ちな東方要素ないわ、暫く付き合ってちょ
「……いやどこぉここ」
視界が晴れたかと思えば、一面真白の世界が広がっていた。
まずは身辺確認をしてみたが、どうやら私は人型のままのようだ、手が小さい、猫の時よりは大きいが。
そして地形だが、少し隣では巨大なスプーンで抉られたかのような広く深いクレーターが出来上がっていた、近くに蒸発した湖らしきとこがあるのを考えると、あの世へ行く前の位置へと戻ってきたらしい。
「うへぇ……なにもねぇ」
雑草一本どころか、植物は生えておらず、普段は喧しい化け物共の音や気配すら感じないとなると、恐らく先日の隕石で絶滅してしまったのだろう。南無三。
「とりあえず……移動かな」
ここには何も無い、何も無いということは何も起こらない、つまりは退屈。
この人生において退屈は一番避けるべき禁忌なのだ。
あれから数ヶ月。
落下地点から大きく離れ、ある程度の植物が生えている洞穴へとやってきた。
洞穴の外周辺にも、それなりの植物は自生しているが、大半は隕石の余波を食らって死滅したようで、植物の生存競争は残ったこの雑草擬きの一人勝ちになっていたようだ。
この数ヶ月間いろいろと探して回ったが、ここまで来ても生物の気配は感じない。環境が隕石により大きく変わってしまったのが大半だろう、例え数種類程度が生き残っていたとしても食物連鎖の構造も正常に機能しない今、遅かれ早かれ結果は変わらないだろう。皆デリケートな環境で生きていたのだ。
「また洞穴での生活か……感慨深いというかなんというか」
決してホームシックでは無い、恋しいと思うことはあるけれども。もしホームシックになったら速攻にあの世へ
「取り敢えず本当にすることないし、暫く冬眠かな」
退屈、この一言に尽きる。張り合いのある相手は地面か山しかいない。但し相手はなんの反応も返さず攻撃しまくっても地形破壊される以外は何も起こらない。さすれば残るはこの灰が消えて緑が栄えるまでの冬眠しかあらん。
まぁ、植物が復活し生物が生まれるかは知らんが、果報は寝て待てだ。
能力を使いこの洞穴周辺、何なら
冬眠なんて言ってる通り、本当に寝過ごすつもりでいる、その間に外敵に襲われて死にました___そもそも私に死が存在するか最早しらんが___なんて、なんか情けなさすぎて閻魔様にも家族にも顔向けができんし。
どういう風に歪めるかは特に決めてない、ただ、
逆パワースポット? 何それ、来たら吐き気がするとか……? どんな場所?
まぁ結構あやふやにかけた。多分脅威となる生物が産まれる確証がないし、やる気もなかったから結構適当にしたんだと思う。
いや
どうやら私は空腹を感じない、というより食べる必要が無くなったようだ。なんたることか!
空腹は最高の
まぁ今空腹感じても食べるものないし、地獄よりも辛い苦しみだとおもうから、そう考えるとらっきー
なんだか煮え切らないまま寝るのは喉に骨がつっかえたようで気持ち悪いが、とりあえず寝よう。
あの時から私はどうやら不眠でも特に影響は無いようだが。寝ようと思えばいつでも寝れるなんとも都合の良い便利な体質へと変わってしまったようだ。
睡眠という動物には欠かせない行為が不要になったとか、どんどん生物の特徴が消えて行くは私。
「願わくば、人間が産まれてるといいなぁ……」
そう願い集めた雑草で作った鳥の巣のような簡素な寝床で体を丸め猫のように眠る。__猫やんけ__
不思議な夢を見た。
真白に染まった世界の中心に私は居た。
一歩進めば足元から草が生える。
もう一歩踏み出せばその足元の景色が捻れ、砂嵐のように散っていく。
ハッキリとはしないが、それとなく意識はある、動こうと思えば自由に体は動く。どうやらこの夢は明晰夢というやつなのかもしれない。
一歩踏み込めば植物が、もう一歩進めば今度は、潰れた野原のような起伏が。
進めば其の度に目まぐるしく世界が変わりゆく。
意味は解らない、これこそ夢。
取り留めようがない不可思議。
ずっと歩き続けた。夢だから時間の概念は崩壊している。
体感_年程経ったか、適切な数字の桁すら浮かばないが、夢だからで全て納得していると思われる。
もっとも、多かろうが少なかろうが大した変わりは無い。
やがてこの世界から意識は遠のいて、現実へと覚醒していく。
何とも変わった夢だ、日ごろの疲れからくるものだろうか、病気の時に見る夢とでも思っておけばいいだろうか。
目が冴えた、何だか何十か何億も眠ったような気がする、数秒しか寝てない気もする。
疲れは取れた取れてないとかは無い、寝れば何であれスッキリする、最早私には時間などあまり関係ないのだよ。
「ァァァ。良く寝た……と思う」
体を伸ばしゆっくりと起き上がり脳を活性化させる。
まずは手始めに挨拶。
「……なんだかよく分からない夢を見てたんだけど、おはよう地面。なーんか目と鼻の先程に近いんだけど、もしかして成長したかい」
な訳あるか。体が猫に戻っとるやんけ。
さて、どうしたものか、別にこの体でも大して何がどうとか変わらないのだが、一度人の身に戻ったんだから、出来るだけ人の姿を保ちたい、その方が楽だし。
「これもあれかな? ワープの時みたいに何か念じるように……」
人の姿を思い浮かべてなんか踏ん張ってみる。
が、結果としては変わらなかった。
一度人になれて、今なれないわけが無い! と、思い、いろいろと試してみるものの結果は変わらず。
そこで発覚したことなんだが、あの時みたいにワープ使って感覚を養えば何か掴めるかも。
そう思って試しにやってみれば、全く使えないことがわかった。
まぁ、特に何かしたような訳でもないのに、急に跳んだかと思ったら、以前見た景色の見る影もない全く知らない場所に出てた訳だし。
あの世の閻魔による能力か、それ以外か。ま、昔しの地上があんなに能力の大安売りだったのだ、きっと誰かの能力であろう。
人化はともかく、ワープに関しては少し残念だったなと思う程で、それ程気にしてはない、やろうと思えば自身の能力でできるし、体が捻じ切れる可能性があるのは置いといて。
出来ないなら仕方ない、どれだけ唸っても変わらない、打つ手が無いし。まぁ人の方が慣れてるし感覚戻ってきてるからそっちの方が良いのには変わりないが。
それはそれとして、まずは外界がどうなったか確認せねば。
何年経ったかは知らんがここ洞窟が無事だと見るにそれ程変化は無いだろう。
「お外の方は〜……」
「ギャァギャァ」
「グワァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」
なんと今度は、下界には妖怪っぽいものが闊歩してました。
洞穴から出れば低地を見回せる絶景へとなり果てていた。世界が陥没したのかと思ったが下には見たことが無い植物や凡そ馴染みのある木が生えており、森林が香る所へと姿を変えていたのを見て、ただこの山がせり上がったのかも知れない。
周辺の地形も地盤の変化っぽいことが起きており、起伏が付き川が出来ていたりする。
それでもこの
「まぁ、いいんですよ、生物が生まれた、それは嬉しいことですが……」
目の前に荒野で転がるあの草、タンブルウィードっぽい、生き物かも怪しいやつを眺める。
「ナニこれ……?」
それは豊かになった土地を闊歩、飛行したり泳いだり、妖怪とも生物とも取れない毛むくじゃらのやつらを眺め、遠い記憶から掘り起こそうとしてみる、だが「妖怪みたいなのがいたのは何時代だっけ?」なんて考えてる当たりダメそう。
その日中に下界の探索を行うことにした、どの程度の場所が変わり、何が生まれたのかを好奇心のままに。
「お? この実はなんだ、一口頂こう……うん不味い!!!」
相変わらず空腹感は無く、食べる必要は無さそうだったが、食は個人的な三大娯楽の一つに入る。
ただの木の実だろうが葱みたいな草だろうが食べれそうなものは片っ端から齧っては掴んでは口に入れていく。赤子みたいとか言わない。
満腹にはならないのは『幸運』とは言いきれないが、お陰で幾らでも食べることが出来たので、見えたもの片っ端から胃に詰め込む。
つまり偏食家になった。
「ふむ、恐らくこの実は何かしらの毒があるらしい、クソ苦い。これは主体で食べるものではないな、磨り潰してのスパイス向きか……」
毒は効かない、今まで効いたためしはないが。
元の体がいいのか変質したからなのかは不明だが酷く頑丈であり、ただの自生した実の毒位訳ない。
ただ今は口にすることが出来る、様な気がする物を食べるだけでも痩せ細った心は満たされる、それ程荒んだ覚えは無いが。
「それにしても……平和というか、のどかというか、変わったなぁ」
小山の周辺からぐるっと一周回ってみたが、辺りには荒野の草みたいな生き物や、雀っぽい鳥など、如何にも自然界でのヒエラルキーが下層に居そうな大人しく、攻撃性皆無___近づくだけで逃げるやつなど___のやつしか居ない。
「戦いは出来そうにないねこれ」
別に戦闘狂では無いが自己研鑽はなるべく怠らない、だが向かってくる相手じゃなければこちらも手出しはしない。無益な殺生は反対です。
荒野の草をワシャワシャ器用に前足で撫ぜて見るが、こいつは全く逃げない、危機管理の意識が無いというべきか、よくそれで生き残ってきたなという感想しかない。
味は気にならなくもないが、折角の生き物、どこぞの蛇みたいに食い意地は張っていない、断じて。
「けど遠くには結構狂暴そうなやつも居るんだけど、どうしてかね」
基本山に近い程こう言った大人しいやつしかおらず、離れるほどここと比較して大きな力を持った八の気配がする、だがいずれも集中しないとわからない程度の力しか感じられないが。
つまり山側は比較的安全な場所で外側は危険地帯、何となく野生で生きた知見と勘で察してはいるが、これは私が原因である。
山に掛けた能力が原因だろう、今尚感じる自身の能力で纏われた山はオーラ的な何かを発し続け、それに当てられたやつが自然とここから離れていったのだろう。
そう考えれば荒野の草や雀擬きの比較的弱者はよくここにいるものだ、恐らく便乗したのだろう、ここなら天敵の心配はないとでも考えたのだろう、図太いのか鈍いのか、賢いものである。
弱者の逃げ道を作ったことで、自然のバランスが崩れないといいが。まぁ原因はこの環境を作った私なわけだけど。そう考えると何やら自然界に対して絶対やっては行けない禁忌を犯した気がしてくる。
まぁ私も自然界の産物なんだからべつにいいか。
「まぁ取り敢えず、もう少し遠くへいきますか」
かなり遠い地まで来た、森も途切れ、川の流れる開けた場所まで来た。
道中邪魔してくる奴は全て塵にしてきた、食べてはいない、勿体ないが魚系以外は恐らく不味い、私の勘がそういっているから。
「文明は水の近くで発生するってね、およ?」
川から結構遠い場所だが、そこに何か建物が見える、目を凝らしてみれば木造建築なそれは凡そ妖怪擬きのような知能では作れなさそうな建物がある。そして繊維を身に纏う猿っぽいのは。人だ。
「お、遂にこの時が!?」
逸る気持ちを抑え、努めて冷静に、見えた地へ光速で接近するよう駆け出す。冷静とは。
草原をあっという間に駆け抜けて、人を見る。見紛う事なきそれは人だった。
その人は門番か、槍を持ち、建物がいくつも建った村の周辺の警邏していたようだ。
「なぁお前人間だな! 一体いつからここにいたんだ!? いたならそうと言ってくれよ全く」
足元をグルグル回ってるかと思えば急に言葉を話す強大なオーラを持った獣。そんな存在が貴方の足元に居た場合どうするか。
そんなの簡単である。
「ば、化け物!! っ化け物がでた___」
その男は槍を投げ出す勢いで後方へ飛びのき叫びながら去っていった。警備がそれでいいのか。
「……化け物とな?」
当然の帰結、理由は前述の通り。
化け物と言われ、茫然としていたら頭は冷えてきた。まぁ順当。なるべくしてなった、冷静とは。
「あーまぁそうなるよなぁ」なんて自分の姿を思い出しながら思考に耽っていると、村の方から高速で飛来物が飛んでくるのが視えたので、ベクトルを真下に変えると、ものすごい勢いで叩きつけられた、形はそのままに。
能力を解けば砂のように散っていった。恐らく先ほどの槍と似たものだ。
「ッチ、やはり当たらんか!」
槍の飛んできた方向を見れば如何にも、華美な装飾をした陰陽師っぽい装いの男が、複数人の人間を引き連れていた。
その顔は神妙であり、誰もが顔を歪めてこちらを覗いていた。
「山主がこの様な所へなにようか」
陰陽師がそう問いかけてくる。
別に取って食おうなんて考えて無いのに酷い怯えと言われようだ、人間は不味いだろうに、知らんけど。
「我らは貴方の縄張りでは一切の手を出してはおらん、山へ帰りたまえ」
あーなるほどね、理解把握承知ですねぇ!
勝手に山の主にされていた。
半年前の書きかけを半年後に完成させた。
もう日本神話とか神とか調べまくったら頭おかしなるで。
なんでいっその事自分の娯楽に振り切ってみた。