のび太のバイオハザード E 作:モールデッド
2004年7月28日
僕達は夏休みの初日にドラえもんにとある無人島へ連れて行ってもらった。
誰にも邪魔されず好きなことをやって思う存分バカンスを楽しんだ。
そして、帰宅の日…
3日も見ていない家族の顔が見れると思うと、なんだか嬉しい気分になる。
だけど、待っていたのは悪夢だった…。
「うわあ〜!すっげえ楽しかったぜ〜!」
と旅行を終えたばかりなのに体力が有り余っている様子のジャイアンが口を開く。するとみな、口々に旅行の感想を言い合った。
「あー。でもやっと家族に会えるよ…」
「いざ家族の顔を何日も見ないとなるとこいしい思いをするものね。」
「うん!早くママとパパに会いたいね!お兄ちゃん!」
「そうだね。一緒にお土産持って行こう。エヴリン。でもやっぱり楽しかったな〜!ありがとう。ドラえもん。」
「お安い御用だよ。僕は久しぶりにみーちゃんに会いに行こうかな。どこでもドアはあとで点検があるから忘れ物とかは気をつけてね?」
そう言って窓から飛び出すドラえもん。それを見届け、ジャイアン達は荷物を持ち始める。みんなで現地のものを使ってオリジナルのナイフを作ったのはいい思い出だ。みんなも同じ思いなのか手で持っている。
「それじゃあ俺たちも帰るかな!」
「それじゃあね。のび太さん。エヴリンちゃん。妹ができたみたいで楽しかったわ。」
「うん!じゃあね!しずかお姉ちゃん!」
「じゃあ、みんなまた今度ね。」
「ふう…それじゃあままにお土産渡しに行こうか。」
「うん!ママ、喜んでくれるかなぁ…?」
「エヴリンが選んだものなら大丈夫だよ!」
「ありがとう。お兄ちゃん!」
いつも通りの会話。しかし、そんな日常の幸せに暗雲が立ち込めていた。
階段を降りる。妙だ。人がいないと錯覚させるほどの静けさに僕は違和感を覚えた。外からは人の騒ぎ声が聞こえてくる。町内祭りでもやっているのだろうか?だとしたらママはいないかもしれない。
「いるとしたら台所か…」
一通り居間やトイレを確認したがどこにもおらず、唯一確認してないところは台所となった。
台所を覗く。ピンクの服に黄色いロングスカート。間違いなくママだった。しかしどうにも様子がおかしい。頭を上下させながら床に蹲っている。
それについても聞けばいいかと楽観視していた。
「ママ?ただいま。大丈夫?お土産買ってきたけど体調が悪いなら寝たほうが…」
瞬間。ブチュッとまるで肉を引きちぎったような音がする。それと同時に血しぶきが飛んだことで、本当に肉を引きちぎったことを理解する。しかし、ママに文句を言おうと顔を上げた直後に振り向いたママの状態は、決して理解し得ないものだった。
口元に血が付着している。きっとケチャップがなにかだ。
血の気が失われアスファルトが如き皮膚。体調が悪くなっているのだから当たり前だ。
口から漏れる恐ろしい声。多分声が変わる病気なんだ。
そして、のび太が最も理解できなかったもの…否。理解したくなかったものは…自分の父親の亡骸だった。
理解を拒んだ。人が人を…それも、実の母が父に行っているだなんて。
窮地においては天才的な閃きを生むのび太であっても、この状況は彼の意志を喪失させる。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛! !」
まるで、次はお前だと言わんばかりのうめき声。のび太には考えるリソースが存在しなかった。
そして噛みつこうとしたタイミングで
ママの頭にナイフを突き刺した。
「あ…あぁ…ぁ…」
その様は、まるで物を壊してしまった子供。
「お兄ちゃーん!?どうしたのー!?」
場違いな少女の声が響く。妹の声だ。
ヨロヨロとそれこそ先程の母のように足を動かし、エヴリンの方へと向かう。
「僕…ままを殺しちゃった…」
「…とりあえずドラちゃんに会いに行こう?きっとドラちゃんなら解決してくれるから。」
言われるがままに外に出る。
しかし外は見慣れた町並みではなかった。
人が人を喰らっている。死んだはずの人が蘇り生者を喰らう。口から漏れるのは地獄の底から響く声。綺麗だった町並みは亡者と血痕溢れる地獄絵図と化していた。
ふと、黒い怪物と似てるなど、どうでもいい思考が頭をよぎる。そんな、ある種の現実逃避からは亡者の声によって現実に引き戻される。
右から3人ほどの人が近づいてくる。
今はドラえもんもいない。いるのは戦ったことのないエヴリンだけ。それに対して目の前にいる奴らは明確にこちらを殺しに来る。
のび太は覚悟を決める。それは、ここからもう立ち止まれない覚悟。
のび太は警官の死体が握っている拳銃を手に取った。
撃つ。撃つ。撃つ。
その早撃ちはどしゃりと。死者をあるべき姿へと変えた。
「エヴリン。外にも僕らを襲ってくるやつらがいるみたいなんだ。できる限り近づかないようにしてドラえもんが居そうなところを探すよ。」
「うん…お兄ちゃん、大丈夫?」
「ジャイアンのパンチに比べたら全然だよ!心配しなくて大丈夫。僕が絶対に守るからね。」
そう言って、二人の生者は地獄を駆け出した。
更新遅れてすいません。