転生者と幽霊と   作:霧マッシュ

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普通

 

「普通ってなんだと思う?」

「わかりません!」

 

私の考えだと、普通ってことは…つまり普通という事です!

 

「普通って難しいよね。人によって違うと思うし」

「アイさんは自分の事を普通だと思いますか?」

「普通じゃないと思うよ。アイドルは普通の人間に向いてる仕事じゃないって社長言ってたし」

「じゃあ私がおかしくてもセーフですね!アイドル全員おかしいわけですし!」

「でもこのままだと精神病院行きなんでしょ?」

「…なぜ私だけこんな事に…?」

「んー…サヤがとびきりおかしいからじゃないかな〜」

「そ、そんなぁ…」

 

アイさんはまだよしよしってしてくれてるんですが、これはあれですかね?頭おかしいの飛んでけ〜みたいなやつですか?

 

「私の普通を教えても、たぶんサヤの求めてる普通じゃない。アイドル以外の人を見て勉強するしかないね」

「なるほど…私の両親を手本にするのはどうでしょう?」

「やめといた方がいいと思うよ」

「即答ですね…」

「ちょっと見てたんだけど、あの二人は間違いなくサヤの親だと思う」

「…それはどういう意味ですか…?」

 

にっこり笑顔になったアイさんを見ていると怖くなってきました。なんですかその笑顔は…?私の両親は普通とは言い難いって事です…?確かに地下室作ったりと奇妙な所もありますけど…。

 

 

ーーーーーーーー

 

グールグル先生で検索してもいまいちよくわからない答えしか返って来ませんでした。アイさんが言っていたように人それぞれの普通があるみたいです。

 

私自身は自分の考え方を変える気はさらさらないので、演技でカウンセリングを乗り越えるつもりです。アイドル以外…アクアとか壱護さんとか?でも復讐に人生賭けてしまうような人たちの普通を勉強しても意味がない気がします…。

 

…ピーンと来ました!アイドル以外の職業、サラリーマンの普通ならわかります。前世の私の普通を考えてみればいいのですよ!

 

前世の私といえば…あ、上司から電話が…先程の会議でご不明な点が有れば私の方まで何なりとご連絡くだされば、それについての資料を後ほどお送り致しますので…はい、間違いなく明日までには…。い、いえそのようなミスが見つかった場合は当然私の責任でございまして…。

 

 

ーーーーーーーー

 

あかねとアクアに紹介された精神科でカウンセリングを受けて来まして、余裕…とはちょっと言い難いですが、なんとかなりました。お仕事大変なら少し休んだ方が良いかも知れません、みたいな診断でした。受けていた時の心はシワシワでしたので…。

 

前世は大変でしたよ、お仕事頑張ってお金稼いだんですけど結局私は必要とされませんでしたし。お金が大事だって学べたのは良かったんですけども。要らない物は捨てられる、それが私だったというだけです。まぁ今世でも私は不要かも知れないんですけどね…。

 

アクアとあかねに問題無しでしたよ!って報告した時の二人は目に見えて不審がってました。一体どんな結果になると思ってたんです?

 

私がカウンセリングを受ける条件としてアクアとあかねも受けて欲しいって言ったので、二人も受けた結果を教えてくれました。どちらも問題無しだそうです。本当ですか?演技して誤魔化したりしてません?

 

 

ーーーーーーーー

 

卒業ライブまでの間にアクアとルビーに役者の演技の指導をしたりとか、アクアが医者の勉強をしてるのを見たりとか、ルビーがママを殺した奴を知ってる?って聞いてきたりとか、何故かあかねに感謝されたりとか、色々ありました。

 

アクアは復讐をやめてくれましたけど、罪悪感まで綺麗に消えたわけではありません。でも演技を多少前向きに捉える事はできるようになったみたいです。演技を心から楽しむ事が出来るって程ではないみたいなので、少しずつでいいから頑張りませんかって言って練習に引き摺り込みました。15年の嘘でのカミキ役は大切なので、しっかり教えますよ!

 

…いつかきっと、楽しむ為に演じる事が出来るようになるよ。15年の嘘の後でも、アクアの人生は続いていくんだから。

 

ルビーはアイドルを優先したいって言ってましたが、役者の演技も覚えたらアイドルにもいい事あるよって言ったのでそれなりのやる気に。15年の嘘でアイさん役を私とルビーのどっちがやるのかはわからないので、こちらもしっかり教えます!

 

そんなこんなで早2ヶ月、私の卒業ライブ当日になりました。

 

「ついに私の卒業ライブですよ!卒業って言っても苺プロから独立したりしないので何も変わりませんけど!」

「アンタならソロでもなんでもやってけるわよ」

「一人になったら枷が外れたみたいにならないか心配だよぉ…」

「枷が外れるとどうなるんです?」

「外さないから考える必要はないわ!外れたら終わりだから!」

「わ、わぁ…。終わりですか…」

 

ライブ前にいつものメンバーで雑談です。控室で会話してるとライブ前って感じがしますね!

 

かなさんは暗くなりそうな雰囲気がありませんけど、確かこの時期のどこかでアクアに、あかねとちゃんと付き合う事にしたって言われて悲しみに暮れてませんでしたっけ?まだ言われてないんですかね?

 

MEMさんはいつも通りです。とっても安定してるのがいいですよね、何かが原因で闇堕ちしたりしませんし。

 

「卒業ライブ、頑張ろう!」

「そうですね、一応区切りになりますし!」

「サヤちゃんをすぐ追い抜いてB小町に連れ戻すからね!」

「はい、待ってます!」

 

ルビーの目の星…というか雰囲気は暗くなったり明るくなったりします。基本は暗めですが、思い出したように明るくなることがありますね。

 

さて、そろそろライブ開始の時間ですよ!私がB小町のメンバーとしてライブできるのはこれが最後のつもりで頑張りましょう!

 

 

ーーーーーーーーー

 

頑張るって言っても、私の感情をライブで使う事はないんだけどね。だって不要な要素でしかないでしょ、私の感情なんてさ。ライブに来ている観客が求めているのはそういうものじゃない。私の感情なんていう余計な物は混ざっていない綺麗な嘘を、「アイ」の感情を求めているのだから。

 

アイドルの仕事中の私は殆ど反射反応に近いもので行動する。求められている表情、表現、言葉に勝手になるように頑張って努力したから、私が内心何を考えていても表に出る事はない。アイさんも言ってたよね、考えるより先にその場に沿った事を言うって。周りが喜んでるから嬉しそうにするって。

 

そんな感じでライブを過ごしているので、ライブ中は別に楽しくない。楽しくないけどやめるわけにもいかないし。私はなんでアイドルを目指したんだったかな、お金の為だったっけ?

 

でも最近楽しみを発見したんだよ。何かっていうとカミキの事なんだけど、JIFの時は端っこにいたのにライブ毎に少しずつ前の方に移動して来てるんだよね。今回なんてほぼ最前列にいるし。髪の毛がオールバックになってて一見アクアと似てないから、ルビーの目にはつかないと思うけど。

 

ちゃんとライブに来てくれて安心したよ!カミキが生きているのを確認できるのはこの時くらいなんだから。ほら、生きてないと殺せないじゃん?顔を見せに来てくれてありがとう!嬉しいよ!

 

カミキが15年の嘘の後でどんな最後を迎えるのか…とっても楽しみだよね!あの世行きのレールは私がしっかり敷いてあげる。精々今を楽しんでね?今が楽しければ楽しいほど、絶望した時との落差は大きくなる。お前が死ぬ瞬間は…どんな感情を露わにするのかな?

 

 




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