IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第十四話

 夜桜のコアは初めて千冬から流れ込んできた感情に戸惑っていた。ISコアには感情があると言われている。まさしくその部分が千冬の感情をくみ取った。

 

 夜桜は暮桜と呼ばれた最初期から千冬の愛機である。コア自体は代わっておらず、千冬の感情と言うものを昔から見ていたのだ。

 

 だが、千冬のこんな感情は初めてであった。元々千冬には楽しく試合をしたい。や相手が面白い相手だと良いなといった感情ばかりだったのだ。それも仕方ないのかもしれない。織斑 千冬は生まれつき勝者であったのだから。

 

 だから、初めて負けるかもしれない。相手に勝ちたいという感情を夜桜のコアは知らなかったのだ。夜桜のコアは千冬の願いに答える術を知らない。だから千冬のしたい事を叶える事にする。地上に落ちた雪片改の回収。体の疲労の回復。それがセカンドシフトとなって表れた。

 

 「まさか、セカンドシフトぉっ!?」

 

 下から束の驚く声が聞こえた。驚くのも無理はない。今現在全てのISで第三世代機がセカンドシフトしたという事例が無いのだ。

 第二世代までなら当たり前の様になっており、セカンドシフトすることで特殊能力、例えば零落白夜の様なワンオフアビリティーが発現する。ただし、すべての機体で発現するわけでは無く、全ての機体でワンオフアビリティーを使えるようにと目指したのが第三世代機であり、その為にセカンドシフトはしないものとされていた。

 

 「体が軽い?」

 

 「何っ!?」

 

 驚いた様子で体の調子を確かめる千冬の変化に貴輝は戸惑いを隠せなかった。少なくともあれで終わったと思っていた所にこの変化である。

 

 「『無限帰還』、ワンオフアビリティーか。」

 

 夜桜にはワンオフアビリティーが発現したと文字が躍っていた。千冬はそれを発動させる。

 

 「なんだとっ!?」

 

 千冬の手には地上に落ちた筈の雪片改が握りしめられていた。その事実に驚き、貴輝は動きを止めてしまう。

 

 「余所見は感心せんな。」

 

 「っ!?」

 

 イグニッションブーストを使って眼前まで光の様に移動する。雪片改は既に振り上げれており、咄嗟に肘部分になっていたレーザーブレードを取り出し受け止めた。

 

 だが、前へとつんのめる。受けて押し返そうとした瞬間に後方へとイグニッションブーストで逃げられ、バランスを崩したのだ。

 

 「『零落白夜』発動。」

 

 千冬の宣言と共に雪片改の刀身部分が半分に割れ、中からビーム上の刀身が出て来る。第三世代機である夜桜はワンオフアビリティーであるはずの零落白夜を機体特性として使える。第三世代機の特徴の特殊兵装として零落白夜を積んでいるからだ。

 

 これで夜桜はワンオフアビリティーを二つ同時に発動したことになる。警戒を高める貴輝の目の前で、何を思ったか、かなりの距離があるのにも関わらず千冬は雪片を振るった。

 

 「ウソだろっ!?」

 

 零落白夜、ビーム状のエネルギーの刃が貴輝に向かって飛んできたのだ。先程と同じくレーザーブレードで受けようとするも、対象のエネルギーを消滅させてしまう零落白夜の刃である以上レーザー部分が消失。運良く柄の部分で弾けた。

 

 「ぐっ!?」

 

 だが、前を向いて驚愕した。雪片改がすぐ目の前にまで迫ってきていたのだ。千冬は離れた場所で投擲後のようで、ようは雪片改を投げたのだ。

 

 雪片改が当たった衝撃でレーザーブレードを落としてしまった。まるで借りは返したぞと言わんばかりに地上に向かって落ちて行ったレーザーブレードはガンという音を立てて転がった。投げた筈の雪片改は何故か千冬の手に収まっていた。 

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