IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
「ほら次はお前だ、束。」
騒ぎを無理やり力尽くで収めた千冬が束を前へと押し出す。何故束がIS学園に居るかと言うと、皆がIS学園に入っちゃって、束さんは家で一人なんてヤダーと言い出したからだ。
束も長年の暁美の説得によって、人見知りもかなり改善されており、知らない人物でも普通とは言えないまでも、興味が無い程度で話す事は出来るようになっていた。そこでISの開発者という事を利用してIS学園で臨時特別教師をする事になった。
政府も下手に隠れられるよりも、所在が分かった方がいい。その上、束がいくら日本人、日本国籍だからと言って日本に拘束すると世界各国が煩い。IS学園は都合が良かったのだ。
何故俺達がIS学園に通う事になったかは、例の姿が見えない誘拐犯が、今年になって動きを掴ませたのだ。IS学園で何かしら騒ぎを起こすと言うだけであったが、それでも防げるのならば防いでおきたい。IS学園には各国の人間が入り混じっているのだから。そこで俺達がIS学園に入学し防ぐと言うもの。一夏がISを動かしたのは、原作を知っている暁美が束に話した為。束も一夏と箒を引き離したく無かった為に一夏がISを動かせるよう細工をした。
五反田は、一夏の親友で悪友である事を知っていた束が仕組んだのだ。そういう所も束の性格が改善されている所なのだが、今回は悪い方向と言ってもいいか?
「ハロハロ。天才束さんだよ。臨時でIS構築論と基礎データ学を受け持つことになったよ。宜しくね。自己紹介終わり。」
束の簡潔な自己紹介。教師側としては十分ではないだろうか。篠ノ之 束の名前は世界中で有名だし、何をするか、なんで居るかは言っているし。
「ねぇ、もしかして篠ノ之さんって…」
ざわつく教室内で誰かが言い出した言葉。この場合の篠ノ之と言うのは、束の事ではなく箒の事。自己紹介こそ途中で止められているが、それでも教室に入るときに名前の書かれた紙を見て席を探したのだ。珍しい苗字に覚えている人間が居ても不思議ではない。
「うん、そうだよ。箒ちゃんは私の妹なのだ。」
まぁ、隠すようなことではないし、束があっさりばらしてしまうが箒は別段嫌な顔をしていない。仕方ない事だと思ってはいても、教室に向かって一度頭を下げた。
「早速だが、授業を始める。残りは休み時間にでもしろ。」
教室が再び喧騒に包まれるかと思った瞬間、千冬が声を掛けて前へと注目させた。というか入学初日から授業があるんだな。
まぁ初日だからかISの基礎理論なのだが、専門用語があまり知らない俺には新鮮であった。ついでに束と千冬は横にずれて、教卓には山田マヤ先生が立っている。
「え、えっと。ここまでで分からない場所はありませんか?」
切の良い場所まで来た為に、山田先生が教室を見回して聞いてきた。女生徒はそもそもIS学園に入学する為に勉強しているだろうし、一夏は電話帳と間違えて、必読と書かれたISの基礎理論の参考書を捨てそうになっていた所に出くわし、徹底的に教えたから大丈夫だろう。意外なのは五反田か?ついて行っているように見える。
後に分かった事だが五反田 弾が授業について行けるのは、五反田の趣味がミリタリー関連であったから。ミリタリーオタクの五反田が、今はスポーツの道具だといえど、元兵器であるISについて興味を持っていないはずがない。ましてや基礎理論と言えど、その参考書を貰って読んでいないはずが無かったのだ。
「お、織斑君は如何ですか?」
「大丈夫です先生。」
「そ、そうですか。それでは続けますね。」
問いにシーンとした空気で返され、思わず一番前の一夏に質問をしてしまうも、笑顔で大丈夫と返され、顔を真っ赤にしながら授業を再開した山田先生であった。
千冬と束が山田先生に鋭い目を向けているのに気付いたが、まぁ千冬は束よりも常識人だから放置しても大丈夫だろうと思う事にした。