぐ、ふっ……』カクン

 

「・・・同じ相手ばかりに露出しても、いつかは飽きられんのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

「きゅ〜〜っ」

 

「ごべん゛な゛ざい゛〜っ!ばぢゅり゛〜ざま゛に゛いばないでぇえ゛〜〜〜っ!!」びえーん

 

「・・・っ」

 

 

 縄で縛られた性騎士たち。

 上白沢慧音、聖白蓮、博麗霊夢の前で抵抗することなく涙をこぼす。特に小悪魔は大号泣であったが、解放されるわけがなかった。

 

 

「さぁ、案内しなさい」

 

「分かった。こっちだ」

 

「リーダーっ!ダメだよ、裏切ったらきっと……」

 

「どうせ従い続けても生き地獄だった。なら、もう従うのはやめだ。せめて反旗は翻してやる」

 

 

 霊夢は縄の端を持ってトイポクンオヤシを歩かせる。

 ハンツテテクはポロポロと涙をこぼし続けた。ダメージを受けた痛みによる涙ではなく、心の傷の方で泣いているようだった。聖と慧音は顔を見合わせて頷くと、霊夢に言った。

 

 

「・・・霊夢、少し待ってもらえますか」

 

「……はぁ、少しだけよ」

 

 

 霊夢の歩みは止まり、2人は問う。

 

 

「お前たちはなぜパウチに従う」

 

「「・・・」」

 

 ハンツテテクとトイポクンオヤシは悲しそうに、そしてどこか諦めたかのように言った。

 

 

「我々はパウチに脅されているんだ。逆らえば我々は破滅する」

 

「それは一体……」

 

「ハンツテテクは子どもと遊びたいだけの妖怪。だがその見た目から人間からは恐れられ、変な伝承まで付けられた」

 

「だから私は関わらないで遠くから眺めていたのに、パウチが来て騙したんだ……な。私と遊びたがっている子どもがいるって。パウチを信じて、洞窟の中に行ったら……裸の子供たちが倒れてて…っ」

 

「そしてその光景を写真で撮られた。あたかもハンツテテクが子どもを誘拐して裸にして犯そうとする変態ロリ・ショタコンに見えるように…!」

 

「逆らえば、この写真をマレーシア妖怪警察に見せるって……。だから従うしかなかったんだ…な」ポロポロ

 

 

 ハンツテテクは泣き出した。

 慧音はそれを聞いて、彼女がなんて可哀想なのだと思い、駆け寄る。そして優しく、何度も背中をさすった。

 

 

「可哀想に…。子ども好きなだけなのに……性犯罪者に仕立て上げるなんて……!」

 

「泣いてくれてありがとう、先生。でも、もっと可哀想なのは……リーダーの方…っ」

 

 

 ハンツテテクはトイポクンオヤシを見て言った。

 

 

「リーダーは……家族を人質に取られているんだ…な」

 

「!? なんですって」

 

 

 聖白蓮は衝撃を受けた。

 続きはトイポクンオヤシ、本人が続けた。

 

 

「その通りさ。我々、トイポクン一族は人間に露出することを生き甲斐として暮らしていたんだ。ただ時代が進むに連れて露出すると逮捕されるようになった。それは妖怪世界も例外はなく、我が一族は無闇に露出するからと刑務所にぶち込まれていった。私の両親も……!」

 

 

 彼女らの一族たちは軽犯罪で直ぐに釈放されたが、露出妖怪としての尊厳は壊されてしまい人前に出ることは無くなっていった。

 

 

「両親が引きこもるようになり、私はこのままではいけないと兄妹たちを連れて人間界で暮らすことにしたんだ。私の見た目が学生に近いからアルバイトをして必死に生きた。……だが、どうしても6人の弟と妹を育てるには金が足りなくて、そんな時にパウチが来た……」

 

 

 トイポクンオヤシは悔しそうに地面を殴る。

 

 

「そしてパウチは言った。永遠に仕えるのならあの子たちが自立できるまで支援をしてあげようと。私はその悪魔の契約に乗ってしまった。……裏切れば、あの子達にかけられた呪いが発動し、一生不能(インポ)になってしまう」

 

「人質に取られているとはそういうことか」

 

「なんて卑怯なの…。困っている人がいたら誰であれ助けてあげれば良いのに。人の弱みに漬け込むなんて」

 

 

 聖白蓮は彼女たちに言う。

 

 

「任せなさい。必ずあの淫魔を改心させてみせます!」

 

「その通りだ。子ども好きに悪い奴はいないからな!」

 

「ううっ、ありがとう。ありがとう…っ」

「殺そうとしたのに……幻想郷の人、優しい…な……」

 

 

 

 霊夢だけは石に腰掛け、くだらなそうに話を聞く。

 

 

 

「なんなの、これ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!

 パウチ!
 なんて奴なんだ!

 というか、北海道、そしてアイヌにはすごい妖怪たちがウジャウジャ。やっぱりデカいから妖怪の規模も大きいんでしょうね。
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