IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
不覚にも俺は、簪の言葉に茫然としてしまった。だってそうだろ。代表候補、兵器では無くなったとはいえ、国が威信を掛けて開発するISの代表候補。当然専用機だってそれに見合ったものになるはずなのだ。
「えっと、私が開発するって持ってきちゃって…」
詳しく聞けば、一人で組み立てたと言う噂がある姉への対抗心と、開発が中々進まない状況にいらつき、無理やり実家の権力を振りかざして持って来たとの事だ。金有スポーツも災難だったなと言えばいいか、結局開発失敗している以上無駄だったなと言えばいいか、それとも何気にアクティブですねと言えばいいのか。
「はあ、少し見せて貰っていいか?」
「え、えっと…」
「貴輝なら何とかしてくれると思うぜ。」
「別に機体構成を弄るわけじゃない。何処がイケないのか調べるだけだ。」
関わってしまったのだから放置するのが嫌な俺が、そう声を掛けると躊躇するように声を出す簪。だが一夏がすかさずフォローしてくれた。こいつも恋愛面では無かったら、何故か鋭いと言うか空気を読めると言うか。
簪が心配しているだろう国の威信を掛ける以上、機密情報もあると言う事であろう。だがそもそも完成していない機体に機密も何もないと思うが。機体を作り上げると言う簪の思いを否定もしないとそう告げると、簪は宜しくお願いしますと頭を下げてきた。
「…コアと機体と武装の相性が滅茶苦茶だな。」
簪に席を譲ってもらい、機体構成データを拝見。そこでISコアと機体の相性、ISコアと武装の相性が最悪に近いほどに悪い事が分かった。もし試験として空を飛んだりしたら、途中でエネルギーが供給されなくなり墜落する危険性もある。武装等もってのほかで、エネルギーを武装面へと回されないから使えないし、パススロットに入れる事すら出来ないだろう。
ISコアには意識、心の様な物があると言ったはずだ。ようはISコアが好き嫌いする事があると言う事。打鉄弐式に使われているコアは、打鉄弐式が気に入らず、ましてやこんな武装なんか使いたくないと言っているのだ。
要はこんな服装させたうえで、こんなもの押し付けるなんて。何を考えてるの!!と駄々を捏ねているのだ。
企業にはそんな時には説得する。専用のOSを組んで対応するのだが、金有スポーツに分かれた時にそのOSを組む技術者が居なくなったのだろう。出なければ、幾ら全員では無かったとはいえ、打鉄と言う第二世代でありながら、今だ現役である優秀な機体を作った企業が詰まる事などないのだから。
「ど、どうしよう…」
「落ち着け。俺が組み方を教えるから。」
「お、お願いしますっ!!」
OSの話をした所、面白いぐらいに狼狽えた簪。そこで俺はOSの組み方を教える事にした。関わった以上、ましてや何気に好きな物作りで妥協もしたくないし、ここで放置するのも後味が悪いから。あくまで基本を教えるだけで、打鉄弐式用に仕上げるのは簪がする事とする事で、簪の目標の邪魔もしない。最後に俺がそれで大丈夫かは確認させて貰うが。
「ついでに一夏も手伝え。」
「いや、俺、整備とかしか出来ないんだけど…」
「道具とか取っ手貰えるだけ有り難い。」
後付けされているブースターの調子を見たり、OSを組むからといってISの整備を放置していい理由にはならない。そういった面でのサポートも必須で、一夏を巻き込むことにした。
「その程度なら、全然構わないぞ。」
一夏もその程度なら全然構わないと簡単に了承した。扱き使ってやろうではないか。俺がそれをしなくても、布仏が簪の知り合いであり、整備ぐらいならと友達を連れて参加。女性陣に扱き使われて一夏がヒーコラ言うのはもう少し後の話だ。
ちなみに簪の弐式がクラス対抗戦までに完成し、暁美が絶叫を上げたのは完全に余談だ。