IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第四話

 「ふっふっふっ、待ってたわよ一夏。ついでに弾。」

 

 「鈴、ラーメン伸びてるぞ。」

 

 昼休み、食事は寮の部屋に着いているキッチンで作った自作弁当か、食堂で食券を買って食べるかである。健全な肉体は食事に掛かっているという造語がキャッチコピーのCMも、食堂に備えられているテレビで流れていた。

 

 体育学校であり、肉体を行使する事が多いIS学園は、もっとも食事に気を付けている。食に執念を燃やす日本という国にあるのも原因かもしれないが、多国籍の人間が通う場所で下手な物を出せないと言う思いもあったのかもしれない。

 

 何が言いたいかと言うとIS学園の食事は本当に美味しいのだ。弾の実家は定食屋で一夏もお世話になっている。鈴音も日本に住んでいた頃は実家で中華料理屋を経営していた。何度も足を運んだことがある。

 

 そんな場所二つと比べても、遜色ない味。パートのおばちゃんが凄いのか、それとも弾や鈴音の実家が大したことないのか、いやそんな訳がない事は一夏自身知っている事なので、やはりパートのおばちゃんが凄いのだろう。

 

 そんな食堂の入口に通行を塞ぐように立っている鈴音は他の生徒の邪魔であった。文句を言われないのは見た事無い生徒だからだろうか。それとも言われても乙女回路全開で妄想に耽っていた鈴音が無視をしたのかは分からない。

 

 だが確実に言える事は鈴音が結構長く待っていた事であり、その手に持っている御盆に乗ったラーメンがのびている事である。

 

 一夏に指摘されて今気付いたと言う様な、いや、今気付いたのだろう鈴音が顔を引き攣らせており、後ろで弾が笑うのを耐えている様な仕草をしている。

 

 「はぁ、しょうがない。ちょっと待ってろ。」

 

 「えっ、へっ?うん…。」

 

 こういう事は鈴音が日本に居た頃は結構頻繁に有った。何故か動きを止めてボーとしてしまう事が多くあったのだ。原因は鈍感な一夏の不用意な一言だったり行動だったりするのだが、改善されたとはいえ、今だ鈍感な時が度々ある一夏である。その事に気付いてはいなかった。

 

 こんな時は何故か一夏が責められ、処理する事になってしまう。今回もそうだろうと一夏は動いたのだ。

 

 「ほらっ、交換しようぜ。」

 

 「えっ?わ、悪いわよ。」

 

 「いいさ、そっちの方が多く食べられるだろう?」

 

 一夏が頼んだ同じラーメンを鈴音に手渡し、鈴音の持っていた冷めてのびたラーメンを無理やり奪い取る。流石に悪いからと断る鈴音に適当な事を言って、無理やり奪ったラーメンを啜った。

 

 流石にIS学園の食堂でも、のびたラーメンは美味しくなかったが、スープにはダシの味が出ており、食べられない訳じゃない。だが麺がのびきっている事には変わりなく、一夏は一気に啜ってしまうのだった。

 

 「鈴もぼけーとして無いで、早く食っちまえよ。」

 

 「わ、分かったわよ。」

 

 そんな一夏の気遣いに顔を赤くして見入っていた鈴音であったが、またしてものばしては勿体無いと、一夏の指摘に慌ててラーメンを啜る。

 

 そんな鈴音を険しい目付きで見る箒が居た。一夏の方は、知り合いのようだし、一夏の性格を考えれば知り合いが困っていれば手を貸してしまう。自分も助けて貰った口だし、相手が女子だと言えば、IS学園は実質女子学。一夏にそういう目を向けてくる女子も結構な数が居るが、元々鈍感過ぎる一夏に、そういう話が浮上してくる訳が無く、今回もそういう所だろうと口を出さなかった。

 

 だが、どうも一夏との距離が近い様な気がする。もう一人の男子、一夏の親友と紹介された五反田 弾の話を聞くと、もう一人御手洗 数馬と言う男子と目の前の鳳 鈴音の四人で良くつるんでいたと言うではないか。

 

 何かがあったのかもしれない。当時の一夏の鈍感さを顧みるに、まったくこれっぽっちも伝わっていない様なのだが、それでも心配になる。

 

 「な、なあ、一夏?彼女とはどういった関係なんだ?」

 

 「へっ?あっそうか。まだ紹介してなかったな。こいつは鳳 鈴音。箒が転校していったすぐ後に転校してきたんだ。幼馴染と言っていいか分からないが、仲は良いぜ。んで、こっちが箒。鈴が転校していったすぐ後に再開した幼馴染。」

 

 ちょうど一夏も食い終わった所だしと箒は聞いてみる事にした。一夏もまだ紹介していなかった事に気付いたのか、改めて箒に紹介してくる。これは仕方ない事だろう。メンバーは一夏と箒と弾なのだから。知らないのは箒だけ。一夏が紹介を忘れるのは仕方ない事だった。

 

 そして鈴音にも箒を紹介する一夏。ラーメンを啜るのを一端やめ、箒の事を上から下まで眺める。

 

 「ふーん…」

 

 「な、なんだ?」

 

 その視線にはまるで見極めるようなものが含まれており、箒は思わず腕で体を隠してしまう。鈴音も自分にはないプロポーションに心の中で負けたと思っているが、態度には出さず、いつも通りの強気な姿勢を崩さない。

 

 なんでもと返した鈴音は改めて一夏に向き直る。

 

 「ねぇ、約束覚えてる?」

 

 「約束?あっ、あれか。大きくなったらってやつ。」

 

 「そうそう。」

 

 唐突に一夏に転校する前にした約束を覚えているかと問うた。一夏は少し考えるが、すぐに思い出したのか、それであってるかと聞く。

 

 だが、その約束の前置きはまるで、小さい頃の結婚の約束ではないかと箒は気が気でないが、そういえば一夏だったなと思い直す。今回の事もどうせと少し鈴音に同情してしまう。持てる者の余裕である。

 

 「酢豚を奢ってくれるってやつだろ。」

 

 一夏の言い放った言葉に、ビシッと石の様に固まる鈴音。隣で弾があーあ、と額に手を当ててるし、箒もやっぱりと言う溜息を吐いている。

 

 「あ、あんたね。信じられないわよ。お、女の子との約束覚えてないってっ!!」

 

 途中自分の事を女の子と言う事に抵抗があった。何処とは言わないが、目の前の幼馴染と比べて色々と未発達な自分の事が惨めになりそうだからだ。だがそれよりも一夏への怒りが勝る。

 

 「へっ?ちょ、ちょっと待て。あれってそう言う意味じゃないのか。そのままの意味なのか?」

 

 「へっ?」

 

 だが、すぐに一夏の言い放った言い訳に一気に冷静になった。確かに怒っていたが、唐変朴な一夏の事だから曲解してるか、忘れてるかと思っていた。曲解の方だったが、それでも覚えていてくれた事は嬉しかったが、一夏はどうやら本当に言いたかった事に気付いたらしい。

 

 そういう意味なのかと問いかけてくる一夏は耳まで真っ赤にしており、あれっ?鈍感じゃない?えっ?私、みゃく有る?と混乱する鈴音であった。

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