IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第二話

 保健室で風邪と診断され、風邪薬を幾つか持って寮の部屋に帰ってきた。ベッドに背負っていたシャルロットを下して、布団を掛けてやる。水枕や、濡れタオルを用意して、冷蔵庫から水のペットボトルを枕元に用意してから、貴輝はシャルロットに声を掛けた。

 

 「大丈夫か?」

 

 「うん、ごめんね。」

 

 貴輝の目には、弱っている肉体は映らない。物作りのチート能力の副作用と言うか、貴輝は物の強度や、疲労具合が判ってしまう。その能力にはシャルロットの肉体は何処も悪くは無いのだ。少し疲労はしているだろうが、それでも寝不足の範囲である。倒れるほどではない。

 

 だが、現実には目の前で顔を赤くしながら荒い息を吐いてぐったりしているシャルロットが居る。暁美が言ったように、心の方に何か心配事を抱えているのだろう。

 

 「寝ていろ。風邪らしいからな。」

 

 「うん、ごめんね。」

 

 「俺は少しシャワーを浴びてくるから。」

 

 前に倒れた時に話を聞かなかった事が悔やまれる。数日前にシャルロットが倒れた時は、月のものの時期と被っていた為、それも原因の一つではないかと判断してしまったのだが、暁美の言葉でそれだけが原因ではないと分かってしまった。

 

 流石に風邪で倒れている人間に聞く訳にもいかず、シャルロットには寝ていろとだけ告げて貴輝は、取り敢えず体温の上がった人間を負ぶって、走り回った所為で掻いた汗を流す為にシャワーを浴びる為、バスルームに入った。

 

 (何が起きたんだか…)

 

 温めのお湯を頭からかぶり、流れるお湯を掻き揚げながら、貴輝はシャルロットに起きた問題について考えを巡らす。だが、何一つ思い当たる事柄が無い。

 

 貴輝がそんな風に考え事をしながら、シャワーのノズルから出るお湯を顔で受けていると、バスルームの扉が開く音がする。

 

 「どうした?…うおっ」

 

 それがシャルロットが何かを頼みたい為と判断した貴輝はそちらを向いて、驚き顔を背けた。其処には一切を脱ぎ捨てた、生まれたままのシャルロットが立っていたからだ。

 

 「ねぇ、貴輝。」

 

 「馬鹿っ、風邪引いてんだぞ。さっさと服着ろ…、っ!?」

 

 貴輝の肉体はそれなりに筋肉が付いており、鍛えている人間ほどではないが、物作りの材料を運んだりするために鍛えられている。その肉体にシャルロットの女性特有の柔らかい肉体の感触が当たった。

 

 シャルロットが抱き着いてきた事に驚きつつも、風邪を引いている事を心配し、追い出そうとする。だが、シャルロットは貴輝の言葉を無視して、その手を前へと回した。

 

 「名前だけの夫婦になってどれぐらい経つんだろうね。」

 

 「二年ぐらいだろ。と言うか手を離せよ。」

 

 「私とするの嫌?」

 

 そんな訳無いだろという言葉を飲み込む貴輝。熱がある為か、やけに色っぽい。貴輝も、シャルロットが人との距離感を取るのが上手く、人付き合いが苦手な貴輝ですらその空間が心地良く感じる。別に束程の人見知りという訳ではないが、それでも異性相手に積極的に話に行くほどではない。

 

 興味があるものがあるなら別だが、それでも、シャルロットと一緒に生活しているのが好ましくなってきていた。

 

 そんなシャルロットの手が、貴輝の腰から下へと下がっていく。気合で相手は風邪を引いている人間だと言う事を思い出して、事に及ぼうとする肉体を押し止めた。がシャルロットの手がいきなり力なくダラリとなって、貴輝の背中に当たる感触が強くなった。

 

 「おい、おいっ、シャルロットっ!?」

 

 慌てる貴輝。シャルロットは生まれたままの姿で意識を無くした。

 

 

 

 

 

 「あれ?」

 

 見慣れた寮の部屋の天井。意識を取り戻したシャルロットは何故此処に居るのか判らなくなった。思い出そうとして、ボッと顔が赤くなる。夢だよねと思い込もうとして、自身の格好が男物の黒ジャージである事に気付いた。と言うか下着も男物のトランクスであり、ブラは付けていない。

 

 「気付いたか。」

 

 「うっ、貴輝?」

 

 「新品だから気にするな。」

 

 カーと事実であった事に赤くなるシャルロットに、シャルロットの気が付いた事に気付いた貴輝が声を掛けてきた。今は流石に恥ずかしく、それでも迷惑を掛けた相手から目を反らすのはいけないと思い直し、それでも恥ずかしく布団で口元まで隠す。

 

 貴輝の言葉に、一瞬何の事だか分かなかったが、分かった瞬間ついに顔を伏せてしまった。着替えさせられてしまったのだろう。しかも水分を拭き取る必要もあって、隅々まで触られた事であろう事も。

 

 「ほれ、あーん。」

 

 「へっ?あー…、あっ、美味しい。」

 

 どんな顔をしてみればいいのか、混乱しているシャルロットに貴輝が持っていたスプーンを、口元に持ってくる。思わず口にして、恥辱心よりも先に味の感想が出てきた。何だかんだと、物作りの範疇で料理も出来てしまう貴輝である。梅のさっぱりした味が、御粥に合っていた。

 

 「熱は下がったようだな。」

 

 「う、うん。あ、あのね…」

 

 「何があったんだ?」

 

 「うっ…」

 

 シャルロットの額に手をやり、熱を測る。古典的だが、顔が近くなり、思わず赤くなってしまうシャルロット。何とか言い訳をしようと口を開くも、貴輝に遮られてしまう。

 

 熱も下がった事だし、いい加減言いやがれと言う言葉が眼光に乗っており、真っ直ぐ見つめられ、シャルロットは言葉に詰まる。だが、言い逃れは出来ないと、一つの手紙を取り出して、貴輝に差し出した。

 

 「あん?本社から?」

 

 封を切られているデュノア社本社からの手紙。それを出して読み進める。要約すると、デュノア社で軍用ISを開発するから、貴輝と別れて戻ってこいと言うものだった。

 

 「私、ここに居たい。名前だけの夫婦だっていい。もっと貴輝と居たいよぉ…」

 

 貴輝が一通り目を通したと判断したシャルロットは、心中を暴露する。物の様に扱われたデュノア社に等戻りたくなかった。何だかんだと騒がしく、それでも暖かく、目付きは怖いが頼りになって。そんな貴輝の事が好きになっていた事も話す。

 

 そんなシャルロットの告白を聞いた貴輝は一つ溜息を吐く。ポンとついには涙が零れ落ちていたシャルロットの頭に手を置くと、胸を貸すように抱いた。

 

 「たくっ、任せておけ。」

 

 それだけ耳元でささやくと、シャルロットを離して、少し出かけてくると言って寮の部屋を出て行った。

 

 淋しい、ここに居てほしいという気持ちで一杯だった先程までとは違って、もう大丈夫だと言う気持ちになっている事に気付いたシャルロットは、クスッと小さく笑って、布団に潜り込んだ。熱は下がっても、怠さは残っている。まぁ、それも明日までだろうと、久しぶりに心が晴れた気分で、すぐに寝付いてしまった。

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