ファンタジー俺達   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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志願兵俺達 幽霊の献身 逆侵攻 地図


【隣の領土との武力衝突による志願兵の募集】

 

「何々? 戦争に関する依頼、日当1人25$、戦闘日数により1人50$、戦果により査定及びランクアップ考慮、シルバーランク以上?」

 

「なに見てるんすか?」

 

「いや、これが貼り出されてたんよ」

 

「あー、掲示板で上層部が慌ただしく連絡してたのはこれかぁ」

 

「俺達レベル35だけど参加してみるか?」

 

「活躍してコテハン貰いたいっすよね」

 

「掲示板だと一応魔法部隊として運用するだって」

 

「となると魔法で遠距離から叩く感じか?」

 

「ダンジョンでは使えない複合大規模魔法がバンバン使われそうだな」

 

「あ、二宮チカの奴参加するらしいじゃん」

 

「まじか、魔法使いニキや魔法使いとして名前があがっているコテハン達は大半が参加っぽいな」

 

「スライム狩りニキ不参加かぁ」

 

「まぁ彼はダンジョンで本領発揮するタイプじゃん」

 

「ダンジョン特化の奴らは確かに参加者は少ないですね。へー、意外、娯楽開発ニキとジャムおじ参加するんだ」

 

「あとは治療班として普段内政やってるやつも参加するな。お嬢様や執事くん、冥土さんも参加か」

 

「おいおい大皇帝不参加かよ」

 

「いやまあ彼が何かあると不味いしさ。前線で鼓舞してほしくね?」

 

「あー、収穫による税金の計算と軍需物資の仕入れでとても戦う余裕は無いってさ」

 

「ならしゃーない。元自俺達が指揮執るらしいが軍は少数精鋭だからな」

 

「日当と食事が出る感じか」

 

「3食飯出るのは有りがたいが軍用飯じゃないよな?」

 

「料理班がまとめて作るらしい」

 

「なら旨いのが期待できるな」

 

「じゃあ俺参加登録してくるわ」

 

「俺も~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「連日魔法の訓練ばっかりだな」

 

「しかし、魔法使いとして名を挙げたコテハンは規模がちげーや」

 

「二宮チカのファイヤーボール見たかよ。隕石だぜあれ」

 

「あれがエクスプロージョンになったら軍なんて残らねーよ」

 

「あいつ1人でもいいんじゃないか?」

 

「まぁ軍としては必死こいて作った近代兵器が個人技でひっくり返されそうと知って防衛計画が大慌てで練り直していたな」

 

「魔法のレジスト効果のある装甲を持ち、防御力に期待できる戦車がやっぱり注目されたんだっけ?」

 

「二宮チカが居るってことは相手にもアレレベルが居るかもしれないからな」

 

「とりあえず自警団の方は適当にやるだろ。所詮寄せ集めの俺達の方よ」

 

「塹壕で盾の魔法で広範囲にシールドを張り、魔法攻撃や弓矢の攻撃を防いでいる間に大規模な魔法が使えるやつが大規模魔法を使って戦局を変える。守りに徹しつつもなるべく殺せだっけ?」

 

「逆侵攻の計画たててるんだろ?」

 

「まぁ俺達の役割は敵をいかに多く殺すかだ。はぁ、元日本人なのに命の奪い合いに慣れてしまったな」

 

「しゃーない、日本人ってその場の空気に流されやすいし、周りが戦意旺盛なら自然とそれに流されるだろ」

 

「魔族達や魔物達の今回の戦争の意気込みは尋常じゃないな」

 

「そりゃ人として差別されること無く暮らせる唯一の場所を奪われようとしたら必死になるだろ」

 

「ただ魔族といっても俺達みたいに全部の魔法を使える訳じゃないもんな」

 

「あ、そういえば聞いたか? 魔族の間で新しい魔王に小悪魔ネキが選出されたらしいぞ」

 

「まじ? あのfateのクロエにスゲー似てるネキだろ?」

 

「魔族の族長という意味で魔王らしいからな。こっちだと村長程度らしいけど」

 

「人類に保護される魔王ってなんかシュールだよな」

 

「でも彼らの畜産能力はうちらの数世代先行ってたもんな」

 

「他にも色々な知識を持っているし」

 

「でも小悪魔ネキの両親が魔王の代理をしていたんじゃなかったか?」

 

「今回の旅の功績で娘を魔王にして、自分達は補佐に切り替えたらしい。小悪魔ネキダンジョンに潜ってから凄まじい勢いで成長しているもんな」

 

「……駄弁ってたら俺達の番か」

 

「シールドっと」

 

「連携してのシールドも慣れてきたな」

 

「1人3×3メートルのシールド作らないと行けないからな」

 

「だいぶコツ掴めてきたわ」

 

「おい、あのUFO擬きの珍兵器が敵の侵攻を確認したって掲示板に書かれたぞ」

 

「敵は二手に分かれたか。よっしゃ、出番がありそうだな」

 

「急いで待ち伏せ地点に移動するぞ」

 

「ここから5キロの地点か。歩くのだりーな」

 

「しゃーねぇだろ。さっさと行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やることねぇな」

 

「敵から魔法も弓矢も飛んでこねーからな」

 

「経験値が旨いらしくて魔法がバンバン飛んでいるが」

 

「魔法の嵐だな。複合魔法のデパートとでも言えば良いか?」

 

「誰だよ流星群放ったの。地面でこぼこになるだろうに」

 

「生きてる奴いるのか? 見た感じ武器も有り合わせって感じの農民兵が多いようだが」

 

「騎士は目立つから真っ先に狙われてるからな。指揮系統が混乱して農民兵右往左往しているだけだし」

 

「おい、突撃命令出たがどうする?」

 

「魔物達や魔族達が我先に突っ込んだな。近接に自信あるやつも続いたか」

 

「突撃しても成果にならねーよこれじゃあ。だったら魔力を温存して怪我人の治癒の方が印象良いだろ」

 

「というかどこの馬鹿だよ。この状態で突撃って。魔法だけで倒せただろ」

 

「ストレス溜まってたしいいんじゃね? 怒られるの指揮官だけだろ」

 

「まぁそうだな……勝鬨が聞こえたってことは終わったか?」

 

「うひゃぁ死屍累々だな。これ火葬するのだりーぞ」

 

「使えるのは錬金術師連中が火薬の燃料やホムンクルスの臓器作るのに使うって言ってたから比較的綺麗なのは運んだ方が良いだろ」

 

「敵ながら哀れだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ……はぁ……着いた……』

 

 幽霊の少女は魂だけとなれども尋常ではない精神力で肉体の制約を破棄し、ウッド領の村に到着した

 

 昼間ということで領民達が生活していたが皆幽霊の少女の姿を見てぎょっとする

 

 オバケの魔物は死んだ時の姿をすると言われており、少女は内臓がこぼれ、地面に引きずられ、両腕を捥がれるという凄まじく痛々しい魂であった

 

『だ、誰か領主様がどこに居るかしらないか』

 

「か、カルロか? カルロなのか!?」

 

 私の名前を呼ぶ村人……いや騎士が出てくる

 

 輸送部隊の隊長だ

 

 そうか、彼らは物資の輸送であの惨劇をしらないのか

 

『カルロです。死んでしまいましたが、領主様に……ペドロ様に緊急の報告があり、魔物となりましたが報告を』

 

「わかった! すぐにペドロ様とレベル審問官を連れてくる! おい、お前達は村人にカルロに近づかないように見張れ!」

 

「しかし、隊長カルロは我々の仲間では」

 

「カルロも言っているように魂だけの魔物だ! カルロの精神力で自我を保っているが、早く楽にさせないと悪霊となるぞ」

 

「それに家族にこの姿を見せてみろ、ショックで精神が壊れるぞ」

 

「そ、そうですね」

 

「カルロ、何があったか彼らに話しておけ、私はすぐに呼んでくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに? 侵攻軍の騎士が幽霊になって戻ってきた?」

 

「はい、カルロ魔法兵で凄まじい死に様だったのかと……とにかく話を伺ってください。レベル審問官も来てくだされ。彼女を早く楽に」

 

「わかった! 直ぐに向かう」

 

 ペドロ卿とレベル審問官、神父やシスター、教会騎士達も同行し、カルロが居る村に到着する

 

 カルロの姿を見たペドロ卿以下同行していたメンバーは絶句する

 

 戦場で首無し死体がさ迷ったり、手足が潰れたオバケは見たことがあったが、内臓が引き出され、両腕が千切れる死体など見たことがない

 

「な、何があったんだ! 侵攻軍は! ペテルは!」

 

『……ペテル様以下ウッド領騎士団は壊滅……いや殲滅されました。ペテル様は軍を2つに分け、片方が対峙している間にもう片方の軍が側面攻撃を仕掛ける策を取られたのですが……敵に向かって攻撃を始め、突撃した際、ペテル様は戦死、■■■様、■■■様■■■様や隊長達もこの突撃時に魔法による攻撃で戦死いたしました。敵の魔法をこの身で受けた結果両腕と腹に攻撃を受けこのような体になりましたが、高速で石か鉄を飛ばす魔法と思われます。また大きな芋虫の様な魔物(戦車)に囲まれ、私達はなす術もなく殲滅されたので……ございます。ペテル様を守れず申し訳ございません』

 

「……貴重な……情報を……感謝する! レベル! 彼女を早く楽に」

 

「は、は!」

 

 強靭な精神力で任務を遂行した少女は天に召されていった

 

 それを見届けると

 

「レベル……どう言うことだ! 兵士は少なく、今攻めればひとたまりもないとお前は言っていたな! 結果はどうだ! 全滅ではなく殲滅だぞ! カルロの話を聞くにろくな被害を出せぬまま……息子が……自慢のペテルが……」

 

 ペドロにとって長男のペテルは自慢かつ自分には過ぎたる期待の息子であった

 

 ペドロは他の子供達が女子しかおらずペテルを大層可愛がっていたのは周辺諸候達も知るほど有名であった

 

 そんな自慢の息子が死んだこともそうだが、騎士団が壊滅し、更には敵にろくなダメージを与えられなかったことはペドロの精神に異常をきたす程の衝撃であった

 

 ただ領主である彼は親として狂うわけにもいかず、虚言を吐いたレベルを即刻処刑したい気持ちをなんとか抑えると失った戦力を立て直す為に奔走しようとするが……時間がそれを許さなかった

 

「りょ、領主様敵襲です! ヒムラー領の軍が攻めて来ました!」

 

「なに!?」

 

 カルロは徒歩2日をかけて領に戻っていたが、その間にしっかり補給を終えたヒムラー公爵軍は戦車を先頭に木々をなぎ倒し、道を作って侵攻するのには十分な時間だった

 

「迎撃しろ! 女子供を隠し、男は武器を取り戦うのだ!」

 

「し、しかしペドロ様、未知なる魔法か魔道具を使われた場合カルロの様に死ぬだけでは……」

 

「臆したのか貴様! このままでは我が領は蹂躙されるのだぞ! 弱国フレデリック王国の1辺境領主に敗北したとなれば他の諸国も我が国に攻めてくるぞ」

 

「し、しかし!」

 

「ええい! 黙れ! 私の命令が聞けぬのか!」

 

 ペドロはパニックに陥っており、聞く耳を持たなかった

 

 輸送部隊の女騎士や年老いた騎士達は直ぐ様子供や女を家に避難させ、防衛するために武器を取った

 

「な、なんだあの魔物は!?」

 

 初めて戦車を見た彼らは化け物と勘違いし、その重厚な見た目に恐怖を覚えた

 

 その戦車から声が聞こえる

 

『フレデリック王国ヒムラー公爵のお言葉である! 武器を捨て降伏しろ! 村3つと鉱山の割譲を条件に今回の戦争を終結とする。繰り返す』

 

 二線級部隊である輸送部隊の騎士達はカルロみたいな不屈の精神力があるわけでも無く、ただただ目の前の化け物から発せられる言葉に恐怖をした

 

『……返答無しとし威圧行動を開始する』

 

 

 

 

 

 

 

「二宮チカ、すまんな連れてきてしまって」

 

「全くだ。女性を軽トラの荷台で運ぶな。もっと丁重に扱え……で、エクスプロージョンをどこに放てば良い?」

 

「そうだな。開けた場所に放てるか」

 

「開けた……ここらだと畑となるが」

 

「収穫後の畑だ。問題ないだろ」

 

「わかった……エクスプロージョン!」

 

 二宮チカが右手を掲げると巨大な火球が出現し、それが遠方に放たれた

 

チュドーン

 

 火球が着弾した瞬間に膨れ上がり、巨大な炎の柱が天高く登った後、きのこ雲が出現する

 

 野球場くらいの広さの範囲に巨大なクレーターが出現し、騎士達の戦意はポッキリと折れた

 

 武器を捨ててしゃがみこむ

 

「終わりだな」

 

 二宮チカはそう言うと乗ってきた軽トラの助手席を陣取り、おにぎりをむしゃむしゃと食べ始めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何をしておる! お前達は騎士だろうが! 恐れるな! 戦え! 戦うのだ!」

 

 ペドロ卿は叫ぶ

 

 しかし騎士達はただただ恐れ、萎縮し、レベル達教会の人間も恐怖で動けなくなっていた

 

 ペドロはパニックになっていた

 

 なっているがゆえに叫ぶ

 

 それが命取りとなると知らずに

 

 パン

 

 反抗の意思ありとされたペドロ卿は指揮官が放った凶弾に倒れる

 

 心臓を的確に撃ち抜いたペドロ卿は一瞬のうちに絶命し、戦争は終結となった

 

 ペドロ卿の領土の大半はそのまま進駐したヒムラー公爵領に組み込まれ、5つの村と2000人強の人口、幾つかの鉱山を確保することに成功するのだった

 

 合併による騒動はまた別のお話

 


 地図

 

【挿絵表示】

 

 

 青丸 村

 赤四角 製鉄所

 黒丸 ダンジョン

 北部 ヒムラー公爵領

 森 ヤルクの森

 南部 旧ウッド藩領

 

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