IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス 作:yosshy3304
今現在教室は一つの噂で持ちきりだった。時間は朝のホームルーム前。と言うか結構早い時間帯であったが、寮で朝食を取った後、すぐに教室に入る生徒が多い為、ほとんどの生徒が登校している。
「二組に代表候補が入ったらしいな。」
「何でこんな時期に?」
当然貴輝や弾、一夏も登校しており、一夏の席に集まって、転校生の話題を話し合っていた。一夏は何故こんな中途半端な時期。入学してから一ヶ月は経っている時期に転校してくるのか疑問に思っている。
「あら、このセシリア=オルコットの存在を今更ながらに危ぶんでの転校かしら。」
「だから、何故捏造しますのっ!?」
後ろで暁美がセシリアの声色を真似て、いつの間にか何時もの光景になった漫才が始まった。暁美の声真似は本人と区別がつかない程で、周りからもおおーと拍手を貰っている。
「だいたい、中国の代表候補選抜の時期はアメリカ式でしょうっ!!」
セシリアが選抜時期の事を持ち出し、この時期の転校は当たり前だと叫んだ。
代表候補選抜試験は欧州式とアメリカ式とあり、内容は共通なのだが、その時期に半年近い開きがあるのだ。秋に選抜を行う欧州。そして春に選抜を行うアメリカ式である。これはアメリカの威信の為であり、アメリカにもIS学園程ではないがIS操縦者を育成する場所があるのだ。
まぁ、それでもIS学園のネームバリューは随一であり、IS学園で育った搭乗者はISのエリート搭乗者と言う様な肩書きを独占している。
アメリカ式が春に行うのはアメリカの入学式が秋に行われる為であり、欧州が秋に行うのは、IS学園への入学を考慮してのもの。
アメリカの真似をしている国は友好国以外にアジア圏に数多く、中国もまたその一つであり春先の選抜試験を行った国である。友好国でありながら、選抜試験の時期が不規則な日本は、曲がりなりにもIS学園がある為である。
中国の選抜試験を突破してきたのならば、専用機の受理や転入手続等で時期がずれ込むのは良くある事であった。
IS学園側はこういった事態に対し、柔軟に受け入れられるよう寮にある程度の空き部屋が有ったり、クラスの人数を少なめに調整されていたりする。
「ねぇねぇ、ダダンダン。」
「それもう固定なのね。」
そんなセシリアの抗議を聞いている弾の袖をクイクイと引っ張り間延びした声を掛けてきたのは本音であった。あだ名が何気にクラス中に広まっており、ガックシと肩を落とす弾。
「クラス対抗戦の優勝賞品、スイーツ食べ放題食券だって。」
「それは何か、スイーツ食べ放題の為に俺に優勝しろと…」
「あはは、でも余裕だよ。何せ専用機持ちは一組と四組だけなのだし。」
いや応援されるのは素直にうれしいのだが、その動機が不純すぎる。思わずジト目になってしまうのは仕方ない事だろう。笑って誤魔化す本音だったが、それでも専用機を持つのは一学年全クラス中でも二クラスしかない。弾の率いる一組と、簪率いる四組だ。本音も手伝って完成させたのだから、その情報には自信がある。
「その情報、古いよ。」
だが、すぐに教室の扉の所から否定の声が上がる。其処には低い身長でツインテールの勝気そうな少女が居た。
「鈴、お前鈴か?」
「そうよ。今日は宣戦布告にやってきたんだから。」
一夏が少女の名前と言うか、身内で呼んでいたあだ名を呼ぶ。鈴音は頷く様に肯定して、ビシッと指を突き付けた。
「何をカッコつけてんだ?」
「いいでしょっ!!カッコつけるぐらいっ!!」
だが一夏の呆れた様な空気に思わず自分のやった事に赤面してしまう。恥ずかしさを誤魔化す意味もあって、いつもの様に突っ込みが入った。正確には飛び蹴り。
「あー、クラス代表は一夏じゃないぞ。」
「へっ?あっ弾久しぶりね。」
「おう、久しぶり。」
今だ恥ずかしさを誤魔化す為に倒れた一夏に馬乗りになって殴り掛かっている鈴音の勘違いをただそうと、この光景になれている弾が声を掛けた。
鈴音も弾の存在に今更ながらに気付いて挨拶を交わす。気付かれなかった事に弾は別に何とも思ってない。何せ、この光景は鈴音が転校していく前までは普通の光景であったのだから。
「と言うか、何でアンタ等はISなんか動かしているのよ。」
「知るかよ。俺に聞くな、聞くな。」
テレビが壊れたのよと文句をつける鈴音。腕は確りと動いて一夏を殴ろうとしている。それを両手で掴んで止めている一夏。体格的には勝てても、ポジションが悪く、ましてや無理やり弾き飛ばす事も戸惑われて、不利な状態である。
弾も、その事には触れず、手を左右に振って何でかは知らないと言った。
窓際で箒が立ち上がり、鈴音の方へと寄ってくるも、途中で顔を引き攣らせ、鈴音の後ろを見て席にスゴスゴと戻っていく。
弾も顔を引き攣らせており、一夏も鈴音の後ろを絶望的な顔で見ていた。
「うん?…いったぁ、誰よ……、千冬さん?」
「予鈴は鳴ったぞ。さっさと自分の教室に戻れ。」
「うっ、はい。」
何が?と思った鈴音の後頭部を衝撃が襲った。音は普通にパンとなるだけであり、千冬が手加減している事が窺える。あくまで注意に留めたからだろう。
後ろを振り返って文句を言おうとしていた鈴音も、流石に千冬に逆らう勇気は無かったのかスゴスゴと隣のクラスに帰って行った。