IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第八話

 「如何にもならなかったのか?」

 

 「無理だ。何より情報の出所の信憑性が無いのが痛い。」

 

 貴輝の今まで何度も投げかけた言葉に、千冬は諦めろと首を左右に振る。クラス対抗戦には政府高官も時間の都合をつけて見に来る。国を挙げて育てている選手であり、それだけの金をつぎ込んでいる為当たり前の事でもあるが。

 

 当然匿名でテロがあるから中止という訳には行かない。ましてや今回の情報源は、世界ではテロリストに認定されているファントムタスクの二人からなのだ。二人を守るためにも情報源は明かせない。

 

 暁美に頼ればどうにかなっただろうが、暁美が嫌がったのだ。なんでも原作通りだそうで、取り敢えず回し蹴りで沈められたと言っておこう。

 

 「だが、可能性は高いのか?」

 

 「あの二人でも分からないそうだ。」

 

 後に改めて連絡が入った時に詳しく聞いたのだが、『二日後のイベントで』という言葉だけなのだそうだ。

 

 二人の頭の中には世界中の重要なイベントが入っている。それに照らし合わせた場合、二日後のイベントで重要なのは、このクラス対抗戦ぐらいだそうだ。日付変更線を跨いでも、偶然にもこのイベントぐらいしかない。

 

 ほぼ確実でも、例えば無理やり起こされる物もあり、確実とは言えない。その為に事前に知らせて対処するしかなくなってしまった。

 

 「一夏に知らせたのか?」

 

 「いや、円夏関連で何かあるかも知れないとは言っておいたが。試合中に何かあるとは言ってない。」

 

 観客席の対応は、貴輝と束が急ピッチでアリーナのシールドレベルを引き上げた。但し、これも最初からそうしてしまえばエネルギーが持たず、必要に応じてになってしまう。政府高官が居る場所だけはそれこそ貴輝作のACでも持ってこいと言うレベルだ。

 

 貴輝が心配したのは操縦者の事。特に暁美曰く、原作に沿っているようで十中八九、一夏VS鈴音戦で乱入と言う形になりそうだ。

 

 一夏にも鈴音にも問題が起こりそうだが、何が起こるか分からんとは言ってある。下手に具体的に説明するよりも、直感で動く二人ならこの方が良いそうだ。保護者が言うのならそうなのだろう。

 

 「問題はそれがずれ込んだ場合か。」

 

 「俺の試合を一つずらせないか?」

 

 「ふむ。」

 

 だが、一夏達の試合以降に問題が起きた場合、一年では対処出来ないだろうと考えられる。問題が起きるとされる日にちは一年生の試合日。二、三年生は翌日以降だ。

 

 故に一夏達の次の試合を、専用機同士の組み合わせである一組の弾と四組の簪の試合に出来ないかと提案する。

 

 専用機持ちの有利さを無くすため、一夏、貴輝の次になっていた二人の試合。専用機の特性を認知させる為の試合でもある。日本代表候補の簪なら言うまでもなく、弾の機体であれば、何があっても対処しやすい。

 

 その次に貴輝の試合を持ってくることで、少しでも対処できる人間が居る時間を延ばそうと言うもの。貴輝の相手が一般生徒である事から、一番後ろに持って来たという訳だ。

 

 「貸出のラファールに問題が見つかったと言って伸ばせるか。」

 

 「後付けでシールドエネルギーを補充出来る道具を作っておく。」

 

 「頼んだ。」

 

 もし貴輝達の試合中に問題が起きたとして、少しでも継戦能力を高める為にシールドエネルギーを戦闘中でも補充出来る道具を作る事にした。その後の試合にも使えるだろう。

 

 こうしてギリギリまで、問題が起きてもいいように準備されていく。

 

 

 

 

 

 

 一夏と鈴音しかいないフィールド。いやそれを見る為にぐるりと囲まれたアリーナ中に人が溢れかえっているが、二人はそんなもの等気にせず、互いの得物を打ち合わせた。

 

 クラス対抗戦初日。第一戦はブザーが鳴ったと同時に飛び出した鈴音の甲龍が制した。振り回す鈍重な双天牙月を一夏に叩きつける。

 

 一夏の癖と言うか慣れによる何時もの行動で、その重い一撃を雪片弐型で受けてしまった。レウスマンの主武装であるレッドウィングは大剣という、その身を隠せるほどの大きさを誇る重武装である。

 

 そのつもりで受けてしまった為に、一夏は地表すれすれまで吹き飛ばされたのだ。

 

 「こんなのもあるのよ。喰らいなさい龍咆。」

 

 「うおっ!?」

 

 鈴音の叫びに、一夏は地面を蹴ってその場を飛び退いた。直後、地面に何かが着弾し、地面を抉る。

 

 「何だよ、そりゃ。」

 

 「こっちが言いたいわよ。直感でしょ、避けたの。」

 

 一夏の呟きを聞いた鈴音が言い返す。龍砲とは空間自体に圧力をかけ、衝撃を砲弾として打ち出す衝撃砲であり、アンロックユニットの一部が解放された以外に変わった所はない。見えないのだ。

 

 それをただの直感で避けてみせる一夏も大概である。鈴音の口の方が正しいかもしれない。

 

 「ちょ、連射できるのかよっ!?」

 

 「それそれ、何、あんだけ上から目線で言っといてその程度なの?」

 

 「言ったなぁ…」

 

 一夏はその場を飛び退きながら、円を描く様に鈴音の周りを飛び回る。連射される龍砲を避け、徐々に高度を戻していった。

 

 鈴音の挑発に乗って、イグニッション・ブーストをする為に態とスラスターのエネルギーを本体へと向けようとした。

 

 「危ねぇっ!?」

 

 ただし攻撃に転じようとしたイグニッションブーストは不発に終わる。咄嗟に鈴音を抱え、その場から逃げた。

 

 アリーナのシールドエネルギーを突き破って、三条の光が一夏達の居た場所を突き抜けたのだった。

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