IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第六話

 ISダーク・エッジは元々イギリスのある会社で開発されていた機体だ。それも円夏用に調整されている。お気付きだろうが、その会社というのはMシリーズを計画した裏の会社である。そのコアも、表の顔としてISの開発、研究機関として割り当てられた物であった。

 

 円夏の救出時にまだ未完成だった機体と共に持ってこられたものだ。円夏との相性が、何の偶然か、最高に近いコアであった為、貴輝と束が完成させてしまった機体である。イギリスにはすでに別のコアが割り振られ、暁美の説得によって篠ノ之 束博士が管理、運用する事が決まり、円夏の専用機となった。

 

 「断る。戦う理由がないからな。」

 

 「関係ないな。私がお前を気に入らないと言うだけなのだから。」

 

 「お前っ!!」

 

 円夏に挑まれたラウラはその勝負を断る。だが、円夏はそんな事など関係ないと、ダーク・エッジの周りに刃先を空へと向けて浮いていた主武装である遠隔無線誘導兵装ダークエッジがラウラへとその刃先を向けた。

 

 ダーク・エッジの開発プランはブルー・ティアーズと同じ物。と言うかブルー・ティアーズ自体、Mシリーズの計画を立てた組織の、表の会社が時間稼ぎに提案した計画を元に作られている。黒狼王の狼の子達のシステムデータの元になっている以上、その二機とは姉弟姉妹と言ってもいいかもしれない機体である。

 

 それを十全に使いこなす事の出来る円夏は、例え相手が軍用ISだと言えど、勝機を見出していた。何より、ダーク・エッジはセカンドシフトしており、ワンオフアビリティも発現している。

 

 「待て待て、何で円夏とラウラが争う必要があるんだ?」

 

 「っ!!伏せろっ!!」

 

 「うわっ!!」

 

 一夏が間に入り、何とか場を収めようと、まずはその理由が判らないと如何し様も無い為に質問するも、ダーク・エッジの周りに浮いていたダークエッジがその姿を消した瞬間、ラウラに押し倒されるようにして、仰向けに倒される。

 

 一夏の目の前に、ラウラの未成熟な胸が現れた。ダークエッジが掠り、ラウラの灰色をした軍用ISスーツを切り裂いていたのだった。

 

 「くっ、態々一夏を狙うか!?」

 

 「ま、待て、ラウラ、前、前っ!?」

 

 「ふん、見たければ、幾らでも見ていろっ!!今はあいつに対処する方が先だっ!!」

 

 ラウラも円夏の狙いに気付き、感情が高ぶる。軍人として教育を受けている以上、冷静な部分が大部分を占めているが、それでもまだまだ幼い為、本当に激怒しているように見える。

 

 軍人が目の前に襲い掛かってくる敵が居る中で、服が破れたから戦えないとは言えない為、一夏にそう叫んでそのまま円夏に向かって行った。

 

 ましてやこれは護衛任務であり、護衛対象を狙ったもの。ラウラが対処するだろうと踏んだ円夏が態と一夏を狙ったもので、今度の学年別トーナメントに出れないぐらいに痛めつける事ぐらいでは、兄弟間、家族間のオフザケですまされてしまいそうであり、ラウラの護衛に問題有りとされるかもしれない。

 

 ましてや円夏の言い分は力を暴力として振るう者の言い分であり、あくまで守る側であるラウラを怒らせるには十分であった。

 

 「ふん、私に喧嘩を売った事、後悔させてやる。」

 

 ラウラも目の前の敵は排除しなければいけないと考えており、使う心算のなかった、飽く迄何かあった時の為の軍用兵装を量子変換。右肩に大型レールガンを呼び出した。

 

 「そうでなくてはな。」

 

 「何っ!!」

 

 ラウラの言葉に小さく笑みを浮かべた円夏はその場から消えた。ISのハイパーセンサーにも映らないダーク・エッジにラウラは驚きを露わにする。

 

 先のダークエッジの攻撃も、ハイパーセンサーにも映らなかった。だが、ラウラの軍人として鍛えた経験が、直感が警報を鳴らしており、咄嗟に一夏を押し倒したものの、前を切り裂かれてしまったのだ。

 

 攻撃が見えないだけかと予想を立てたものの、姿まで消せるのは予想外であったのだ。瞬間、目の前に、手にダークエッジを一つ持った円夏が現れる。

 

 完全にラウラの虚を突いた円夏であったが、ラウラもレールガンの突き出した砲塔で受け、すぐにパージ。爆発する砲塔。互いに距離を離したはずであったのだが、ラウラの腰が切り裂かれた。

 

 「ぐっ、そんな馬鹿な…」

 

 「姿を消せるだけだと思ったか?」

 

 シールドエネルギーを抜いてきた訳では無いのに、怪我を負った事に驚愕する。患部を押さえながら、目の前の爆発で巻き上げられた土煙を凝視しているラウラに、姿無き円夏が声を掛けてきた。

 

 ダーク・エッジのワンオフアビリティ『ファンタズム・ミラーワールド』は、認識をずらすと言うもの。そこにあるはずなのに無いと認識させてしまう。それこそISのハイパーセンサーすらも誤魔化してしまい、攻撃を感知しない為、シールドエネルギーを抜かずにラウラに怪我を負わせた。

 

 「終わりだ、出来損ないの道具め。」

 

 「ぐっ!!」

 

 怪我を負って、無理には動けるも、痛みで如何しても全快時よりも動きが落ちる。ましてや何処から攻撃が来るか分からない分、厄介であった。

 

 「うぅおおおおおお…!!」

 

 「何っ!?」

 

 だが、ラウラのピンチを一夏が救う。見えない筈の、ラウラに向かっていたダークエッジを雪片弐型で弾いてしまったのだ。その上でラウラと円夏の間に割り込む。両手を広げて、勝負は此処までだと言うように。

 

 「退けっ、一夏っ!!」

 

 「止めろっ、円夏。冷静になれよっ!!」

 

 「幾ら貴様でもっ!!」

 

 邪魔する一夏に退くよう言う円夏に、もう勝負はついていると言う一夏。だが円夏の興奮は収まらず、一夏ごと攻撃しようとした瞬間、アリーナの使用時間が過ぎた事を告げるアナウンスが響き渡る。

 

 『…それまでにしておけ。なんなら力付くで帰られせてやろうか。』

 

 続いて告げられた言葉。その声は千冬のものであり、文字通り千冬に力付くで沈められそうな予感がする。ふんと一つ鼻を鳴らして円夏は射出口の一つに入って行った。

 

 「大丈夫か?」

 

 「…心配しなくても、掠っただけだ。」

 

 やっと息を吐いた一夏に心配されて、何気に強がるラウラ。ラウラの直感が腰の傷を浅いものにしており、強がりでは無く、文字通りの意味かも知れないが、一夏は念の為にラウラに肩を貸し、保健室まで同行するのだった。

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