転生者と幽霊と   作:霧マッシュ

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責任

 

アイさんに言った誓いの言葉。

 

あの言葉は、私の願いだとしっかりアイさんはわかったみたいで、すごい嬉しそうです。

 

「頑張って歌った甲斐があったよ!私の、サヤにアイドルになって欲しい!っていうが気持ちが伝わった?」

 

「伝わってはいないんですけど、アイさんが楽しそうなので・・・。お給料がよくて楽しいなら、それに越したことはないと思いまして」

 

「伝わってないんだ・・・」

 

「すいません、私テレパシーはちょっと不得意でして・・・」

 

「でも、サヤは私に並んでみせるんだよね?今はっきりそう言ったよね?」

 

アイさん、ものすごい笑顔ですね。なんだろう、すごい早まった気がする。いやだって、アイさんすごかったし、楽しそうでしたし?お金と罪悪感と恐怖にしか揺れ動かないと思っていた、私の心が動いた気がしましたし?心からなりたいって思えましたもん。しんどい仕事でお給料いっぱいもらえるより、多少金額が少なくても私が楽しいと思える仕事の方が絶対いいはず。前世はしんどくてお給料微妙でしたので、しんどさも無くなってお給料がいいなら、どちらも改善してる!

 

別におかしいところはない。ない、よね?私、何か見落としてる?やだ、怖い・・・。アイさんの笑顔がめっちゃ怖い・・・。やばい、アイさんライブが強力過ぎて頭おかしくなってるのかな?アイさんから明るいオーラを感じるのに、なんで私は震えてるの・・・?私、何か言っちゃいました?まだ死にたくないよ・・・。

 

「・・・。はい、言いました。いやだって、アイさんくらいにならないと、アイさんのお給料と同じにならないですよね?なら、別におかしくはなくないですか?」

 

アイさんは実に楽しげな雰囲気を出しながら、ニヤリと笑う。あ、これ何か間違えたみたいですね。アイさんがニヤリと笑って、私が嵌められなかった試しがないので。このライブは、始めから仕組まれていた・・・!?

 

「サヤさ、私がここまで来るまでに、どれくらい努力したと思う?」

 

そういえば、さっきのアイさんライブの時に、すごい努力してそうだっていうのは、私ですら感じた。アイドルどころか、女の子以前の生き物だと評価された私ですら。あ、つまり・・・?

 

「・・・。あーなるほど、完全に理解しました。そうですね・・・。あまり聞きたくないんですけど、アイさんはだいたい、一日にどれくらいアイドルのレッスンをしていたんですか?」

 

ニヤニヤアイさんが寄ってくる。これはダメなやつですね。2回目の転生とかってあるのかな?今世は短かったな、やっぱり人を見捨てたりしたらダメなんだ・・・。

 

「アイドルのレッスンだけじゃないけど、だいたい☆☆時間、だよっ!」

 

「はい。私、終わりました・・・。えっと、それどういうことですか?1日って24時間ですよ?」

 

「そうだね?」

 

「いやおかしいですよね?なんですかその時間?というか、そんなに体力続きます?」

 

「しっぱなしじゃないよ?途中で休んだりするよ?」

 

「そういう問題ではない気がしますね?私、絶対そんなにレッスン出来ませんよ?」

 

私の言葉を聞いたアイさんは、少し考えた様子をしてから口を開く。

 

「別に私と同じだけレッスンしろ、ってわけじゃないよ?ところで、サヤは自分に私より才能があると思う?それとも無いと思う?」

 

「死刑宣告はやめてもらえませんか!?私にアイさん以上の才能があるわけないでしょう!?」

 

アイさんと比べて才能があるって言える人は、それもう世界的スーパースターですよ。しかも歌と踊りの両方ときました。なんですかこの天才。あはは、罪の重さを感じますね・・・。命の重さもこんな感じなのかな・・・?あれ、罪の重さに価値を感じるようになれば、命の重さに・・・?

 

「んー、でもサヤ言ったよね?私と肩、並べるんだよね?私、すっごい楽しみだなー!」

 

「・・・てっか」

 

「まさか撤回します、なんて言わないよね?私、サヤのこと信じてるよ!」

 

「・・・てっかまき・・・」

 

「突然どうしたの?」

 

ひひひ・・・。私ってよくテンションに任せて失敗してるような気がするんですよねぇ・・・。前世で酔った勢いで適当に買った株に始まり、今世でのアクアへの電話、アイさんフォームでのルビーとの遭遇、そして今のアイさんへの宣誓。パッと思い出せるだけでこれだけ、まだ他にもある気もしますけど・・・。

 

・・・でも、アイさんみたいなアイドルになりたいと思ったのは本当、これはお金には関係ない、今世の私の願い。お金への執着を捨てたわけではないですよ?当然、日本中の人をファンにして稼げるだけ稼ぐ予定です。ソシャゲだと、家とか車とか売って課金する人もいるらしいので、それくらい私に貢いでくれたら嬉しい。

 

結果として、アイさんレベルになれば両方達成できるわけなので、肩を並べたいのは間違いない。問題なのは、アイさんレベルになる過程をまったく見ていなかったこと。

 

(アイさんが嬉しそうだったのは、そういうことですか・・・)

 

たぶん、お給料だけしか見ていなかった私では、もっと簡単で高いお給料の仕事があったらそっちに行くと思ったのだろう。それは・・・どうかな、金額次第、ギスギスしてないか次第・・・?アイさん的には、アイドルになって欲しいのだから、なんとしても他に行く可能性を減らす必要があったということ。私の歌唱の才能を見るというのは本当だと思うけど、真の理由はアイさんライブで自身の本気を見せて、私をアイドルに目覚めさせること。

 

そして私は無事に、アイさんライブの炎に心と頭と目を焼かれ、アイさんレベルになるための難易度を完全に忘れて、心からアイドルになりたいと思わされてしまったわけですね。前に期間が思ったより長い(8〜12年程度)と気づいたけど、実際には拘束時間も長かった、ということです。いや長すぎでしょレッスンの時間。どんだけですか・・・。

 

(アイさんは最後、タレント、モデル、アイドル、母親、などなど・・・。色々やってたはずですね。レッスンの時間だけではない、と言っていたので、仕事の時間は入ってるんですかね?・・・聞きたくない、これで入ってないって言われたら立ち直れないです・・・)

 

しかもアイさんの才能ありでの話。やばいじゃん。それを私の才能(笑)に当てはめたら、アイさんのレッスン時間以上をしないと追いつけないのは確定的に明らか。アイさんがアイドル始めたのっていつとかありましたっけ?今の私の年齢より前からしてるなら、レッスン時間はさらにドン。私は死ぬ。

 

(・・・でも、もう言っちゃいましたし。アイさんも、すごい嬉しそうでしたし。あんなに嬉しそうにしてくれるなら、言った意味もあったのかな。問題はその言葉の責任の取り方だけど)

 

「・・・、わかりました・・・!私も乙女、二言はありません・・・!やる、やってやります!まじめにアイドルになりたいと思ったのは本心なんです!私は逃げも隠れもしません!ただアイさんに向かって進み続ければいいんですから・・・!」

 

「サヤはまだ乙女とも言えないけど。でも嬉しいなー!サヤがアイドルに目覚めてくれて!これで今まで以上に頑張ってくれるよね!まずは女の子になって、それからアイドル!次にトップアイドルで、最後に私と同じとこ!あと私を目標にするのはいいけど、同じになろうとするのは駄目だよ?」

 

「アイさんは目標ですが、アイさんになりたいわけではないです。それはよく分かっています。アイさんに教わるので、演技がアイさんに近い感じになるのは仕方ないかなとは思ってますけど」

 

私としては、さらっと出てきた今まで以上に頑張ってくれるって一文に、アイさんのやばさを感じた。この人、私を毎日ボロ雑巾にしてでも成長させる気がする。アクアとルビーに見せてた優しさはどこに・・・?人の心と一緒に捨てました?

 

この期に及んではもうどうにもできない。こうなれば、アイさんすら上回るアイドルになって、日本中の人から日本の税収以上のお金を巻き上げるしかない・・・!待ってて、私のお金!今逝くから!

 

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