IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第十三話

 以外に貴輝は苦戦していた。どうやって怪我させずに世界最強を止めるか。単純に殺してしまっていいのなら当たる攻撃をすればいい。ISとACの性能差ならばそれ程難しい事ではないが、それでも相手の弟や知り合いが下で見ているとなっては気分が悪い。

 

 (痛みによる行動不能ぐらいがちょうどいい。)

 

 方針は決まった。やり方も考え付いた。後は千冬の癖や力量による微調整だが、そんなもの戦いながらやればいい。貴輝は千冬の隙を突く様に全身する。

 

 ACヒュンケルの加速は背中の中心につけられたロケットの様な物で行う。ただ真っ直ぐにしか進めないが、そこは肩の部分、腰の部分についている補助ブースターで無理やり曲がる。実はこうするとエネルギー固定システムが誤作動を起こし、肉体への負荷を減らせてしまう。あえて例えるならローラーでカーブを曲がるミニ四駆だろうか。バリアの壁に沿って曲がっている様な感覚に陥る。

 

 (この角度か。)

 

 一度目の回避で千冬の癖と、関節部への効率的な負荷の与え方を知った。

 

 「当たらないっ!?」

 

 驚く千冬を無視して二度目で回復速度と力量を見抜く。そのままこちらを向いたのを確かめて三度目、四度目と向かって行って大振りに回避する。

 

 着々と関節部が披露していくのが分かった。あと数十回秒未満の速度で繰り返すだけだ。IS夜桜もACヒュンケルも速度特化であり、互いに向かってきてる以上、相対的にぶつかり合う速度は増しており、ましてや千冬の負けず嫌いな部分を刺激してしまったのか、千冬も冷静な様子ながら、何処かムキになっているようだ。

 

 (全体的に良い感じで疲労している。これなら…)

 

 千冬自身気付いていないようだが、そういう風にしたから仕方ない。だが、あと一回ぶつかれば千冬の関節は肉体が許容できる疲労を超えて、限界を知らせる為に痛みを発するはずだ。

 

 「ぎっ、な、なに?」

 

 (かかった…)

 

 最後の突撃に合わせて雪片改を振るってきた時は胆が冷えたが、それでも次の瞬間千冬は苦悶の声を上げて雪片改を手放してしまった。

 

 ここから出来るだけ攻撃の間隔を開けずに攻撃していく。あくまで疲労であって、時間を置くと回復されてしまう。例えるなら、正座をしていて痺れた足の裏をつんつん突く様な物なのだ。我慢出来そうで出来ない痛みの類で、しかも予期していない痛みの為、耐えることが出来ない。

 

 下手に全力攻撃が出来ないため苦労するが、それでも触れるだけでいい為、何とかなっている。そしてそろそろなのだ。関節部の疲労はやがて筋へと移り、攣った状態になる。

 

 「がっ、ぐっ、くそ…」

 

 上手い具合に四肢が攣って、四肢を広げて大の字になる。苦悶の表情と悔しさが滲み出た表情が混じった様な顔でこちらを見てくる。とりあえず止めを刺す為に、ただ上に乗っかるような上からの蹴りで、地上に向かって押し出した。

 

 

 

 

 束に声を掛けたのは同類だと思ったから。小さい、幼稚園の頃に、木の根元に一人座り込んで寂しそうにしていた束に声を掛けたのは、私もそうだったから。

 

 幼い頃から無駄に怪力で、運動神経はずば抜けていた。周りと違う所か、下手な大人よりも力があると気付いたのは何時だっただろう。

 

 周りの目は奇異を見る目で、強がり耐えていたあの頃。一目で同類だと思った。

 

 「走馬灯?ISを纏っているから死ぬわけじゃないのに?」

 

 過去の事が頭をよぎっていく。轟々と音を立て風が空へと登っていく。自身が落ちているからこそそう感じられる。体は引き攣った様な痛みで動きそうもない。だがISの絶対防御があるから死にはしない。怪我もないだろう。それが分かっているそんな状態で過去の事を思い出していた。

 

 一瞬走馬灯だろうかと考えたがどうも違う。一度目をつむり内側へと問いかけるように千冬は自問自答する。

 

 「ああ、あいつの作ったものが負けるのが許せないんだ。」

 

 束の、腐れ縁の似た者同士。そんな存在が作ったものを自身が駆り、負けた事が許せないのだ。こうなるまでは面白いと思った。自身とやり合える存在なんか束以外に居なかったから。目の前の存在がどれほど自身を楽しませてくれるか、ただ気になっていた。

 

 が、結果は相手の方が上手であり、そして今自分は手も足も出ない状況で負けている。ああ、嫌だなぁそんな風に考えた瞬間、千冬は光に包まれた。

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