IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第十六話

 「うぎぎぎっ…」

 

 「ふぅ、まだやります?」

 

 俺の降伏勧告を聞いた千冬は、先程までの諦めた様子をかなぐり捨て、歯を食いしばりながら何とか立とうとする。だが俺はそれを許してたまるかと手で右に大気を押して、空気で地面に千冬を押し付ける。

 

 「ちょ、ちょっと待てって」

 

 「あん?」

 

 そんな俺達に一夏が駆け寄ってきた。何かを言いたいのだろうが、慌てて駆け寄ってきたので息が切れているらしく、ゼェハァゼェハァ息を整えている。

 

 「なぁ、さっきは場の空気に流されたけど、この話無かった事に出来ないか?」

 

 「はぁ…」

 

 息を整えた一夏が言った言葉は一夏の引っ越し話の撤回したいという事だった。確かに一夏は断りたい雰囲気であったが暁美と束が強引に話を持って行ったんだった。

 

 だが、一夏のはっきりしない態度で、世界最強と全力戦闘させられた俺は如何したらいい。思わず溜息が出た。

 

 千冬も一夏の申し出に大人しくなっており、俺はもう空気で押さえる必要もなくなり、千冬を解放した後ACヒュンケルも解いた。

 

 「イっくんは箒ちゃんと別れてもいいの?」

 

 だが、それを納得しない二人が居る。束と箒姉妹だ。束は私怒ってますと表現するように両手を上げて、あえて言うのならウガーという所だろう。一夏に詰め寄る。箒も顔を真っ赤にして拗ねているような表情を見せていた。

 

 「あー、でもな…、千冬姉をあの家一人にしたくないし…」

 

 「私は子供かっ!!」

 

 「いてっ!?」

 

 一夏の言葉にISを解いて立ち上がった千冬が突っ込みを入れる。一夏は頭を押さえながら、千冬姉一人だと洗濯すら真面にしないじゃないかと言い返す。

 

 「出来るわっ!!お前が家事をするようになるまで、誰が家事をしていたと思っているっ!!」

 

 道理ではある。織斑姉弟の両親は一夏が小さい頃に蒸発しており、千冬はまだまだ幼く家事が出来ない一夏の面倒を見ながら、家事をして、養っていたのだ。当然最低限は出来る。一夏が小学校に上がり、家事が一夏の仕事になった辺りから、確かに千冬は家の事に手を付けてないが、それでも錆びついた訳では無い。

 

 「それはありがとう。」

 

 「うっ、どういたしまして。」

 

 千冬の叫びに、一夏は急に真面目な顔になって今まで育ててくれて有難うと腰を折った。そんな一夏の様子に思わず言葉に詰まる千冬。

 

 「だけど、ここって学区外なんだよ。学校に親友も居るし。」

 

 「うっ…」

 

 そんなやり取りの間も、憤っていた箒も一夏の言葉に詰まった。自分が保護プログラムで親友や幼馴染と別れさせられており、それを自分の我儘で好きな人に強要することに躊躇いが出てきたのだ。

 

 「で、でもそれだと私は如何なるっ!?」

 

 「箒だけ家に住めばいいじゃん。」

 

 箒の叫びに、俺はそう告げた。なんか周りがハトが豆鉄砲食らったような顔をしてる。また俺ってやらかした?

 

 「…そういえばそうだよね。家で会えばいいだけだし、下手に一緒に住むより恋仲が進展するかも。」

 

 暁美の言葉にワーワー騒いで暁美の口を塞ごうとする箒。まだまだ鈍感というか、今の呟きを聞いていなかった一夏は行き成り騒ぎ出した箒に?マークだ。

 

 「そうだな。箒、そうしろよ。俺も会いに来るから。」

 

 「あ、ああ。一夏がそういうのなら。」

 

 ダメ押しは一夏がやった。一夏の言葉に箒は頷き、こちらを見て頭を下げる。

 

 「これから宜しくお願いします。」

 

 俺は何故か内心嬉しく思った。なんだろ、普通なら頭が痛くなるような事柄だと思うのだが。だが、部屋の確保とか忙しくなるだろうと思う。まぁ暁美に任せればいいだろう。後は何故か半日かからず家の中を把握したシャルロットが手伝うだろうし。

 

 この場に居ないシャルロット。管制室の方で戦闘映像を撮って貰っていた。後で何か作るのに役に立つだろうと思って撮って貰っていたのだ。ここに居ないシャルロットに燥ぐ暁美と束を押し付ける事にした俺は、もう見えない大気の構成を何とかしてもう一度見える様になろうとしていた。

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