面接が終わり、合格とするから契約書の類は郵送するので送り返して欲しいこと、レッスンに使いたい場合は苺プロにある部屋を使用していいこと、その他必要事項の説明を軽くされました。私が苺プロの部屋を使うことはたぶんそんなにない・・・?
「それと、今週の土曜日か日曜日、演技の方も一応確認したいからもう一回来てもらえないかしら?」
「はい、わかりました。演技したり踊ったり、でいいんですよね?」
「そうね。今の貴方の実力の確認だと思ってもらえればいいわよ」
「・・・日曜日でお願いしてもいいですか?」
「わかったわ、日曜日ね」
今後の予定が決まったところで、ミヤコさんが改めて私を上から下まで眺め、何かを言いかけてやめる。そのまま扉を見て、
「とりあえず、今日することはこれくらいね。体は本当に大丈夫かしら?一人で帰れそう?」
「はい、大丈夫です。全然帰れます」
「ならよかったわ。・・・少し待っててもらえる?」
そういうとミヤコさんは部屋を出て行ていきました。何をしにいったんですかね?
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少しするとアクアとルビーが入ってきました。ルビーは泣きそうな顔、アクアはなんとも言えない顔をしていますね。うぅ、心が痛い・・・。なんとか二人に、今日勘違いさせて悲しませた分のお詫びをしないと・・・。
「・・・ホントにママじゃないの?」
「・・・違いますよ、別人です」
「やっと会えたと思ったのに・・・」
そう言っているルビーの目には、涙が溢れ始めてしまいました・・・。すごい罪悪感を感じますね・・・。ついでに、ルビーを泣かせました、とかアイさんにバレようものなら・・・死ぬ!絶対助からない!
(こ、こういう時はどうしたら・・・。ごめんなさい、ルビーが泣いているのは私のせいです・・・。えっと、ルビーの好きなもの・・・。ゴロー先生、はダメだし・・・。あ!アイさんですね!アイさんオーラで慰めれば泣き止んでもらえるはず!)
急いで立ち上がり、アイさんオーラを纏いながらルビーを慰めてみる。
「ルビーさん、泣き止んでくださ〜い・・・」
・・・ダメですね、全然涙止まってません。・・・どうしよう、頭でも撫でてみます・・・?
「よしよし、ルビーさん・・・。大丈夫ですよ〜・・・」
自分で言っててなんですが、何が大丈夫なんですかね?とりあえず泣き止んでください、心と命がしんどいです・・・。
「・・・」
無言でくっつかれました、アイさんではないんですけど・・・?とりあえず目は赤い(元々紅い)けど、涙は止まってますね。よかったよかった・・・。
「・・・別人だと知っててなんだが、今後もルビーとは仲良くしてやってくれ」
「あ、はい。アクアさんは・・・私は別人だと、しっかり認識してるんですね?」
「雰囲気や姿はほとんど同じ、1番の違いは話し方か・・・?」
黙っていればほぼアイさんだってことですね!?ふふん、完成度はだいぶ上がりましたね!実際に演技しなければね!別にアイさんになりたいわけではないんですけども。姿がほぼ一緒なので、勝手に同じになりつつあるのが困りますね・・・。
私がルビーに気絶させられて起きた後、アイさんではないと否定した時にですね?ルビーは全体的に動揺していましたが、アクアはぱっと見動揺していませんでした。目を除けば、ですけど。
(なんだかんだ言って、アクアにとってもアイさんは母であり推し。もしかしたら、という希望もあったに違いないですね・・・。ごめんなさい・・・。アクアは自分のそういったことを隠すのは非常に上手だと思います。ですが、常時アイさんの顔色を窺っているこの私を騙すのは、アイさんレベルではないと不可能ですよ!でも、どうしよう・・・。アクアの好きなもの・・・。さりな、はダメだし・・・。あ!この人もアイさん大好きですね!)
「アクアさん、こっちにきてくれませんか?」
「・・・?」
不思議そうな顔のアクアが近づいてきましたね。外見はアイさんと似てるので、なんとなく言われた通りにしてみるか、みたいな感じなんですかね?
ほぼ真横まで、まんまとやってきたアクアに本気でアイさんオーラをぶつけます!私から目を逸らせなくして、動きを封じますよ!アクアにアイさんオーラは特攻です、逃がしません!今、アイさん推しのアクア(ゴロー先生)の頭の中はライブ会場かもしれません(?)。
私の真横から動けないようにしたアクア!ルビーと平等に撫でさせてもらいますよ!たぶんアクアはそのまま撫でようとしたら逃げますよね!?
「よしよし・・・。ごめんなさい、アクアさんのお母さんでなくて・・・」
この後、アクアの体調が少し悪くなっていたように見えましたけど、なんでですかね・・・?偽物からの施しは受けない、みたいな感じですか・・・?
でも平等に二人ともアイさんオーラで慰めました!ゲームセット!私の勝ちですね!これで今日、2人を悲しませた分はチャラですよ!私のアイさんオーラはお高い、ということでこれで許してください!
ヨシ!これでアイさんに二人を悲しませました、とか言わないで済みますね!元々の負債分は・・・すいません・・・。
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あの後、やっぱりママじゃん!とルビーがなっていましたが、当然違うわけで。
ルビーは私に突撃したことを謝ってくれました。すいません、私が勘違いさせたせいで・・・。
連絡先等を交換して、私は家に帰還させてもらいました。このまま苺プロでレッスンしていこ、と誘われましたけどお断りしました。日曜日にもう一回来ることを伝えないと、ありもしないアイさんの記憶を取り戻すまで引き止められそうで少し怖かったです・・・。
断わる理由が思いつかず連絡先交換したけど、アクアと電話したらやばいかもしれませんね・・・。電話音声と肉声は違うものなので、今はバレてないといいですけど・・・。
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家に無事に帰ってこれました。ヘアピンは苺プロから出る前に外してあるので、今の私は片目隠れです。一部では片目隠れも需要があるとかないとか?
部屋に入ってアイさんを確認!ただいまと報告、それと・・・。
「アイさん、ただいま帰りましたー!」
「お帰り〜。結果は・・・聞かなくても大丈夫っぽい?」
「はい、問題なく合格を貰えました」
「私の教え子だから当然!落ちてたらどうしようかなって思ってたよ?」
「・・・落ちてたらどうなってたんですか・・・?」
「聞きたい?」
「やっぱりいいです、怖すぎて体が震えてます・・・。そうだ、アクアさんやルビーさんとも話してきましたよ!」
「アクアとルビーは元気そうだった?2人とどんな話したの?」
「げ・・・元気そうでしたよ?話した内容は、私がアイさんに間違われる話ですね・・・」
「なんでちょっと詰まったのかな?サヤが間違われるのは、私とそっくりだからだね〜。しかも雰囲気も近いし真似もできるし・・・」
そんなような話をアイさんとしながら、私はアイさんの目や顔を確認していた。具体的に言うなら、アクアとルビーと話をした、と言った時にアイさんがどんな反応をするのか、という確認。
(流石アイさん、全く動じてないです・・・。これでも動きや雰囲気はしっかり確認してるつもりなんですけど・・・。ルビーやアクアみたいにわかりやすく動揺はしてくれないですね)
これは前までの私では聞けなかったこと。今の私なら聞く覚悟があるわけじゃないけど、アクアとルビーの寂しそうな顔を見たから。アイさんは全然顔に出さないけど、アクアやルビーとは話したいと思っているはず。繋げるのは私だけ、聞くのは今しかない!アイさんにはお世話になってますし、アイさん一家のためなら、怖いけど心がしんどいくらい・・・!
「あの、アイさ・・・」
「じゃあ、明日からはもっとレッスンしないとね!所属決まったんだし、デビューはすぐそこ!頑張っていこうね!」
「ん?・・・えっ?いやいやいやいや、え?」
「どうしたの?」
「今より長くするんですか・・・?」
「長くはしないよ?もっと厳し〜くするんだよ!サヤ、最近のレッスンには割と慣れたよね?」
「確かに少しは慣れたと言われればそうですけど・・・。何が変わるんですか?」
なんということでしょう。今度から振り付けの腕の高さとかそういったものに、少しずつミリ単位の精度を要求していくようにするらしいです。いや意味わかんないんですけど・・・?それ人間に要求する精度じゃないですよ、機械に要求するレベルの精度では?
しかもそれをカメラの位置やら何やら色々意識しながらやるとか、どういうこと・・・?私の頭でそれは可能なことですか・・・?あ、体が覚えるまでやる。そうですか・・・アイドルってすごいなぁ・・・。みんなこんなことやってるんですか・・・?
表現を一部変更しました。