IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第七話

 Mシリーズ、織斑 一夏の女性体クローン計画の名前であり、ACの登場により破棄された計画。稼働している個体は織斑 円夏と名付けられた一体だけのはずであった。

 

 その円夏とてスコールとオータム、それに暁美や束の手によって助けられ今現在IS学園に居るはずであった。

 

 「な、何なんだよ、こりゃ…」

 

 「見れば分かるでしょう。何処かの誰かが、再びMシリーズを生み出したのよ。」

 

 オータムの茫然とした呟きに、スコールが答える。瞬間二人は部屋へと向けていた視線を通路の先へと戻した。

 

 「何処のネズミかと思えば、ファントムタスクか。」

 

 そう声が響いた。足音はしていない。独特な機械音と機械で再生された声が発せられている。通路の先から腕と足の部分だけが肥大化した様な不恰好な機体がゾロゾロと姿を現す。

 

 (見ただけで私達の正体を見破った!?)

 

 スコールの懸念、ファントムタスクとして情報を漏らさない為に、スコールもオータムもまた別の名前でこの国に入っている。顔も割れては居ないはずだ。なのに相手は機体の映像越しに見ただけで、二人の正体を見破った。ファントムタスクに裏切り者が居るか、二人を知っている人間だと言う事になる。

 

 「誰だ貴様っ!!」

 

 「名乗ると思うかね。」

 

 オータムが激高したように叫ぶ。だがこれは態とである。その証拠に目には理性の色があり、スコールに目配せをしてきた。スコールもその目配せの意味に気付き、目の前の機体をスキャンする。

 

 普通ならばれてしまうが、スコールのACシルバー・バーンにはステルススキャン機能といった物がついていた。口でのやり取りでは強敵である暁美を下し、何とか貴輝に付けて貰った機能だ。相手に気付かれずに、相手の機体データを奪う事が出来る代物である。

 

 「なっ!!…無人機」

 

 「なにっ!?」

 

 そのデータによると目の前の機体はISに分類されるものであり、無人機である事を示している。その事に驚きを露わにしてしまった。スコールの呟きにオータムもまた驚き、目の前の機体から目を離しはしないが、それでも驚愕で目を見開いた。

 

 ISはISコアと適合する事で動かす。ゆえに人が乗らないと動かないのだ。なのに無人で動いている。

 

 「ほう、スキャンされたか。ならば生かしてはおけないな。」

 

 「生かしておくつもりも無かったでしょうに。」

 

 目の前の機体に、スコールの呟きを拾われたのだろう、攻撃の為にか不恰好な腕を持ち上げたそれは、通路いっぱいに無数の光を発射した。

 

 「いきなりかよ。」

 

 「ここは引くわよ。」

 

 舞い上がった土埃が晴れると、其処には髪の毛が無数の蛇の様な物になったACを纏ったオータムと、頭の横から二本の角が生えた、額部分にもう一つ目玉があるACを纏ったスコールが居る。二人の目の間には、床が壁の様に四角形に持ち上がり、灰色の盾へと変貌している。

 

 AC対ISならばACであるスコール達が優勢。ましてや貴輝作の一切デチューンされていない機体を纏っている以上負けはしないだろう。だが、スコールは情報を持ち帰る事を優先したのだ。機体を加速させ、元来た道を逆走していく。オータムもそれに続いた。

 

 「逃がさん。三番庫を開けろ。」

 

 後ろで機械音での命令が聞こえた。突如スコールの行く道の先に空間が出来上がり、いや壁だと思っていた扉が上へと上がっていき、中から無人機がわらわらと出てきたのだ。

 

 「あら、これはちょっとシャレにならないわね。」

 

 後方からも機体が追いかけてくる音がする。二人は挟まれない様に一気に突破するため、ビームが飛んでくる中、速度を上げた。

 

 

 

 

 

 「これって私?」

 

 「ああ、ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ姿のシャルロットだな。」

 

 カチャカチャと音をさせていた貴輝。その音が止んで出来たのかとシャルロットが見たのは、小さな自分の姿であった。IS学園は明後日にクラス対抗戦を控えて、クラス対抗戦前の最後の日曜日であった。

 

 そこで出かけるには、今だマスコミが煩く、外出手続きもめんどくさがった貴輝は、神様特典チートの本来の使い方をすることにしたのである。

 

 暁美に説得され、ACや色々な物を作ってしまったが、本来はこう、自身の趣味用の能力であったはずなのだ。

 

 プラモデルのシャルロットの腕や顔の横などの合わせ目はまだ消されておらず、デカールもまだ貼られていないが、そもそもそこまで拘る人間ではない。あくまで作る過程が面白いと思う人間なのだ。

 

 手に持って色々と見ているシャルロットを眺めている貴輝であったが、貴輝の携帯が着信を知らせる。画面には企業の文字があり、スコール達からの連絡だと分かった。

 

 「はいもしもし。」

 

 『貴輝かっ!?お前、今どこだっ!?』

 

 スコールからの電話だと思ったが、電話を掛けてきたのはオータムであった。その口調はやけに焦っており、後ろで戦闘音もしている。

 

 「IS学園だけど…、大丈夫なのか?」

 

 『もしもし、代わったわ。通信用端末がイカレテ、無理やり繋いでいる状況なの。手短に言うわね。M計画はまだ生きてる。二日後にIS学園が襲撃される可能性がある。』

 

 貴輝がオータムの質問に答えて、向こうの状況を考えて、連絡してきても大丈夫なのか尋ねるも、オータムからスコールに突如代わり、簡潔に状況だけを告げられた。しかもこちらから質問する前にブツッと通話が切られた。

 

 戦闘中に連絡してくる事も、二人の仕事上それ程珍しい訳ではないが、それでもここまで二人が焦っているのも珍しい。と言うか二日後って、クラス対抗戦である。

 

 「頭イテェ…」

 

 「だ、大丈夫?」

 

 久々に出た口癖。面倒事の予感に貴輝はシャルロットの心配をよそに、織斑 千冬に連絡を入れるのだった。

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