~モル王国~
モル王国……王子を殺されてしまったがフレデリック王国とは違い家族の団結がある一家は次男に王位継承権を繰り上げを行ったり、第13代フレデリック王率いるフレデリック軍によるダメージを回復に努めていた
そんな中緩衝国として独立を認めたボナパルト王国が建国から僅か2年で凄まじい勢いで力を付けてきていた
軍事力ではなく経済力であるが
我が国の行商人から魔物を鉱山で働かせたり、工房で働かせることで高い収益を出していること
ボナパルト王国は魔物使いが多く独自に育成する教育機関があるのではないかと探らせたが、学校なる錬金術等の学問を教える機関があることは掴めたが、決定的な物は見つからなかった
「まぁ他には食文化が多様だとかゴーレムの数が多かったり特産のユニコーンか。ユニコーンはこちらにも友好の証として番を何頭か貰ったが」
「王国の牧場で繁殖に成功しています。良い軍馬になるでしょう」
「そうか、そうか」
報告を聞く限り経済的な繋がりも大きい
こちらから木材や香辛料、絨毯等の布製品が売れる売れる
こちらもあちらから磁器やガラス製品、食料を買っているので釣り合いは取れている
ボナパルト王国から安く食料が流れてくるのでうちの国の食料を高値で隣国に売ることもできている
王子を殺した国は3つに分裂し、ボナパルト王国は良き経済的なパートナーだ
話が通じる時点で当面は生かす価値があるし、わざわざ安定しているのに対外拡張をして周辺諸国のヘイトを買う必要もない
国庫も戦争続きで少なくなっていたが黒字になり、5~6年で冷害で起こった戦争のダメージも無くなるだろうと判断していた
「北ベルランド……きっちり落とし前をしねーとなぁ」
モル王国の目は東から西に向きつつあったのだった
~南部諸藩連合~
ボナパルト王国と隣接する諸藩はボナパルト王国の魅力的な商品に勝てずに大量に流通しており、一種の経済植民地的な様子であるが、領内の産業が死のうが転売で儲けることができており領主的には何も問題が無いといった感じの領が幾つかあった
職を失った彼らは鉱山で働いたり、別の製品を作る努力を行う
ボナパルト王国からの輸入品は多岐にわたるため割愛するが、南部諸藩連合は炭や木材、石材、家畜、魚の乾物、海藻、茶葉、薬草等を輸出していた
薬草はボナパルト王国で加工されポーションになり、他国に売られたり、海でいくらでも採れる海藻を有りがたがるボナパルト王国の商人に疑問を持ちながらも大量に取引がされていた
南部諸藩連合の北部地域は親ボナパルト王国の諸藩が多く、対して、南部地域ではボナパルト王国の経済的な繋がりが薄いため無関心の諸藩が多かった
~北フレデリック王国~
「一応の安定化はしたか……」
「独立はしたが我々が想定していた筋書きとは変わってしまった……フット帝国の衛星国として動くのは決まっていたし、本来ならばもう少し三男の戦力が減るはずだったが……ボナパルト王国独立であてが外れてしまった」
「食料品を安く輸出して他の国からの支援を引き出して……か、まぁモル王国の属国とは、正直ヒムラーは選択肢を間違えた感じは否めないが……タイミングが絶妙だったな」
「ヒムラーですか……ラカンから見てどうなのだ?」
「伯父上、本の虫のイメージが強いですが、何を考えているのかわからない……というのが本音でしょう」
「そうか……」
五男ことラカン・フレデリックは母親の兄であるリード公爵と繋がり、リード公爵がラカンを王にした今では頭が上がらなくなっていた
王である自分を呼び捨てに出来るのが伯父の影響力の強さを現している
「本当はさっさとフレデリック王国を滅ぼして俺らが正当なフレデリック王国を継承し、ガイスト王国をフット帝国と共同で叩くというシナリオだったが、想像以上に兄貴が強かったからな」
「俺と同じフレデリック最強の将軍を争ったジーク将軍ですからな」
「まぁ初期のプランは破綻したが、周辺諸国との中間貿易で利益を取り、産業を地道に育成していくしかないな」
「ボナパルト王国の謎の魔道具の研究もしませんとな」
「音が鳴ったと同時に人が死ぬ魔道具か……事実ならば恐ろしい魔道具だな」
「大きめのワイバーンも10頭以上いるらしいですからな」
「防諜が想像以上に堅いが、まず先はフレデリック王国だな」
「そうだな」
~フレデリック王国~
この国は2年間で一番悲惨であった
現国王ジークが絶対王政というよりは軍事独裁みたいな政治を行い、2年間で3つの戦争、徴兵による労働者の減少、次男の置き土産で治安対策に少なくない人員が割かれ、物価高も進んでいた
商人達が混乱期に逃げ出したことで物流も壊滅しており、軍が農村を脅して食料を徴発するという末期の様な国となっていたが、戦争だけは強かった
ただこのままではまずいとジークも気がついているため国力の回復をしようと奔走しているが、どれも畑違いで内政官が枯渇したことで上手く行かなかった
来年には飢餓が発生するのではないかとも言われているほど国内は疲弊し……ふつふつと国民の不満は軍に向いていることに軍の上層部は気がつかないのだった
~ボナパルト王国北部地域~
戦争で多くの男手を失い、これからどうすれば良いかという閉塞感が漂っていたが、新たにやって来た代官とソ連という組織の役人が畑を借りてまとめあげ、食料の生産力を数倍に増やしていた
その穫れた作物の一部と租借料を受け取り、働ける子供達や奥さんが工場で働くことで今までの食事よりも良い食べ物を食べることができるようになり、少し余裕を持ち始めた
魔物が町や村を普通に歩く姿は恐怖を覚えたが、子供達は話が通じると遊び始めたり、共に働くことで仲間という認識を持つようになっていた
他に驚くべきは鉄道だ
巨大な魔道具が動き、工場の素材や製品、食料を運んでくる
あれができてから更にこの地域は豊かになった
他の国……特にフレデリック王国は悲惨と噂で聞くので税率も安く、比較的良い生活ができている今の国に反抗する気持ちは湧かなかった
私達はただ平和に生きたいだけなのだ