生きる化石 猫又擬き   作:.uwEZh]|y

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一話には東方関連の話題が一個もありません。非常に苦しいが説明会です。


一話 生まれ変わり

『……』

 

 気がつけば、いつもとは違う感覚を感じる。

 

 目を閉じてるから視界は暗いが、身体の感触がいつもとは違う。

 いつもの布団とは違い、なんか硬いモノの上に寝転がってる気がする、やや起伏があり地味に冷たい、喩えるなら道路の上で寝ているような感じ。

 

 ___道路? まさか、そんな所で寝るなんて、田舎じゃあるまいし。

 

 道路で寝ようと考えたことは一度もない、危険すぎるし危ないし、法が怖いし、それに虫とか雑菌とか、考えるだけで身震いするわ。

 

 ___……ん? 今度はなんだ? 

 

 すると今度は身体を覆うような何かの気配を感じた。それは身体を囲う様にして動かなくなったが、僅かに温かさ感じる。

 

 一体今のはなんなのか? ここはどこなのか? 何故意識が無かったのか? 

 今自分はどうなってるのか。

 考えるても仕方ないので、身体を起こしてみる事にする。

 

 

 

 ___え。ちょ何これ、どういうことだ……? 

 

 日常の動作と変わらず起きる動作をするわけだが。

 どういう訳か、自分の知る身体とは違うような気がしてならない、多分構造的に人と違う。

 

 ___ええい、何が何だかわからんが、どうにでもなれ……! 

 

 飛び起きるようにして目を開け、無理矢理身体を飛び起こさせる。

 

 すると本当に飛び起きたのか不思議に思える景色が眼前に広がっていた。

 確かに身体を起こした感覚はある、なのに見えるのはほぼ地面、まるで顔だけ立てたような感覚で、自分が超縮んだみたいだ。

 

 それだけに飽き足らず、ここはどこかの洞穴のようで、歪な岩の壁で囲まれている、目線の低さからか非常にこの洞穴は広いように思えた。

 

 ___えっと、待ってくれ、何も理解できないんだが。そ、そうだ! まずはこの身体の違和感……を……

 

 自分のいる場所の確認も大切だがまずは身体全体から感じる違和感の正体を確かめる方を優先することにした。考えたくもないが、身体の一部が無くなってたりとか、大怪我してるとか、そんな状況であったら、一大事所では無い。まぁ、冷静に考えてそうであった場合とっくに死んでそうではあるのだが。

 

 首を傾け、身体のを覗き込もうと身体を捻ってみる。

 

 ___ね……こ……!? 

 

 巨大な黒猫が! 寝転がっていた、その近くの小さいのが私と。

 ちなみにこの体はその巨大黒猫と似ているので、恐らく同じ種族と思われ。マジで? 

 

 ___どういうことだ? 理解が……でき……ん

 

 

 

 

 

「……う、なんだ……?」

 

 目が覚めた、どうやら気絶していたようだ、まぁ仕方ない、状況があれだから。

 

 辺りを少し見回してみると、眼前には巨大な黒猫がこちらを囲っており、寝転がっている。

 どういうことかは解らないが、多分守護られている。自分がどういう立場なのか全然理解できてないから、どうしたらいいのかわからん。

 

 取り敢えず気になることが色々あるので、もう一度確認を行う為、また身体を起こす。

 

 ___このデッカイのは……まぁ猫だな……? そして俺の体は……うん、猫っぽい。

 

 明晰夢の類かと思ったけど、認めるしかないっぽい、私は猫であると。

 かの有名な『吾輩は猫である』という言葉がまんま使えてしまうではないか! ナンテコッタ! なんの得もないが。

 

 そんなことを考えていると後ろの巨大な黒猫が急に動き出したようで、思わずそちらに注意を向ける。

 するとその猫はこちらに向かって大きく口を開けているではないか。

 

 ___ヒェッ! た、食べないで……! ……あれ? 

 

 食われると思って縮こまってたら、首元を噛まれた___摘ままれた? ___。

 みょ〜んと伸びて、ぽいっとデカ猫の背中に乗せられる。

 それで満足したのか、その黒猫はまた何事もなかったかのように眠りに入る。

 

 ___もしかしてだが、俺ってお前の子供だったりする? 

 

 動く餌を背に乗せるなんて動物聞いたことねぇしなぁ。

 なんだか守られてるような、世話が焼けるとでも言われてるような気がしたんだが。

 もしそれが本当だとしたら、納得いくこともあるが、えぇ……。

 

 ___うーむ、ますますわからん……

 

 この猫の子であると考えた場合、私は恐らくマッドな科学者に人体改造されて猫にされたとか、猫に精神を移したとか、そんなSFチックなことじゃないんだろぉなぁ……。

 認めるべきというか、思いついたと言うべきか、恐らくそういうことなのだろう。

 

 ___転生……ってやつ、ッスかねー……

 

 

 

 

 

 それからどうした、だいたい一年たった。数える印は無い。

 

 猫に転生しましたが、結構謳歌してるよ。

 前世への未練は少なからずあるよ、だけど、もう戻れないだろうからね。考えるだけ無駄ってやつ。

 

 この一年でこの世界のことは大体分かってきた。

 まず人がいない、気配すらない。だがそんなことよりもまずの話しだが、凡そ生物とは思えない化け物がそこら中にうじゃうじゃ居る。なんだよ、アジの開きみたいな姿した十メートルのデカい化け物が空を飛んでやがるんだぜ、ウケる。キモイ。

 

 しかもこの世界には超能力みたいな特殊能力を備えたやつが殆ど。

 一体一体がデカいんだよ原生生物が。サイズ感だけでも化け物な癖して、さらに特殊能力持ちが殆どの魑魅魍魎が跋扈する新世界である___当社(前世)比___。

そんなわけで生存難易度ルナティックがすぎる、種の保存さえ無理ゲー。

だれだこんなクソゲー作ったやつ。

 

 そんな世界なので必然的に戦い方もエグい、母猫なんて木に扮した蜥蜴みたいなやつが襲って来た時サラッと念動力で四肢を捩じ切ってバラバラにしてたからね。スプラッタすぎてやばい。しかもそれが今日のご飯になる、吐きそう(吐いた☆)

 

 因みに食事に関してだが、当たり前だが私はこの世界の食べ物___よく分からない生物のモツや肉___を食べるしかないのだ、生きるためだから仕方ないね。

頑張って食べてみたが勿論無理☆リバース万歳。

 そんな私でも唯一食べられるのはあった、魚っぽいあのアジの開きの化け物よ、味も魚っぽかったから全然食える。もう魚以外食べられないかも。

 

 そんな私の姿を見かねてか、母猫は毎度、魚擬きを必ず取ってくるようになった、本当に母には頭が上がらない。

 

 そして私の家族構成説明タイム。

あのデカい黒猫が、どうやら私の母であった。念動力で周囲のモノを自由に操れるみたい、しかも素の肉体もめちゃんこ強い、安心感半端ない。

 

 家族は二人だけではなく、私には三匹の兄弟が居て、上から姉兄姉、自分よりデカいから多分結構歳は離れてると思う。末っ子でしてよ。

簡単家族の識別方法!直感を信じろ。

 

そしてどうやら私の毛色は白が混じっていた、母は真っ黒な為、父の影響かもしれない。父の姿は一度も見たことがないわけだが、この世界のことだし生きてるかも怪しい。

次に、私の身体は結構小さい、母猫の百分の一程。毛色は白黒バランスよく混じってる、そして、尻尾が二本あり、一つは真っ白、も一つは真っ黒の尻尾が二本。そして雌である。TSした自分に驚いたよね。

 

 そしてどうやら尻尾が二本なのは私だけでは無いらしく、皆二本ある。つまり猫又、お、妖怪か? まぁ、外を覗けば妖怪なんて比じゃない化け物が所狭しと居る訳だけどね!

 

 まぁ猫又だと知っても本質的には殆ど猫と変わらないようで、自分の縄張りの確認して狩りして、日向ぼっこ。これが基本の生活っぽい。猫やんけ。

 

 因みに私はチビだからか全く外には出せて貰えない___出たいとは思わないが___。

洞穴の出口近くで外を覗いていると、首を噛まれ、奥へと持ってかれる。

 

「分かってるって、外には出ないから」

 

 それでだけど、私は言葉が話せるようで、ダメ元でやってみたら話せることが分かった、なんと堂々と親兄弟の前でだけど___考えなしの自分に驚いたよね___。

異端として排斥されるのではないかという考えが頭を過り、全身冷や汗が止まらなくなってしまった。

外を見れば如何なる時もなにかしらの化け物がいるこの世界で、右も左も分からないやつが一人で生きられるわけが無い。

 

だが、これといって何もなかった。興味ないのかまた寝始めたんだよね。

 

 ___えぇ……母よ、それでいいのか、いや有難いだけれども。

 

 凡そ兄弟も同じような感じらしく、各々ごろごろし始める。完璧に猫みたいな生活を送っている。

 

 まぁ、こんな化け物だらけの世界だからね、ただそれだけでどうこうといった概念が無いのかもしれん、どちらにせよ助かったと胸を撫で下ろす。

 

 そういえば、動物の意思疎通はどうしてるのか、鳴き声か、目なのか、はたまた匂いか。前世で疑問に思っていたことがあったが、今世で解明されるのかと思えば、全然そんなことは無かった。

偶に兄弟が鳴き声を出すこともあるが、特に意味は無いようだし、匂いなんてこの世界では割と当てにならない、外に出ると殆ど匂いは変わるし。

としたら見た目だろうか、いや、多分単純に母、もしくはこの猫又っぽい種族の知能が高いだけなのかも。

 

 これ以上考えるとまた知恵熱を出しそうなので、もうだらだらと寝ることにする。外は殺伐としてるのに、なんだかこちらはぐうたら自堕落な生活しかしてないような気がするが、まぁなんだかんだ一年は生きてる実績があるので、平気なのだろう。

 

 

 

 

 

 あれから大体四十年位経ったと思う。

 

 生まれ変わったあの日から随分と長く生きて来たが、未だ身体に衰えの気配は無い、それどころか今の私の大きさは前世の猫程度になる。親兄弟はこれの数倍はデカいので、恐らくもう何十年も生きるのだろう。

 

 前世と比べれば今世は大半が寝ている。それはエネルギーの節約的なもので野生動物なら仕方の無いものなのだろうが、前世が色とりどりの娯楽で溢れていた時に比べたら非常に退屈で仕方なかった。

 

 私の家族にも変化はあった。兄姉が独り立ちして一人、また一人とこの洞穴から出ていった。もう残ってるのは私と母猫だけ。

 

 それなりに賑やかに暮らしていたので、結構寂しかったりするが、恐らく私もそろそろ独り立ちの時が近づいてることは、本能的に理解していた。

兄弟とは体格が違いすぎるが、恐らく個体差なのだろう、少し小さすぎる気もするが、これも野生ならではなのだろう。

 

 

 

 

 

 ___ム、この土の中から匂いがする……

 

 今は母猫と共に開けた森のような場所で狩りをしている。私がもっと幼い頃は母猫の背中に乗せてもらいながら、母や姉兄の狩りや戦い方を見ていた。

 今は基本母猫は何も手を出さず、私が獲物を仕留めるのを眺めるだけ。恐らく独りでも問題ないかどうかを見定めているのだろう。

 

「ゲァァアアッッッ!!!」

 ___おっと。

 

 体の下から突如土が盛り上がる。私は直ぐに横に飛ぶと、その土から大口を開けた私と大差の無い大きさの化け物が獲物を食い破らんと飛び出してきた。

 

 ___土の魚擬きか、今晩の飯だな。

 

 そいつはクリオネのような姿をして、顔には敵を貫き裂くための鋭く長い嘴がついた硬く厳つい魚の顔、を付けた、土にいた土竜みたいな魚である。

 土なのに魚なのはどうかと思うが、顔が魚っぽいなら全部魚で良し。

コイツは刺身みたいな味がして美味しいのだ。是非とも綺麗な状態で仕留めたい。

 

「グッゲァァァアッッッ!!!」

 

 今晩のご飯の考えをしていると当たり前のように宙に浮くそいつは、身体を加速度的に回転させて、鋭く閉ざした嘴をこちらに向ける。きっと当たれば身体は貫かれ、文字通りグチャグチャの元の姿さえ分からない肉塊に変えられるのだろう。

 

 ___可食部は多く残しておきたいし、そっちに刺さってろ! 

 

 そいつは何の動作もなく一気にこちらへと距離を詰めてくる、恐らく一秒も無い程の速さで、眼前に迫ろうとする。その時、私は生まれ持った『歪める』能力を使う。

 

 すると今にもこの身体を貫こうと迫っていたソイツは前ぶれなく消えた。直ぐに横を振り向けばソイツは岩石に目掛けて突貫し激突。衝突した音が激しく当たりを打ち鳴らし、衝撃波で砂が舞った。

 

 砂埃が収まってき、その状況が明らかになってくる。

 岩は粉々に砕け散っており、ソイツは脳震盪でも起こしたのか、ピクピク痙攣していた、だが今尚こちらへと狙いを定めようとする姿には、この世界の生物の生命力を感じる。だがそこには先程の俊敏さは無く、素早く背後から首を掻っ切って殺す。

 

 ___よし、刺身ゲットだぜ! 

 

 私はその獲物の身体を引き摺って、母猫の元へ歩く。顔は苦手だから持っていかずその場に置いていく、殺生して非常に申し訳ないが、けどどの道持ち帰れるのは、咥える関係上どちらか一つしかないのだ、なら好きな部位を持って帰るよ、私は。

 

 母猫の元へ行けば、合格とでも言いたいのか、獲物を一瞥した後私を見て、そのまま洞穴へと戻ろうとする。それに続き私も後を追って帰ることにした。

 

 

 

 

 

『歪める』能力これは私が初めて兄姉と共に狩りに行った時に発覚した。

目玉みたいなウニの化け物の狩り中、横からハイエナの如く隙を窺っていたワニ擬きが、兄の隙を見計らい背中へ喰らい掛かってきた。

姉二人はウニ擬きに意識を向けていて反応できない、兄は不意打ちで行動ができない、私は飛び出したが、この身体では間に合わない、「ダメだ」そう思った時、私は何かを本能的に悟って使ったのだろう。

兄の背中に迫ったワニ擬きは幻想のように消えた。

 

 その出来事に呆気に取られていれば、突然、何かが刺さる音がする。その音の方に振り向けば、先程のワニ擬きがウニ擬きの針へと全身を深く貫かれていた、未だにそこから逃げ出そうと藻掻くワニ擬きからは生命力の高さをetc。

 

 ___今のは……一体……

 

 その後狩りは問題無く兄姉が素早く屠って終わった。

 あれからといえば、自身に流れる不思議な力の源のようなモノを感じるようになった。

使い方は本能に任せて、やってみるべく石ころに集中する。すると石は消え去り、どこへ行ったかと思えば、寝ている母猫の頭へ落ちた。その後猫パンチ___非常に弱い___を食らったのはいい思い出。

 

 自分の能力がどう言ったものか、それはまだよく分からないが、ただ『言葉を話せる』程度の能力じゃなくて良かったと少し思ったり、兄も助けれたし、万々歳だった。

 

 今はもう兄弟は巣立ち、私しか居ないのだが、こんな暮らしも悪くは無いと感じ、ゆっくりと目を閉じる。

 

 

 

 

 

 真っ暗な夜に、少しだけ目が開く。夢かどうがも分からないが、母猫の姿が見えた気がした。闇夜に光るその目は優しくこちらを見据えて。

 そしてその姿はゆっくりと音も無く闇夜に消えていった。

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