IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第九話

 今目の前で顔を真っ赤にした一夏と箒が向かい合って座っている。かれこれ三十分はこのままだ。微動だにしない。というわけでは無く、時々口を開いて何かを喋ろうとするも、タイミングが完璧に合ってしまい、そのまま口を紡ぐ事の繰り返しだ。

 

 「見てて面白いけど、いい加減に前に進まない?」

 

 「ああ、だがどうするんだ?」

 

 ニヨニヨ笑いながら見てた暁美がこっちを向いてそう提案してくる。こうなった原因はやはり俺の迂闊な一言であった。だからある程度の無茶も聞いて貰えると思ったのか、顔はニヨニヨ笑いっぱなしだ。

 

 「二人とも、ここに引っ越してこない?」

 

 思わず吹いた。おいおい、保護プログラムで各地を転々としている箒の方は、政府に暁美が話を付けるだけでいいが、一夏の方は持ち家があったんじゃないか?

 

 「あ~、俺は千冬ねぇに話しないと…」

 

 「うん、それは仕方ないね。束着いて行って上げて。」

 

 「うん、おーけぇ、おーけぇ。」

 

 いいのかよっ!?じゃなくて、いやいや流石に保護者が反対するだろうな。箒の方を見ると一夏の方を期待するような目で見ている。はぁ、なんでこうなったんだっけ。頭イテェ。

 

 

 

 

 「なぁ、箒、賭けの話だけどさ。良いぜ付き合うぞ。」

 

 「なっ、本当か!?」

 

 落ち込む箒を見た一夏がそう声を掛けたのが始まりだった。どう一夏の様子を見ても男女のそれではなく、だが恋する乙女な箒はそれに気づかない。

 

 「ああ、いいぜ。買い物ぐらい。」

 

 あっ、やっぱりという顔をしている暁美と束。どうやら二人は一夏の思考をトレースでもしたのか最初から分かってましたと言わんばかりに顔を苦笑に染めている。箒は怒りで顔を真っ赤にしており、放っておけば一夏を殴り殺してしまいそうだ。そこでハタと俺は気付いた。

 

 「決着ついてないし、一夏の言うとおり、デートぐらいでいいんじゃねぇ?」

 

 「へ?、デ、デート?」

 

 ついつい口をついて出た言葉に、一夏は驚いた様に俺に問い返した。暁美と束も驚愕しており、箒は先とは違う事情で顔が真っ赤だ。

 

 「一夏もやるな。自分からデートに誘うなんて。」

 

 「デ、デートってなんだよ!?」

 

 あん?男と女が二人で買い物に行こうと言えばデートだろうに。そう指摘してやると、一夏は小さく『あっ』と呟き、動きを止める。

 

 「で、でも俺はそんなつもりで言ったんじゃなくてだな…」

 

 「別に友達感覚で買い物行ってもいいだろうに。」

 

 一夏の言い訳に、またも怒りで顔を真っ赤にしている箒を無視して、俺はそう意識しなくてもいいだろ。俺達中学生なんだしと伝えると、一夏は何を考えたのか、箒の方をちら、ちらと見て顔を照れで真っ赤に染めたのだ。そんな一夏の様子に箒もまた顔を赤くする。

 

 「初々しぃですな。」

 

 「そんな二人に朗報。」

 

 互いに見つめ合ったまま、顔を真っ赤に染める二人を見て、ニヨニヨした二人が間に入り込む。その上暁美が何やら吹き込んでいるようだ。何をやっているのか知らないが、確実によくない事だろうな。 一夏と箒の朱が色を増し、俯きが深くなっていく。束はだんだんと瞳がキラキラ輝きだす。

 

 「いい、いいよ、それ。流石あーちゃん。」

 

 「貴ちゃんの説得は任せてっ!!」

 

 なんだ一体。この時俺が悪巧みする二人を殴っていれば、冒頭の様な事にはならなかったのかもしれない。わざわざ時間を置いたのも、俺を説得しやすくするため。やはり此奴の交渉術はとんでもないなと思わされたのだった。

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