IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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原作前 中学三年のイベント
第一話


 シャコシャコシャコと口の中を泡立てて歯を磨く。洗面台の鏡に背後の景色が映りこんでいた。

 カラッと晴れた外で真っ白なシャツをパンパンと伸ばしている正統派メイドが居た。ミニスカとかではなく足首まで隠れるような紺色のスカート。対比するような真っ白なエプロン。カチューシャまできっちり装備したシャルロットが洗濯物を干している。

 メイド服は暁美の私物であり、女になった直後は落ち込んでいた暁美も、今では女の生を楽しんでいる。コスプレもその一つで、今では可愛い物、似合うものを買いあさる日々である。シャルロットも何気にメイド服を気に入ったのか、今では家事の間は殆ど着ている。

 

 「うっせ。」

 

 のんびりと流れる空気が連続して鳴らされるチャイムによってぶち壊された。思わず愚痴が漏れる。泡が飛び、洗面台に落ちた。

 こんな事をする奴は知り合いに一人しか居ない。思わず頭を抱えたいが、そういうわけにもいかない。口の中を濯っている間にも暁美が玄関に向かって開いてるよーと叫んでしまったのだ。

 

 「あーちゃん、あーちゃん、明日だよ明日っ!!」

 

 「おー、決まったの束。」

 

 廊下をバタバタバタと慌ただしく駆けてきたのは、ISの生みの親。『篠ノ之 束』その人であった。

 暁美の事を独特なあだ名で連呼して、本当にうれしそうに暁美に抱き着く。前々から三人で計画していたことが、明日ついに形になる。

 言っとくが、俺は入ってないからな。三人とは束、暁美、シャルロットだからな。何だかんだと手を貸したが、それでも俺は反対なんだ。

 

 「あー、頭いてぇ。」

 

 俺の口癖みたいになったそのセリフを呟き、頭に手をやった。

 

 

 

 

 「あー、メーデー、メーデー。こちらコードネームA、配置につきました。」

 

 「こちら本部、対象はどんな様子ですか?」

 

 暁美が無駄に目立っている迷彩色の服装で、茂みに隠れながら噴水の前に立っている箒を見ている。

 

 「おー、箒ちゃん気合入ってるねぇ。」

 

 「まぁねぇ、一夏とのデートだもんねぇ。」

 

 今箒は一夏と待ち合わせをしている。シャルロットが選んだ、中は黒目の文字入りTシャツ。下は動きやすさを重視して短パン。その上から大き目の隙間の多いの白いレースワンピースを着て、それが短パンを隠してスカートの様になっている。

 髪は何時ものポニーかと思ったが、いつもより高めに結ってある事で首筋が出ていた。化粧は薄く、ただ唇だけはラメ入りピンクでプルンと湿っていた。手には薄いベージュのハンドバッグ。

 衣装こそ三人は知っていたものの、どんな化粧をするのか三人は知らなかったのだ。

 

 「遅いな。いやいや、一夏も用意はあるだろうし。」

 

 そんな事を呟きながら何度も、何度も腕時計を確かめる。

 

 「こういうのって男の方が先に来るものじゃないの?」

 

 「流石に一時間以上早く来いってのは酷だと思うよ。」

 

 そんな箒の様子にお姉ちゃんは心配になるが、箒が待ち合わせよりも早く来過ぎているというだけでまだ待ち合わせの時間まで一時間以上ある。

 

 「あ、来た。」

 

 だが、一夏もこういう場合は先に来る性格をしており、まだ一時間以上前だというのに姿を現す。一夏の姿を見つけた箒は本当にうれしそうに微笑み、一夏に手を振る。

 

 「わりぃ、待ったか?」

 

 「いや、今来たところだ。」

 

 嘘つけと言いたい。少なくとも一時間は待っていたくせに、笑顔で嘘を吐く箒。

 

 「あー、すまん。ほら、これでも被っとけよ。」

 

 「うわっ、あ、ありがとう。」

 

 だが、一夏も目ざとく箒の額に流れる汗を見つけて、結構な時間を待たせてしまったと考えたのか、暑さ対策に被ってきた野球帽を箒に被せる。

 突然の事に驚く箒であったが、すぐに一夏の気遣いに嬉しくなり、笑顔で礼を言った。

 

 「イっくん、キザだねぇ。」

 

 「一夏って箒と付き合いだしてから女誑しがパワーアップしてない?」

 

 茂みの中で束と暁美が今のやり取りを見て、少しげんなりしている。自分達は何をしているんだろうという思いが出てきたのだ。

 その間に箒と一夏は指を絡める、所謂恋人繋ぎで歩き出す。ただ繋いでいるのではない。最初は箒からだった。一夏の手の甲を指で擦るのだ。それに一夏も返して箒の手の甲を擦る。少しでも一緒に居たい、くっ付いていたいというように。

 茂みの中でそれを見た二人は、無性に叫びたくなったという。

 

 

 

 「んで、なんでシャルは行かなかったんだ?」

 

 「だって旦那様といちゃついていたかったしね。」

 

 家のリビングで目の前に居るシャルロットに、なんで二人の様に着いて行かなかったのかと尋ねた所、ここの所二人きりになれる時間が少なかったじゃないかと言う言葉が返ってきた。

 戸籍上はすでに夫婦であり、何だかんだと長い時間一緒に居ることで、それなりの恋愛感情は生まれている。

 うるさい人物が居らず、俺がこうゆったりする時間が好きなのを知っているシャルはメイド服のまま、日本茶を湯呑で啜って飲んでいた。

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