荒廃したサイバーパンク世界で百合を護ろうとする男と、それに恋する少女達の物語   作:霧夢龍人

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再び

「朝か・・・」

 

あの事件から数時間後、痛みの連鎖で気絶したように眠った俺は、『急速身体回復機器(メディカルコクーン)』から覗き込む光で目を覚ました。

体が痛い。酷い筋肉痛みたいなのが、身体を動かす度に痛みを訴えかけてくる。

 

昨夜はとんでもない夢を見た。

恥ずかしながら、ルクセリアさんが俺に「だいすき」と言ってくる夢なんだが、妙にリアリティーがあった。そう、夢にしては・・・いや、逆だな。

 

夢のようにリアリティーのない現実と言えばいいのだろうか。

ともかく、それくらい衝撃的だった。

 

「・・・なかったことになってねぇかなぁ」

 

アレが告白なのかどうかは分からないが、鮫から庇っただけで惚れられるほどカッコイイことをした覚えはない。

そう考えたら、やっぱりルクセリアさんの感情はきっと、軌跡(スキル)によって埋め込まれた偽りの恋情だろう。

 

ルクセリアさんを救えたことは感謝しているが、惚れられたいと思ってない俺からすれば、今の状況はかなりまずい。

具体的に言えば、ライラさんとかだ。

 

にしても百合の間に挟まろうとするなんて、百合を嗜む者としては一旦死ぬべきだと思う、ガチで。

 

「それもこれも、全部この軌跡(スキル)のせいだ」

 

何もかもを軌跡(スキル)のせいにして、頭を抱え込む。だがどうやら、この軌跡(スキル)の“主”にはそんな俺の悪口が聞こえていたらしい。

 

『あら、失礼ね』

 

「・・・え?今アイツの声が」

 

頭の中に直接、艶やかな“どこかで聞いたことのある”声色が響く。

抱えていた頭を上げてキョロキョロと周りを見渡すが、誰もいない。

 

「気のせいか?いやでも今確かに・・・」

 

ハッキリと聞こえた。

しかし、頭の中からという説明が付くその声は、聞こえるというよりかは直接その音声が耳を介さずに入ってくる、と言えば正しいだろうか。

 

『気のせいじゃないわよ?』

 

今度は耳元で聞こえた。しかも囁くほどの小さな声なのに、両耳からだ。

どうやら聞き間違いでも気のせいでもないらしい。

・・・やっぱりアイツの声だ。

 

耳を甘く蕩けさせる声色と、揶揄っているような口調に加えて人を小馬鹿にした態度に、従属感を植え付ける覇気。

良い意味でも悪い意味でも、忘れられない存在感を放っていた。

 

そんな奴が・・・ここに?

冗談じゃない、アレは原作で出てきていないタイプのやつだ。しかも多分、裏ボスとかの類いだろ絶対。

設定資料集や豆知識みたいなのはあまり見ないタイプだが、今ではそれが悔やまれる。

 

そして───そんなバランスブレイカーな奴が、今俺の近くにいるとすれば・・・。

 

「ッ!?」

 

『だーれだ』

 

目を隠すように手のひらが瞼の上から被せられる。

殺気、と形容していいのか分からないが、ピリピリとした嫌な気配を真後ろから感じた。

 

その気配が完全に例の人(?)であると確信し、後ろに向かって話しかけた。

 

「・・・久しぶり、だな」

 

『えぇ、お久しぶりね契約者さん。元気そうでなによりだわ』

 

・・・元気そう、か。

今の俺が元気に見えるのなら世界の人口の八割は元気に違いない。

ていうかコイツ、しれっと俺に触ってるよな?

なのになんで俺の獣欲が刺激されない?

 

『ふふっ、触れてるように見えるかもしれないけれど、本当は触れてないのよ?』

 

「しれっと心を読むなよ。それになんだ、触ってるように見えて触れてないって」

 

『言葉の通りよ?あなたから見れば、この手が瞼にあたってるように感じるかもしれない。けど、その当たってる感触も、あなたの見ているこの手も実は幻だって言ったら、信じるかしら』

 

コイツの言うことを元にすれば、実体のある幻みたいなものって認識でいいんだろうか?

てことはこの冷たい手も、覆う感触すらもただの幻・・・これがコイツの能力なら、かなり出鱈目だと言わざるを得ない。

 

『えぇそう、その認識で大丈夫よ?』

 

「凄すぎだろ異世界・・・」

 

実態のある幻なんていう異世界の非現実さに打ちのめされかけていると、瞼を覆うひんやりとした冷たい手の感触が消えた。

反射的に目を開けるが、やはりそこには誰もいない。

 

しかしその次の瞬間には。

 

『ふふっ、それじゃあ説明も終わったし───いないいない、ばぁ!・・・なんちゃって』

 

教会のシスターのような格好をした、エロゲーに出てきそうなグラマラス美女がそこに“浮いていた”。

緋色の眼に黒い瞳孔、白銀の髪に黒のメッシュが入ったロングヘアーの髪は、形のいいおしりまで伸びている。スリットのある黒いスカートからは艶かしい白い太ももが顕になっており、白いブーツがその足先を隠していた。

それに加え、スカートとブーツを繋ぐガーターベルトが、白い太ももをよりエロティックに昇華させている。

 

「・・・大変ご趣味がよろしいようで」

 

『さすが男の子ね、この拘りをわかってくれるようで嬉しいわ』

 

ぷかぷかと宙に浮いているせいで、スリットの隙間から黒いパンツが見え隠れしていた。

 

『ってなにしてるの?』

 

「百合最高誘い受け万歳いちゃラブ天国純愛は神・・・」

 

『あら、刺激が強すぎたかしら』

 

目の前の歩くR18から目を逸らし、百合賛美歌を唱える。男の俺からすればコイツの見た目はかなり毒だ。だがこの世界の女性からすれば、男の俺以上に情欲をそそられてしまうに違いない。

 

なんでコイツがでてきたのか分からないが、この状況をルクセリアさんやライラさんに見られでもしたら死ねる。

 

『その心配はしなくても大丈夫よ。だって貴方にしか見えてないもの。

でも貴方なら私に触れるし、私も貴方に触れるわ』

 

「おふまいごっど・・・」

 

俺だけにしか見えないスタイル抜群妖艶お姉さんシスターとか、属性盛りすぎなんだよ!

そんな新手のAVでも見ないような設定、信じたくないという気持ちの方が強い。まだせめてもう少し露出が少なければ、相棒みたいなポジションで納得出来たかもしれないが・・・。

 

『ふふっ、信じられないなら触ってみる?もし契約者さんが望むならその先も───』

 

「あの、しれっと俺の命狙おうとするのやめてくれない?」

 

『あら残念、引っかかると思ったのに』

 

これである。

命を狙ってくる相棒とか、現時点で生きるのに必死な俺からすれば全力フルスイングでビンタしてチェンジしてやりたいところだ。

 

童貞を卒業すれば死、なんていう40歳(魔法使い)も真っ青な呪いのおかげで終身名誉童貞(エターナルチェリー)確定なのに、その俺の我慢を壊さんとばかりのエロさ。

 

転生する前だったら色んな意味でお世話になってたはずだ。

でも残念、今は百合を守るために文字通り命を懸けてるのに童貞卒業死なんて終わり方はゴメンである。

 

『でもね?私の身体をあげてもいいくらい貴方のことは気に入ってるの・・・だからほら、どう?』

 

「・・・・・・遠慮します」

 

『めちゃくちゃ悩んだわね』

 

童貞卒業できないという意味で童貞を捨てた俺だが、百合のためならそれくらい本望である。

後悔なんてない、ないったら無いのだ。本当に、マジで髪の毛の先の一ミリもない・・・うん。

 

「ま、まぁ今はそんなことはいいんだ。今現れたってことは、ルクセリアさんを助けられたからだろ?

確か、無事に救えたら名前を教えてあげるって約束の」

 

『ええそうよ』

 

「やっぱりか!じゃあ早速教えてくれよ。あんたが居なかったら俺、ルクセリアのことを助けることは絶対出来なかった。

あんたは・・・いや、あなたは命の恩人だ」

 

ここまで散々悪く言って何だが、俺一人じゃ何も出来なかった。そんな俺に力を貸してくれたおかげで、ルクセリアさんを助けることが出来たんだ。

それは間違いなくこの女性のおかげだ。

 

そう言うと彼女は照れたように笑いながら、宙に浮いた身体を此方に預けて正面から抱き締めるような体勢で、耳元で呟いた。

 

『ふふっ、素直な子は好きよ。でもね、さっきも言った通り私は貴方のこと気に入ってるの。

だって、たかが数時間の付き合いの女の子のためだけに、私の誘惑に耐えて土下座までして懇願するんだもの・・・』

 

劣情を抱かせる甘い声色。

冷たくも肌触りのいい5つの指を頬に添え、更に口を耳に近づけてくる。

もう片方の手は、いつの間にか絡めとられ指と恋人繋ぎの形で繋がったまま離さない。

 

『だから教えてあげる、頑張ったご褒美よ。

私の名前は───“色欲(ルクスリア)”、ルクスって呼んでちょうだい』

 

とぐろを巻く蛇のように身体を抱かれながら呟かれた彼女の名前。

アニメを嗜む者なら分かる人もいるかもしれないが、ルクスリアというのは七つの大罪の一つだ。

彼女の色欲(ルクスリア)という名前に関連性があるかどうかは分からないが、メタ的な視点で見れば七つの大罪のうちの色欲しか出てこないなんてことは普通ありえない。

 

つまりあと六人、ルクスと似たようなタイプのバランスブレイカーがいるってことになる。

知りたくなかった事実だ。

 

いっそのこと忘れたいくらいである。

 

「ルクス、か」

 

だが不思議と、彼女の名前は違和感なく記憶に残った。

 

『えぇ、私はルクス。これからもよろしくね、契約者さん(マイマスター)

 

耳元から顔を離し、至近距離で顔を覗きこむルクス。

 

「あぁ、よろしく・・・って待て、これからもよろしくってどういうことだ!?」

 

その顔を見つめながら、俺もよろしくと返す段階で違和感に気付いて問いただす。なのにルクスは心底不思議です、という顔を浮かべながらこういった。

 

『もちろん言葉通りの意味よ?私とマスターって契約してる関係だから、これからもずっと一緒よ。離れようと思っても絶対に離れられないの。そしてそれは“軌跡(スキル)が刻まれている限り”、反故には出来ないわ───よく考えたら、契約って実質セックスね・・・』

 

と後半はシリアスな顔で淡々と告げられるが、ひとまず一言だけ言わせて欲しい。

 

「すみません、チェンジで」

 

神様は気が狂ったんだろうか。

こんな痴女シスターと一緒とか、どんなハニートラップよりもキツい罠と同義なんだが?

こうして抱き着かれて色んな柔らかい感触に包まれているのを、今まで見てきた百合作品たちを思い出すことで必死に考えないようにしてたのに、その我慢が常に続くって?

 

控えめに言ってとんでもない拷問だと思うんだが。

 

『もう!そんな硬いこと言わないでよ・・・アソコは今柔らかいけど、ね』

 

「お前もう帰れよ・・・」

 

キメ顔でそんな風に言われても、逆に心の傷が広がるだけである。

いやもう手遅れか?

 

『さすがマスターね。この私の下ネタを聞いても動じないなんて・・・あ、腰は動かした方がいいかしら?』

 

「一旦シスターの人たちに謝ってこい!」

 

とんでもなくエロいシスターの格好で腰を動かそうとする変態を引き剥がし、気付かぬうちに脱がされかけたズボンを履き直す。

それを見て面白そうに笑っているルクスを見て、弄ばれただけだと理解した。

 

『ふふふっ、貴方って本当に弄りがいあっていいわね。そんな貴方にこれ、あげるわ』

 

「え?あ、あぁ・・・って銃かこれ?」

 

笑いながら差し出されたモノは、二つの拳銃。両方ともモデルガンでよく見るようなデザインをしているが、よく見るとスライドやグリップに細かな違いがある。

 

・・・でも何故銃?

 

「なんでこれを俺に・・・」

 

『なんでって、戦う手段くらいないとまた死なせちゃうわよ?』

 

そう言われて思い出すのは、ルクセリアさんが俺を庇って頭から食われて死んだ、あの時。

もしあの瞬間に何か俺に自衛手段でもあったなら、ルクセリアさんは生きていたかもしれない。

 

まぁ、助けられた今からすればタラレバの話になっては来るんだがな。

 

「確かに。でもこれ弾がないように見えるな・・・どうやって使うんだ?」

 

二つの拳銃を観察していると弾がないことに気付く。

拳銃なんてFPSのゲームでしか触れてこなかったタイプだから、正直ほんとに入ってないかどうかは分からないが故の疑問だった。

 

『私がただの拳銃を渡すわけないじゃないマスター。それはね、私とマスターが結んだ契約から生まれた武器、罪状武器(ギルティウェポン)って“私達”は呼んでるわ。

実質私とマスターのこどもみたいなものよ』

 

「こども・・・」

 

そもそもなんで武器が生まれるの?とか、私達ってことは他にもいるんだな、なんていう疑問は置いといて、とりあえず罪状武器(ギルティウェポン)っていう響きはカッコイイと思ってしまった。

 

こども発言はスルーさせて頂くとしよう。

 

『見た目はただの拳銃かもしれないけどね。この子達は使い手によって成長するわ。マスターが使えば、マスターの望む姿になれるの』

 

なるほど、成長する武器か。

なら今の姿は成長する前の赤ちゃんのようなモノに近いのかもしれない。

 

『気になる銃弾だけど、これは気にしなくていいの』

 

「なんでだ?」

 

『だって罪状武器(ギルティウェポン)よ?その名前は決して、私が色欲っていう罪を背負っているからだけじゃないの、契約した貴方が使った“軌跡()”を弾として打ち出すから。

つまり、貴方が軌跡()を重ねれば重ねるほど強くなる。だから罪状武器(ギルティウェポン)なのよ』

 

ってことは、俺と相性がいいってことか。

俺は百合を守るためにこの軌跡(スキル)を使うのは避けられない。ならいっそ罪状武器(ギルティウェポン)を強くして、俺自身が戦えるようになっておくのもありだな。

 

長い付き合いになりそうだ。

 

「ありがとう、こんなにいい武器をくれて」

 

俺は宙に浮くルクスに感謝を告げ、今後お世話になりそうな銃をじっくりと観察する。

 

『ふふ、いいのよマイマスター。何度も言うけど、私はあなたのことを気に入ってるもの」

 

優しげな顔で微笑むルクスに再びありがとうと告げて、せっかくならと名前をあーでもないこーでもないと考えていた。

 

その矢先だ。

 

『でもね、今はどうやらゆったり出来る時間はないみたいよ?』

 

空中で頬杖をつきながら外に視線を送るルクス。

どういうことかイマイチわからないまま、俺も釣られて外を眺めていた時だった。

 

轟ッッッ!!!

 

「んなっ!?」

 

大きな轟音とともに、急に病室の壁が“崩れた”。

 

それによって開けた視界。

その先には、“巨大な眼球”がこちらを覗き込んでいた。

 

「・・・おいおい、冗談だろ?」

 

『生憎と、冗談じゃないみたいね』

 

ぎょろぎょろと動く怪物の目。

それはまるで何かを探すようにぐるぐると忙しなく動き続けている。

 

「ッ!連くん!!」

 

しばらく呆然としていると、医療室のドアが開いた。

ドアノブを開けて入ってきたのはルクセリアさんだ。走ってきたのかかなり息切れをしている。

 

当然だ、目の前にこんな大きな化け物が現れたらパニックになるだろう。

俺だってこの怪物のことを知らなければ、もっとパニックになっていたかもしれない。

 

いや、違うな。

 

知っているからこそ、俺は呆然としていた。

なぜならこの怪物は───一年と数ヶ月後に現れる予定の悪性生物(モンスター)だからだ。

 

それがなぜ今ここに?

 

疑問は尽きない。

 

「無事でよかった!とりあえずほら、早く一緒に逃げよう!」

 

自問自答している俺に、ルクセリアさんが手を伸ばす。

それを見て、俺は自問自答を辞めた。

 

自問自答をして何になる?

分かっているのは、もっと先に出てくるはずの化け物がいきなり現れたら挙句、街を襲っていること。

そして、恐らくこの原作ブレイクは俺が原因である、ということだ。

 

本当なら、俺はこうしてここにいない。

なんならルクスとも契約していないし、ルクセリアさんとも出会っていないだろう。

 

なのに俺がいたからルクセリアさんは死んだし、その結果としてルクスと契約した。

つまり、俺がいたからこそ起こった事象だ。ならきっと、これも俺が原因の可能性が高い。

 

なのに俺は、逃げていいのか?

自分のせいで起きたかもしれない事から逃れていいのか?

 

答えは断じて否。

自分の不始末は自分でつけるべきだろう。もし、今この怪物が踏み荒らしている街の中に、尊い百合を築いていた女性達が犠牲になっていたとしたら・・・俺は耐えられない。

 

「なぁ、ルクス」

 

『ふふ、なぁにマスター?』

 

「ちょっと付き合ってくれよ」

 

『もちろん・・・私、マスターのそういうところ、好きよ』

 

俺は『急速身体回復機器(メディカルコクーン)』から身を乗り出し、二つの拳銃をベルトで挟む。

ルクスは俺について来てくれるようだ。なら心強い。

 

───さて、行くか。

 

「ルクセリアさん」

 

「ま、待つんだ連くん!」

 

「ごめんなさい」

 

「待って!今ボクが助けるから!だから!」

 

綺麗な空色の瞳から涙を流しながら、俺の推しは俺を助けようとする。

あぁ、泣かせるつもりはなかったんだけどな・・・。

 

「いか、ないで・・・」

 

「・・・ルクセリアさん」

 

悪いことをしている自覚はある。

でもそれでも、これはきっと俺がやらないといけないことだ。それにルクセリアさんを巻き込むわけにはいかない。

 

なのに何故か、歩む足が止まった。

 

『・・・はぁ、いいマスター?泣いている女の子がいるのなら、ちゃんと

笑顔にしないとダメよ?』

 

そんな俺をダメだしするように、ルクスがやれやれと告げる。

・・・そうだな。

 

俺はヒーローじゃない。だからどうやっても、ヒーローみたいにかっこよく解決、なんてことは出来ないだろう。

なら、女の子を笑顔にさせるためには・・・?

 

「待っててください───必ず、帰ってきます」

 

不格好でも、かっこつけることだ。

 

俺はそう言って、ルクセリアさんに約束をして、外に飛び出した。

 

───

──

 

「・・・ばか、ばかだよキミは」

 

残された病室で、一人の女性が泣いていた。

 

「でもそれ以上にバカなのは、ボクだね。ライラとキミだけでも助かればいいって・・・アイソレートに住む民、全員大事なはずなのに天秤にかけて。あぁ、周辺地域管理事務局長(ラ・ルガメンテ)失格だ」

 

誰もいない。かつてそこにいた人物は、たった今怪物が現れた街へ飛びだした。

ゆえに、女性は一人だった。

 

「でも、待ってるだけなのはいやだ」

 

女性は蹲ったまま動こうとしない。

しかし、人々の悲鳴が聞こえてくる度に。

 

「助けを求める人がいるんだ」

 

女性は立ち上がろうとしていた。

 

「ボクを必要としてくれている人がいるんだ」

 

女性は、自分に与えられた責務を果たすために。

 

「待ってるだけなんてゴメンだよ。だから───」

 

女性は立ち上がった。

どこから取り出したのか、金色の装飾が施された剣を手にすると、崩れた病室から事の元凶である怪物を睨む。

 

そして・・・。

 

「───こっちから迎えに行ってやるさ」

 

悲鳴蔓延る街へ飛び出した。




やばい進みが遅い。
テンポよく行きたいのに、テンポ良すぎたら何でそうなるの?ってなるし、遅すぎたら飽きるしで・・・ちょうどいいがないでござる。

AI君に書いてもらったルクス


【挿絵表示】


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