IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
ACがISよりも優れている点の一つに圧倒的な攻撃力と言うものがある。何度も言うようにISの絶対防御を抜いて搭乗者に致死ダメージを掠るだけでも与えられるのだ。それゆえ救助活動等の高威力が必要の無い場面ではISに一歩譲ってしまうとしても、ACの本領が発揮できる戦闘となっては話が違う。
俺は今、攻撃をどうするかと言う事で頭を悩ませていた。目の前に同じく佇むIS夜桜を纏った織斑 千冬を殺さずにすむ方法を考えている。
俺の纏う専用機、ACヒュンケルは速度と防御に重点を置いた機体であり、それ程攻撃力が高いというわけでもないが、目の前の夜桜は攻撃と速度に特化されており、防御が紙同然である。
「ふむ、来ないのなら此方から行くぞ。」
試合ではないので別に戦闘開始のブザーがあるわけでもなし、ただ知らせる目的でそう声を掛けてくる千冬。速度特化の機体だけあって、かなりの速度で迫ってくる。ACを装着している俺だからこそ見えてはいるが、下で見上げている暁美達四人には見えて無いのではないだろうか?
いや、暁美からACの、束からISの反応があるから、あの二人は専用機を部分展開して見ているのだろう。せめて管制室行けよっ!!
「うおっと…」
流石に突っ込んでいたのは拙かったか、IS以上の機体性能を誇るACに攻撃が掠った。
俺の作ったACはコジマ粒子を使ってはいない。あれは環境汚染が怖いし、予定よりも大幅にエネルギーを生み出す燃料電池が出来た為でもあるが、コジマ粒子が無い為プライマルアーマーが無い。それ程バリアが強力であるというわけでもない。
では何がIS以上の性能に引き上げているか。それはエネルギー固定システムと呼ばれるプライマルアーマーに代わるバリアシステムと、各感覚に直結してACの見ている、感じている世界を理解してしまうAKSシステムがシステムAMSの代わりをしている。
エネルギー固定システムは、余剰エネルギーを瞬時に集め、物理的な盾を形成する。近いもので言えばピンポイントバリアだろうか。余剰エネルギーで構成されるため、ISの絶対防御程エネルギーを食わず、また一か所に集めて構成するため、絶対防御以上の硬さを持つ。
またAKSシステムは脳に直結させるシステムAMSとは違い、微弱な電気刺激にて反応を極端に上げるのと同時に、普段使われていない脳の部分を各感覚を刺激することによって引き起こすのだ。要は火事場の馬鹿力を意図的に引き起こすもの。システムAMSよりも体に負荷が少ない。
いくつもの有利な点があるのにも係らず、それこそ油断していても一方的に勝てるのにもかかわらず、操縦者の腕の差で覆されてしまった。
「あー、こりゃ油断なんか出来ねぇ…」
「当たり前だ。私を誰だと思っている。」
俺の呟きを拾ったのか言い返してくる。その様子はまさに堂々としたもので。目の前の存在が世界最強である事を思い出した。
しょうがねぇ、いっちょやりますか。決意を新たに、目の前に佇む世界最強へと向かってブースターを吹かした。
「何で攻撃しないんだ?」
「威力が高すぎるからだよ。」
上を見上げて、貴ちゃんの様子に一夏が疑問の声を上げる。貴ちゃんの機体ACヒュンケルは織斑 千冬の乗る夜桜に攻撃を仕掛けるように接近するも、すぐに横や上方を抜けていく。その速度は勝っているのにも関わらずだ。
何故かは判っている。ヒュンケルの攻撃手段の一つは拳によるもの。唯のパンチだが、エネルギー固定システムを使い拳をエネルギーで纏えば、十分ダメージとして通る。だが、夜桜の防御能力では不安が残る為、あえて寸止めに近い事をしているのだろう。
それを千冬が驚異的な身体能力で回避しようとして、貴ちゃんがそれを仕切り直す為に避けていると言った所だろう。
「なんで、射撃武器を使わないんだ?」
「私たちが居るからだね。」
普通に射撃武器を使えば、重力を味方に付けた流れ弾が当たる可能性があるが、そもそも夜桜には射撃武器は無いし、ACヒュンケルも今回は射撃兵装を外している。だからこそ堂々とこうやって真下で見ていられるんだけど。
「うー、双眼鏡だと何が起きているのか分かりづらい…」
そうだと思うけど、我慢してね。ACに乗っている以上貴ちゃんが勝つのは疑いようもなく、お姉ちゃん大好きの一夏に千冬が殴られるところ等見せたくないからこそ、わざわざ説得してここに連れて来たんだから。
「ねー、あーちゃん。貴ちゃんどうやって勝つと思う?」
「さぁ、何かを作る時の貴ちゃんは思いもよらない事をしでかすから。」
束に自分も思っていた事を問われ、上を見ながら曖昧に答える。自分はACを、束からISの反応が検出されている所から、束もISを部分展開してハイパーセンサーで見ているようだ。
またヒュンケルが仕掛けるが、夜桜の横を通り過ぎていくだけだ。そのまま両者は相対し続ける。何処で仕掛けるのか、何をやるのか予想がついていない。原作では最強の一角として書かれていた千冬をどうやって攻略するのか少しワクワクしていた。