どーも皆さんフリックです
化け狐といった方がよろしいでしょうかね
「あなた、遂にあなたも城持ちですね」
「ああ、自分の店を持てるとは思わなかったが……こんな立派な店を持てる日が来るとはな」
「「「お父さんおめでとう!」」」
「ありがとう」
行商人として約10年、親父のルートを引き継いで、20後半だけどで店を持てるとはな
「……これも全てヒムラー様との出会いか」
俺は現在二尾となり、短命という寿命も克服した
これから30年……いや、更に進化すればもっと現役で居れるな
「お父さんは何の店をするの?」
「魔道具だね。ヒムラー様から領外に売っても良い魔道具は領外に、大型のとかは領内用に販売するよ」
「「「おおー!」」」
「あなたの行商のルートは?」
「俺の仲間が引き継いだ。仲間達も新たな仲間や弟子を入れて独立したからな。大きな商人達がこっちに拠点を移したからそれのお零れを貰ったりしながら稼ぐらしい」
「なるほど」
そう、大きな化け狐の商人達もこちらに拠点を移したことで販売経路はとても多くなった
ヒムラー様は化け狐ネットワークと呼んでいるが、世界に広がる化け狐の情報網は大切だ
短命だった頃の名残で即決即断で商機を逃さないためには情報の鮮度と正確性が大切となる
自分達が社会的に弱者だから情報という宝は絶対に手放さなかった
俺が捕まった時からもう3年……今年の冬には4年か
化け狐にとっては理想郷となったヒムラー領の景気は凄まじい
今まであれば便利と思うような物、高価だった物が安く大量に作られる
ヒムラー領の人間達の商人も切れ者ばかりで手強いが化け狐の団結力も負けてはない
普通ギルドで独占しそうな物でも魔道具以外は基本的に販売が可能なので貿易で儲けていく
「砂糖、塩、磁器、穀物、豆、芋、調味料、チーズ(バロメッサ産)、干し肉、紙、染料、油、魔道具、鉄、銅、工具、調理器具、武器、酒、皮物、石鹸、薬……どれもこれも他の場所ではギルドが管理しているような物ばかり」
この他にも色々商品はあるが、これらを自由に売買できるのは大きい
余所の領土でもヒムラー領の商品は輸送費込みでも安いため利率も良い
余所の領土からも食料や香辛料、鉱物、木材、家畜、布を輸入しているため収支は釣り合いが取れている様に思える
ただ取引されている商品の量と販売経路の数ではヒムラー領がダントツだろうが
特に真っ白な磁器……ヒムラー様は骨から作ったからボーンチャイナ(チャイナってなんだろうか?)と呼ばれる物は貴族達から絶賛されており、高値で取引されていた
美しい稲妻柄の模様が入った磁器は白金貨で取引された物もあるらしい
ヒムラー領の料理処を除く店持ちの商家はだいたい50家
普通の領土であれば10家あれば良いところであるが5倍近くの商家があってもヒムラー領の産業はまだまだ余裕がある
ある商家(俺達)は輸送業で大儲けしたり、最初は駄馬1匹の行商人(化け狐)が2年前の冷害で大儲けをして今では保存食の3番手の商家までのしあがったりと成り上がりがそこらで起きまくっていた
俺の家族も息子達が3人……長男次男は成人して最近ではダンジョンで冒険者として活躍していたり、三男は学校に通って商家を引き継ぐための勉強をしたりしていた
この領土に来てから更に娘が2人も増え、従業員も最初の仲間達は独立したから居なくなったが、新たに人間5人に化け狐8人を雇い10人を超えた中堅商家となっていた
「連日多くの人が商品を買いに来ますが、やはり最大手のたぬきち商会には負けてしまいますが、業務提携も結べましたし、地域密着型の商店として稼ぎますよ!」
ちなみにであるがヒムラー領での商家としての勢力は魔剣の販売を許され、食料品から日用品まで幅広い商品を販売しつつ、その店の廃棄食材を使い格安で料理も食べれるたぬきち商会(従業員100名 3店舗)
娼館、宿屋、避妊具や性的コンテンツで絶大な信頼感を獲得しているシンデレラ商会(従業員100名 娼館3店舗 宿屋2店舗 雑貨屋2店舗)
服屋として大成しているハリメ服屋(従業員25名)
パン屋として領内の食料を牛耳るジャムベーカリー(従業員30名)
これがヒムラー様が4強と言う商家である
下2つは商品が特化しているが上2つは幅広くやっているので他の商家も参考にしている
特に従業員の育成方法は大いに参考にさせてもらい、時には講習会も開いて貰ったりもした
「これに王都や各地から化け狐の商家が来年には移動のゴタゴタが解消されるから売上も上がるから4強の牙城も崩され……なさそうだな」
実際俺の考えは的中し、ハリメ服屋は自前の紡績工場を持ったことで更に売上を上げたことは言うまでもない
「しかしここでは消費税と売上からなる課税以外は無いのがありがたい。場所によっては上納金の他に地税、人頭税も有るところに比べたら低税率だから助かる。商人だといって差別する人も居ないし」
商人は生産性が無いため差別されることが地域によってはあり、貴族も農民の不満を逸らすために商人を使ってガス抜きしている場所もあった
「魔石が格安で手に入るお陰だな。照明も揃っているから夜まで営業できるし……本当に色々な魔道具があるな」
冷蔵庫、扇風機、暖房機、照明、洗濯機、乾燥機、食器洗浄器、オーブン、ドライヤー、給湯器、髭剃り、芝刈り機、こたつ、炊飯器、ホットプレート、掃除機等々商品が並んでいた
「しっかしこの扇風機とかは丸い穴が空いている所から風が出て涼しくしてくれるんだよなぁ(羽の無い扇風機擬き)」
「高いけれど魔石要らずの魔道具もあるわよね。どうやって動いているのかしら」
「うーん、教えてくれないんだよな。特殊な技術を使っているとは言っているけど」
「でも便利になったわね。数年前までは魔道具なんて無くて釜で火を炊いて、井戸や川で水を汲んでいたのに……今じゃこの便利な魔道具に慣れてしまってダメだわ」
妻はふさふさの2本の尻尾をブンブン振って興奮を現している
俺もまさか一介の行商人が貴族のような贅沢ができる立場になれるとは思わなかった
「息子達は苦しい時代を知っているが、娘達はこれが普通の生活として認知するんだろうか」
「そうね……でも甘やかして育てるつもりは無いわ。びしびし育ててどこに出しても問題ない子にするわよ」
「子育てはさっぱりだからな……すまんな」
「いいのよ。しっかり稼いでくれているし……でも4年にもうなるのね」
「あぁ、本来だったらもう数年で俺達も寿命で亡くなる年だからな」
「孫を見れるってどれほどの幸せなのかしらね」
「孫だけじゃないぞ。俺は曾孫も玄孫も見るつもりだぞ!」
「その為にはもっと長生きしないとね」
「商売も安定したらまたダンジョンで鍛えないとな」
「そうね、私ももっと強くならないと」
「いやぁ便利になったな」
「本当ね」
ヒムラー達が入植する前から開拓して農民をやっていた年寄り……といっても50歳の夫婦は茶色に染まり、もう少しで収穫の麦畑を前に、麦茶を飲みながら木でできたテーブルで昼食を食べていた
「ハンバーガーって料理なんだって。牛の挽き肉を使っているらしいわよ」
「おお、遂に牛まで食べられるようになったんだな」
「去年から行商人さん達が牛を買ってきていたから広い牧場で育てているらしいわよ」
「それでも高かったんじゃないか?」
「店長さんが牛肉100%は無理だから鶏や豚の挽き肉も混ぜてかさ増ししているんだって。だからこれでも1$よ」
「安いな……うん! 美味しい。マスタードとケチャップ、玉ねぎと……マヨネーズか? ほのかに甘味があるから蜂蜜も入っているかもしれんな。ソースが美味い! やみつきになる」
「サンドイッチの一種らしいけど美味しいわね。トマトにレタス、玉ねぎにピクルスが挟まっていて美味しいわ」
「あんまりピクルスは好きではないが、これだったらいけるな……これをどこで買ったんだ?」
「いや、ソースは買ったけど私が作ったのよ。レシピはこの前できたハンバーガー専門店にあったレシピ集を見て参考にしたのよ」
「よくお店も秘伝とも言えるレシピを公開するな」
「なんでもレシピを公開してもソースとかを買ってくれれば利益になるし、テイクアウトできるほどは量が作れないんだって」
「へぇー、しかし旨い物も便利な物も増えたな」
「そうね……今だとゴーレムが農作業を殆どやってくれますもんね」
「あぁ、だから俺が命令すればやってくれるからな。息子や娘はダンジョンだの工場で働くようになったが……」
「寂しいのですか?」
「まーな、昔は皆で汗水垂らして必死にやっても今の10分の1の収穫量だったが……」
「ヒムラー様が来てから全てが変わりましたね」
「あぁ、あのお方で全てが変わった」
最初の1年目は脱穀作業が楽になり、2年目より新しい種籾に切り替わり、ゴーレムが導入され、スプリンクラーにより水撒きが楽になり冷害なのに収穫量がはね上がった
3年目は農地の統合が行われ大規模な農地となり、ソ連組員として新農法を必死に学んだ結果更に収穫量が多くなった
「人を雇ってここまで農地を広げられるとは思わんかった……」
「もうすぐ収穫ですね」
「あぁ、ゴーレムが大半は収穫してくれるが、仕上げは儂らがやらんとな」
「農業も変わりましたが……生活がとにかく便利になりましたね」
「前までは水を井戸から汲まなければならなかったが、今では魔石をセットして蛇口を捻れば飲み水には困らんからな」
「火をいちいち起こさなくても良くなったのも大きいですね」
「火打石で付けなくてもコンロを回せば火が着くからな」
「それに一番の変化はパンですね」
「あぁ、パンだな。年々旨くなっているからな。混ぜ物の多い茶色の固いパンだったが、徐々に混ぜ物が少なくなり、今では真っ白な白パンが毎日食べられるようになったからな」
「パンの種類も多くなりましたからね。安いですからこの村のヤタガラスの支店のパンコーナーで買えるようになりましたし」
「買った方が楽だし美味しいからな」
「最近はホームベーカリーなる魔道具もできましたが」
「む!? 本当か?」
「ええ、ヤタガラスのカタログに出てましたよ」
「家で美味しいパンが焼けるか……」
「ただ焼けるのは食パンに限られるそうよ」
「それなら買った方が良いな……あぁ、パンの種類もそうだがパスタの種類も増えたよな」
「ええ、私達の小麦を使われているのかしらね」
「トマトソースだったり色々なソースが合うし、何より茹でるだけでできるのが良い!」
「あなたはパスタ好きですものね」
「もう週に1度食べないとダメな体になってしまったよ」
「今夜もパスタにしましょうか」
「おお! 助かる!」
「食と言えば色々なお店も増えましたよね」
「ココネ村の連中が羨ましい。お店の殆どがあそこにあるからな」
「忙しく無い日はバスや軽トラに乗って食べに行けますがね……毎日はここからだと難しいですからね」
「バスは驚いた……いや、乗り物か? ゴーレムの亜種だとはいえ、人を乗せて高速で動くと言うのが驚きの連続じゃわい」
「でも今ではこうして免許を取って軽トラを運転できますものね」
「コイツは最高だ! 道さえあればどこにでもすいすい行けるからな! 畑の収穫物も運搬できるからな!」
「買い物も楽になりましたよ。重い物を運ばなくて済みますからね」
「どこまでここの領土は発展するんだろうな」
「きっと世界で一番豊かになるまで発展しますよ」
「ガハハ、それは良いな! そんな領土に住めた儂らは最高だ!」