転生者と幽霊と   作:霧マッシュ

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JIF

 

「サイリウムの色ですか?」

 

「そう!サヤちゃんは何色がいい?一応私は赤!アイと同じ色!」

 

「かなさんとMEMちょさんは?」

 

「何でもいいなら白」

 

「じゃあ私は黄色かなぁ」

 

今はB小町メンバーでイメージカラー?の取り決め真っ最中です。ところで、サイリウムの色って皆さん好きな色を選んでるだけなんですか・・・?なんかこう、自分の色に沿った色を選ぶのかと・・・。

 

「白かぁ、ドルオタじゃない先輩らしいね!で、サヤちゃんは?」

 

す、好きな色・・・つまり?

 

「き、金色?」

 

「ほぼ被ってるじゃない、あんた色盲だったの?」

 

「さ、さすがに黄色と被ってるかなぁ?」

 

「黄色と金色は似てるよ?」

 

三面楚歌ですね。助けはまだですか?仕方ないので、髪の毛と目の色に近いのにしますか・・・。

 

「では、紫でお願いします・・・」

 

 

ーーーーーーーー

 

ジャパンアイドルフェス前夜。

 

練習は早めに切り上げ、今日は明日に備えて休むという事になりましたので、私は家に帰らせてもらう事にしました。

 

家の自分の部屋に戻ると、いつも通りアイさんがいます。楽しげな様子で話しかけてきました。

 

「お帰り。ついに明日だね!」

 

「そうですねー」

 

「謎の生き物だったサヤをアイドルにできるなんて、私トレーナーの才能もあるのかな?困っちゃうね!」

 

謎の生き物呼ばわりは酷くないですか?形は人間でしたよね?女の子にしてくれたのはアイさんですけど・・・。

 

「アイさんは・・・」

 

「んー?」

 

「明日のJIF、私のファーストライブ。・・・見てくれないんですか?」

 

これを聞くのは中々勇気が必要でした。現場ではなくネット配信とはいえ、私の近くにはルビーがいますから。アイさんの心に傷をつけるかもしれない内容ですけど、アイさんには私のデビューを見て欲しいので・・・。

 

「・・・本当は見ないつもりだったけどね。見るよ、ルビーのデビューだし。子供のファーストライブ、やっぱりママとしては見逃せないよね!」

 

「あの、私は・・・?」

 

「少しは見てあげる!でも、ミスしたら・・・どうなっちゃうのかな〜?」

 

「・・・やっぱり見ないでくれませんか・・・?」

 

「冗談だよ!サヤの事もちゃんと見るって!私を信じて!」

 

私ってこんな単純だったんですかね?アイさんに信じてって言われるだけで安心するんですから。

 

「明日は私がアイさんの目線を奪いますよ!」

 

「強気だね。あれ、でもセンターじゃないよね?」

 

「どこでも良くないですか?歌うかそうでないかの差じゃないです?」

 

「良くないよ、はぁ〜・・・。その変な判断基準はどこから来るのかなー」

 

ルビーの歌がもう少し上手だったらセンターに押し込んだのに・・・。私がトップアイドルになるのも大事ですが、ルビーもなりたいはずです。大丈夫です、アイさんの子供なんですから、絶対なれますよ!

 

 

ーーーーーーーー

 

JIF当日。

 

緊張で冷たくなったかなさんの手を、ルビーと二人で温めました。恥ずかしがってすぐに手を離されてしまったんですけどね。

 

私は緊張なんてしてない・・・と言いたい所なんですが、少しはしてます。だってデビューでミスなんてしようものなら、アイさんに絶対叱られますよ・・・。冗談とは言っていましたけど、実際は冗談ではない予感がしてます。めちゃこわ・・・。

 

でも、逆に言えばアイさんが私の晴れ舞台を見てくれている、という事です。これだけでやる気が出ますね!

 

・・・ルビーに、はっきり伝える事は出来ません。出来ませんが・・・。

 

「頑張りましょう!」

 

「そうだね!楽しく頑張ろうね!」

 

「はい!・・・ルビーさん」

 

「どしたのサヤちゃん?」

 

「アイさんも、きっと見てくれてますよ」

 

「・・・そだね!アイも見てるよね!私のファーストライブ!」

 

ルビーの顔が一層明るくなったところで!

 

さぁ、JIFの始まりです!会場のお客様(観客)!私の愛(嘘)の対価にお金(本物)ください!

 

 

ーーーーーーー

 

ついに私たちB小町の出番です!4人でアイコンタクトして、演技スタートですよ!

 

踊ってて気づいたんですが、思ったよりセンターっていいポジションですね。株も為替もアイドルも、ポジションなんてタイミング、私たち個人は機関のご機嫌次第で吹っ飛ぶので関係ないと思っていたんですが・・・。これは真面目に失敗しました、センターっていうのは好材料なんですね。空売り機関を焼けるかもしれないですよ!次からは、かなさんからセンター奪わないといけませんね!

 

でも、センターでなくてもアイドルって楽しいです!アイさん!私は今、アイドルデビューを果たしました!会場にいる人全員ではないけど、私を見てくれています!見てくれていない人も、私に惹きつけて見せますよ!

 

そして私を見てくれているお客様に愛(嘘)を送りつけます!お代はお金でお願いします!返品は承っておりません!

 

途中でかなさんが無駄に色々考えてそうな雰囲気をしていたので、ルビーと一緒に笑いかけます。それでも中々しんどそうな雰囲気のかなさんでしたが、観客の中にいる明らかに目立つ不審者・・・ではなく、アクアを発見してから一変、いい笑顔になりました!やっぱりかなさんにはアクアをぶつけておけば万事解決ですよ!

 

そして、本心で言えば見たくなかった顔もありました。私が知っていてもそこまで反応するはずがないので、顔には出しませんけど。アクアのいる場所とは全然違う場所に、アクアの顔によく似た人物がいます。B小町、という名称がこの人の目に入った時点で、マークされるのは当然だと考えていましたけどね。私は知っていますが、現物を見るのは初めてです。

 

カミキヒカル。アイさんを殺したように、私も殺すのですか?

 

 

ーーーーーーーーー

 

JIFが終わって4人で苺プロの社用車に帰還しました。中にはアクアとミヤコさん。

 

「あ、お兄ちゃん来てたんだ」

 

「まぁな」

 

嘘ですよね?あんな目立つアクアが目に入らなかったって事ですか・・・!?重要指標を見逃してるレベルですよ!?

 

「・・・どうだった?私たちのステージ」

 

「まあ、初めてにしてはよくやったんじゃないか?」

 

この流れから始まるアクアとかなさんの掛け合いを聞いていたMEMちょさんが、明らかに何かに気づいた顔になりました。たぶん今、頭の中でかなさんを応援するかあかねを応援するか、困っているところですね。

 

「・・・サヤさん」

 

「あ、はいミヤコさん。なんですか?」

 

「貴方の顔がアイにそっくりな事の弊害が出てきたわ」

 

「演技がしょぼいって事です・・・?」

 

「そうではないわ。アイの生まれ変わり、ゾンビ、クローン、隠し子・・・様々な憶測がネットで飛び交ってる」

 

隠し子のところでアクアがわずかに動いたのが視界の端に映りました。ルビー?ガッツリ寝てますけど?

 

「私は今の両親から生まれてますよ。DNA検査の結果でも提供すればいいんですか?」

 

「それは・・・事がどれだけ大きくなるか、にもよるかしら?確率は低そうだけど、このまま沈静化する可能性がないわけでもないから」

 

沈静化・・・どうでしょう?事がこのまま大きくなって、テレビで特番組まれた方がB小町の名前売れそうじゃないですか?最終的に両親と私のDNA検査の結果を提示すれば、一部の頭おかしい人以外は納得しそうですよね。

 

 

 





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