IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
「なるほど。コンセプトが同じと言うのはこういう事かぁ。」
管制室、そこでデータ取りをしている束の独り言が耳に入った。束の方を見ると一人でウムウム頷いている。見ただけでどういったものか理解したのだろう。と言うか曲がりなりにも世界に勝てる天災である。
「でも、このままじゃ負けるよね。」
「ああ、だが最適化が終わるのは後少しだ。それまで持ち堪えられるかどうかだな。」
俺の隣でデータ取りを手伝ってもらっていたシャルロットがこのままでは五反田が負けると予想。デュノア社で鍛えられているだけあって、データ取りぐらいなら任せられるから任せたが、そういえばこいつも、原作では代表候補生だったはずなのだ。俺の所に嫁いできたうえ、ISが兵器から転落した為に、デュノア社と言えどごり押しできず、一般生である。
だが、代表候補生になれるだけの実力はあるのだろう、シャルロットの予想は概ね正しく、実際五反田は不利である。
何故なら同じコンセプトという、同条件で格上の人物と相対しているのである。策も何もない状態で。これで勝てと言う方が無理であろう。オルコットはブルー・ティアーズを乗りこなす為に訓練と言うか練習を積んできているだろうし、何よりもIS機動に大切な搭乗時間が桁外れなのだ。
唯一勝てるとしたら、原作一夏同様、ファースト・シフトと同時にワンオフアビリティが発動してくれることを祈るだけだ。その点は俺が仕組んだから問題ないと言いたいが、ファースト・シフトする前に落とされては元も子もない。
そんな風に考えている間にも、オルコットは黒狼王の攻略方法を思いついたのか、実践に移していた。
要はブルーティアーズを囮にして、車線軸を確保。引き金を引くだけなのだが、オルコット以上に未熟な五反田には避けることが出来ない。辛うじて直撃をしていないものの、見る見るうちにシールドエネルギーが減っていく。
オルコットも未熟な面はある。ブルーティアーズを動かしている間は、その操作に集中しているために、自機を動かすことが出来ないと言うものだ。動かせないなら、最初から五反田に狙いを付けておけばいい。そしてブルーティアーズで、五反田の無線誘導兵装を釣り、車線軸を確保した後、引き金を引いているのだ。
そんな無茶苦茶な射撃でありながら、五反田に命中させているのはオルコットの未来予測射撃の精度が高い事を指している。だが、自機を動かせないと言う未熟さが足を引っ張っており、それが五反田に直撃させられない理由だ。
「あと、あと少し、耐えられるならば。」
「何それ?」
俺が手元の携帯機械を見ながら、思わず呟いていたら、暁美が後ろから覗き込んでいた。
「これか?黒狼王のパーソナルデータを受信してんだよ。」
「そんな事出来んの?」
「正確には今まであった奴を小型化しただけ。」
暁美に説明しつつ、今の状態を確認すると、最適化がもうすぐ終わると出ている。初期化は終わっているから、これが終わればファースト・シフトし、黒狼王は晴れて五反田の専用機となるのだ。
「あっ!?」
「…これは終わったか?」
携帯機器から正面に視線を移すと、ついにオルコットが五反田を捕らえて、スターライトMKⅡの攻撃を直撃させた所であった。誰かが思わず驚きの声を上げたが、俺はそれよりも、黒狼王の方へと関心が向いていた。
スターライトMKⅡの攻撃が直撃した為に吹き飛ばされ盛大に土煙を巻き上げて、その中に消えた黒狼王。だが、管制室の機械によるとシールドエネルギーはまだ残っており、今だ五反田が生きている事を知らせている。
「よし、ドンピシャ。」
「なっ、このタイミングでファースト・シフトするの?なんて運の良い…」
俺の呟きは小さかった為に、誰にも聞かれなかったようだ。隣で事情の知らないシャルロットが驚きの声を上げているが、とりあえずは前を向いておこう。
土煙の中で発光していた黒狼王はその姿を変えて、空中へと繰り出したのだった。