ファンタジー俺達   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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騎士団と軍

 自警団が騎士団となり、騎士と郷土騎士を選ぶ権利がヒムラーには与えられていた

 

 基本的に騎士は貴族の役職であり、貴族のご子息達が世襲する役割である

 

 一方郷土騎士は地元の騎士団の中で優秀な者が団長から選ばれて1代限りの騎士の役職が与えられる

 

 騎士と郷土騎士は差は無いとされているが、実際は騎士が上で郷土騎士が下の様な扱いをされる

 

 で、ヒムラー領での騎士団はと言うと軍隊風にアップデートされていた

 

 騎士団の団長は一応ヒムラーだが、騎士団運営にはほぼノータッチであり、ヒムラーに付いてきていた隠居騎士のグラットもウッド領との戦争で価値観が変化してしまい、騎士団を引退していた

 

 騎士団発足と共に元自で高官だったヒンデンブルクが副団長に就任

 

 そのまま階級を設定していった

 

 一応外からは騎士団と言う風に見えるように尉官以上を騎士としつつ、旧日本軍の階級制度を復活させ、ヒムラーを文官のトップとし、ヒンデンブルクは自身を大佐とし、騎士団を連隊として扱った

 

 現在騎士団の団員数は流民や旧ウッド領の親の居ない少年少女男のハイピクシーや騎士団に憧れた化け狐、コボルト達を吸収し、400名となっていた

 

 正直まだ連隊の数ではないが、拡張性などを考慮した結果連隊となっていた

 

 騎士団の基地は駐屯地とされ、内部には田んぼや畑、牧場が設置された

 

 え? なぜ駐屯地に田畑や牧場があるかって? 

 

 田畑は隊員たちの食事を少しでも確保する目的と班ごとに自由に使って良い畑を設定することで畑仕事を通じて団結を促す目的等があった

 

 牧場は軍馬としてユニコーンを育てているためである

 

 他にも整備工場とかがあったり……

 

 隊員達には将来の拡張に備え高等教育が予定されており、自衛隊候補生の前期教育4ヶ月、適性ごとの中期教育7ヶ月、陸曹教育の後期教育の8ヶ月と余裕を持った教育が行われていた

 

 更にここから適性があれば幹部教育1年となり、ヒンデンブルクや元自俺達は自衛隊の訓練を参考に訓練計画を練り、実行していた

 

 まだ1年目ということで基礎だけの前期教育だけを新規加入の250人に行い、最初期から居た150人は後期教育を行っていた

 

 これが終われば後期教育受講組から隊長を選出し250名の中期教育に移行する

 

 そんなできたてかつ色々模索中なので練度はお世辞にも高くなかった

 

 貴族騎士として参加した俺達も容赦なく前期教育を受けさせられてしごかれていた

 

 これに彼らの従者達が反発したが、貴族騎士の俺達は不満を抑え込み、無事に前期教育を終了する

 

 前期教育が終わると自分の銃を正式に支給され、手入れや使用の許可が降りる

 

 前期教育後はヒムラー領の騎士団は週に1度に班でダンジョンに潜りレベリングを行う事が義務付けられており実力の底上げと射撃訓練も余念が無い

 

 ちなみにだが、小銃はレベルが60を超えると途端に効きが悪くなる

 

 というか盾の魔法で防げてしまう

 

 まぁ60レベルの魔物は6階層までには居ないのでそんなに心配することは無いのだが……やはり命のやりとりというのは実戦経験並みに重要である

 

 ダンジョンでの訓練はマッピングの無い現地民の部隊は迷ったりすることもあるが2階層までであれば1日迷えば入り口か出口にはたどり着けるのでそこで俺達に道を聞いたりして戻ってくるため今のところ死者は出ていない

 

 まぁ迷わないようにコンパスと地図は持っていっているので迷うのはダンジョンに慣れていない新兵に限るが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒンデンブルクは色々と考えていた

 

 兵士の促成育成というのは末期の軍がやることであって通常の軍がやる必要はない

 

 なのでヒンデンブルクはワイマール共和国時代のドイツ国防軍の様な下士官でも将官クラスの教育を受けた全隊員が精鋭という方式を採用していた

 

「どうせ内乱で既存の騎士団は使い物にならねぇし、1から近代的な軍事組織を創らねばならん。となると一度壊滅し作り直した組織を参考にするのが良いだろう」

 

 ドイツとか日本の自衛隊は分かりやすい

 

 しかも日本の歴史をしっかり学んでいる元日本人のヒンデンブルクにとってどうやって軍ができるかというのも理解していた

 

「兵器ばかり作っても扱える人員が居ないとダメだろうに……兵器開発の俺達はわかっているのかねぇ」

 

 ヒンデンブルクの下には昨年の戦争? 紛争? の結果からフィードバックされ改良された兵器の試作品のスペックや図面が机に山積みとなっていた

 

 銃だって色々な物が開発されており、正式採用はAK47と決まっていたが、魔法銃……魔力で動くレーザー銃や電撃銃といったファンタジー兵器や正式採用が決まっていない拳銃だったり、機関銃や大砲の改良も続けられていた

 

 機関銃は汎用機関銃の開発に集中されておりAK47に構造が近いPK機関銃やナチスのMG34機関銃、自衛隊の62式7.62mm機関銃を参考に開発が行われていた

 

 ただ今のところ職人が1つ1つ造るしかなく、大型機械によるプレス加工だったりは技術的問題で難航していた

 

 そんな状態でエンジンや戦車を造っているのでなかなか生産性も上がらない

 

 というかヒムラー領では銃の需要拡大でAK47とその弾薬で武器工場のキャパはあっぷあっぷであり、車両工場も月産10台がやっとであった

 

 一時期は軍最優先だったが、内需拡大によりそうも言ってられなくなった為に兵器の供給は小銃ばかりとなっていた

 

「まぁ訓練できない兵器が大量にできるよりは良いか……ハウニブ量産計画も一時凍結だろうな」

 

 それでもハウニブが高性能機体なので凍結期間中に空想再現ニキが設計を練り直し、更に高性能になることをまだ彼は知らない

 

「機動戦闘ドクトリンと機甲戦力により人的資源を徹底的に節約した戦術を採用しなければな。一応見かけの数だけは他の騎士団に並んだが……人口が貧弱すぎるからな。人的損害イコールそのまま国力の低下に繋がる……はぁ、仮想敵に囲まれたイスラエルは常にこの問題を抱えながら戦争していたと考えると凄いな。島国の日本ではなかなか考え付かんが……今はそのイスラエルと似ているからな」

 

 フレデリック王国は味方ではあるが、内乱になれば最悪全部の領が敵となる

 

 南部諸藩は明確な仮想敵であり、貿易で繋がりは徐々にできているがこちらが弱みを見せれば攻めてくるだろう

 

「まぁうちのボスは当面の拡張は厳禁にしてくれて良かったぜ」

 

 昨年の戦争で見せた火器による火力は兵士に自信と同時に驕りを生んでしまっていた

 

 銃があれば騎士だろうと多くの敵だろうと殺せる

 

 それは防衛戦争で敗北して領地を失った経験をもつ年長者達が更に戦果を拡大すべきと騒いだが、それを押さえつけた経験があったからだ

 

「そもそもそんなに領地を広げても統治できねーよ。北部地域でも開拓面積はまだ2割なんだぞ。道もろくに通ってない村をとっても反発されるだけだからな」

 

 ヒンデンブルクは対外戦争か内乱か、どちらが先かわからないが自身の持つ戦術をこちらの世界に合わせて考えていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「試作Ⅰ号戦車と試作BT-2を造ってみたがやはり足回りはクリスティー式の方が良いな」

 

「あくまで模倣だから完璧とは言いづらいし、馬力がMAXでも100馬力と低い、溶接で生産性も悪い……色々と問題も多いが、ここから改良していこう」

 

「5年以内に35t級戦車を作り、10年以内に量産に持っていくぞ」

 

「その為にはやっぱり支えるエンジンの改良か?」

 

 ガルパンおじさん俺達は昨年の戦争時の苦い経験を思い出していた

 

 エンジンや足回りの信頼性の無さから逆侵攻時に森を抜けられなかったルノーが半数も出てしまった事件だ

 

 ルノーよりもイタリアとかの豆戦車の方が良いのではないかという意見を軍部から言われて凄い恥ずかしい思いをしたために信頼性を高めるため試作の両方の戦車も形はその車両に似ていたが内装は大きく違っていた

 

 ギアチェンジに軽トラよりも重量があるのでトルクコンバータの試作品を導入したり、車のハンドル、変速機を5段階にしたりクラッチ、ブレーキ、アクセルの位置を踏みやすい位置に工夫したり、車内にエアコンを導入したりと快適になるように色々と工夫をこらしつつ、運転しやすい、扱いやすい、信頼性の高い戦車にすることを心がけた

 

 装甲は薄く、元の車両よりも大型化してしまったが、その分車内は広く居住性の向上と全乗組員がすぐに外に脱出できるハッチが取り付けられたりと改良がされていた

 

「あくまでこれは試作品だからな。戦車砲も載ってないし」

 

「でもルノーからの進化はしている。次は車内で湯を沸かせる電気ケトルの開発か?」

 

「やっぱりT-34も大型化しそうだなこのままだと」

 

「居住性の高いシャーマンシリーズの方が良いんじゃないか?」

 

「ドイツとソ連系に絞るって決めたんだからこれでいこう」

 

「とにかくエンジンだ。100馬力じゃ弱すぎる」

 

「だな」

 

 俺達は改良を続ける

 

 良い戦車を造るために

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