ねずみ男 幻想郷に立つ   作:狸狐

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こんにちは、狸狐です。

 今年最後のこの話は、あの人たちに焦点を当てたお話です──







《年末特別編》外の世界の年末

 

 

 

「はぁ…」

 

 

 

 外の世界――ゲゲゲの森。

 

 冬はここまで冷酷だっただろうか、と鬼太郎は思う。

 空から落ちてくる雪は音もなく、森の奥まで白く塗り潰していく。木々の枝は重たそうに垂れ、風が吹くたび、さらさらと乾いた音を立てて雪を落とした。

 

 

「寒いのう……まったく骨身にしみるわい」

 

 

 囲炉裏のそば、茶碗風呂に浸かった目玉親父が、湯気の向こうでぶるりと震える。小さな体にはこの寒さが堪えるらしく、湯から出る気配はまるでない。

 

 

「鬼太郎。お前もどうじゃ」

 

「いえ、僕はもう少し……」

 

「そうか……」

 

 

 本来なら、鬼太郎も部屋にこもっているはずだった。

 火鉢に手をかざし、静かに新年を迎えるはず。だが、そんな冬の日が、ここ最近は続いていない。鬼太郎は鼻を赤くしながら縁側に立ち、雪に埋もれかけた妖怪ポストをじっと見つめていた。

 

 

「・・・」

 

 

 そんな時だった。

 

 

「鬼太郎、親父殿、邪魔するぞ。美味いみかん持ってきたぞ〜」

 

 

 背後から、しゃがれた声がした。

 目玉親父が振り返ると、砂かけ婆が手拭いを頭に巻き、ずかずかと家に上がり込んでくるところだった。その後ろには、杖をついた子泣き爺が、よっこらしょと息をつきながら続いている。

 

 

「まったく、雪道は足腰にくるわい」

 

「毎日飲んだくれてるんじゃ。たまには、こうやって運動せねばならんぞ。ハゲ親父ぃ」

 

「そういうな砂かけ。目玉の、美味い日本酒が手に入ったんじゃ!雪見酒でも一緒にせんか!」

 

 

 目玉親父は湯船に浸かりながら答える。

 

 

「こんなに寒いのに元気なもんじゃ」

 

 

 そこへ、さらに家の壁をずず……と押しのけるように、ぬりかべが姿を現し、一反木綿がひらひらと空から降りてきた。

 

 

「ぬり〜……」

 

「邪魔するばーい!年越しそばを持ってきたけん、一緒に食べんばい」

 

 

 最後に、雪を払いながら猫娘が入ってくる。

 いつもより厚着で、少し頬を赤くしていた。

 

 

「年越しそば食べるにはまだ早いでしょ」

 

「そう言わんね。いつたもってん美味しさは買わらんけん。あっ、あと子泣き爺にはつけ揚げを買うてきたばい」

 

「おおーっ!流石じゃ、一反木綿!よし飲もう!へへへ……!」

 

 

 子泣き爺と一反木綿はコタツに入るとすぐに酒盛りを始めた。呆れ顔で見る砂かけ婆と猫娘もコタツに入ると、持ってきたみかんを剥き始めた。猫娘は横目でチラリと縁側の鬼太郎を見るが、中の騒々しさには目もくれずポストを眺めている。

 

 

「鬼太郎も食べようよ」

 

 

 その言葉に、鬼太郎は一瞬だけ視線を逸らした。

 

 

「……ありがとう。でも今はお腹減ってないから大丈夫」

 

「…そう」

 

 

 そんな姿を見て、砂かけ婆はふん、と鼻を鳴らした後に目玉親父をちらりと見る。

 

 

「親父。鬼太郎はいつものか」

 

「そのようじゃ」

 

「……ねずみ男、か。あいつも幸せな奴じゃ。鬼太郎にあそこまで心配されるんじゃからな」

 

 

 あの『ねずみ男』が行方不明になった。

 行方知れずになって、もうしばらく経つ。好き勝手にどこかにいき、ふらりと現れては騒ぎを起こし、困れば鬼太郎に擦り寄ってくる。探さなくても現れるようなやつがもう2、3年も出会えていない。

 

 

「何かに巻き込まれたのか、はたまた何かを始めているのか分からんが、ここまで会えないとなると心配なんじゃろう」

 

 

 その通りだ。だから鬼太郎は、妖怪ポストを見ていた。事件が起きれば、ねずみ男に会えるかもしれない。そんな、言葉にすれば情けない期待を、胸の奥に抱えながら。

 

 

「……なんでアイツをそんなに」ボソッ

 

「なんばい、猫娘。もしかして嫉妬しちょっとか?」ウリウリ

 

「そんなんじゃない!!変態木綿っ!」

 

「ふんぎゃあああーーっ!?」

 

 

 猫娘が一反木綿を引き裂く。

 砂かけ婆たちは見ないふりをして、話を続ける。

 

 

「儂からすれば居ても居なくても構わんが……」

 

「そうじゃのお。金に汚くて、臭くて、嘘つきで、裏切り者で、腹の中はメタンガスでブクブクして、良いところなんぞ何も無い奴じゃからのぉ」

 

「ぬり……。子泣き爺、言い過ぎ」

 

「石になった儂を石像として売ろうとしたんじゃぞ!嫌っても当然じゃ!」

 

 

 子泣き爺の愚痴を聞いて、ぬりかべはウンウンと頷く。

 砂かけ婆は剥き終えたみかんを口に運ぶ。甘酸っぱい味が口内に広がり、心が満たされる。

 

 

「・・・鬼太郎」

 

「ん」

 

 

 食べる手を止め、砂かけ婆は鬼太郎に声をかけた。

 鬼太郎はその声のトーンで真面目な話だと気づき、ポストを眺めるのをやめて、家の中に入り、お互いに向き合う。

 

 

「ねずみ男の件は置いておけ。それよりも、“あの件”の方が優先じゃ」

 

「・・・分かってる。脱獄囚たちのことだろう?」

 

「ああ。血の脱獄事件で逃げおおせた10人の極悪妖怪たち。そのうちの6人が六文銭となったが、大天狗の話では六文銭の連中は解決したとのこと。だが未だに足取りは掴めていないのは4人もいる。脱獄を計画した爆弾魔も謎に包まれたまま。……大天狗も頭を悩ませている。もし奴らが再び人間たちや他の妖怪たちを欲望のままに攻撃したら、この世はどうなるかとな」

 

「その為にも、カラスに行方を追わせている」

 

「ねずみ男捜索に向かわせたカラスもそっちの行方を探させた方がええ。儂らは罪を犯した妖怪たちの逮捕に関わった。ならば最後まで責任は持つべきなんじゃぞ」

 

「・・・」

 

 

 鬼太郎は黙ってしまう。

 砂かけ婆はそんな鬼太郎の態度に眉間を寄せた。そんな二人の間に猫娘も入る。鬼太郎への加勢だった。

 

 

「大丈夫よ、おばば。カラスポリスも行方を追っているんだし、数は足りている。アイツらが捕まるのも時間の問題よ」

 

「うーむ……」

 

「ただ鬼太郎もねずみ男のことは心配し過ぎよ。アイツはそんな柔じゃない。私たちよりもアイツと一緒にいる時間が長いんだから、分かっているでしょう?」

 

「そうだね。……ありがとう、猫娘」

 

「べ、別にお礼を言われる筋合いなんて無いわよ。ただナヨナヨしているあんたが見苦しいと思っただけで…」ツンツン

 

 

 

 そのときだった。

 カランと、雪に埋もれていたはずの妖怪ポストが小さく音を立てた。全員の視線が、一斉に外へ向く。

 

 

「手紙…」

 

 

 鬼太郎は息を呑み、雪を蹴って駆け寄った。

 ポストの中にあったのは、一通の手紙。

 

 

「・・・」

 

 

 白い封筒には、潮の匂いが微かに染みついている。鬼太郎は家の中に持っておき、みんなの前で封を切り、読み始めた。

 

 そこに書かれていたのは、とある漁村の話。

 

 令和の世になって突如現れた“人身御供”の儀式。海の怒りを鎮めるため、娘を差し出すというものだった。

 

 そして、選ばれたのは手紙を書いた漁師の、たった一人の娘だった。

 

 

【鬼太郎さまへ

 私の祖父の代に断ち切られた悪夢が再び目覚めました。いつも穏やかな海が突如として荒れ始め、そして海鳴りと共に声が響いたのです。“我は海神。これ以上海を荒らされたくなければ、巨顔島に若い娘を差し出せ”と。

 

 警察に相談しましたが相手にされず、海はますます荒れるばかり。そして選ばれたのは私の娘でした。娘を、海に連れていかれるわけにはいかない。だが逆らえば、我々は村では生きていけない。どうか……助けてください】

 

 

 鬼太郎は、ゆっくりと手紙を下ろした。

 子泣き爺が顎に手を当てながら呟く。

 

 

「今は令和じゃ。信心深いものが減った令和の世に神様がやってきて、生贄なんぞ要求するかえ?」

 

「元々は神だったが信仰されずに妖怪に堕ちるという事もある。焦った神が起こしたことかもしれんぞ」

 

「・・・海というのは命の根源。生み出すことはあっても、要求するというのはおかしな話じゃ。何より引っかかるのはいきなり現れて、生贄を要求したところじゃ。……神様はそんな阿呆な事をすると思えん。もしかすると妖怪が関係しているのかも」

 

 

 砂かけ、子泣き、そして父親の話を聞いた上で鬼太郎は立ち上がる。

 

 

「……ここにいても全貌は見えない。とりあえず行ってみよう」

 

 

 鬼太郎の低い声に、全員が頷く。

 そして彼は、心のどこかで思う。この因習の裏には、きっと妖怪がいる。もしそうなら、そこにねずみ男がいるかもしれない。

 

 鬼太郎は静かに下駄を履いた。外の世界の冬は、厳しく冷たい。だがそれ以上に、古い闇と、救いを求める声が彼を呼んでいた。

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

「重か〜〜っ!!店員オーバーばいっ、ぬりかべみたいに自力で動いてほしいけん」

 

「文句ばっかり言うんでなぁ!この色ボケ褌!薩摩男子ならばもっとしっかりせんかァ!」

 

「怖かぁ〜…」

 

 

 海沿いの道に出た瞬間、風が一段と荒れ狂った。 

 鬼太郎たちを乗せた一反木綿が、強風にあおられて大きく揺れる。下方には、黒く濁った海が広がっていた。白波は砕け散り、岩礁に叩きつけられるたび、鈍い咆哮のような音を響かせる。

 

 

「うわあ……嫌な海ね」

 

 

 猫娘が思わず肩をすくめる。潮の匂いは生臭く、空気そのものが重く湿っていた。

 

 

「あっ、あの村じゃない?」

 

 

 眼下に見えてきた漁村は、小さく、閉ざされていた。

 家々は海風に晒され、板壁は黒ずみ、屋根の瓦はところどころ欠けている。港に並ぶ漁船は、どれも出航する気配がなく、鎖で固く繋がれたままだ。

 

 

「嵐でもないのに、こりゃあ海が荒れすぎとるわい」

 

 

 子泣き爺が眉をひそめる。

 一反木綿がゆっくりと高度を下げ、村の外れに降り立つ。地面はぬかるみ、足を踏み出すたびに、靴底が嫌な音を立てた。

 

 

「静かね…」

 

 

 村の中は、異様なほど静かだった。

 人はいる。だが、誰一人として声を上げない。漁網を繕う男たちの手は止まりがちで、視線は常に海の方を向いている。女たちは戸口に立ったまま、鬼太郎たちを一瞥するだけで、すぐに目を伏せた。子どもたちの姿はほとんど見当たらず、家の奥へと隠されているようだった。

 

 

「……鬱々としておるのう」

 

 

 砂かけ婆が低く呟く。

 そのときだった。

 

 

「あの、貴方がゲゲゲの鬼太郎さんですか?」

 

「ええ、そういう貴方が……」

 

 

 一人の男が鬼太郎たちに近づいた。

 みんなはすぐに分かった。手紙を寄越したのが彼なのだと。彼は辺りをキョロキョロと見渡す。

 

 

「はい。船岡と申します。……ここじゃアレなんで、私の家に」

 

 

 家の中は、薄暗かった。

 窓には分厚い板が打ち付けられ、隙間から差し込む灰色の光だけが、部屋をぼんやり照らしている。囲炉裏の火は弱く、ほとんど暖を取る役にも立っていない。

 

 

「詳しくお願いできますか?」

 

 

 船岡は、力なく頷いた。

 

 

「この村では……海神様に“生贄”をしないと、海が荒れて、漁ができなくなるといつ言い伝えがありました。ある年にとある僧侶が身代わりとしてその巨顔島に向かい、そのまま帰らぬ人に。ただ何故か、その翌年から生贄は要求されなくなり、海も荒れることがなくなった」

 

「僧侶、か…」

 

「そこから何百年も異常はなかったのに、最近になって海神様とやらが目覚めて、生贄を要求し始めた。イタズラかと思っていましたが、言い伝え通りに嵐が起き、船が沈み……。警察が相手をしてくれないのならと村長が一番若いからという理由でウチの娘を……」

 

 

 拳が震える。

 

 

「な、なぜ、今更そんな……。勉強も頑張って、そして、これから大学生になるというのに」

 

 

 言葉が続かず、船岡は顔を覆った。

 その肩が、寒さと恐怖、怒りで激しく揺れていた。

 

 

「……娘さんは?」

 

「あの子は部屋で寝ております。もう何日も食事をせず、ただ死を待つように…」

 

 

 鬼太郎はゆっくりと立ち上がる。

 他のみんなも同じだった。

 

 

「……その島に行ってきます。行って話を聞いてきます。理由も無しに生贄を要求するなんて筋が通っていませんから」

 

「き、鬼太郎さん…、ありがとう。ありがとうございます…!!」

 

「ただこの荒れた海をみんなで行くのは無理だ。僕と一反木綿だけで行く」

 

 

 鬼太郎の人選に猫娘は立ち上がる。

 

 

「鬼太郎、私も行く」

 

「ダメだ。この嵐の中を進むのには危険すぎる」

 

「・・・でもっ」

 

「猫娘、君は皆んなと一緒に船岡さんたちを頼む。何か嫌な予感がするんだ」

 

 

 鬼太郎はあまり表情に出ないが、かなり仲間想い。

 戦闘能力は高くても戦闘経験は少ない猫娘をあまり危険な場所に連れて行きたく無いのが本音であるが、分かっている年長者たちは揶揄わずにただ見守った。

 

 

「猫娘、安心せい。儂らがしっかりとサポートするからのぉ」

 

「そうじゃよ、猫娘!儂と一緒に帰りを待とう」

 

「………もう、分かったわよ。鬼太郎、気をつけてね」

 

「あの猫娘、ワシも行くんよ?」

 

「・・・」

 

「む、無視っ!?オーマイコットン……!」ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 

 

 荒れた海を越え、小舟がようやく辿り着いた先――

 それが巨顔島だった。

 

 なぜ巨顔島と呼ばれているのか。

 簡単に言えば、人の顔に似ているからだ。目のように上部に開いた二つの穴、そして鼻のような形の岩、口のように大きく広がる洞窟。岩肌には貝殻と海藻が絡みつき、波が打ち付けるたび、洞窟の中から低く鈍い唸り声のような音を立てていた。

 

 空は重く垂れ込み、雲の切れ間から差す光さえ、冷たく濁っている。

 

 

「……気持ちの悪い場所ばい」

 

 

 一反木綿が身をすくめる。

 鬼太郎は無言で頷き、下駄で岩を踏みしめた。足元から伝わる感触は、生き物の皮膚のようにぬめり、湿っている。

 

 

「ここに“海神”が住む島か」

 

 

 目玉親父が周囲を見回す。

 鬼太郎のアンテナは危険な妖気を感じ、ピンと立って反応していた。目玉親父はアンテナの間近で見て、その反応に“おおっ”と声をあげる。

 

 

「・・・何かいる。この感じは複数……?いや、とてつもないくらい大きいのも感じます」

 

「なんにせよこの目で見ないと分からんのお」

 

 

 一反木綿がふわりと空を一巡し、戻ってくる。

 

 

「鬼太郎しゃーん!霧が凄かけん、よく見えんけど奥に人影みたいなのが見えんばい!」

 

「分かった。案内してくれ、一反木綿」

 

「ほーい!こっちばーい!」

 

 

 鬼太郎たちは島の中心へと進んだ。

 潮溜まりを越え、岩の割れ目を抜け、一反木綿が案内してくれた場所にたどり着いた瞬間、ぬらりと、空気が歪んだ。

 

 

「・・・ねずみ男?」

 

『俺があんなボロ雑巾と同じに見えるか?』

 

 

 聞き覚えのある、ねっとりとした声。

 鬼太郎たちの身体が固まった。どんな相手が待っているのかと思っていたのだが、彼らを待っていたのはとてつもない相手であった。

 

 

「お、お前は…!?」

 

『久しぶりだな。我が宿敵、ゲゲゲの鬼太郎』

 

 

 霧のように立ちこめていた湿気の向こうから、人影が浮かび上がる。それは頭部の大きな老人であり、鬼太郎たちとよく面識のある相手であった。

 

 

「ぬらりひょん──!!」

 

 

 ぬらりひょん。

 ゲゲゲの鬼太郎と幾度となく戦い、命の奪い合いをしてきた相手。ぬらりひょんの思想である【妖怪の復権】を実現するべく何度も人間たちを殺そうとしてきた。そしてその度に鬼太郎が止めてきた。

 

 

「最近見ないと思っていたが、こんな所にいたのか……!!」

 

『そう怒るな。悪かったよ。俺も会いたかったんだ、正義面の鬼太郎よ。暫く()()()()に構っていたんだ。いやはや、自分の浮気性が嫌になってくる』ニヤリ

 

「ふざけるな。何を言って……」

 

 

 その時だ。

 ぬらりひょんの背後から小石がすごい勢いで飛んできた。鬼太郎はそれを片手でキャッチすると、ぎゅっと力を入れて握ると、粉々になる。

 

 

「鬼太郎!」

 

「大丈夫です、父さん。……やっぱりお前たちもいたか。朱の盆!」

 

『うっくくく、ぬらりひょん様の第一の子分である俺が分からねえんだ。お前如きにぬらりひょん様の考えや言葉の意味が分かるかよ!…ねっ!ぬらりひょん様!』

 

 

 その背後には、ぞろぞろと仲間の妖怪たちが控えていた。

 見覚えのある顔“朱の盆”に加え、新たな顔も混じっていた。天蓋(てんがい)という笠を被り、()()()()()()()()が立っていた。

 

 

「お前たち、この島で何をしていた?もしや生贄事件を起こしたのは…!?」

 

 

 目玉親父の問いにぬらりひょんは、わざとらしく肩をすくめた。

 

 

『俺たちがやったとでも?はっ、違うな。……俺たちは新しい仲間に会いに来たのさ』

 

「仲間だと?」

 

『そう。妖怪の復権のために必要な仲間を集めているのさ。そしてまた俺に賛同してくれる仲間が出来た。紹介しよう…!!』

 

 

 その言葉と同時に、島が揺れ始めた。

 

 

『ふふふ、ふはははは……!!』

 

 

 ゴゴ……ゴゴゴゴ……と、地の底から響くような低音。鬼太郎の足元で、岩肌がわずかに脈打つ。

 

 

「……ッ!?」

 

 

 鬼太郎が踏みしめた岩が、揺れる。

 波が引き裂かれるように割れ、潮溜まりが傾き、海水が滝のように流れ落ちる。

 

 

「なんじゃ、これは!」

 

 

 目玉親父が悲鳴を上げる。

 

 

「島が動いているばいっ!?」

 

 

 一反木綿が目を見開いた。

 次の瞬間、島の中央に存在していた巨大な洞窟が、大きく咆哮をあげた。それは洞窟ではなかった。巨大な口だった。岩と見えていた部分が歯のように並び、黒々とした空洞の奥から、生臭い潮の匂いと妖気が噴き出す。

 

 

「ま、まさか……!この島そのものが……!」

 

 

 鬼太郎は息を呑む。

 

 

「……妖怪……!」

 

 

 ぬらりひょんの高らかな笑い声が、荒れる海に響き渡った。

 彼は杖を突き、揺れる岩の上で悠然と立っていた。

 

 

『鬼太郎。これこそが俺の新たな仲間であり、動く要塞……!!』

 

 

 ぬらりひょんは、愉悦に歪んだ目で鬼太郎を見下ろす。

 

 

『ダイダラボッジに並ぶ巨人……“人食い島だ!!』

 

 

 島妖怪の口が大きく開き、内側に、渦巻くような暗黒が蠢く。目玉の親父はぬらりひょんの言葉にハッとする。

 

 

「人食い島じゃと…!?」

 

「知っているんですか、父さん!」

 

「うむ。昔、日本にはダイダラボッジに並ぶ巨人がおったんじゃ。島に擬態して、海を荒らし、生贄を要求するなどたいそうな暴れん坊じゃったが、とある坊主の説得で暴れないと約束し、長い眠りについたと言われているんじゃが、まさかそれがこの島じゃったとは……!!」

 

 

 鬼太郎は人食い島の顔に当たる部分を見た。

 目が赤く染まり、怒っているのが分かる。鬼太郎は大きく息を吸うと思い切り大きい声で叫んだ。

 

 

『ウオオオオオオオオオオオオ!!』

 

「人食い島!何に怒っているんだ!なぜ、ぬらりひょんにつく!」

 

『オオオオオオオオ!!』

 

「暴れたって解決しない!僕に教えてくれ!!」

 

 

 それを聞いて、ぬらりひょんは笑う。

 

 

『そんなの分かりきっているだろうが。人食い島、教えてやれ』

 

 

 ぬらりひょんの言葉に反応した人食い島は咆哮をやめ、言葉を放つために口を動かした。重苦しい声が、海そのものを震わせて響いた。

 

 

『……我は、海に住まうもの……』

 

 

 岩と岩が擦れ合うような、不快で古い声。

 だがそこには、確かな感情が滲んでいた。

 

 

『我は、遠い昔、人間を喰らっていた。愚かな存在だと、家畜同然の存在だと思っていた。だが、ある坊主に言われたのだ。人間の尊さを……、人間の美しさを……!!我はその坊主の言葉に感動し、二度と人を食わないと約束した。……そして坊主と共に、この海を、いつまでも見守ってきたのだ……!!』

 

「なら、なぜ……!!」

 

 

 島の巨体がうねり、海面に黒い影が広がる。

 漂うのは、油膜、壊れた漁網、錆びたドラム缶、沈められた廃棄物。苦しんで死んだ魚や海鳥たち。全て人間たちによって行われた海洋汚染の証であった。

 

 

『人間の尊さが消え去ったからだ!!あの坊主が教えてくれた人間たちは全て死んだ!おおおおおーーーっ!!』

 

「……っ」

 

『人間たちは我の愛した海に、毒を流し、屍を沈め、ゴミを捨て……、そのくせ恵みだけを欲する。やはり人間は愚かだった!この世を蝕む害虫だったァァァーーーッ!!』

 

 

 鬼太郎が息を呑む。

 

 

『怒りが生まれぬ方が、おかしかろう。海を荒らし、生贄を要求したのはその為だ。これは罰だ!罰なのだ!!ウオオオオオオオオオオオオーーーーーーッッ!!』

 

 

 ぬらりひょんが、愉快そうに言葉を継ぐ。

 

 

『その通り、この地球に不要なものこそ人間よ!』

 

「だからといって……生贄はやり過ぎだ!人食い島っ、僕が人間たちに言って必ずやめさせる!時間はかかるが人間たちだって理解してくれる!」

 

『ウオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーッッッ!!』

 

 

 しかし聞く耳を持たない。

 いや怒りで聞こえていないのだろう。鬼太郎は悔しくて、そして悲しくなる。暴力で訴えれば必ず暴力で返される。お互いに傷つき合う姿なんて見たくない。

 

 

『無駄だ、鬼太郎。人食い島はもう我らの仲間。綺麗な海を取り戻すために、そして妖怪の復権のために死ぬまで止まらないだろうよ!』

 

「そう仕向けたのはお前だろ!!ぬらりひょん、今すぐにでもやめさせるんだ!』

 

『ふうむ、生贄を止めろというんだな。……ならば止めようか』

 

「なに?」

 

 

 予想外の発言に固まる。

 ぬらりひょんは邪悪に笑って言った。

 

 

『その代わり、別な方法で人間たちに罰を与えさせよう……!!』

 

「ま、まさか……!」

 

『人食い島を上陸させるのさ!!この巨大が大暴れしたら、日本は壊滅だろうな』

 

「それで被害を受けるのは人間だけではなく妖怪たちもだ!」

 

『分かっているさ。だがな妖怪の復権の為には多少の犠牲はやむを得ない。少しの犠牲で沢山の妖怪が救われるのなら、俺はそっちを選ぶ』

 

 

 

 ぬらりひょんという男の信念だった。

 彼の掲げる【妖怪の復権】は、個々の妖怪ではなく、妖怪の種としての復権である。今どれだけの妖怪が犠牲になろうとも、未来の妖怪たちが幸せになる為ならば手段は厭わない。

 

 まさに鬼太郎の掲げる【妖怪も人間も理解し合える世界の実現】の真逆にいる存在なのだ。

 

 

 

「・・・なら絶対に止めてやる」

 

 

 鬼太郎にはこの巨人を止める術がある。

 彼の中に宿る“地獄の力”が。閻魔大王に託された力が──。ぬらりひょんはその言葉の意味に気づき、軽く笑ってから言った。

 

 

『冗談だよ、鬼太郎。俺だってわざわざ沢山の同志たちを無駄死にさせたくない。それにこいつは今後の計画に必要なんだ。ここで失うわけにはいかない。……ということでここは戦略的撤退しよう。人食い島、ここは退くぞ』

 

 

 鬼太郎の声は届かなかった人食い島だが、ぬらりひょんの声には反応した。唸り声を上げるのをやめると今度は大きく息を吸い始める。海水や空を飛ぶ鳥、体に生えていた植物たちも一気に吸い込まれていく。

 

 

『スゥウウウウゥゥゥ〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!』

 

 

 目玉の親父はその行動で島が何をするのか察した。

 

 

「いかんっ、人食い島のやつは潜水する気じゃ!このままここに居れば儂らも沈んでしまうぞ!」

 

『安心しろ。潜水するのに10分間息を吸わないとならん。その前に、鬼太郎よ。少し話でもしないか?』

 

「誰がお前なんかと…!」

 

「いや、鬼太郎。ここは話そう」

 

 

 しかし目玉親父はぬらりひょんが今後何をすべきか知っておかなければならないと思い、鬼太郎に提案する。

 

 

「・・・奴のことを少しでも知っておけば必ず対策が取れるはずじゃ」

 

「……はい、父さん」

 

 

 渋々、鬼太郎と向き合うぬらりひょん。

 ぬらりひょんの側には朱の盆たちがただ黙って待機していた。

 

 

『鬼太郎。……こうして顔を見合わせてゆっくり話すのは初めてだな』

 

「・・・」

 

『お前を殺す──。それを為せれば、妖怪たちは救われる。そのためにさまざまな策を講じてきた。だがな、少し前に思い出したんだ。お前を殺しても未だに人間に怯える妖怪たちがいることに』

 

「……なんだと?」

 

 

 ぬらりひょんは真剣な顔で言った。

 決してふざけず、真面目に、正直に。この時ばかりは本音であった。

 

 

『先程言った言葉覚えているか?』

 

「先程……、“別の世界”のことだな」

 

『その通り。その世界はこの世に存在しながら存在せず、存在しないが存在する妖怪と人間の住む地──幻想郷だ。そこを壊し、お前を殺す。その二つを為さねば妖怪が真に救われることはない』

 

 

 幻想郷。

 初めて聞く単語に鬼太郎は首を傾げるが、目玉親父はその言葉に反応した。

 

 

「幻想郷じゃと!?」

 

「知っているんですか、父さん?」

 

「・・・ある妖怪たちが、人間に棲み家を奪われた妖怪を保護しようと創設した場所じゃよ。儂も誘われたことがあったわい」

 

「……幽霊族は人間たちに滅ぼされましたからね」

 

「だがそんな人間たちに儂も妻も助けられてきたのも事実。悲しみはあれど恨みなんざない。故に、何があろうとも今この世界で鬼太郎(おまえ)の未来を見続けようと決めたのだ」

 

 

 ぬらりひょんは呆れる。

 

 

『くだらんな』

 

「お前には分からんよ。理解し合うのを諦めたお前には」

 

『・・・目玉よ。悪いが、お前の見たい未来も、鬼太郎の目指す世界も、全てやってこない。俺が全てを壊す。壊し尽くす──』

 

 

 ぬらりひょんは立ち上がる。

 鬼太郎も同様だ。

 

 

「話は終わりだな──。ここでお前を止める」

 

 

 鬼太郎は髪の毛を一本抜いた。

 それは手のひらでぐんと伸び、刀となった。

 

 

『ぬらりひょん様に手出しはさせねえ』

 

『・・・』

 

 

 ぬらりひょんは構えず、代わりに朱の盆と虚無僧が鬼太郎の前に立つ。朱の盆は怪力以外、猪突猛進。恐れることはないがもう1人が何をしてくるか分からない。

 

 

『──そうそう!』

 

 

 極度の緊張感の中、ぬらりひょんは思い出したように言う。

 

 

『お前を殺すために、何が必要か考えてきたんだ。どうしたらお前を殺せるのか……、完璧な計画、最強の刺客、罠……、どれもが違った。そうして模索する中でようやく気づいたよ。仲間の必要性を。俺の理想についてきてくれる仲間こそが今の俺に必要なんだとな』

 

「この2人のことだな。だがこの2人で僕を倒せるとでも?」

 

『誰がこの2人だけだと言った?』

 

「・・・っ!?」

 

 

 冷たい感触が、首筋に触れる。

 刃だ。

 

 

『……動かないでね』

 

 

 声は、すぐ真後ろ。

 振り向く暇も、妖力を込める余地もない。包丁の切っ先が、皮膚にぴたりと当てられている。鬼太郎の背中に、ぞっとするものが走った。

 

 

(ばかな……!僕のアンテナは反応しなかったぞ……!?)

 

 

 どんなに隠れるのが上手な相手でも鬼太郎の持つ妖怪アンテナは反応する。例外はないはずだったのだが、今もなお沈黙したままだ。ここまで近づかれて、何の反応も示さないなど、あり得ない。

 

 

「誰だ……?」

 

『古明地こいし、だよ!』

 

『俺に似た能力の持ち主でな。気配を消すのが上手くてな。気が付かなかっただろう?』

 

 

 ぬらりひょんに褒められて、小石は照れる。

 

 

『よろしくね。そしてさようなら──』

 

 

 楽しげな返事。

 無邪気な気配だけが、背後で揺れている。包丁の刃先がグッと身体の中にめり込んでいくのを感じる。力をあとほんの少し込められれば、ズブっと刺し、心の臓をつくだろう。

 

 だが──

 

 

「悪いね。さようならは、まだみたいだ」

 

 

 百戦錬磨の鬼太郎は何度もこんな経験をしてきた。

 背後から気配を消して近づいたところで、鬼太郎は驚きはするが焦ることはなかった。鬼太郎の身体から閃光が走る。

 

 

『ん?──きゃああっ!!』

 

「体内電気」

 

 

 鬼太郎の体力を犠牲に発電をする。

 その衝撃は大体の妖怪を消し飛ばす。こいしはすぐに飛び跳ねて、全身に電気が巡る前に回避した。赤くなった手に息をふぅふぅと吹きながら、ぬらりひょんの側に駆け寄る。

 

 

『いったぁ〜い…。火傷した』

 

『だから言っただろう、鬼太郎は俺以外に殺せない』

 

『大丈夫か〜?こいし、見せてみろぉ』

 

『うん』

 

 

 涙目のこいしに朱の盆は駆け寄る。

 懐から持ち出した常備物の救急セットで包帯を巻き始めた。ぬらりひょんと虚無僧以外が鬼太郎から注意を逸らす。

 

 

「──今だ!リモコン下駄!!」

 

『ふん』

 

 

 次の瞬間、ゴゴゴゴッ!!という地鳴りと共に、下駄は弾き飛ばされた。千年杉で出来た鉄さえも砕く下駄が鬼太郎の足元から生えた剣に弾かれたのだ。そのまま何十本もの刃が、檻のように突き出し、鬼太郎を中心に円を描いた。鬼太郎のアンテナは少し遅れながら地面を指して反応する。

 

 

「まだいたのか!?」

 

『お前こそ新しい俺の仲間をこいしだけだと思って油断したな。その通り、もう1人ずっといたさ』

 

 

 ぬらりひょんが、まるで舞台の幕を上げるように、杖で地を叩く。剣の林立する円陣の外から高速で何かが降りてきた。大きな頭部に青い髪の毛、緑色の肌を持ち、煌びやかな宝石を身に纏う鬼が──。目玉親父はその姿を見て、飛び跳ねる。

 

 

「お前は── 羅刹(ラクシャサ)ッッ!!」

 

『久しぶりだな、ゲゲゲの鬼太郎』

 

 

 地面から生えたはずの剣。

 実はその一本一本が、髪の毛だった。伸び、硬質化し、刃となった髪が、地中を這い、すべてラクシャサの頭部へと連なっている。髪が形を変えた。剣の一部が鎖へ、槍へ、鉤爪へと変質し、空気を切って震える。

 

 

「血の脱獄事件で未だに捕まっていない4人の凶悪妖怪…!まさか、その内の1人とぬらりひょんと組んでいたとは……!!」

 

『私を刑務所に叩き込んだ貴様に復讐できると聞いてなァ!ついてきて正解だったよ、本当に会えたんだからなァ!!』

 

 

 逃げ場はない。

 跳べば切り裂かれ、踏み出せば串刺しになる配置。ぬらりひょんは、口元を歪める。

 

 

『ラクシャサ。鬼太郎はまだだ。計画通り進めなければならないと言っただろう』

 

『・・・チッ』

 

 

 ラクシャサは髪の毛の包囲網は解かれないが、力は緩まった。しかし動けないのも事実である。その状態を見て、ぬらりひょんは高らかに笑う。

 

 

『鬼太郎!だがまだ俺には仲間がいる。絶望してくれたかな?だが安心しろ、お前はまだ生きてられるさ。お前の夢も希望も、大切な仲間も、全て壊した後にお前を殺すがな。俺の手で確実に!だからその日まで長生きしろよ!ふはは、ふはははは!!』

 

 

 爆ぜる音が、夜の海を引き裂いた。

 轟音と同時に、白煙と炎が視界を覆い尽くす。ぬらりひょんはその混乱の中心で、すでに背を向けていた。

 

 

『では、さらばだ。良い年を迎えてくれよ……。くくく…』

 

 

 振り返らない声。

 その足元で、仕込まれていた爆弾が次々と起爆する。朱の盆も、虚無僧も、ラクシャサも、爆発に紛れて姿を消した。

 

 

 

 

 

※※

 

 

 

 

 

 人食い島は、沈んだ。

 怒りを宿していたはずの巨体は、最後に大きく海を波立たせただけで、

深い深い闇の底へと消えていった。

 

 海は、嘘のように静まり返る。

 

 鬼太郎は、一反木綿に乗ったまま、その光景を見つめていた。ぬらりひょんの妖気も、もうどこにもない。

 

 

「・・・ぬらりひょん」

 

 

 何もできなかった。

 今回はぬらりひょんに争う気がなかったからだ。もし奴の言うように人食い島を上陸させていたら日本は新しい年を迎える前に崩壊していただろう。

 

 

「うぅむ、ぬらりひょんは儂ら以外にも幻想郷を狙っていたとはのぉ。……幻想郷には力強い妖怪達がたくさんおる。そう簡単にはやられないとは思うが…。人食い島や囚人どものこともある。心配じゃ」

 

「とりあえず皆んなに報告に行きましょう」

 

 

 

 漁村に戻り、あったことを話す。

 仲間達は驚き、そして暗い表情となる。また島がなくなったことで天候は治り、生贄を取りやめとなった。また次こういう事態に陥っても生贄は行わないことを約束し、幕を閉じるのだった。

 

 

 ゲゲゲの森に、新年が訪れようとしていた。

 だが鬼太郎は、縁側で、静かに空を見上げていた。

 

 澄んだ冬空の向こうに、まだ見ぬ争いの影を感じながら。

 

——こうして一つの事件は幕を閉じた。だが、妖怪と人間の軋轢は、決して終わらない。静かな新年の始まりを前に鬼太郎の胸には不安が刻み込んでいたのだった。

 

 

 

 

「……ねずみ男、もしかしたらアイツも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 みなさん、良いお年を──。

 次回は新しい話ではなく敵キャラをまとめようと思います。

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