特級不死 デッドムカデ   作:ゾエア

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轟破天九十九語

 

 

 唯一の魔虚羅の破り方。それは"初見の技にて適応前に屠る"こと。

 

 

『伏魔御廚子』によって絶え間なく斬撃を浴びる只中の魔虚羅。二度の方陣の回転は、斬撃そのものに対して適応を行った証拠でもあった。すなわち、現在魔虚羅は斬撃を受けて尚、塵へ変わることもなく再生可能なダメージしか負っていない。この『伏魔御廚子』にすら適応を始めていた。

 

 

 周辺の一帯が更地へと変わったところで、領域はようやく解除される。

 

 

 魔虚羅は再生を終えつつある。更地に立っていた者は──

 

 

「──最期までよく暴れたな」

 

 

 塵となって掻き消えていく天与の肉体があった。左半身は形を保っていない。しかし、その右手に握られた游雲は──確かに宿儺の心臓を貫き、領域の維持を不可能とするまで追い詰めていた。両者の口角からは血が流れている。

 

 斬撃に適応しつつある魔虚羅に対して、宿儺が領域を自ら解除する可能性も大いにあった。火炎の術式を用いた攻撃に切り替える選択肢も同様に。呪いの王たる特異性も相まって、宿儺は心臓がなくても動くことができる。

 

 それでも伏黒甚爾は戦闘を選び──結果として領域を破っていた。揺るぎない事実であった。

 

 

 崩れ落ちる甚爾の身体。最期の表情は穏やかなものであり、その視線は彼の遺した()()へと向けられていた。

 

 

「……いいんだよこれで。じゃあな──化物共」

 

 

 環は返事をすることもなく、魔虚羅へ矛先を向けた。言葉はなくとも託された彼の行動へ報いるために。

 

 

 『(あららぎ)』によって生成されるエネルギーは、あくまでも進化の過程で発生する余剰のものに過ぎない。不可侵の力場による防御力こそ真価であり、速さや物理的な威力は見劣りするものがあった。

 

 一方、『(さかしま)』によって生成されるエネルギーは生命から無理やり引き出されたもの。圧縮した後に炸裂させればその威力は無類であった。しかし、如何せん不安定な状態のまま押し込めた雫である。それは着弾前に刺激されると不意に炸裂し、威力は減衰してしまう。

 

 環は二種のエネルギーを組み合わせて相補的に用いる術を編み出した。より速く、より確実に効果を発揮するため、矛は障害を貫き目標へと到達する形をしている。

 

 

 二重螺旋の矛。白と黒の結晶で構成されたそれは捻れた形を成していた。『(シューラ)』は順転と反転によって生じた二種のエネルギーを帯びている。

 

 抽出された二種のエネルギーは混ざり合うこともなく、その矛は螺旋構造を保ったまま撃ち出される。

 

 

 魔虚羅は確かに『矛』の軌道を捉えていた。呪力を帯びた剣撃が螺旋構造へ打ち付けられた。与えられた一撃によって矛の軌道は僅かに逸れたものの──そこには傷一つなく。

 

 

 矛は結果的に魔虚羅の胴へと突き刺さる。貫通を待たずして螺旋構造は瞬く間に解けた。二色の結晶は混ざり合い、球体を形成。刹那の変形に適応が追いつくこともない。

 

 その球体の外殻には『塔』による堅牢な力場が備わっている。そして中心部に据えられているのは『屰』の雫。炸裂と同時に──(ことごと)くを吹き飛ばした。

 

 

 

「はっはっ。絶景絶景」

 

 

 

 ──渋谷の帳外縁部。そこにはぽっかりと大穴が空いていた。辛うじて残っていた方陣は黒い液体となって崩れていく。

 

 『茈』すら通さない『塔』の力場。『屰』によってそれを内側から瞬間的に膨張させることで、地下を含めた半径50mの範囲内を()し潰す技──『(シューラ)』。

 

 

 順転と反転の同時使用は少なくない負荷を環へ齎していたが、一撃にて魔虚羅を屠ることに成功していた。これにより、複数人で開始された調伏の儀はなかったこととなる。

 

 

 そして『矛』の破壊跡を見て上機嫌な宿儺は心臓の治癒を始めた。胸部から引き抜いた游雲を放り投げたところで、宿儺は環へと向き直る。

 

 

「なかなか楽しめたぞ。オマエとも()ろうと思っていたが──時間切れだ。残念だったな。百足」

 

 

「こっちはもうお腹いっぱいだ。とっととどっかへ行ってくれ」

 

 

 瞬時に姿を消す宿儺。気絶している伏黒恵と共に帳外へと向かって行った。虎杖悠仁が肉体の主導権を取り戻す兆候を察知したために、宿儺はこれ以上の戦闘を控えて伏黒恵を生かすことに注力する。虎杖悠仁が身体の主導権を取り戻せば環に対する勝ちの目は無くなるうえ、()()に頼らざるを得ない展開に陥る。それは宿儺の望むものではなかった。

 

 

 一方、元気に悪態を吐いていた環は、美々子と菜々子へ渡した結界の位置する場所を目指す。彼はもとより虎杖悠仁を殺すつもりなどなく、家族の無事を確かめる方が優先順位は高い。虎杖悠仁への不干渉は、これ以上宿儺という爆弾に触れるリスクを避けるためでもあった。檻である虎杖悠仁の肉体ごと殺そうとすれば、確実に宿儺は次の手を打つ。それも今以上に派手な策を。それは現状、環の望む展開ではない。

 

 

「……未練はもうなくなったみたいだな。じゃあな──()()甚爾」

 

 

 先を尖らせた游雲の一節を墓標のように地へ突き立てて、環は別れの言葉を伝える。

 

 シナズはしばし触角を向けていたが、歩いて遠ざかるうちにその触角は忙しない動きへ戻った。

 

 

 倒れ付した男の顔は先刻とは別人のもの。暴君は渋谷へ降り立ち、確かな戦績と未来を遺して──再びこの世を去った。

 

 

 


 

 

 

 23:14 渋谷駅構内B4F(地下4階)

 

 

「おーい。生きてるか?」

 

 

「……環?」

 

 

 うぞうぞと蠢く百足が縁どったドーム型の結界。そこへ環が声をかけると、疑問で返す声があがった。

 

 環が応急的に預けた『伊賦夜坂(いふやざか)』の結界によって、大規模な樹木の攻撃にも傷一つなく、美々子と菜々子はそこにへたりこんでいた。

 

 程なくして結界は解除される。外縁部の百足達は死力を尽くして保護していたために、程なく崩れて消えていく。環は姉妹の無事を確認して人心地ついていた。

 

 

「ごめん環。私達……夏油様を、夏油様のこと助けたくて……!でも上手くいかなくて、それで……!!」

 

 

「……いいんだ。2人が無事で何より」

 

 

 環は姉妹の行動を責めることもなく、ひとえに命が残ったことを喜んでいた。彼の脳裏に残る家族の死──それが繰り返されることを防ぎたかっただけ。

 

 もし環が彼女たちの計画を知っていれば、如何様にも邪魔はできた。しかし彼は姉妹の意思を尊重して踏みとどまっていた。

 

 どれだけ他人が犠牲になろうとも、家族のために行動するこころうちは彼にも理解できる。故に、危ない橋を渡った2人へこれ以上何か伝えることはなく、彼は諭すように話を続けた。

 

 

「まだ特級呪霊が残ってる。あとは家族達と、なるべく早く渋谷(ここ)から離れた方がいい。ラルゥと合流できれば一番安心だけど……──」

 

 

「──環はどうするの」

 

 

 美々子から投げかけられた問。環の語り口から、2人と共に逃げることはしないと理解したようだった。姉妹は夏油傑の肉体を取り戻すことが不可能であると理解した。策謀も、強さも、何一つあの()()にはかなわず、自分達は黙って見過ごすしかないことを。

 

 一方、環はたった1人で奔走していた。家族のために戦うその意志に変わりがないことを姉妹は分かっていたが、それでも、独りで背負って欲しいと思ってはいない。

 

 夏油傑の肉体を取り戻すため、圧倒的な実力を身につけた環。彼がどこか遠くへ行って──いなくなってしまうような。もう二度と家族を失いたくないという想いは、美々子と菜々子も同じであった。

 

 

「特級呪霊の動向ぐらいは知っておきたくてね。心配しなくても、ヤバイ時は逃げに徹するよ。流石に今は消耗してるから」

 

 

「今日のことだけじゃなくて、この先ずっと。それこそ、環が独りになっちゃダメだよ。私達が一緒じゃ力になれないかもだけど……」

 

 

 尻すぼみに小さくなった声。彼女たちは余程今回の件で身にしみたようであった。実力も何もかも及ばない──大きく果てしない壁があることを知って、自信なく俯くのも無理はなかった。

 

 いつもの調子も見えず、不安そうに沈んだ2人を見て環は首を傾げた。そして納得したように眉を上げると、彼女たちに向き直って声をかける。

 

 

「じゃあさ、髪切ってよ。ここんところ伸ばしっぱなしだったから。それから朝ごはんを一緒に食べる。僕達家族だろ?それぐらいで十分でしょ」

 

 

「……ムカデまみれの癖に?あんたはもうちょっと見た目気にした方がいいよ」

 

 

 環はおどけるように話していたが、それこそ彼の戦う理由でもあった。自分へ手を差し伸べてくれた人と、迎え入れてくれた家族のため。それだけで彼は十分だった。

 

 菜々子も表情を緩めて調子を取り戻す。どれだけ強力無比な者であろうと──環は家族の一員であること。例えどんな存在へ成れ果てようと、その認識が変わることもなく。

 

 環の髪の端々に蠢く百足達へおっかなびっくり触れる2人は、地上を目指して歩き始める。並んで歩く3人は確かに家族の姿であった。

 

 

 

 


 

 

 

 

 23:36 渋谷警察署宇田川交番跡

 更地と化した一帯に這い蹲る真人の姿がそこにあった。左脇腹から血を流し、振り乱した髪と冷や汗は余裕のない状態を窺わせる。

 

 

 虎杖悠仁との戦闘は佳境を過ぎ、既に最大出力の黒閃を受けた真人は、死に体で逃げるのみだった。そこへ声をかけた者は──

 

 

「助けてやろうか?真人」

 

 

「出戸!!」

 

 

 ボロボロのパーカーを羽織った紫髪の少年。よく観察すれば、髪の先端が百足へと変わっていることが分かる。腕や顔に走る紋様も相まって物々しい雰囲気だが、真人へかけた声は不気味な程穏やかなものであった。巻きついている巨大な百足の単眼からは、感情を読み取ることすらできない。

 

 

「出戸環……!!」

 

 

 真人を仕留めるべく駆け寄っていた虎杖は、乱入者たる環を警戒して足を止めた。

 

 宿儺が肉体の主導権を握っていた間、環が斬撃を受け止めたことや、呪霊を祓った実力を知っていたからこその警戒だった。しかし、虎杖は彼が現在どの勢力に属しているか知りようもない。端的に言えば、敵か味方か分からない──ということだった。

 

 

(呪霊と組んでた呪詛師!!獄門疆は……!!)

 

 

「五条先生はどこにいる!?知ってんのか!?」

 

 

 再び走り出した虎杖の狙いとは──真人へトドメを刺すこと。虎杖が特級呪霊たる真人を逃がすつもりもない。ただひたすらに呪いを祓い続ける自らの役割を認識した今、環が呪霊の味方をするようであれば敵として扱うことになる。

 

 宿儺から姉妹を守った姿と、呪霊を庇う現在の行動の差異に虎杖は違和感を覚えた。呪霊とは敵対しているのか。虎杖の頭には依然として疑問が浮かんでいたが、環の目的は──すぐに分かることになる。

 

 

「!!」

 

 

「おっと」

 

 

 環の背後から襲いかかる影。消耗した真人の動きでは環の動きを捉えられる訳もなく、呆気なく不意打ちを躱され隙を晒す羽目に陥る。

 

 既にそこは環の間合いだった。彼の狙いは虎杖悠仁を助けることでも、五条悟を取り戻すことでもなく──

 

 

「知ってたさ。だって俺は──人間(オマエら)から生まれたんだから」

 

 

「あっそ」死蟠輪廻(しばんりんね)

 

 

 真人の体から一斉に生える百足達。消耗した魂では術式への抵抗もか弱く、あっという間に百足の塊へ変わっていく。程なくして、塊を構成していた百足達は解けて列をなし、巨大な百足──シナズの口へと入っていった。後には何も残っていない。

 

 

 呪霊の祓除。今や真人への執着心も捨てた虎杖にとってそれはさしたる問題ではなく、ひとまず戦闘に片がついた状況となる。

 

 真人を出し抜いた環へ向ける視線には、未だ剣呑な色が残りながらも虎杖は質問を続けた。

 

 

「狙いはソイツか?何がしてぇんだよオマエは」

 

 

「この馬鹿げた祭りを終わらせたくてね。呪霊狩りに勤しんでたわけだ。まだ暴れ足りないんなら好きにしてもいいけど……──」

 

 

 環の言葉が途切れる。不意に左へ視線を逸らした先には、袈裟を着た長髪の男が立っていた。

 

 

「やぁ環。真人も祓ってしまったのかい?やっぱり何事も予定通りにはいかないものだね」

 

 

「よう羂索(けんじゃく)。オマエが物欲しそうに見てた呪霊……祓っておいて正解だったな」

 

 

(袈裟に額の傷!!ここにいるってことは……!!)

 

 

「……返せ。五条先生を返せ!!」

 

 

 現れた人物へ気軽に声をかける環を他所に、虎杖は激情をあらわに走り出した。目的は袈裟の男が持っているはずの──獄門疆。今夜の事変は五条悟を取り戻すための戦いでもある。それ故に虎杖は躊躇することなく向かうものの、男は動揺することもなく語り始めた。

 

 

「鯰が地震と結びつけられ、怪異として語られたのは江戸中期。地中の『大鯰』が動くことで地震が起こると信じられていたんだ」

 

 

 髭の生えた薄目の細長い鯰。それが男の手から離れ地面へ潜り込んだ途端に──黒い大穴が広がった。

 

 

「な!?」

 

 

 一瞬で虎杖の周りに広がったように見えた大穴は、男の手持ち呪霊の術式効果によるものであった。虎杖は浮遊感を覚えて咄嗟に体勢が崩れた結果、立っていられなくなった。

 

 

「落ちたと思っただろう。傍から見れば君が勝手に引っくり返っただけなんだがね」

 

 

 男は夏油傑の身体を乗っ取っており、その呪霊操術を自慢するかのように開示していく。

 

 

「呪霊操術の強みは手数の多さだ。準1級以上の呪霊を複数使役し、術式を解明・攻略されようとまた新しい呪霊を放てばいい。勿論──その間を与えずに畳みかけるのもいいだろう」

 

 

「!!」

 

 

 男の足元から飛び出した百足の群れが虎杖の下へと殺到していた。一体一体はそこまで強力ではないものの、無視して進もうとすれば──再び大穴が広がる。

 

 

「去年の百鬼夜行。新宿と京都に戦力を分散させなければ、勝っていたのは乙骨ではなく彼だったろうに──違うかい?環」

 

 

「……」

 

 

 環は無言のままでその心情を示していた。万全でない状況で怒りのままに仕掛けたとて勝てる道理はない。環にはその事実が身に染みていた。かといって、表情から何も窺えないようなことはなく、少なくとも男へ親しみを向けていないことは確かだ。

 

 畳みかけられた当の本人──虎杖は這い蹲りながらも、真っ直ぐ男を見据えている。その闘志は未だ折れることもない。

 

 

(今は……待つ!!)

 

 

「本当は真人が欲しかったんだ。アレの『無為転変』でやりたいことがあったんだけど、まぁ仕方ないね」

 

 

 話の続きを無言で促す環とタイミングを待つ虎杖。

 

 男の見上げた先には箒に乗って浮かぶ術師の姿があった。箒に提げたランタンに明かりが点くと同時に、矢が放たれる。

 

 

 物理法則を無視した軌道で動く三本の矢を躱すと、男は援護射撃の存在を気取った。

 

 

「狙撃銃か。いいね。私も術師相手であれば、通常兵器は積極的に取り入れるべきだと思うよ」

 

 

 呪霊を盾に狙撃を受けながらも、余裕な態度を崩さず講釈を続ける男の姿に、環は嫌気がさしている様子で声をかけた。

 

 

「……そろそろいいか?オマエの講義なんぞ聞きたくないんだが」

 

 

「いやいや、彼らは獄門疆を奪うべくして戦っているんだ。物見遊山の君とは違って必死になるのは当然だろう。それに──どうやら()も気づいたようだ」

 

 

 汗を垂れ流し動揺を隠せない表情で現れたのは──受肉体の1人。脹相であった。緊迫した心臓の音が聞こえるような雰囲気の理由は、彼の気づいた事実に基づいて──

 

 

「そういうことか!!加茂憲倫!!」

 

 

 駆けつけたパンダと日下部、そして京都校の学生と歌姫はその事実に動揺を隠せていない。

 

 

「加茂家の汚点……!!史上最悪の術師!!本当なら夏油の中身は150歳を超えてることになるわよ」

 

 

 夏油の身体を借りている者──羂索は歌姫の想定をゆうに超えている。生み出した呪胎九相図すら探る可能性の一つでしかなく、それ以上の渾沌を羂索が望んでいることも知りようがなかった。

 

 脹相の怒りは収まることなく、足早に羂索へと向かっていく。

 

 

「よくも……!!よくも俺に!!虎杖を!!弟を!!殺させようとしたな!!」

 

 

「引っ込め三下。これ以上私を待たせるな」

 

 

 姿を見せた白髪の呪詛師──裏梅の機嫌は悪いようで、脹相への口調は険のあるものだった。

 

 乱れた場に乗じて獄門疆を奪い取ろうとする術師達。混迷を極める事態の中、裏梅は先手を取って諸共を仕留めにかかった。

 

 

直瀑(ちょくばく)』!!!!

 

 

「!!!まずっ──」

 

 

 放たれたのは巨大な氷結晶。正面へ打ちつける礫と、上から降り注ぐ氷塊の二段構えを──

 

 

(あららぎ)

 

 

 ──力場が受け止める。歯噛みする裏梅を後目に環はこの場へ割って入っていた。彼にはまだやるべきことが残っており、今ここで術師を皆殺しにしてもらうと困る事情がある。長話と戦闘に業を煮やしたためでもあったが、それを慮る者がいるわけもなかった。

 

 

「まだ話し足りないヤツは……さっさと終わらせてくれ」

 

 

「悪いね。それじゃあ夏油君──あの時の答えを聞かせてもらおうかな。どんな女が好み(タイプ)だい?」

 

 

「九十九由基!!」

 

 

 羂索らの前に立ち塞がったのは背の高い金髪の女性。特級術師が1人──九十九由基は不躾な質問を羂索へとぶつけていた。

 

 

 

 

 






甚爾が宿儺へ挑んだ理由についてですが、なるべく宿儺へ魔虚羅を含めた情報を渡さないためと、環の動く間が欲しかったためです。

禪院家の人間として影法術とか魔虚羅の存在を甚爾は知っており、なおかつ恵君が利用される未来を少しでも減らすための決断でした。だからといって生き残ることを選ばないのは少々死に急いだ感じもありますが……
誓約状による当主プレゼントとかも踏まえるとこのような運びとなりました。
必中効果範囲内という修羅場で宿儺を領域維持困難にまで追い詰められた理由は……環君の不死化が長引いていたのと、彼自身の頑張りとかが相まった感じです。
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