ファンタジー俺達   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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魔法陣革命

 衣食住の住はなんとかなったが、より良い衣と食を求める話

 

 ジャムおじのいる豆村に前世で料理に携わっていた俺達がより良い食を求めて話していた

 

「さしすせその塩と酢以外無いのは辛いな。砂糖は高く、味噌、醤油は開発途中。緑の革命家ニキがゴーレム班を使って砂糖大根やサトウキビ、砂糖楓(メイプルシロップの木)等の繁殖をしているが当面は期待できない」

 

「砂糖が無ければアンコができない! 完璧なアンパンマンができないではないか!」

 

「言うて今も姿はアンパンマンだけど中身パンだからパンマンだよね」

 

「はぁ!? アンパンマンはアンパンマンだが!?」

 

「落ち着けジャムおじ、俺達の使命は食事を豊かにすることだ。今ある食材で旨い料理を作るのが目的ではないか?」

 

「「「そうだそうだ」」」

 

「……取り乱してすまなかった。では第6回ヒムラー領内食事改革の会を始めるぞ」

 

 ジャムおじの号令で部屋に集まった転生者達の会議が始まった

 

「まず穀物類だがフレデリック王国が2年間豊作で穀物の値段が下がっている。そのお陰で錬金術師達が作った石鹸を元手に小麦や大麦は手に入りやすいだろう」

 

「全部小麦粉でパンを作るわけにはいかないから大麦粉を使ってパンを試作しているがどうしてももっちりとした食感は無いな。パサついて硬めのパンになってしまう。大麦は酒や味噌、醤油等の加工に使った方が良いと思うが」

 

「いやしかし、大麦は大麦で使い道は色々とある。それに我々と錬金術師と薬師でベーキングパウダーの生成に成功すれば大麦でのパンもだいぶマシになるだろう」

 

「うむ」

 

「それよりも卵の問題だ。鶏を買い入れたり増やしたりしているとはいえまだまだ数が少ない」

 

「まぁまて、今は穀物の話だ」

 

「続けます。穀物の流れから当面の戦争等の軍事行動はどこの領土も無いと思われます。フレデリック王国以外の国々でも豊作もしくは例年通りだったことで略奪による食い扶持の確保をしなくて良いと思われるからです」

 

「なるほどそれは朗報だな」

 

「続きまして先日穫れた芋類ですが、薩摩芋の様な甘い芋はまだ発見できていませんが、じゃがいも擬きや長芋は比較的簡単に手に入れられました。特筆すべきはコンニャク芋の発見です。毒芋として自生していたのを商人が発見してこちらで増やしております。ある程度の種芋は来年からかと」

 

「コンニャクは色々な料理に使えるからな」

 

「じゃがいもはこちらの世界でも一般的で良かったですな」

 

「小麦がダメでも芋という保険があるのは大きい」

 

「続いて米です」

 

 場の空気が一段と真剣になる

 

「タイ米に近いのは来年からでも穫れるようになるようです。しかし和米は緑魔法を使っても数年はかかると思われます」

 

「早く和米を食いたい物だ」

 

「田んぼの整備は進んでいるから来年には大量の稲穂が並ぶだろう」

 

「タイ米の方が和米よりも米粉でパンや麺に合うとも前世で聞いていたからそっちの方向でも試してみるのも面白いのでは?」

 

「確かに、そうなるとやはり重曹とベーキングパウダーが欲しいな」

 

「いや、重曹は確かダンジョンの3層で重炭酸ソーダ石が取れたハズだ」

 

「なに! 本当か!?」

 

「初耳だぞ」

 

「俺自身がダンジョンでレベリングしていた時に見つけたから間違いはない! 鑑定すればわかるハズだ」

 

「岩塩からも重曹は作れる。錬金術師達がこの前重曹の錬成は成功していたハズだ」

 

「朗報ですな」

 

「ああ、となるとやはりベーキングパウダーに注力を」

 

「こほん、次は肉類ですが、これは肉屋の方々の方が詳しいでしょう」

 

「ああ、俺から話そう。現在ヒムラー領内に牧場は2ヵ所、うち1つは軍馬用で食用じゃない。輸入25%、ダンジョン産75%、領内の牧場……養鶏場ですが、まだ分母となる羽数が足りなくて肉や卵の出荷はしておりません。冒険者の俺達が頑張ってくれているので食卓に1品肉料理が出るようになりましたが、安定性にかけるのも事実。できればダンジョンで比較的大人しい方の耳無し豚をテイムして家畜化できれば良いのですが」

 

「耳無し豚か……テイムとなると難易度が上がるが」

 

「家畜の移動は難しいからな。移動中に痩せてしまうから」

 

「せめて来年になって餌の備蓄ができてからではダメなのかね?」

 

「私もそう考えたのですが、魔物研究班曰く早い方が良いとのこと。依頼となればヤタガラス経由になりますが」

 

「とりあえず3日限定の依頼で集めてみるのが良いだろう。1体300$にすれば持ってくるでしょう」

 

「財源は?」

 

「心苦しいがここにいる者でカンパしてもらいたい」

 

「だったら私が全額だそう」

 

「ジャムおじ!?」

 

「なに、食が豊かになることは良いことだ。肉屋諸君がこれだけ堂々と言うのだから成功の方が高いと踏んだだけだ。ホットドッグを早く……いやいや、ソーセージサンドを食べたいからな」

 

「ホットドッグだと犬の肉を現地民は連想しますからな」

 

「商品名も気を配らないとなぁ」

 

「ジャムおじだけに出させてもらうのは悪いだろ。俺も出すぜ」

 

「俺も出す」

 

「気持ちだけになるが」

 

「では会議の最後に幾ら払うか掲示板に名前と金額を書いてください」

 

「では次に野菜の話です。ゴボウがやはり食されてませんでしたね」

 

「美味しいのに」

 

「根っこを食う文化がないのだろう」

 

「今のところ野菜は大半があるのだったな」

 

「はい、まぁ大半の野菜や果物はあると思って良いでしょうが品種改良が進んでおらず、野菜は小ぶり、果物は酸っぱかったり渋かったりしますが……」

 

「品種改良は緑の革命家ニキ達農家の仕事だ。我々はそんな癖のある食材をどう旨く調理するかではないかね?」

 

「「「ジャムおじ」」」

 

「最後にソースや香辛料等を聞こう」

 

「はい、まず香辛料ですが栽培は可能とのことで、現状30種類のスパイスがこの領内で採れると緑の革命家ニキが言っていました。ただカレーを作るにはスパイスが足りないかと」

 

「いや、30種類もあれば色々な調理ができる!」

 

「ソースは現状だとトマトソース、デミグラスソース、チリソース、サルサソース、オニオンソースは作れると思います。中濃ソースやホワイトソース、マヨネーズは現状だと不可能、ケチャップは工夫次第かと」

 

「洋食はなんとかなりそうだが問題は和食だよな」

 

「出汁なぁ……歩きキノコから良い出汁は取れるが、後は野菜出汁になるか?」

 

「昆布もかつおも無いからな。内陸国故に海の幸が壊滅しているのがデカイ」

 

「川魚ではなぁ」

 

「コンソメは洋食だもんなぁ」

 

「とりあえず作れる料理とソースを増やす、魔物の調理法の確立……絶対にこの領土の領民を餓えさせない」

 

幸腹(こうふく)を目標に頑張りましょう」

 

「それでは次に各々が今回の為に用意したレシピの確認をしたいと思います」

 

 会議はその後も続いていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 転生者達によりコークス炉や溶鉱炉、ベッセマー方式の転炉の建造が始まった

 

 それはゴーレム班が耐火性レンガを作り出すことにより高炉を作れるようになったからである

 

 現在領内にはダンジョン産の石炭と鉄鉱石が取れるので一応鋼を作る材料は揃っていた

 

 高炉で鉄鉱石を銑鉄にすることに成功し、魔法開発班の魔法陣及び魔石を使うことによってより高温で不純物の少ない鉄の取り出しに成功する

 

 ダンジョン解放から約4ヵ月でここ最近は採掘の魔法の熟練度が上がったことと、壁の鉄分から砂鉄を抽出する方法が見つかり、毎日500t近くの鉄鉱石や砂鉄とほぼ等量の石炭が掘り起こされていた

 

 とてもではないがこんな量の鉄は使いきれない為に鋼にして使い道を増やそうというのがことの始まりであった

 

 工場にも鉄で色々と作るのに必要だろうからその消費も込めて……

 

 ダンジョン→高炉でできた鉄はまず農具や武器、調理器具に加工された

 

 鍛冶屋の俺達も良い商品を作るために魔法陣や魔法、錬金術といったあらゆる物を駆使して練鉄を生産し、鉄製の農具が普及したためと農業用のゴーレム(牛型)の量産が始まったことで耕せる面積が増え、農地の範囲が数倍に広がった

 

 最初はゴーレムの使用に怪訝そうな顔をしていた現地民の村人も取り分が増えることには大歓迎

 

 各々の村が広くなっていった

 

 ゴーレムに合わせて足踏み回転式脱穀機や魔法陣を使った自動製粉機等の便利な道具が次々に開発され、男達はいまだに農作業があるが、女達が副業をする余裕ができ始めた

 

 

 

 

 

 

 

「女性達への副業か」

 

 ヒムラーは書類を読みながら女性達の副業問題について考えていた

 

 明治時代の女性の職業と言えば紡績業だったが、木綿も羊も蚕もこの領土には居ない

 

 うーんと悩んだところお嬢様が

 

「ならば職人を育てるのはいかがかしら」

 

 と提案してきた

 

「職人?」

 

「ええ、耐火性レンガと温度の調整できる火の魔法陣が量産できるようになったことで焼き物系の職人は欲しく無くて?」

 

「確かに焼き物は売れるな」

 

「魔物の骨も余ってますしボーンチャイナ(白い磁器)でも作ればここの特産品になるのではなくて?」

 

「さすがお嬢様だ! 才女! 天才!」

 

「あらあら統治者がそんなにはしゃいではいけませんことよ」

 

「いや、売れる物ができるのは良いことだ。鉄もレールを引いたりしたら足りなくなるからな」

 

「鉄道計画でもあるのかしら?」

 

「馬車鉄道だがな。もっとも製鉄所ができてからだが」

 

「しかし、カードゲーム作りたくて魔法陣の仕組みを理解した娯楽開発ニキは本物の天才ですわね」

 

「ああ……革命的だな。産業革命当時の人はこんな感じだったのかな?」

 

「さしずめ今回のは魔法陣革命とでも言うのですかね?」

 

「あぁ、楽しくなってきたな」

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