IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第二話

 IS学園の面積は、ISと言うマルチフォーム・スーツを用いて競技をする為、あくまで学校と言う体裁の為に専門のスタジアム程広くはないが、それでも競技用アリーナを複数持ち、校舎、寮と言う建築物もある事から下手な島よりも広い。

 

 そんな広大な面積を誇るIS学園の外周部。海に面したやや緩やかなカーブを描く直線道を真っ赤なバイクが走っていた。

 

 ACレウスマンのバイク形態であり、当然乗り手は織斑 一夏である。一夏はいまだバイクの免許を取っていない為、公道は走れないが、治外法権を獲得しているIS学園内であれば走らせる事が出来る。

 

 ACもISと同じくマルチフォーム・スーツである以上、個人練習と言う名目で動かす許可を取る事が出来たのだ。ただ昼間の様な生徒が溢れている時間帯は、事故に繋がる可能性がある為、遠慮してほしいとの事だった。

 

 だからこそ一夏はいまだ月と星が出ている様な時間帯に走っている。ただもう少しすれば太陽が海の向こうから顔を出すだろう。空が黒から青、白が混じり出してる。

 

 「風が気持ちいいぃー…」

 

 だんだんと気温が上がってきており、夏に入りかけている。とは言ってもまだ朝と呼べない時間帯の為に、肌寒いが、全身を黒いライダースーツで覆っている以上、僅かに汗ばむ。爬虫類の頭を模したヘルメットの隙間から入ってくる風が、全身を押さえつけてくる風圧が気持ち良かった。

 

 思わず声に出してしまい、後ろへと流れていくような感覚で、一夏は岬に当たる場所までやってきた。ここで半分ほどまで太陽が顔を出すのを、バイクに乗ったまま眺めるのが一夏の日課であった。

 

 「うしっ、今日も一日がんばろう。」

 

 声に出して気合を入れる。バイクを反転させ、帰り道を着た時よりもゆっくりと、確認を怠らずに注意して走り出した。

 

 IS学園は体育学校である以上、この時間帯に早朝練習をしている生徒が居たり、走り込みをしている生徒が居たりするからだ。

 

 注意して走らせ、寮の前に止めるとポケットから鍵を取り出した。この鍵はISの拡張領域のみ使える代物であり、簡易のペケとも言える。貴輝が作ったレウスマンを仕舞う為の物だ。一夏がレウスマンをIS学園に持ち込みたいと貴輝に相談して、貴輝が作り出したもの。

 

 ISと同じく待機形態がアクセサリー状になっており、レウスマンはバイクの鍵である。一夏はそれを白式の待機形態であるガントレットの手前の、輪になった鎖状の物に鍵を付け手首に巻く。

 

 「千冬姉、朝だぞ。」

 

 寮長室に居る、今だ寝ていると思われる姉を起こす為、扉の外から声を掛けて自身の部屋へと向かった。

 

 鍵を開けて扉を潜ると、ベッドの上でボーとしている箒が居る。低血圧なのか、少しの間こうしてボーとしているが、もう少しすれば動き出す。早朝練習をしている生徒の内の一人であり、ただ一夏がバイクを乗り回したいが為に、周りより早起きしているので、それ程遅いという訳ではない。やっとこさ太陽が顔を出した所なのだし。

 

 ただ今日の場合は、箒が一夏が帰ってきたことに気付いて、オハヨウと声を掛けようとした所で一夏が慌てて後ろを向く。

 

 「ちょっ、ちょっと待て、箒。開けてる開けてる。」

 

 「へっ、わっ、見るなぁっ!!」

 

 「見てない、見てない。」

 

 箒は寝間着に浴衣を使っており、何時もなら寝返り一つしないのに珍しい。昨日は少しいつもよりは熱く、ほんの少し寝苦しかったのが原因であろう。前が開けて胸元が思いっきり見えている。

 

 一夏の慌てる様子に気が付いたのだろう、慌てて胸元を直し、布団を引き上げて隠す。

 

 「本当に見てないな。」

 

 「あ、ああ、見てない。開けてると思った瞬間後ろを向いたからなぁ。」

 

 「……見たいか?」

 

 キツイ視線を一夏に向けつつ、一夏に何処まで見たか問う箒。だが一夏は実は殆ど見ていない。浴衣が開けているのを確認した瞬間、反対側を向いて箒に声を掛けたのだ。流石俺、ナイス反射神経。と一夏が自画自賛していると、箒がぽつりと呟いた。

 

 その言葉は確りと一夏の耳に入り、見たくないと言えば傷付けてしまうし、見たいと言って言っただけと言われたら、下手をすれば変態の烙印を押される。ただ、それでも気になっている子にそんな事を言われた一夏は耳まで真っ赤にした。

 

 そんな一夏の様子を後ろから見ていた箒もまた、一夏が耳まで真っ赤にしたのが分かった為に、同じく真っ赤になったのだった。

 

 二人仲良く朝食を取れず、織斑教諭に怒られるのはもう少し後の話である。

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