IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
突如というか暁美が煽って始まった、一夏と箒のゲーム対決。流石に対等にやれば一夏が圧勝して終わる。その為自然の流れでハンデを付ける事となった。
一夏はヌンチャク型のコントローラーを使い、箒は普通のコントローラータイプを使う。キャップは一夏が一人。箒が十人だ。要は一夏が箒のキャラを十回倒す前に、箒が一回一夏のキャラを倒せば箒の勝ち。
これがもう少しゲームに慣れている人間だとハンデが大きすぎて一夏の勝ち目は薄いが、相手はゲームそのものが初心者の箒である。ある程度練習したからと言ってそうそう勝てるものでもない。
「くっ」
「うし、あと二人。」
今も画面上部へと赤い帽子の配管工が吹き飛ばされ、画面奥へと落ちていくかのような演出がされる。一夏が使う緑服のエルフの勇者が、箒のキャラの復活直後の無敵時間を潰す為逃げ回っている。
「結構、いい勝負になってるね。」
「まぁ、初心者には難しくても、子供でも出来るように開発してるからな。そこそこ使いやすいキャラで、それなりに練習すれば勝負にはなるだろ。」
シャルロットの感想に顔を一度外に向けてから答えた。確かに一夏と箒の勝負には興味があるが、それよりも空に黒い雲が出来ており、一雨来そうだ。
「あっ、洗濯物ならもう取り込んだから。」
「何時の間に…」
言葉を発したわけでは無いが、外を見ている俺が何を心配しているのかを察して答えるシャルロット。少なくともシャルロットが席を外したのは四人対戦でシャルロットが抜けた時ぐらいだろう。
何気に家事能力が高い様に思える。
ついこの間まで母親と暮らしており、いまだに中学二年のはずなのだが熟練の主婦の様な手際の良さである。
「ぐぅ」
「おっしゃ、これで最後。」
気付けばマリオが画面右端に叩きつけられ消えた。リンクは場外に落ちそうになっているが、二段ジャンプからソードぶん回しでフィールドに戻ってくる。
箒が苦々しいうめき声を上げ、一夏が拳を握って喜びを露わにする。
「箒ちゃん、がんばれぇ!!」
「うん、でも一夏もダメージが四百近いよ。」
このゲームにはダメージが蓄積するようになっており、受けているダメージが多いほど吹き飛びやすい。一夏のキャラのダメージは四百近い事もあり、下手をすれば一撃で吹き飛ぶ。
だが一夏もさるもの、無敵時間を逃げ回り、マリオの攻撃をガードして反撃に移る。まだガードのタイミングが分かってない箒は良いようにやられるが、ここで一夏がヌンチャク型の操作性によりミスをした。
「やべっ!?」
「箒ちゃんっ、今っ!!」
思わずだろう。束が叫ぶように合図を送る。箒の操るマリオが回転してリンクを巻き込んだ。ヤッフゥ、マリオの叫びと共にリンクは巻き上げられ、そのまま箒は上へと吹き飛ばすべくマリオにコインジャンプをさせる。
コイイイイイーンという音を響かせて更に上へと打ち上げられるリンクであったが、辛うじて吹き飛ばされる事はなかった。距離が開いたことにより空中ジャンプで逃げる一夏。
「逃げるなっ、一夏っ!!」
箒も叫び、マリオを操作して逃げるリンクを追いかけた。ここでマリオの三段ジャンプが活かされる。落ち気味のリンクに易々と追いつき、偶々だろう箒が入力したコマンドは吹き飛ばし技の横蹴り。
「なっ、しまったっ!?」
一夏は下攻撃のコマンドを入れて逃げようとするも、ここでまた操作を誤り縦切りになる。マリオはスカぶったリンクに徐々に近づいており、ダメージも合わせて当たれば勝利の確立はかなり高い。
「うわっ!?」
「ちょ、落ちたよ今。」
だが突如轟音と共に光が弾ける。いつの間にかゴロゴロと雷が鳴りだしており、それが傍に落ちたのだ。
「あ、あああっ!?」
「あっ…」
箒の叫びにテレビを見た。真っ黒な画面が映っている。電源が付いていないのを見ると、どうやらブレーカーが落ちたようだ。一夏も気まずそうに顔を引き攣らせている。
あのまま続けていれば箒の勝ちだったかもしれない。だが、その結果は真っ黒画面になっており、箒は落ち込んでいた。