バスに揺られながら、夜の暗い窓に映る自分の顔を見る。もうげっそりです。
ヨシ!ルビーのことは忘れた!カミキが悪い!って思わないとしんどい・・・。いや実際カミキが悪いと思うんですけど(真顔)。でも、でも・・・。
もう延々とこんなことを考えながら、私が降りる停留所で止まったバス。
ここで降りるのは私1人。バスには他の人がもともとそんなにいなかったから、っていうのもあると思うけど。
真っ暗になった空を見上げる。私の心に反して、いやみようによっては同じかもしれない。
その空は、雲一つない闇の空だった。
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家に帰ると、父と母が待っていた。
「ただいまー」
「「おかえりー」」
「いっぱい買ったよー、服も買ったし」
「えっ。サヤが本当に服を?」
「早く着て見せてくれ。それで判断する」
何を判断するんだろ?アイドルの許可?でもあれはもう許可されたし・・・。
正直また着替えるのは大変なんだけど、お金を出してもらった手前、嫌とは言いにくい。キッチンの影に隠れて着替えることにする。
「はい、こんな感じの服を買いましたー」
「「・・・」」
「あ、あれ?反応がないんですけど?」
服を着替えて父と母の前に出ると、2人とも真顔。なんで?
「ば、馬鹿な・・・」
「サヤが本当に服を買ってくるなんて・・・」
「これは・・・!」
「間違いないわ!」
「「偽物だ!(だわ!)」」
「本物ですけど!?え?どういうこと!?普通に服買ってきたら偽物なの!?」
「あのサヤが、オシャレな服の値段を見て買うはずがない!」
「ええそうよ!ファッションってお金かかるーとか言って買わないと思ってたのに!」
「なんなのこの親!めっちゃ私のことわかってるじゃん!怖いよ!」
「「親だからな(ですからね)!」」
「値段見て尻込みしたけど買いました!だって、私はアイドルを目指すんだよ!?こんなところで止まってられないよ!」
「ああ、あなた・・・。あのサヤが、女の子の道を!」
「そうだな・・・。俺たちは、道を進み出したサヤの後押しをしてやるしかない。アイドルになれたら、暇を見て一度、仕事を俺たちで用意してやるか・・・」
「そうね、一回は私たちのコネでなんとか作り出しましょう」
「え・・・あ、うん・・・。仕事が来るのはありがたいような、でもそれどんなコネなの、って思うような・・・?」
なんかコネで仕事がきそうで複雑な気分。使えるものはなんでも使う予定だったし、いいのかな?それより、私がせっかく買い物にいったのに、買ってこないと思ったって・・・。今までの私だって、ほんのたまにごく稀に、そういったもの(服とか)を買いに買い物行くことあったのに。数年に一回くらい。
でも、親のおかげでちょっと元気が出たかもしれない。ありがと。
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晩御飯やお風呂に入る前に、親に見せた格好のまま自分の部屋に入る。
「ただ今戻りましたー」
「お帰り〜。おー、様になってるじゃん!次のお出かけのカッコは決まりだね!見せた時の親御さんの反応はどうだった?」
お出かけにこの格好したら変な人に目をつけられそうで怖いですね。カミキとかカミキとか。アクアとルビーは変な人ではないんですけど、会いたくはないです。会わない確率の方が高いんですけど、誰が見てるかわからないし。今日、唐突にルビーが出てくる急展開があったので余計にそう思います。アイドルデビューしたら結果は同じ?それはそうですけど・・・。
私はさっきの親との会話をかいつまんで話をする。この話を聞いていたアイさんは苦笑いです。あれ、この流れ前も見たような?
「私の親酷くないですかアイさん。服買ってきたら偽物扱いって」
「今までに3、4着しか服持ってないサヤが、ほんとに自分から服を買いに行くとは思わなかったんだね〜。服選んだのは私だけど!」
「よく考えたら、今日は単にアイさんに言われたものを買っただけですね・・・」
「将来は、サヤが組み合わせを考えないとダメだよ?ずっと私に頼りっきりはダメ!ファッションもコスメも!じゃないと女の子になれないよ?」
「わっ、わぁ・・・」
結局私は、まだ女の子にはなれていなかったんですか・・・。そうですよね、特に何か変わった訳でもないですし・・・。もしかして女の子になるためには、ドレッサーとコスメと服選びの時にアイさんがずっと呪文を言っていましたけど、あれを記憶する必要があるんですか・・・?覚えるまでに20年くらいの納期でよろしいでしょうか・・・?また、品質の方は保証出来かねますご了承ください・・・。
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あの後、部屋を出て晩御飯とお風呂、歯磨き等を済ませ、もう一度部屋に入る。アイさんはやっぱり空を見ていた。空が好きなのかな?そんな描写あったっけ?
「アイさん、親にテレビ買ってくれるように言いましょうか?もしくは、パソコンで何か流しておきます?」
「あ、気にしないでいいよー」
「でも・・・」
「サヤは優しいね、別にいいって」
・・・違う、優しさじゃない。
「・・・」
「サヤ?」
「・・・そうですか?じゃあ気にしないでおきますけど・・・」
「・・・?うん、そうして〜」
「なんでよく空を見てるんですか?」
「それは私が・・・。うぅん、内緒!」
「アイさん、内緒が多すぎません?」
「私はアイドルだったからね!秘密も多いんだよ☆」
私はベッドに入りながら、今は違うじゃないですかと思いつつ、ふと今日のことを振り返る。デパートで色々あったけど、やっぱり思い出すのはルビーのこと。
今思い出しても心が痛い。亡くなってしまった母を求めるルビーの瞳。無くしてしまった大事な何かを探す目。アイさんに、聞いてしまおうか。アクアとルビーと、話をしたくはないのですか、と。でも・・・。
(これでもし、話をしたい、と言われたら私はどうするの?3人に囲まれて、罪悪感の中で会話できる?絶対無理!心が泣いちゃう!罪悪感とは別に、アクアは本当に怖い、復讐心で生きてるようなものだし・・・。情報を知ってそうだと思われたら、何でもしてきそう。でも、復讐しなくて済む、と思ったら気が抜けるくらいの状態ではあるけど・・・)
つまり、私としては藪蛇なのだ。アイさんに話をしたいかと聞くのは自爆と変わらない。私は口が軽いので、いらないことをペラペラと話しそうなのが余計に怖い。話した結果?3枚下ろしですかね・・・。
(アイさんが話したいと言い出すまで、放置が安定ですかね・・・。ああ、また私は保身を優先するんだ・・・。ごめんなさい・・・)
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目覚まし時計が鳴っている。ということは、学校がある日ってことですね・・・。
「まだ眠いぃ・・・」
「サヤ、朝だよ。起きてー」
「うーん、アイさん?まだ寝かしてください・・・」
「アイドルは時間厳守!ほら、早く起きて!」
「ぷぇ・・・」
「・・・呪うよ?」
「起きます!イエスマム!おはようございます!アイさん!」
「うんうん!おはよー」
くっそ眠いですわ(?)。なぜか心のお嬢様が出てきてしまいました。お気になさらず。
眠らなくてもいい最強幽霊様がいたら、これもう寝坊することないですね。耳元で囁かれるだけで目が覚めるもん。心停止するかと思いましたよ・・・。
「今日から学校がありますねー」
「サヤ、しっかり勉強するんだよ?」
「アイドルって頭使うんですか?」
「頭も使うよ?記憶力とかメインだけど。でもサヤにはその前に、学校で常識を学んできて欲しいな!」
「常識ですか?溢れて困ってますよ?」
「この世界の常識を学んで欲しいな?常識は溢れないよ?」
アイさんは朝から私をボコボコにしないと気が済まない何かがあったりします?私、毎朝言葉のボディーブローもらってる気がするんですけど?
「あ、それと」
「アイさん?なんですか?」
「やっぱり昨日言ってたパソコンで何か流すやつ、やってもらっていい?」
「!」
えへへ・・・。なんだ、やっぱり見たいんじゃないですか!もー早く言ってくださいよ!アイさんのイジワル!どれがいいですかね?私のオススメはですね?
日本にいるならこれ!日経平均、TOPIX!
やっぱアメリカ様でしょ!ダウ、ナスダック!
海外業者ならレバレッジ1000倍も!為替、FX!
今の流行りの最先端!暗号通貨!
これが私の推しの子です!どの子をご所望ですか!?
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普通に最近のフェスとかの動画にしてって言われました。おかしいな、私イチオシのメンツだったんですけど・・・。あの4択を画面にだした瞬間のアイさんは笑顔だったけど、その後こっちを向いた時の目はマジだったのですごい怖かった・・・。これは、何?って聞かれた時は死を覚悟しましたね・・・。
※投資等は自己責任を伴います、悔いのないようにお願いします。
拙作に評価をつけて下さった皆様、誠にありがとうございます。
評価をまだつけて下さっていない皆様も、拙作をご覧になっていただけるだけでありがたいです。
今後とも、よろしくお願い致します。