IS 俺とあいつのインフィニット・ストラトス   作:yosshy3304

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第七話

 「むっ、此処は?」

 

 「気が付いたか。」

 

 「教官…」

 

 ラウラが目を覚ますと、暗闇の中に居た。と言っても窓から入ってくる月や星の明かりが部屋を薄暗いに止めている。目の前には敬愛する教官。体を起こして、何が起きたか考えを纏めようとする。

 

 「ああ、私は寝てしまったのですね。」

 

 「ああ、そうだ。幾ら医療用ナノマシンと言えど、失った血までは即座に回復と行かなかったらしい。」

 

 すぐに思い至る。大丈夫だと言うのに一夏に肩を貸され、保健室まで運ばれたラウラ。保険医に見せた傷は浅かったが、それでも流れた血でふら付き、保険医に無理やり休んで行くよう言われたのだ。

 

 切り裂かれた直後は、腰の半分ほどまで傷があった。すぐに体内を流れる医療用ナノマシンが塞いだが、それでも相当量の血が流れ出てしまったらしい。

 

 ラウラは、何処かの誰かの、優秀な遺伝子を持った精子と卵子を選別し、軍人として使えるように強化。余計な情報が与えれない様に人工子宮で育った遺伝子強化試験体である。体内に医療用ナノマシンが流れ、深い傷でも一瞬で直してしまう。唾液にもこの医療用ナノマシンは少量だが存在し、傷口を舐める事で、治癒を促進する事も出来る。

 

 そんなラウラも飽く迄人の範疇であり、半分の月が空に昇るまでぐっすりと寝てしまったようだが、何故目の前に千冬が居るのか判らなかった。

 

 「妹が失礼した。」

 

 「きょ、教官?あ、頭を上げてください。」

 

 だがすぐにギョッと目を見開く事になる。ラウラに向かって千冬が頭を下げたのだ。ラウラは慌てて頭を上げる様に言う。千冬もこのままではラウラが気にしてしまうと判断して、頭を上げるも、その顔には申し訳なさげに歪められている。

 

 「それに、あの女は私を殺そうとしてませんでした。」

 

 「だがな…」

 

 「態々、ナノマシンの多い脇腹を狙ったのはその為でしょう。あくまで痛めつけるのが目的かと。」

 

 ラウラの言葉に、幾らなんでもそれでは示しがつかないと、言葉にしようとした千冬の言葉を遮りラウラが言葉を続ける。

 

 円夏の事を、姉として謝りに来た人の前で貶すのは如何かと思ったが、それでも正直に心の内で話した方が良いと判断したラウラはあの女と呼ぶ。そして円夏が本気で殺しに来ていない事も。

 

 円夏から殺気は感じていなかった。実際一夏を庇った時も、服が切り裂かれるだけであり、追い詰められた時も、急所は狙わず、飽く迄それ以外を狙っていた。脇腹に医療用ナノマシンのプラントがあった事も知られていたのかもしれない。

 

 怒気は感じていたが、殺気は無く。だからこそラウラは軍人にあるまじき、怒りでもって行動したのだ。殺されるとなると、軍人としての顔が出て来る。冷静に現状に対処してしまったと考えられる。

 

 「ふぅ、すまんな。」

 

 「いえ、ただ機体の方は如何なのでしょう。」

 

 千冬も今何を言ってもラウラが聞かないと判断。息を一つ吐いてもう一度だけ謝った。ラウラもその謝罪を受け、ただ自身の機体について尋ねる。大型レールガンの余波や、あのシールドエネルギーを抜けてくる攻撃で、何処かおかしくなっていないか心配しているのである。

 

 「シュヴァルツェア・レーゲンに関してはすぐに自己修復が始まった。軍用と言う事で機密があるだろうから、IS学園の権威が届く範囲。表面上だけを束に精査して貰い、問題が無い事が判っている。ただな…」

 

 「武装、大型レールガンですね。」

 

 「ああ。佐藤に聞いた所、現物を見せて貰えれば作れるそうだが…」

 

 千冬の言葉を疑う事が無いラウラは、態々ISの生みの親に、それもドイツ軍に遠慮した形で調査して貰った事に感動を覚える。千冬の言い淀んだ部分。爆発してしまったレールガンはもう駄目だろうと考えていた為、すぐに言い当てる。千冬の言葉には調査させて貰えれば直せると言われたが、あれは一応ドイツ軍の機密の一つであり、惜しいが断るラウラ。

 

 だろうなと言って千冬は立ち上がった。そばにあるリンゴを手に取る。お見舞いの品のようだが、誰が持って来たのだろう?

 

 「それは?」

 

 「ああ、馬鹿な弟からだ。」

 

 疑問に思ったラウラはそれを聞く。千冬は手に果物ナイフを持って、ラウラの疑問に答えた。別に入院する訳でもないのに、態々購買品であったが買って来たらしい。千冬が苦笑しながら、するすると皮を剥いて行く。

 

 「私も今日は此処に泊まっていく。」

 

 「そんな、悪いです。」

 

 「これぐらいはさせてくれ。それを食ったら今日はもう寝ろ。」

 

 リンゴを剥き終わった千冬は四等分にカット。芯を取り、ラウラへと差し出した。もう遅い時間になっている事もあって、千冬も保健室に泊まっていく事をラウラに告げた。ラウラが遠慮するも、千冬は謝罪させて貰えないのであれば、これぐらいさせてくれと言い張る。

 

 ラウラのジーと見てくる視線に耐えらえなかった千冬はリンゴを指差し、さっさと食ってしまえと告げた。

 

 千冬に切って貰ったリンゴを一つ手に取り咀嚼すると、リンゴの甘味が口いっぱいに広がる。何故かホンワリとした気分になりながら、勿体無いという考えも頭を過った。それでも体は失った血を補充しようと、ラウラに栄養を要求する。数分で食べきってしまったラウラは、ベッドに横になると同時に寝付いてしまったのだった。

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