IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

56 / 84
第三話

 デュノア社からの手紙を手に、暁美を探して校舎を練り歩く貴輝。時間はホームルームは終わった時間であり、寮の部屋にも居ない。帰りもすれ違わないとなると、後は校舎の何処かであろう。

 

 一つどうしても入りたくない、だけど居そうな場所を思いつく。と言うかその扉の前だ。生徒会室。そう扉に刻まれたネームプレートに書かれていた。

 

 「はーい、どうぞー。」

 

 コンコンと扉を叩けば、案の定というか、中から暁美の声がする。というかお前が返事するのかよと、生徒会長は如何したとか愚痴が思い浮かぶが、まぁ、扉を叩いてしまった以上、こうしていても仕方無いと扉を開けた。

 

 「何だ、貴ちゃんか。どうしたの?」

 

 「どうしたじゃない。会長は如何した。」

 

 扉を開けて顔を出したのが貴輝だと知って、暁美は手に持っていたクッキーを口に運ぶ。遠慮したりする人物ではないと判断したからで、貴輝が本来居るはずの人物が机に座っていない事を聞く。

 

 「タッちゃん?いま一寸出かけてるよ。」

 

 「机の下にか。」

 

 暁美がキョトンとした顔で、会長に用なの?と顔で語っている。が会長は少し席を外していると答えた。だが、貴輝の物の状態を見る事が出来る目には、会長の机の下部分に不自然に、それこそ人が一人隠れているような力が加わっている事が判っている。

 

 その事を指摘するとガタッと机から音がなり、机の向こうから生徒会長である、青いショートの赤い目をした人物が顔を出した。簪に似ている顔立ち、それもそのはずで簪の姉の、更識 楯無である。性格は真反対というか、対外的には積極的でなんでもそつ無くこなす、人をからかうのが好きなお姉さんであるが、実は消極的で人の反応を窺ってしまうヘタレである。

 

 開いた扇子、専用機のISミステリアス・レイディの待機形態であり、楯無の気分と連動させ表面の文字を変えられると言うもの。にドッキリ失敗と書かれている辺り、他人をからかうのは元からではないかと思える。

 

 「それで、お姉さんに何か用かしら?」

 

 「取り敢えず二人に用だ。まずはこれを読んでくれ。」

 

 うーんとどれどれと言う感じに、貴輝の差し出したデュノア社の手紙を覗き込む。と言うか読み難いんじゃないかと思うが、何気に二人とも優秀で、逆さに読んでも普通に読めてしまったりする。

 

 「何これ、私達なめられてる?」

 

 「そこじゃねえよ!!」

 

 「デュノア社がどうして強気で居られるのか、何故今更になって軍用ISの開発に乗り出したか、でしょ。」

 

 暁美が感情的に吠え、貴輝に打ん殴られる。ジッと見ていた楯無が貴輝の言いたい事を言い当てた。楯無は、暗部に対する対暗部用暗部『更識家』の当主でもあり、ロシア代表でもある。二年生でありながら、生徒会長をしているのは、その特別な生い立ちからであった。

 

 楯無の言葉に、その通りだと頷く貴輝。佐藤工房の開発したACは今や軍隊の中核を担っており、あくまでデュノア社はライン製造と販売を任されているに過ぎない。もしそれを止めるとなると、世界中からのバッシングを受ける事になる。

 

 ましてや佐藤工房と縁を切れば、会社が立ち行かなくなる可能性もあって、強気に、脅す様な言葉を並べてシャルロットを手元に戻そうとする意図が判らなかった。

 

 その上、ACはIS三機分と言われるほどの性能差を持っている。デチューンした機体でそれで、ましてや誰でも乗れるACとは違い、世界で今だ三人しか男性は搭乗者は見つかっていない。乗り手を選ぶ欠陥兵器になってしまうそれを、何故今更推し進めるのか判らなかった。

 

 「今だ配備が進んでいないドイツや、世界の警察と言う威信を掛けているアメリカは判るんだが。」

 

 フランスは元々ドイツを仮想敵国としていた時期があり、曲がりなりにも自国を脅かす可能性のある兵器を売る訳が無く、それでも、多少の融通はしているが、配備数が少ないのはかわりない。その為、少しでも相対できるISを軍事用に改造しており、その軍事用ISを運用するための特殊部隊もある程だ。ちなみにラウラがその部隊長である。

 

 アメリカは結構な数を購入しているが、それでも自国で開発された訳では無く、ましてや他国にライン製造、技術を流されて焦っている。それを解消する為にイスラエルと共同で軍事用ISを開発中ということだ。

 

 「ACにとって代わる何かがあるって事?」

 

 「それが分からないんだよな。だから聞きに来たんだが。」

 

 「いくら暗部用暗部だからって情報が全部集まってくるってわけじゃないのよ?」

 

 「だろうな。」

 

 楯無の考察に、それが分からないから聞きに来たと貴輝が本音を暴露する。楯無も情報は何も掴んでいないと、流石に落ち込み気味と言うか、情けなさげに言った。

 

 「ねぇ、貴ちゃんは如何するつもりなの?」

 

 「居住区の開発でデュノア社を追い詰めるつもりだ。」

 

 「居住区?何処に作るつもりなの?」

 

 だが話に着いて行けなかった暁美が、結局は如何するつもりなのか聞いた。だが貴輝の返事は突飛な物。軍事産業の会社をどうやって居住区開発と言う別の分野で追い詰めるのか。そもそも何処にも土地が余っていない現状、何処に作るつもりなのか。楯無が聞くと、貴輝は指で上を指す。

 

 「?ってまさか、コロニー作る心算なのっ!?」

 

 「ACもISも生かせるだろ。」

 

 貴輝の指す先、天井を突き抜けた空の上。其処まで考えて、貴輝の言いたい事に気付いた暁美は驚きを露わにした。宇宙空間に人工惑星を作ると言う事に思い当たったのだ。

 

 確かに宇宙なら、幾らでも土地は余っているし、ACやISはそもそも宇宙空間での活動を目的として開発された物。貴輝の物作りチート能力を考えると不可能ではないし、過去にスケールダウンしたもの。唯の部屋程度であったが作っている事を考えると現実味を帯びてくる。

 

 「でも、それじゃ数や人手が、ってまさか…」

 

 「ああ、デュノア社から引き抜く。」

 

 それを行うためには、開発、建造の為の人出が足りない所か、その人達が乗る機体も足りない。そこまで考えて、貴輝の計画の全貌に気付いた暁美。ネタバラシの様に貴輝が答えた。

 

 機体を作る人間をデュノア社から引き抜くと。そうすれば一時的にデュノア社は人手不足による実質閉業状態に追い込む事が出来る。

 

 引き抜く際も、目的が居住区開発であり、まさか開発関連の人間を引く抜かれるとは思われまい。誰が味方で誰が敵なのか分からずとも、暁美の交渉能力を利用して、纏めて味方に引き込めば良いだけだ。

 

 「人員の補充、そこで私の出番という訳ね。」

 

 「ああ、どういった人員を入れたかで、デュノア社の動向が判るはずだ。頼めるか?」

 

 暁美に任せておけば、交渉能力チートで、まったく問題ない状態に持って行けるはずだ。そこでデュノア社は歯軋りしながらも、会社を動かす為に新たに募集を掛ける。その募集で集まった人の種類を探る事で、どういった思惑があるか分かるはずである。そこは世界中にスパイを持っている更識家の出番であろう。

 

 だが貴輝にとっては重要でも、更識 楯無には何のメリットもない。顔見知りという訳でもなく、手伝ってもらえるか確認を取った。

 

 「なめないでね。私は此処IS学園の生徒の長でもあるのよ。生徒一人助けられないで何が生徒会長よ。」

 

 扇子にも『お姉さんにお任せ』と力強い言葉が書かれていた。こうして世界に喧嘩を売れるメンツが動き出したのだった。

 

 「あっ、でも簪ちゃんとの仲取り持ってくれると、お姉さん嬉しいな。」

 

 扇子にも『是非お願い』となんとも締まらない言葉を吐いてくれたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。